武田砂鉄のレビュー一覧

  • 紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

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    ネタバレ

    安保、沖縄基地問題、少子化問題、嫌韓、就活鬱、STAP細胞、女性手帳、本離れ、ネットユーザーの馴れ合い、ソーシャルメディア。現在の日本の新聞やテレビ、週刊誌をにぎわす話題を短い言葉で次々とぶった切る。ザッピングのようにめまぐるしい。社会派の舞城王太郎。

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    2016年08月07日
  • 紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

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    「こいつ何者?」といった感のある、その発想と論理展開、例示や例え話の巧妙さ、重箱の隅をつつくようでいて重要且つ根源的命題に切り込む先鋭さ、そして何よりも「言葉で固まる現代を解きほぐす」と副題にもあるように、逆にその言葉の力を縦横無尽に使いこなしていく表現力に底知れない魅力を感じた。

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    2016年04月20日
  • 紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

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    食わせ者の著者の渾身の独演会──そんな読後感で巻を閉じる。こういうへそ曲がりの跳ね返りは嫌いじゃない。けれど難しい。「嫌いじゃない」と言っている自分さえもが彼の手間を惜しまぬ「解体作業」を「渾身の独演会」と呼んでしまう。一つの「芸」だとどこかで思っている。各トピックを綺麗に、毎回ほぼ同じボリュームにまとめ上げる手管、物書きとしてのテクニック自体が既に「紋切り型」に通じるマニエリスムと呼び合うものがないかと意地悪く思ってしまう。ストップ高のポトラッチのように、圧力鍋の中で行き場を探す蒸気のように、表現はもはや打破すべき対象を実は既に見出せなくなっており、ほじくり残した「差異」を探して右往左往して

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    2016年03月27日
  • 紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

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    「乙武君」………障害は最適化して伝えられる
    「育ててくれてありがとう」………親は子を育てないこともある
    「ニッポンには夢の力が必要だ」………カタカナは何をほぐすのか
    「禿同。良記事。」………検索予測なんて超えられる
    「若い人は、本当の貧しさを知らない」………老害論客を丁寧に捌く方法
    「全米が泣いた」………〈絶賛〉の言語学
    「あなたにとって、演じるとは?」………「情熱大陸」化する日本
    「顔に出していいよ」………セックスの「ニュートラル」
    「国益を損なうことになる」………オールでワンを高めるパラドックス
    「なるほど。わかりやすいです。」………認め合う「ほぼ日」的言葉遣い
    「会うといい人だよ」………

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    2016年02月07日
  • 紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

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    タイトル通り各章の紋切型言葉の背景を読み解くという内容だが、筆者の切り口が斬新で話が次々と展開するため、納得しながら読むというより、その展開の多面性を楽しみながら読む本だと感じた。
    難解と感じる分だけ自分の頭も凝り固まってるんだろうなぁ。

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    2016年01月23日
  • 紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

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    普段感じている違和感に対してズバッと切り込んでくれる爽快さはある。
    文章はややわかりづらいか・・・
    いきなりの断定や、回りくどい言い方もあるが、世の中こういった本音ベースがもう少し出てきたほうが、自分にとっては暮らしやすいな。

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    2015年12月16日
  • 紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

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    内田樹先生の文章を読み始めたとき、「目からウロコがポロポロ落ちる」とか、今まで自分の中で言葉にできず分析できずモヤモヤしていたことを「そうそう私の思っていたことはそういうことだったのよ」とか思ったものだが、この武田さんの本を読んで、そのことを思い出した。

    鋭い切り口、批評に「ふんふん、なるほど」「そうだそうだ」と全編感心?し続けていた。目次だけでもおもしろい。1ヶ所だけ引用しておく。

    ”五輪に期待することへの返答にも二の句が継げない。(略)「国民に夢や目標を与える」(89%)が最も多かったという。「国民に夢や目標を与える」という回答を国民が投じるシュールさに疑いを持てないのが寂しい。夢や目

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    2015年11月08日
  • なんかいやな感じ

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    1982年生まれの武田砂鉄さんが、時系列で自分の事を語っている。
    酒鬼薔薇聖斗と同い年。
    携帯電話は高校の卒業間際に買った。
    ティーンエイジャーでいることは苦しい。楽しいこともあるけど、苦しい。男女関係なく。「つながりたくない」「自転車だから」を読んで思った。
    「Have Passion!」ブートレッグ!田舎者だった私は、雑誌広告で見るだけだったが、こういうものだったんだ、初めて納得。ブートレッグの編集長との交流も良かった。
    編集者時代に、ジャーナリストが書いた文章を読んだら、自分だったらこう書くのにって思った頃に会社を辞めることを決めた。編集者出身の作家は多いが、そう思うようになった時は、や

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    2025年12月10日
  • 「いきり」の構造

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    昔も今も[いきり]の人が年齢に関係なく、存在していると感じるのでこの本を手に取りました。
    読んでみて印象に残ったのは最後に書かれてあった自分で考えると言った文言でした。
    このいきりを語るにあたって、自分自身の不安だったり、話を逸らすことなど様々な言葉を用いて説明されていたが、結論として他人の話を間に受けるのではなく、全ての物事に対しては知らない物がありつつも、自分自身が考えることが重要であり、心身につながることがわかりました。
    また時間があれば読んでみたいと感じました。

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    2025年11月29日
  • 「いきり」の構造

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    自分もいきってる人に敏感だったのでつい手に取ってしまった。能町ミネ子的に、様々なイキる人たちを取り上げて考察する内容かと思ったが、思っていたよりも議論が幅広く深かった。なので本書を一言でまとめるのは難しいが、概ね著者の言いたいことには賛同した。いつも著者の本を読むと自分が社会に対して抱いていたモヤモヤを言語化してくれてありがとう、と思う。

    著者が中学校の講演会で話したという「互いに合致しなくても、曇ったままであっても肯定し合うことが大切」という内容がとても良かった。著者のラジオを聴いていると色んな方が登場するが、皮肉っぽいスタンスは保ちつつも、どことなくゲストや共演者のありのままを否定しない

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    2025年11月23日
  • あなたのフェミはどこから?

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    19人各人のフェミニズムがどこから始まったのかを綴ったリレーエッセイ。

    フェミニズムが様々な差別を社会構造の問題として認識しているということを初めて知って、目からウロコの気分。

    女性と男性、マジョリティとマイノリティ、そんな対立構造や、個人としての問題と考えていたが、この本で見方が変わった。

    これまで味わった対応に理不尽だと感じても言語化できていなかったものが、フェミニズムという言葉を理解したことによって言語化できた。

    時代が変われば立場も変わる。
    誰であれ、自分が他者の権利を不当に奪っていないか?を考え続ける必要があると思う。

    もっとフェミニズムについて知りたいと思った。

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    2025年11月06日
  • 「いきり」の構造

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    「いきり」って言葉、使うようで使わない。
    けど、この中で語られるにはしっくりくる。

    と思いつつも、最初はなるほど、うんうんってわかったつもりなんだけど、後半は難しくなって正直?の部分も多くあり。

    ラジオの砂鉄さんはわかりやすいんですけど、文章はラフな姿勢で向き合うとわからない。じっくり読み直さないとね。

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    2025年11月05日
  • 「いきり」の構造

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    「中身でなくテクニックの話ばかりする」という言葉を手に入れただけでもこの本を読んだ価値があったと思いました。
    思考を手放すことは愚かであると思いながら、仕事に忙殺されていると、思考することなんかできなくて、いきりは、短期的に成果を求める自己責任論の上に立った成果主義や効率化至上主義が蔓延する現代社会の病理なのではないかと考えながら読みました。
    そういう意味で「おわりに」で著者が、いきりを防衛なのだと結論付けていることには共感します。
    私達は、イキってないと生きていかれない社会に生きているって、絶望的な気持ちになりますが、なるべくイキらず、また、イキる人を嘲笑うようにはしないように生きていきたい

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    2025年11月03日
  • 「いきり」の構造

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    武田砂鉄さんのネット記事は共感したり、面白いと思うことが多かったので、本屋で見かけて、衝動買いをした。

    でも実は著者名以上に、タイトルに惹かれた。

    というのも最近非常にいきりたい思いに駆られているからだ。

    内容を見ると、自分のいきりたい思いとは意味が異なっていたが、世の中の動きについての違和感に共感するところは少なからずあった。

    後半は頭に入ってきにくく、読み流してしまった。

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    2025年11月24日
  • あなたのフェミはどこから?

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    様々な分野の19人のフェミニストによるエッセイ。自分がフェミニズムに目覚めたきっかけについて語っています。

    はっきりとコレ!というきっかけがあるひともいれば、子どもの頃からなんとなく世界に違和感があった…という人まで、きっかけは様々だ。

    自分には理解が及ばないような苦しみからフェミニズムに辿り着いた方もいれば、自分の感覚と近くて分かる分かる!と思いながら読んだ方もいるのですが、鴻巣麻里香さんのエッセイは特に自分の感覚を言語化してくれたような感覚になりました。
    若いときは「女性として抑圧を受けているという文脈が内面化されていなかった」という鴻上さんが、子どもを産んで仕事をしているときに、子育

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    2025年09月18日
  • マチズモを削り取れ

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    自分は女性だが、フェミニストに共感する気持ちと過剰なフェミニストを嫌悪する気持ちと両方あるため、章によっては共感し(痴漢、女子マネージャー、寿司屋)、章によっては編集者のKさん気にしすぎでは?と思った(新幹線の便座問題など)。
    この本では若干やりすぎなくらい現代の男性優位社会に切り込んでいく。著者が女性だったらフェミニストがまた何か言ってる、で終わらせられたかもしれないけど、著者が男性で、自身も気づかなかったりこれまで見て見ぬふりをしてきた性差別について細かく調査していくという構図が面白い。

    時にフェミニストが気にしすぎなんじゃない?と思う自分は、社会の性差別にいちいち怒ったり傷ついていたら

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    2025年09月17日
  • あなたのフェミはどこから?

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    ネタバレ

    自分の無意識さ、に気付かされた本だった。無意識とも言えるし、考えてもどうせ何も変わらないし、と諦めというか、考えようともしていなかったんなあと。フェミニズムって女性の不平等をなくそうっていうことだろうという浅い知識だけだったけれど、そうではなく、男性やあらゆるマイノリティの人も含め全ての社会の問題なんだなあと思った。男とか女とか、いろんなラベリングで人を評価したり判断せずに、ただの人間、として個人が見られる社会だったらいちばんいいけど。果たして自分はそれが出来ているか?他人を色んな物差しで測っていないか?偏見はないか?と問われたら自信がない。でもちょっと意識を持つだけでも、それだけで何か変わる

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    2025年08月23日
  • あなたのフェミはどこから?

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    自分がいかに男性優位性や家父長制を内面化してしまっているか痛感するし、違和感がある時に無理に合わせたりしない、を実践できるようになりたいと思うばかり。まだ名乗れるほど理解できていないし、世間的には「強者女性」側になりうる自覚も忘れてはならない。

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    2025年08月03日
  • わかりやすさの罪

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    ネタバレ

    わりと普通のエッセイでした。
    解説にもあった、これ自分のことだなって思ったり確かに確かに、としたり顔でうなづいたりした。

    2倍速でみるのはいいけど、ちゃんと伝わっていないよと自覚を持ってみたい、というところに共感した。

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    2025年07月31日
  • わかりやすさの罪

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    ネタバレ

    『わかりやすさの罪』は、分かりやすさを善とする社会への鋭い批評だと感じました。

    特に「どっちがいい?」という問いが、無自覚に他の可能性を排除してしまう指摘は強く印象に残ります。選択肢が提示された瞬間に、考える余地は狭まり、深い思索や創造力が奪われるという視点は、日常のあらゆる決断に潜む危うさを突きつけます。

    また、「要するに?」の思考停止にもハッとさせられました。本を要約することで便利さを享受してきた自分に、削ぎ落とされた背景や文脈への想像力の欠如を痛感します。

    さらに、当事者性への過剰な依存が対話を妨げ、想像力を奪うという指摘も現代的です。

    本書は、効率や即答を追う日常に潜む「思考放

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    2025年07月31日