武田砂鉄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
雑誌「暮しの手帖」で2016年から続く連載を1冊にまとめたもの。
あとがきにもあるように、ここ数年は戦争・感染症・元首相の銃撃など大きな出来事が続いたが、著者はあくまで日常の暮らしの中にアンテナを張り言葉を拾い集める。
これだけまとまった量の文章があると、著者が言葉に求めているもの、正確にいえば言葉を発する人間に求めるものが浮き彫りになっているように感じられる。
それは決して「言葉遣いの巧みさ」などではなく、「言葉の根っこにある誠実さ」ではないかと思う。
著者がその言葉に誠実さを認めれば、5歳の子供が電話相談で投げ掛ける質問さえ面白さと驚きと共に拾い上げるし、不誠実な言葉で責任を逃れ問題 -
Posted by ブクログ
人の言葉をあれこれつっこんで考えることは
一歩間違えば揚げ足取りになったりもしそうですが
それを恐れずに言えば、
人の言葉の使い方には、その人の思想が表れる。
2018年、東京電力の原発再開宣言の際の
東電ホールディングス社長記者会見での言葉
「二度と事故を起こさないような
技術を作れる事業者になれると信じて」
この言葉には、二度と事故を起こさないという自信は存在しない。
やりながら模索しようという言葉だ。
だから軽く聞き流してはいけないのだと思う。
言葉を発した側の真意、受け取り方の可能性、一面的に受け取らない受け取る側の思慮。
この本はそれらの大切さを教えてくれる。
思い込 -
Posted by ブクログ
日本人は忘れっぽいのか、優しいのか、時間が
経ったり新しい問題が発生すると、それまでの
議論されていた問題は無かったかのように忘れ
てしまいます。
メディアがそれに拍車をかけて、新しいことへ
と誘導するのも一因にあります。
だからこそ、無かったことにはさせない、いつ
までも未解決の諸問題を追求するぞ、という姿
勢のこの著者には敬意を払って応援しなければ
いけません。
内容は2016年〜2020年あたりに起きた時事問
題に対する追求です。
政治やセクハラ問題、五輪実施までの道のりな
ど「あれ、そういえばあの問題って結局うやむ
やじゃん」と思い返すことが多いと思います。
忘れてはいけない -
Posted by ブクログ
初めに白状してしまうと、自分は政治家の不祥事(特に与党)が発覚して批判が起きた時にはどちらかというとまたメディアや野党がなんか言ってら、と批判される側に同情的になってしまいがちである。従って筆者が考える「呆れることが多すぎて批判が追いつかない」と真剣に批判する立場はとっていなかったし、「冷笑系を下に見て、愚かな同調圧力をかけてくる」側の人間であると思う。
というわけで自分とは立場が違う人の書いた本であったが、諸問題に対する筆者の意見・批判は適切、明瞭、且つ文章としても読みやすいもので確かにと感じる部分が多かった。
民主党下野後からではないかと思うが、権力側の不祥事に寛容な意見を出すことの方が心 -
Posted by ブクログ
タイトルが秀逸すぎる。
コロナ禍でのオリンピックを見ただけでも、逃げた「偉い人」、たくさんいたなぁ。
どうして、謝ることができないのだろう。完璧な人はいないし、ぬる~い人権感覚が晒された日本という社会で、私も含めて愚鈍(という言葉が適切かも心もとない)な部分がたくさんある。だからこそ、指摘されたこと、批評されたことは、真摯に向き合うことが大事なのではないかと感じる。そして、適切ではなかったり、間違っていたりしたことは、きちんと謝る。なんか、謝ることが負けみたいな変な空気(?)が蔓延しすぎているような気がする。
武田さんが取り上げていたことで、言われてはじめてそうか!それが問題の本質だ!と気づ -
Posted by ブクログ
”災間の唄”の感想で書いたように、本作者の幕間コメントに大いに惹かれた身としては、単著たる本作は、どうしても読みたくなる一品。すぐ逃げる偉い人と言われると、真っ先に現&前首相が浮かぶ訳だけど、本書における矛先はそこに留まらず、企業のトップとか、各業界の権威にまで及ぶ。卑怯な逃げ方のオンパレードに、いい加減うんざりしてしまうんだけど、切り返しの妙が素晴らしくて、何なら笑えてしまうような文言まで散りばめられていたりして、実に痛快。言われてみれば確かにそうだよな、って大いに納得できる反面、でもそれ、自分で考えて自分で判断できなきゃいかんな…って、ちょっと自信喪失してしまったりもする訳だけど、”偉い人