武田砂鉄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「気配」、いわゆる「空気」よりも曖昧で捉えどころのないもの。外国語には、同様の単語あるいは表現はあるのだろうか。英語の辞書で調べたら、”sign" "indication" "touch" とか出てきた。いま一つしっくりこないかな。ちなみに、この本でも取り上げられていますが、安倍元総理と違いホントに辞書引きましたから。
この本は、単に単行本を文庫化したものではなく、刊行時からの経過をふまえて増補している。コメント的増補なのだが、読んでて面白い。「察知すべき気持ちの悪さ」がこの本の通底するテーマとある。そう、何か気持ち悪いのだ。読んだ後、じゃ -
Posted by ブクログ
今から振り返れば、今の事態はよくわかるはずなんだけど、今日は衆議院の総選挙、これを経て、政治が、日本がどう変わって行くのか。ゼロの選挙速報を見ていても、そういう意味で落選したのではないんだろうなあという、大物が映し出される。
で、結局は安倍さんとそんなに変わらないだろう自民党が過半数を超える見込みなのだという。
この武田さんがいうように、そこまで色々言わなくてもいいようにも思うのだが、でもやっぱり言わなきゃいけない。言えないならやらなきゃいけない。まだまだこの日本は色々な予測できない変化を、それも権力者にはやらせてはいけない変化を遂げて行くのかもしれない。
-
Posted by ブクログ
この本を読み終えた今日、2021/8/5、またしても一体何度目かと言う緊急事態宣言下。昨日の感染者数は全国で14,200人(東京4,166人の他、十数県で過去最多)。菅首相は、重症患者以外は自宅療養を基本とする、と新たな方針を打ち出しいている。「国民の命と健康を守るため」だそうだ。現場の医師たちが、「この病気は急に容体が変わることがある、重症化するかしないかを自宅療養で見分けるのは難しい、救える命が救えないくなる可能性が高い」と言っているのに、だ。
それでも、オリンピックは相変わらず行われている。
「偉い人ほどすぐ逃げる」なんて秀逸なタイトルなんだろう、と笑ってしまいながら、読み進めていた本 -
Posted by ブクログ
10代の時に感じていた性への疑問を益田ミリが女性目線からマンガで、武田砂鉄が男性目線から文章で描く。
子どもならではの理屈を無視した妄想が繰り広げられていて、「あー、こんなこと考えていたな」と懐かしみながら笑って楽しめる。
大人とは違う、かわいいレベルの下ネタなのだが、人によっては下品に感じるかもしれないので、本書を読むのもこの先のレビューを読むのも注意。
1ページ目から、「突然ですが金玉の話です」と始まって驚く。
「その名の通り金色の玉であるのは間違いない」とか、
クリスマスツリーのオーナメントのように「中が空洞なのではないか?」と女子中学生は考えていたらしい。
冷静に考えればおかしい -
Posted by ブクログ
メディアで流布される情報に違和感を感じる時、まぁいいかと受け流すか、間違ってるよと声をあげるか、空気を読むか、読まないか、忖度と奥ゆかしさが混同されたまやかしによって一部の力ある者が社会が支配する。自己責任でごまかそうとする共助なき世の中は必ずや崩壊する。目に見えるもの・理屈で、世界は動いていない。見えざるもの・訳の分からない現実が自然の中で変遷していく。驕るなかれ、必ずや私たちは死を迎える。己を誤魔化していくか、素直になるか。自然は誤魔化さない、空気を読まない。私たちも自然に習うべきであろう。そして助け合えば答えが自ずと出てくる。言葉にならなくてもいい、一瞬の笑顔でもそれが答えのひとつである
-
Posted by ブクログ
クスッとしたり、ひりひりしたり、ほっこりしたり。もやもやと漂っている感情を、諦めずに言葉にすることへの努力を惜しまない、誠実で才能あふれる2人だと思う。
その一方で、だらだらと気を遣わず、居酒屋でずっと世間話をしているのを、聞かせてもらっているような感覚もあり、ありがたい。
「劇場」に性描写がないのは不自然だと思った、何故ですか?との砂鉄さんからの問いへの回答のあたりはスリリングだった。わたしもまったく同じ感想を持っていたから。その回答、もう一度読みたいけど、又吉さんに怒られたみたいで、なんだか怖くて読めない、笑。
全ページを通して、すべてをちゃんと受け止めたい、理解したいという気持ちで丁寧 -
Posted by ブクログ
日本の気配 武田砂鉄 晶文社
あまりにスラスラと流れる言葉にのまれて
まるでエッセイでも読むように軽く読み流していしまうけれど
内容に気づくと空恐ろしい環境にしてきた自分に愕然とする
〜「空気」が支配する国から「気配」で自爆する国へ〜
忖度という空気を大事にする利他的な国だった筈のかつての日本文化が
その高い教養と倫理観を自由勝手な競争原理と呼ばれる経済闘争主義に
むしり取られ
今や利己的に分断された個々が気配を先取りして自縛する時代に驀進する
本来ならば国民を忖度するボランティア精神であるべき公務員が
空気を悪用して開き直る政治家を筆頭とする公務員に成り下がり
そのメッセージの気配に