紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

1,496円 (税込)

7pt

新しい書き手。自由な批評。

「柔軟剤なしのタオルと同じ。読むとヒリヒリ痛くて、クセになる。」
……重松清さん

「世に溢れる陳腐な言葉と格闘することはこの世界と格闘することだ。」
……白井聡さん

「育ててくれてありがとう」「全米が泣いた」「国益を損なうこと になる」
「会うといい人だよ」「ニッポンには夢の力が必要だ」「うちの会社としては」……
日本人が連発する決まりきった〈定型文〉を入り口に、
その奥で硬直する現代社会の症状を軽やかに解きほぐす。
言葉が本来持っている跳躍力を取り戻すために。
初の著作、全編書き下ろし。

紙の書籍版では読めない電子版オリジナルコンテンツとして、
『日常に侵入する自己啓発』の著者・牧野智和氏との特別対談を収録。
言葉を係留点に、現代社会の症候を若き論者が語り合う。


目次

はじめに
「乙武君」………障害は最適化して伝えられる
「育ててくれてありがとう」………親は子を育てないこともある
「ニッポンには夢の力が必要だ」………カタカナは何をほぐすのか
「禿同。良記事。」………検索予測なんて超えられる
「若い人は、本当の貧しさを知らない」………老害論客を丁寧に捌く方法
「全米が泣いた」………〈絶賛〉の言語学
「あなたにとって、演じるとは?」………「情熱大陸」化する日本
「顔に出していいよ」………セックスの「ニュートラル」
「国益を損なうことになる」………オールでワンを高めるパラドックス
「なるほど。わかりやすいです。」………認め合う「ほぼ日」的言葉遣い
「会うといい人だよ」………未知と既知のジレンマ
「カントによれば」………引用の印鑑的信頼
「うちの会社としては」………なぜ一度社に持ち帰るのか
「ずっと好きだったんだぜ」………語尾はコスプレである
「“泣ける”と話題のバラード」………プレスリリース化する社会
「誤解を恐れずに言えば」………東大話法と成城大話法
「逆にこちらが励まされました」………批評を遠ざける「仲良しこよし」
「そうは言っても男は」………国全体がブラック企業化する
「もうユニクロで構わない」………ファッションを彩らない言葉
「誰がハッピーになるのですか?」………大雑把なつながり
おわりに

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紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2020年05月14日

    『一冊の本』に今年の1月まで連載されていた「わかりやすさの罪」を愛読していたので、同様の切れ味の素晴らしい爽快な書きっぷりを堪能できた.「"泣ける"と話題のバラード」でプレスリリースの中身のなさを指摘しており、それをまた使いまわす輩が跋扈している現状を批判している.そうだ、プレス...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年08月26日

    はじめはなんだかゆる〜い社会批判かと思いきや、どうしてどうして。独特の比喩や例示で、しっかりと社会批判している。軽い気持ちで読んでいたら、おおっと!となる。優しい当りで手厳しい批評、とても興味深い。もっと読みたくなる。

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    Posted by ブクログ 2019年05月25日

    09国益を損なうことになる の章を
    2019年の選挙の前までに色んな人に読んで貰いたい

    私は武田さんの考えがとても好きです。

    2、3回読まないとって思ったこの作品。

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    Posted by ブクログ 2016年10月29日

    「全米が泣いた」「そうは言っても男は」など、日常で何気なく聞いたり目にしたり使ったりする「紋切型」の言葉が持つ曖昧さや胡散臭さなどに正面から立ち向かっていく著者の圧倒的な知識量と構成力が凄い。政治からエンタメまで幅広い分野での例を挙げながら、時に皮肉を交えて展開する持論は説得力があるし、読んでいて痛...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2015年11月19日

    おお、頑固おやじさんだ。いやいや、隣にいないというのはこれほどありがたく面白いか。おばさんとおじさんとは大いに違うんですねえと思うがそれはそれとして、なかなかいやはや。

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    Posted by ブクログ 2020年03月07日

    お金のバラマキで人は救われる。面白くなる。
    人をもう褒める目線でしか見ない。
    排便など人のものが見えないものは怖い。

    ①みんなが了解していない言葉がある。

    ②個の力をみんなで共有した結果、いつのまにか個が消えてしまう。

    ③承認をもらうための言葉

    大きくないと小さいの意味は違う?

    会社ではな...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年01月24日

    日本は定型が大好きである。
    言葉も例にもれず、その本来の多様性とは裏腹に、一義的に用いるのが通例だ。
    そしてその言葉の不寛容さは、思想の不寛容さにつながっていく。もっと言葉を自由に多様にするべきだろう。

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    Posted by ブクログ 2018年07月26日

    膝を打つ。
    この著作を名刺代わりにできるのは素晴らしく羨ましいことだ。
    というより、勝手に自分の名刺にしてしまいたいくらいだ。

    本気でよかれと思っている目がキラキラしたあの人たちや、すでに得たものを手放すつもりなどさらさらないままにソフトな態度でこちらを包むそぶりをする人たちや、に対抗するには、こ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2018年01月12日

    風刺が小気味よい。自分よりも5歳も若い評論家が出てくる時代なのだ。誤解を恐れずに言えば、読後にざらりと何か残るだろう。紋切型社会の一員にはなるまい。

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    Posted by ブクログ 2017年06月14日

    日常で良く耳にするフレーズだが、そのまま受け流さずにもやっとする部分を突き詰めた一冊。語尾のコスプレ論は面白かった。

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