武田砂鉄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の人間関係のなかにも、様々な家族形態の人たちがいるわけだが、そのいろんな人に対して、無頓着だったんだなと恥入り、この本に書かれているようなことに関連する過去の振る舞いを反省した。
自分には3人の子供がいるが、確かに子供がいることで、対子供耐性のようなものは否応なしに身に付いてきた。動じないというか、余裕を示せるというか、諦念をまとっているというか。
しかし、自分の子供以外の子供にはうまく接することができないのがデフォルトである。時々にしか会わなかったり、週に何度も会うことがあっても数十秒程度の上っ面の言葉を交わすだけで、関係が深まるといった類の他人の子は、いないのが現状である。
保育 -
Posted by ブクログ
雑誌「暮しの手帖」で2016年から続く連載を1冊にまとめたもの。
あとがきにもあるように、ここ数年は戦争・感染症・元首相の銃撃など大きな出来事が続いたが、著者はあくまで日常の暮らしの中にアンテナを張り言葉を拾い集める。
これだけまとまった量の文章があると、著者が言葉に求めているもの、正確にいえば言葉を発する人間に求めるものが浮き彫りになっているように感じられる。
それは決して「言葉遣いの巧みさ」などではなく、「言葉の根っこにある誠実さ」ではないかと思う。
著者がその言葉に誠実さを認めれば、5歳の子供が電話相談で投げ掛ける質問さえ面白さと驚きと共に拾い上げるし、不誠実な言葉で責任を逃れ問題 -
Posted by ブクログ
人の言葉をあれこれつっこんで考えることは
一歩間違えば揚げ足取りになったりもしそうですが
それを恐れずに言えば、
人の言葉の使い方には、その人の思想が表れる。
2018年、東京電力の原発再開宣言の際の
東電ホールディングス社長記者会見での言葉
「二度と事故を起こさないような
技術を作れる事業者になれると信じて」
この言葉には、二度と事故を起こさないという自信は存在しない。
やりながら模索しようという言葉だ。
だから軽く聞き流してはいけないのだと思う。
言葉を発した側の真意、受け取り方の可能性、一面的に受け取らない受け取る側の思慮。
この本はそれらの大切さを教えてくれる。
思い込 -
Posted by ブクログ
日本人は忘れっぽいのか、優しいのか、時間が
経ったり新しい問題が発生すると、それまでの
議論されていた問題は無かったかのように忘れ
てしまいます。
メディアがそれに拍車をかけて、新しいことへ
と誘導するのも一因にあります。
だからこそ、無かったことにはさせない、いつ
までも未解決の諸問題を追求するぞ、という姿
勢のこの著者には敬意を払って応援しなければ
いけません。
内容は2016年〜2020年あたりに起きた時事問
題に対する追求です。
政治やセクハラ問題、五輪実施までの道のりな
ど「あれ、そういえばあの問題って結局うやむ
やじゃん」と思い返すことが多いと思います。
忘れてはいけない -
Posted by ブクログ
初めに白状してしまうと、自分は政治家の不祥事(特に与党)が発覚して批判が起きた時にはどちらかというとまたメディアや野党がなんか言ってら、と批判される側に同情的になってしまいがちである。従って筆者が考える「呆れることが多すぎて批判が追いつかない」と真剣に批判する立場はとっていなかったし、「冷笑系を下に見て、愚かな同調圧力をかけてくる」側の人間であると思う。
というわけで自分とは立場が違う人の書いた本であったが、諸問題に対する筆者の意見・批判は適切、明瞭、且つ文章としても読みやすいもので確かにと感じる部分が多かった。
民主党下野後からではないかと思うが、権力側の不祥事に寛容な意見を出すことの方が心 -
Posted by ブクログ
そう言えば、安保法制について初めて耳にした時、こんなものが成立したらやばい、と怖さを感じたはずなのに、いつのまにかその感情を忘れ、「右から左へと受け流してしまった」。
武田さんはそういう無関心あるいは怠慢を許さず、とにかく怒る。
つい世の中の空気に沿って動いてしまうけど、力のある人達に人生をいいように支配されないためには、各自もっと自分の感情ファーストで、ムカつきをしっかり発信していかなければならないのかもしれない。
本書は、現代の問題を分かりやすくピックアップしているけど、自分はどう思うかをよく考えず、本の内容に引きずられてしまうことも危険だと思った。頭を使わなくては。
あと、この本を読ん