武田砂鉄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『自分の名前で文章を書くことは、身体に文字を彫ることと似ている』と又吉さんは言う。
その言葉の重みに圧倒されてしまいました。
人の心はうつろうし、考えることだって日々変わっていく。
又吉さんにとって文章を書くというのは、その時その時の思いをちょうどいい熱量で
自意識と闘いながら言葉にしていくという作業なのだろう。
その途方もない困難さが、『スリジャヤワルダナプラコッテ!!(スリランカの首都)』と叫ぶ小学生の話に笑っているうちに、泣き笑いのように伝わってくるのです。
分かりやすい思考の方程式や、世の中が提示してくる『正解』を許さない二人のやりとりは
読んでいてとても刺激的で楽しかったです。 -
Posted by ブクログ
芸能人評。取り上げているうち、わからない人、興味ない人に関してはもちろんわからないし興味ないんだけど、知っている人に関してはわりと自分の認識と一致するかな。でも、何だか論説にはしり過ぎというか、人物の一点を取り上げてそれに論説を合わせるところに紙幅を割き過ぎな感じ。
1編目でしっかり読んだせいか、わりと最近同様の論(ライブのMCが敬語など妙に行儀がいい)に触れていたせいかEXILE論にはなるほど。彼らはヤンキー系のようだけど、「暴力団」から「暴力」を取れば「団」であるように長幼を大切にする秩序だった集団・グループなのだということ。こういう人たちが世の中ウケするということと最近の日本の空気って重なるなあと思った。自分の意思とかあまり大切にせず、集団のなかで目立たずぬくぬく恩恵を享受していこうという感じ。 -
Posted by ブクログ
「ニッポンにには夢の力がひつようだ」
「逆にこちらが励まされました」
このような言い回しは、どうも「何か」が引っかかっていたのだが、その「何か」をスパッと言葉で一刀両断するごとき文章は読んでいて爽快である。
「ほぼ日」がなんとなく好きではなかったのだが、その理由が自分でもよく分かっていなかった。しかし本書を読んで目からうろこ、そういうことだったのかと妙に納得。
と、読んでいて気持ちのいいところばかりでもなく、なんかどうでもいいことに力を入れすぎじゃないか、とげんなりする部分も多々見受けられる。
ということで、物事は多面的に捉えるということの例題としてはかなりの良書ではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
芸能人に関する評論を読もうと思ったのは、ラジオによる影響が大きい。
特に、「東京ポッド許可局」。そこでこの本が取り上げられた訳でもないのだけど。
新宿のブックファーストに平積みにされていた本書の隣に「芸人最強社会ニッポン」という新書があり、セットで買った。
「芸人」と「芸能人」、漢字一文字を加えるかどうかで印象が全く変わるこの言葉だが、ここ数年その二つの存在は互いに近づいているような気がする。
「芸人最強〜」の論旨の一つはコミュニケーションの達人としての芸人の存在がますます重宝され、〇〇芸人化もしくは専門家の芸人化が起きているという流れを提示していた。
だから、今まで「芸能人」の中に「芸人」が収まっていた構図が、逆に芸人的なふるまいを求められる芸能人という形になっているのではないだろうか。大衆とコミュニケーションする上で芸人化せざるを得ない状況の進展により、上手く芸人化できる要素を持つ「芸能人」が残っていく。
この本のサブタイトルに「テレビの中のわだかまり」とある。この本の中には一部芸人が出てくるものの、昨今芸人が多くテレビに出ているにもかかわらず、松本人志、ネプチューン名倉潤、森三中、加藤浩次と4つのタイトルだけであるというのは、「芸人最強~」の論旨を補足しているように感じた。
つまり、わだかまりを与えない円滑な大衆とのコミュニケーションを果たすのが芸人であるという特性上「芸能人」のわだかまりを語る上で、そのひっかからなさを浮かび上がらせてしまった。
本書の面白さとは別の側面で感想を書いたが、同じタイミングで買った本と妙なマッチングをするものだと感じた次第だ。