あらすじ
新しい書き手。自由な批評。
「柔軟剤なしのタオルと同じ。読むとヒリヒリ痛くて、クセになる。」
……重松清さん
「世に溢れる陳腐な言葉と格闘することはこの世界と格闘することだ。」
……白井聡さん
「育ててくれてありがとう」「全米が泣いた」「国益を損なうこと になる」
「会うといい人だよ」「ニッポンには夢の力が必要だ」「うちの会社としては」……
日本人が連発する決まりきった〈定型文〉を入り口に、
その奥で硬直する現代社会の症状を軽やかに解きほぐす。
言葉が本来持っている跳躍力を取り戻すために。
初の著作、全編書き下ろし。
紙の書籍版では読めない電子版オリジナルコンテンツとして、
『日常に侵入する自己啓発』の著者・牧野智和氏との特別対談を収録。
言葉を係留点に、現代社会の症候を若き論者が語り合う。
目次
はじめに
「乙武君」………障害は最適化して伝えられる
「育ててくれてありがとう」………親は子を育てないこともある
「ニッポンには夢の力が必要だ」………カタカナは何をほぐすのか
「禿同。良記事。」………検索予測なんて超えられる
「若い人は、本当の貧しさを知らない」………老害論客を丁寧に捌く方法
「全米が泣いた」………〈絶賛〉の言語学
「あなたにとって、演じるとは?」………「情熱大陸」化する日本
「顔に出していいよ」………セックスの「ニュートラル」
「国益を損なうことになる」………オールでワンを高めるパラドックス
「なるほど。わかりやすいです。」………認め合う「ほぼ日」的言葉遣い
「会うといい人だよ」………未知と既知のジレンマ
「カントによれば」………引用の印鑑的信頼
「うちの会社としては」………なぜ一度社に持ち帰るのか
「ずっと好きだったんだぜ」………語尾はコスプレである
「“泣ける”と話題のバラード」………プレスリリース化する社会
「誤解を恐れずに言えば」………東大話法と成城大話法
「逆にこちらが励まされました」………批評を遠ざける「仲良しこよし」
「そうは言っても男は」………国全体がブラック企業化する
「もうユニクロで構わない」………ファッションを彩らない言葉
「誰がハッピーになるのですか?」………大雑把なつながり
おわりに
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
思春期にナンシー関に傾倒した身としては、いま武田砂鉄がいてくれる事は、とてもありがたい。
全米が泣いたとき、南米は怒り、アジアは眠りこけていた。そして僕は途方に暮れていた。
卓抜した観察眼と言葉への拘り、純粋な批評性が気持ちいい。まさに、原点にして頂点。
こちらも紋切型な言葉ではありますが。
Posted by ブクログ
『一冊の本』に今年の1月まで連載されていた「わかりやすさの罪」を愛読していたので、同様の切れ味の素晴らしい爽快な書きっぷりを堪能できた.「"泣ける"と話題のバラード」でプレスリリースの中身のなさを指摘しており、それをまた使いまわす輩が跋扈している現状を批判している.そうだ、プレスリリースの中身のなさはわかっているので読む奴はいないだろう.「誤解を恐れずに言えば」で東大話法の虚しさを指摘しているが、国会では頻出している.御用記者は批判しなくなっているので、言う方もその空気をつかんでのさばっているのだ.こんなことがまかり通ることは、ほどなく解消すると予測している.「そうは言っても男は」で風俗利用推薦の橋下発言に「男もバカにしている」と批判した新聞記事がいた由.まだ大丈夫だ、日本は.
Posted by ブクログ
はじめはなんだかゆる〜い社会批判かと思いきや、どうしてどうして。独特の比喩や例示で、しっかりと社会批判している。軽い気持ちで読んでいたら、おおっと!となる。優しい当りで手厳しい批評、とても興味深い。もっと読みたくなる。
Posted by ブクログ
09国益を損なうことになる の章を
2019年の選挙の前までに色んな人に読んで貰いたい
私は武田さんの考えがとても好きです。
2、3回読まないとって思ったこの作品。
Posted by ブクログ
「全米が泣いた」「そうは言っても男は」など、日常で何気なく聞いたり目にしたり使ったりする「紋切型」の言葉が持つ曖昧さや胡散臭さなどに正面から立ち向かっていく著者の圧倒的な知識量と構成力が凄い。政治からエンタメまで幅広い分野での例を挙げながら、時に皮肉を交えて展開する持論は説得力があるし、読んでいて痛快だった!
Posted by ブクログ
おお、頑固おやじさんだ。いやいや、隣にいないというのはこれほどありがたく面白いか。おばさんとおじさんとは大いに違うんですねえと思うがそれはそれとして、なかなかいやはや。
Posted by ブクログ
積読本だった。重松清さんの推薦文が帯にある。「柔軟剤なしのタオルと同じ。読むとヒリヒリ痛くて、クセになる」とある。同感である。
物事を「ひっくり返して」見る傾向がある人には、本書は面白いと感じるだろう。物事をプラス感ではなく、ゼロまたはマイナスから見てみる。ただ、それをやると、変な奴とみられるか嫌がられる。そして嫌われてしまうこともある。
重松氏のタオルの例え話ではないが、世の中はふかふかのタオルが好きな人が多いのだ。
Posted by ブクログ
お金のバラマキで人は救われる。面白くなる。
人をもう褒める目線でしか見ない。
排便など人のものが見えないものは怖い。
①みんなが了解していない言葉がある。
②個の力をみんなで共有した結果、いつのまにか個が消えてしまう。
③承認をもらうための言葉
大きくないと小さいの意味は違う?
会社ではなく自分の責任。
英語に語尾はない。
言葉のコスプレ。
直接的でない時代。
直接的にハッピーに向かう。
消費される言葉。
Posted by ブクログ
日本は定型が大好きである。
言葉も例にもれず、その本来の多様性とは裏腹に、一義的に用いるのが通例だ。
そしてその言葉の不寛容さは、思想の不寛容さにつながっていく。もっと言葉を自由に多様にするべきだろう。
Posted by ブクログ
膝を打つ。
この著作を名刺代わりにできるのは素晴らしく羨ましいことだ。
というより、勝手に自分の名刺にしてしまいたいくらいだ。
本気でよかれと思っている目がキラキラしたあの人たちや、すでに得たものを手放すつもりなどさらさらないままにソフトな態度でこちらを包むそぶりをする人たちや、に対抗するには、この文体しかない。
まさに情緒纏綿とした皮肉。
はじめに
「乙武君」………障害は最適化して伝えられる
「育ててくれてありがとう」………親は子を育てないこともある
「ニッポンには夢の力が必要だ」………カタカナは何をほぐすのか
「禿同。良記事。」………検索予測なんて超えられる
「若い人は、本当の貧しさを知らない」………老害論客を丁寧に捌く方法
「全米が泣いた」………〈絶賛〉の言語学
「あなたにとって、演じるとは?」………「情熱大陸」化する日本
「顔に出していいよ」………セックスの「ニュートラル」
「国益を損なうことになる」………オールでワンを高めるパラドックス
「なるほど。わかりやすいです。」………認め合う「ほぼ日」的言葉遣い
「会うといい人だよ」………未知と既知のジレンマ
「カントによれば」………引用の印鑑的信頼
「うちの会社としては」………なぜ一度社に持ち帰るのか
「ずっと好きだったんだぜ」………語尾はコスプレである
「“泣ける"と話題のバラード」………プレスリリース化する社会
「誤解を恐れずに言えば」………東大話法と成城大話法
「逆にこちらが励まされました」………批評を遠ざける「仲良しこよし」
「そうは言っても男は」………国全体がブラック企業化する
「もうユニクロで構わない」………ファッションを彩らない言葉
「誰がハッピーになるのですか?」………大雑把なつながり
おわりに
Posted by ブクログ
風刺が小気味よい。自分よりも5歳も若い評論家が出てくる時代なのだ。誤解を恐れずに言えば、読後にざらりと何か残るだろう。紋切型社会の一員にはなるまい。
Posted by ブクログ
痛快!
本当に、自分の頭で考えて言葉を選んでいる。
携帯の予測変換のような紋切型のフレーズは、楽だし、多少自分が思ってた事とは違ってもまぁそっちでいいかな?と妥協してしまうし、何も考えずに差し出されたものを受け取ってしまう。
でもそこで、立ち止まって、しっかり観察してみると、おやこれはわたしが考えてたものとは全然違うぞなんだこれって場合もある。
特に「戦争を知らない世代」に対しての辺りと、語尾はコスプレである、の下りが特に面白かった。
自分の言葉で表現すること、言葉を扱うことに対する覚悟がすごい。あと知識の幅と量!
解きほぐすっていうよりは砕かれるといったほうが近いかなとは思う。
変わった名前の喧嘩腰のライター程度にしか認知してなくてほんとすんませんというかんじ。
コピペライターは爪の垢煎じて飲んだ方がいい。
Posted by ブクログ
紋切り型な言葉が、自由を奪っている。日本を「ニッポン」と表記する、そこに潜む狙いにもっと敏感になるべき、と思った。性犯罪者が、アニメ好きだとわかれば、その因果を問うのに、カントに傾倒していると言われても、そこに因果は問わない。英語には、語尾というものはない。月曜に増える自殺を減らすためには、「情熱大陸」の代わりに「ザ・ノンフィクション」を日曜夜にながすべきだ、という話。いろいろとうなずかされることも多いが、時々文章をこねくり回しすぎて、分かりにくかった。著者の主張からすべば、「文章は分かりやすいことが目的ではないはず」となりそうですが。
Posted by ブクログ
☆☆☆☆現代社会の様々な事象に現れる『紋切り型のフレーズ』、その言葉を操る人々や社会そのものを、武田氏がエッジの効いた言葉で暴き出していく。そして、そのことをとおして言葉の力とそれを生み出す志のようなものを読者に伝えている。
今まで自分が読んできた数々の本とは言葉に対する感性が違う。言葉の運びが描かく論の展開が、予想を越えた軌道をとって素早く飛び回り、著者の主張を訴えてくる。
読み始めてしばらくは、このリズム感と主張の軌道に馴染めなず戸惑いも覚えた。
それでも、「言葉」というものが単なる、表現のツールではなく、伝達のためだけでない存在であることを感じさせられもした。そうやって武田氏のかなり理屈っぽく社会を捉えた言葉は、私が描いていた社会観を切り裂きながら、異なった社会を覗かせてくれた。
最後に、武田氏の原形が感じられた部分の文章を引用します。
【誰がハッピーになるのですか?】
〜〜『言葉で固まる現代を解きほぐすために鋭利な言葉を執拗に投じ続けた人たちの言葉は今なお消費されないし、奮い立たせる言葉として神通力を持つ。人の気分をうまいこと操縦する目的を持った言葉ではなく、その場で起きていることを真摯に突き刺すための言葉の存在は常に現代を照射し続ける』〜〜
これは、私が気づいていなかった言葉の力でもある。
2016/11/22
Posted by ブクログ
安保、沖縄基地問題、少子化問題、嫌韓、就活鬱、STAP細胞、女性手帳、本離れ、ネットユーザーの馴れ合い、ソーシャルメディア。現在の日本の新聞やテレビ、週刊誌をにぎわす話題を短い言葉で次々とぶった切る。ザッピングのようにめまぐるしい。社会派の舞城王太郎。
Posted by ブクログ
「こいつ何者?」といった感のある、その発想と論理展開、例示や例え話の巧妙さ、重箱の隅をつつくようでいて重要且つ根源的命題に切り込む先鋭さ、そして何よりも「言葉で固まる現代を解きほぐす」と副題にもあるように、逆にその言葉の力を縦横無尽に使いこなしていく表現力に底知れない魅力を感じた。
Posted by ブクログ
食わせ者の著者の渾身の独演会──そんな読後感で巻を閉じる。こういうへそ曲がりの跳ね返りは嫌いじゃない。けれど難しい。「嫌いじゃない」と言っている自分さえもが彼の手間を惜しまぬ「解体作業」を「渾身の独演会」と呼んでしまう。一つの「芸」だとどこかで思っている。各トピックを綺麗に、毎回ほぼ同じボリュームにまとめ上げる手管、物書きとしてのテクニック自体が既に「紋切り型」に通じるマニエリスムと呼び合うものがないかと意地悪く思ってしまう。ストップ高のポトラッチのように、圧力鍋の中で行き場を探す蒸気のように、表現はもはや打破すべき対象を実は既に見出せなくなっており、ほじくり残した「差異」を探して右往左往しているのではないか──そんな漠然とした思いがふつふつ湧いてくる。だからこそ著者のような威勢のいい若い物書きを、兎も角も応援したくなるのだ。
Posted by ブクログ
「乙武君」………障害は最適化して伝えられる
「育ててくれてありがとう」………親は子を育てないこともある
「ニッポンには夢の力が必要だ」………カタカナは何をほぐすのか
「禿同。良記事。」………検索予測なんて超えられる
「若い人は、本当の貧しさを知らない」………老害論客を丁寧に捌く方法
「全米が泣いた」………〈絶賛〉の言語学
「あなたにとって、演じるとは?」………「情熱大陸」化する日本
「顔に出していいよ」………セックスの「ニュートラル」
「国益を損なうことになる」………オールでワンを高めるパラドックス
「なるほど。わかりやすいです。」………認め合う「ほぼ日」的言葉遣い
「会うといい人だよ」………未知と既知のジレンマ
「カントによれば」………引用の印鑑的信頼
「うちの会社としては」………なぜ一度社に持ち帰るのか
「ずっと好きだったんだぜ」………語尾はコスプレである
「“泣ける"と話題のバラード」………プレスリリース化する社会
「誤解を恐れずに言えば」………東大話法と成城大話法
「逆にこちらが励まされました」………批評を遠ざける「仲良しこよし」
「そうは言っても男は」………国全体がブラック企業化する
「もうユニクロで構わない」………ファッションを彩らない言葉
「誰がハッピーになるのですか?」………大雑把なつながり
Posted by ブクログ
タイトル通り各章の紋切型言葉の背景を読み解くという内容だが、筆者の切り口が斬新で話が次々と展開するため、納得しながら読むというより、その展開の多面性を楽しみながら読む本だと感じた。
難解と感じる分だけ自分の頭も凝り固まってるんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
普段感じている違和感に対してズバッと切り込んでくれる爽快さはある。
文章はややわかりづらいか・・・
いきなりの断定や、回りくどい言い方もあるが、世の中こういった本音ベースがもう少し出てきたほうが、自分にとっては暮らしやすいな。
Posted by ブクログ
内田樹先生の文章を読み始めたとき、「目からウロコがポロポロ落ちる」とか、今まで自分の中で言葉にできず分析できずモヤモヤしていたことを「そうそう私の思っていたことはそういうことだったのよ」とか思ったものだが、この武田さんの本を読んで、そのことを思い出した。
鋭い切り口、批評に「ふんふん、なるほど」「そうだそうだ」と全編感心?し続けていた。目次だけでもおもしろい。1ヶ所だけ引用しておく。
”五輪に期待することへの返答にも二の句が継げない。(略)「国民に夢や目標を与える」(89%)が最も多かったという。「国民に夢や目標を与える」という回答を国民が投じるシュールさに疑いを持てないのが寂しい。夢や目標は、いつから国から国民への配給制になったのだろうか。” 38ページ
ネット上で、武田さんの書かれたものを読んだ経験が既にあったかもしれないが、意識していなかった。これから注目して読んでいきたい。
Posted by ブクログ
Twitter(面倒なのでコレで通す)での引リツやリプ、広告(特に映画の予告やチラシ)、雑誌、誰かのインタビューなどなど。ありとあらゆるところで同じような文章を見聞きする。そんな紋切型の言葉に着目したこの本。
途中、何度読んでもよく分からん部分があった。具体的にいえば最後の章の"「抽象論を持つより…"以降の流れはよく分からない。
とはいえ、分かる部分では自分も同じようなことを考えていたので読んでよかった。
世間にゆるく流れる暗黙の了解や深イイ話は疑ってかかりたいし、辛口批評はどんどん増えてほしいと思う。
Posted by ブクログ
社会というより、言葉の力について、その紋切型の言葉をベースに語られる。武田砂鉄さんの本は初めて読むのもあってか、やや思考の変遷や深みへの潜り込み方についていけないぶぶんがあったが、それも自分の社会学的素養や、最近そういった種類の文章に触れていないせいかも、と思い知らされる。
言葉は自由な一方、紋切型になった途端に社会を制約する存在になる。言葉によってバイアスが固定化されていると感じる瞬間は、見渡せば日々の中でも多く、誰でもこの「言葉」というものを操れるのだからこそ、その言葉の果たす役割や影響には、簡単に追従せずよくよく吟味せねば、と感じさせられた。
Posted by ブクログ
少し、例えが分かりにくい所があったけど、いろんなタブーを、はっきり言ってくれていて、面白かった。
情熱大陸は日曜昼にやって、ノンフィクションを夜に!
語尾はコスプレ、東大話法、、、共感した。
Posted by ブクログ
あちこち言及しながら転がってゆくスピード感のある文章なので、読んでいてもどうにも落ち着かないのである。
もう少し、頭の悪い人の手を取ってゆっくり伴走してくれるような優しさがほしい。
最後の章で触れる竹中労さんや本田靖春さんの本もぜひ読んでみたい。
Posted by ブクログ
「ニッポンにには夢の力がひつようだ」
「逆にこちらが励まされました」
このような言い回しは、どうも「何か」が引っかかっていたのだが、その「何か」をスパッと言葉で一刀両断するごとき文章は読んでいて爽快である。
「ほぼ日」がなんとなく好きではなかったのだが、その理由が自分でもよく分かっていなかった。しかし本書を読んで目からうろこ、そういうことだったのかと妙に納得。
と、読んでいて気持ちのいいところばかりでもなく、なんかどうでもいいことに力を入れすぎじゃないか、とげんなりする部分も多々見受けられる。
ということで、物事は多面的に捉えるということの例題としてはかなりの良書ではないだろうか。
Posted by ブクログ
頭が追いつきませんでした…。
すみません。途中で挫折です。
武田砂鉄さんの文章が女性誌に載っていて面白かったので探して買いましたが、、、
途中で挫折しました。
Posted by ブクログ
内容についてはもっともだと思う反面、それを言うおまえは何者だという問題がつきまとう。なんらかのデータ、根拠、専門性みたいなものが楯になってくれない……言葉で言葉を切る難しさを感じる。