あらすじ
子どものいないあなたにはわからないと言われるけれど――
「ではない」立場から見えてきたこととは。
「父とは」「母とは」「家族とは」の語りに潜む違和感を、「父ではない」ライターが遠巻きに考えてみた。
【目次】
「ではない」からこそ
子どもがいるのか問われない
ほら、あの人、子どもがいるから
あなたにはわからない
子どもが泣いている
変化がない
幸せですか?
「産む」への期待
孫の顔
男という生き物
「お母さん」は使われる
もっと積極的に
共感できません
人間的に成長できるのか
子どもが大人になった時
勝手に比較しないで
あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自分は著者と逆の立場ではあるが、著者の視点と同じものを自分の中にも感じる。子を持つ者からのみ語る資格があるように思われている様々な事柄について、丁寧に綴っていく内容は、確かにと納得させられた。
子は、親である自分とは別人格であるという今更ながら当然の認識があれば、「親である」こと「ない」ことは、語るということに関してむしろほぼ無関係になっていく気がした。
当事者がいて、そうではない境遇の人間がいて、でも「こうなんではないか」と想像する力があれば、両者が分断される理由は無くなっていく。著書での「子持ち・子なし」の両者に限らず、社会の中で、うっかり分断されそうになる他の両者の間でも、想像力は非常に大事なのだと思った。
Posted by ブクログ
タイトルの通り、父ではない著者が第三者の目線で子どもを持つこと、少子化、母親の重圧等について書いている本。
子どもがいることが普通で、子どもがいないとなぜなんだろうと思われる日本社会。
子どもがいないと子ども関連のことを発言しても、「知らないくせに」と思われる。しかし、当事者、第三者…いずれの立場から意見を言ってもいいし、その方が多角的に見られるし、解決するのではないかということで書かれた本。
私も子どもがいないので、共感の嵐。日頃モヤモヤしていたことが言語化されている。
特に「子どもが泣いている」という章の子どもへの接し方が分からないし、接しているのを周りから見られて慣れていないなと思われるのも嫌というのは、私かと思うほど。
自分も子どもがいないので、子ども関連のことは「実際はよくわからない」と素通りしてきた。だけど、この本を読んで子どもがいない立場からの意見も重要なんではないかと思った。でも、周りの目が気になり、公言できないけれど。だからこそ著者は本を出すまでやっていることがすごいなと思わされる。
子なしの人は日頃モヤモヤしていることが言語化されていてスッキリするし、子ありの人にもこういう考えもあるんだと知ってもらうためにも読んでほしい本だった
。
Posted by ブクログ
普通に生きていて気になることが沢山書いてある。みんなに読んで欲しい本。
私はあまり自分の家族のことは話さない。【母ではありますが】友だちと話してるときは、そのことは忘れてしまう。【女性ではありますが、】男性に「女性って〇〇だから大変だね」と言われても「そうですよねー。」と答えてしまい、そのとき自分が女性だということをすっぽり忘れてしまう。
そういう話苦手だし、理想の回答ができなず、シーンとさせてしまうであろう。
Posted by ブクログ
今年、読めて良かった本の一冊。
結婚経験のある人や、子育て経験をしたことのある人が上から目線になる感じとか、逆に経験のない人がそのことを引け目に感じたりする世の中に違和感を感じる人は意外と多いと思う。
そこのところを具体的に言語化して下さっているので、読んですっきりしました。
Posted by ブクログ
「私たちは常に、何かの当事者で、同時に、何かの当事者ではない。」
「私たちは「ない」「できない」「持ってない」「やっていない」の経験をたくさん持っている。でも、そっちはあまり語られない。」
著者と私‥現在の立場はまったく違うのだが「母」になる以前と子育て現役だった頃の自分が考えていたことが次々と思い出され、何度も膝を打ちながら興味深く読んだ。
Posted by ブクログ
子育ての当事者になってまだ2年程度で、
育児本は自分との差異を見つけては辛くて読まない。
育児エッセイは、子供とのかけがえのない時間…!もしくは育児苦しいよね…共感共感〜〜〜みたいなものが、お腹いっぱいになってしまって読まなくなり、
でも、子を取り巻く社会のことに興味はあるし、色んな人の話が読みたいのになぁ、というところで見つけた武田さんの話は、私はこういうものが読みたかったのかも!と新鮮だった。
こうやって色んな視点から、子育てを内包する社会のことが語られていったらいいなと思うし、
育児の話は経験者のみの特権、みたいなムードは薄まっていけばいいなぁと思う。
Posted by ブクログ
物事を冷静に平等に見る眼が肥えており奥深い。居心地の悪さ、肩身の狭い思いをしている人が声をあげられず不自由さを強いられている。砂鉄さんの一冊が大きな力に。浜田山の喫茶店の愚痴に同感。
Posted by ブクログ
やっぱ好きだな、氏の論考。色んな事象に関して、当事者じゃない圧倒的多数が存在するのは事実だろうし、その中でもこと家庭については、確かに”じゃない人”の語りを制限する空気がある。さてこの”空気”だけど、本書内で言うところの”共感”と根を一にするものであり、当たり前の存在のようでいて、その実、とても厄介な存在。そんな目に見えない縛りから自由に、色んな視点から見て、それぞれに優劣なんかつけず、フラットに考えましょうよ、と。通底するのはいつも通りの氏の考察だけど、いつもながら新たな気付きを得る。
Posted by ブクログ
自分の人間関係のなかにも、様々な家族形態の人たちがいるわけだが、そのいろんな人に対して、無頓着だったんだなと恥入り、この本に書かれているようなことに関連する過去の振る舞いを反省した。
自分には3人の子供がいるが、確かに子供がいることで、対子供耐性のようなものは否応なしに身に付いてきた。動じないというか、余裕を示せるというか、諦念をまとっているというか。
しかし、自分の子供以外の子供にはうまく接することができないのがデフォルトである。時々にしか会わなかったり、週に何度も会うことがあっても数十秒程度の上っ面の言葉を交わすだけで、関係が深まるといった類の他人の子は、いないのが現状である。
保育園の送迎の際に、子供に人気があり、子供と打ち解けあっているお父さんやお母さんをちょいちょい見かけるのだが、彼ら彼女らは、対大人のコミュニケーション能力も高めだったりするので、やはり、年齢に関係なく、対話力というか、社交性があるかどうかが、そのまま結果として現れているだけなんだなと思い、羨望と自己嫌悪とが入り混じった感覚を都度覚え、足早にその場から離れようとしてしまう。
どれほどの割合なのかはわからないが、自分の子供以外の子供には苦手意識を持っている親は多いような気はする。特に男性は。
そんな、対人コミュニケーションに自信を持ち切れない自分は、近所に出かける時に、子供を連れていくことが多い。子供をダシにするほどでもないのだが、自分のコミュニケーションの苦手意識を緩和させたり、店員さんとの間に我が子を投じることで、会話のきっかけになったり、子供って〇〇っすよね感を出すことで好印象を得られればという下心があったりもする。SNS上ではなく、その場で、生“いいね”をねだっているような感覚だ。
ヤなヤツ、、、
他にもついついやらかしてしまったことがアレコレ思い出される。
あぁ、、、
なぜアレやコレやをやらかしていたのか、、、
そこには、意識的にも無意識的にもひけらかしたかったり、羨ましがらせたかったり、迷惑がわせてやりたい、という思いがあったりする。正直なところ、、、
どこかで見合わない、釣り合わない、採算が取れてない、と思っているのかも知れない。
子供がいることでウンザリするくらい持っていかれてしまう自分用の“時間”と“金”
まあ、愛する家族のためなので、言うほど苦ではないのだが、チリツモで累積していく鬱憤は、隙あらば今か今かと標的を求めている気がする。
そして、やらかす
我が子は可愛いし憎たらしいし成長はたまらないし勉強やスポーツや物作りやなんやかんやで良い結果が出た時は誇らしく思うし他の子より劣っているときは自分の遺伝子を棚に上げてガッカリするし怪我や病気や悩み事があるとどうにかしなければと必死になるし自分よりも良い人生を歩んで欲しいけど自分のことを見下さないで欲しいし、、、だのなんだの。
子供を持つということは、持たないと経験できない経験する必要もない玉石混淆のあれもこれもに絶えず晒される滝行にも似た感覚というか。
だからと言って、他者で溜飲を下げたり憂さを晴らしたり当て付けてはいけないということを、たしなめなければと自制し自省していこうと思った。
子供の有無に限らず、“普通”という言葉によって生じる棲み分けのようなものに、意識的であり繊細でありたいと思ったし、鳴らされている警鐘を折に触れて思い出せるようにしようと思わせてくれた一冊であった。
Posted by ブクログ
新しい視点が増えた。
父ではない人が、父になった人が多い年代を取り巻く環境について語るのは確かに珍しいと思う。
母や父になる人は、産まれた時からそうというわけでないから独身者の気持ちはわかるはずだが、その年代で母、父でないとなるとどんな境遇か、というのは当事者としては感じられない。確かに。
子どもができたら成長できるし未来を考えるようになると言うが、人による。
と言う部分はまさにその通りだが、未来についてあまり考えておらず、日頃からいろんな立場の人とコミュニケーションをとっていたわけではない自分からしたら、子どもができて確かに成長してきているとは思ってしまう。
視点の広がり方で言ったらかなり違うと言う人はやはり多いんじゃないかなぁと。
毎日言葉の通じない人と過ごすようになり、接し方と考えたり、この子にいろんな価値観を教えたいなどという思いで、いろんな分野の勉強をしてみたり、やはり視点の広がり、いろんな分野の知識は増えていると感じる。
また、つい先日養老孟子さんとヤマザキマリさんの対談をまとめた本を読んだこともあり、その主張が出てくるのはこのご時世いかにもだが、そのまま全てを許容すると人口が減って、この形態での資本主義がうまく回らなくなるので別の策を考えないといけなくなるはずだし、
いろんな立場の意見をどこまで尊重するか、となると難しいよなぁと強く感じた。
Posted by ブクログ
やわらかい文章。すぐ読める。表紙の黒いラインが髪の毛に見えて本を手に取るたび払おうとしてしまう。
以下印象に残った文たち
男性に向けては(こどもが)ある、いるという状態についての本しかない。だから書いてみた本である。
→自身にこどもがいないことについて、人生はまだ一回目であれこれ慣れないし、とあり、かわいいな〜と思った。その言い方使いたい。
そうではない側から見る
経験者と未経験者が意見をぶつけ合うことによって、物事は重層的になっていく。
→友人たち、三十代すぎると属性が枝分かれしてくる。異なる属性でも付き合い続けられる人は意見をぶつけ合うというより、異なる意見をへーそう考えるんだね〜と受け止めその場では流し後ほど一人で反芻できる人という感じがする。
ではない側からも見なければ、ありとあらゆる全体像って見えてこないのではないか
→言語化がうまいと思ったけど、この文体をもっと格式高くするとどうなるだろうか、とも思った。
女性の俳優について、出産して◯ヶ月で復帰!〜と題した記事が繰り返される。成功例しか伝えられない。
→メディアたちの伝えるニュースが浅いのは仕方がないのかもしれない。でも、出産が未だに母体に大きな負担があるということ、例えば出産時の出血量が500mlを超えて輸血が必要になったとか、産道の縫合がイマイチで退院間際に大量出血したとか、生後貧血がひどすぎて授乳を禁止されたとか、そういう怖い経験をすることはけしてめずらしくないことを知らなければ、産後にニコニコ同居家族以外に挨拶対応するのが普通と考えてしまうのだろうな、まあ男性優位社会だし…?と思った。自分の体のことじゃないし知ろうともしないのだろうから救いがないなとも思った。
子持ちの女性担当編集者が文学賞のパーティーに出ていると、こどもは大丈夫なのかと聞かれてこれを今でも根に持っている。
子持ち女性の最優先事項は子育てである+夜遅くに外出していたら、こどもは誰が見るのか、帰宅を待ちわびているのではないか?という超勝手な前提(妄想)を押し付けられている。
→あるあるなんだがほんとこれどうしたらなくなるのか。
幸せかどうかを予測しないで
誰かの幸せの確認や管理のために、こちらが幸せかどうかという予測を使わないでほしい。普通の枠組み強化のための例外化の象徴として存在したくはない。
→言語化うま
石原慎太郎ディスが続く。石原慎太郎もかわいいし武田砂鉄もかわいいなと思う。こんなかわいい幼稚なおじいちゃんが多数決を経て都知事として君臨し続けていたと考えると大抵のことが些末なことのように思える。
あなたにどんな価値があるのか、いつも自問自答してくださいねという雰囲気を作ってくる。
→言語化がうまいんよ〜まさにそれで、まじでほっといてくれ我が身体への内政干渉ですよの気持ち。
共感おばけ
→この本読んでる私、ひたすら共感おばけだわ…と思いながら読んだ
あとがきがまたいい。この本を読んで私が得たのは語彙力
Posted by ブクログ
子どもを作る選択をせず生きている著者があえて子どもについて考える本。なんで作らないの後悔するよ、老後はどうするの、といった言説を他者に浴びせる人たちは、一方で、君も結婚かようやく一人前だなとか、君にも守るべきものができたなとか、勝手に他者を評価する。そこにあるのは、普通こうだよね、という普遍的な人生の歩み方を前提にした社会構造と、その普通を前提にやたらに共感し合おうとする人々だ。共感できない・されない者は普通ではない人として扱われる。そうか、差別はこうした流れからも生まれるんだな、と感じながら読み終えた。
Posted by ブクログ
母として、父として、出産や育児を語る本はたくさんあるけど、これは父ではない立場から結婚や出産についていろんな角度から考えた本。
第一印象としてはフェミニスト視点の本(でだいすき)だ!と思ったんだけど、勝手に型にはめたくもないな、とよくよく考えると「男尊女卑なヘルジャパンに警鐘を鳴らす人」「社会の中で当然のように居座る"普通"を、本当に"普通"なのか?って考えられる人」という印象を受けたからだったんだと思う。
結婚や子どもを持つことが普通っていうこの社会で生きてると、結婚しないこと・子どもを持たないことには理由がいるからめんどくさい....
正直「子どもはどうなの?考えてないの?」って、「あなたたちはどれくらいの頻度でセックスしてるの?」レベルのプライベートな話題だと思うのに、前者は平気で親戚からも職場でも聞かれるのおかしいよね。結婚・出産は急に公式テーマなのやめてほしい。
そのオフィシャル感って元を辿れば「結婚・出産することは普通」っていう価値観のせいだと思うし、当たり前の個人の自由になってほしい。
多様性って価値観が広まる現代でも、男性にとって育児はオプションだけど、女性にとっては生き方そのものになってしまいがちだから。
結婚・出産した人と、それを選ばなかった人の経験に違いがあることは確かだけど、それは理系が好きか文系が好きか、ぐらいにどちらかに優位性なく話ができたら良いね。
あとは、子どもおる人(特に女性)に、「大変ですよね...」ってスタンスでおりすぎるのも考えることをやめてるのかも、と思ったから気をつけたい。
Posted by ブクログ
マジョリティから見えづらい立場にいる人びとにも必ず意見はあり、その声をぞんざいな対応でかき消すと多様性は失われ、民主的な社会から遠ざかり全体主義が跋扈する。”~でない” “~しない” という一見消極性を帯びているようでも “そうでない” ひとつの選択肢であり、それをなかなか認めようとしない世情は、優位を絶対的価値として置いてしまう競争社会に通底する。なぜ比べるのか、無いものをなぜ足りないと拙速にジャッジするのか、現在見ている角度をほんの少し変えるだけでその答えは見つかるかもしれない。筆者武田砂鉄の文章にそのヒントがある。分からなかったことをほんの少し分かるのは好奇心の賜物であり、その “少し” が豊潤な生活へと導くと確信する。
Posted by ブクログ
砂鉄さんは好きなコメンテーターで、
この本で彼が言うことはよくわかる。
「普通」ってなんだ、
子育てするのが普通の夫婦なのか!
普通なんてないんだ。
といいたいのだと。
確かに、結婚「できない」男女が増え、
子供を持たない夫婦も増えている。
夫婦子供二人が標準家族、
何てのは昔の話。
独り世帯が多数、という現実はある。
普通なんてないのだ。
ただ、、、子供のことになると、
素直にそうだそうだと言い切れない自分がいる。
自分に子がいるから?孫がいるから?
そうかもしれない。
しかし、それ以前に、
どこかしら、
人は何のために生きているのか、
というところで、
次の世代につなぐため
という思いがあるのだと思う。
むろん偉人で子をなさなかった人も大勢いる。
子は絶対ではない。
しかし、人類がそうやってつながるからこそ偉人は偉人で
いられるのも事実。
子供はいらない、と思わせる今の社会が悪い、
なんていったら、
それこそ「普通」を押し付けるな、
と返されそうだ。
産むのが当たり前、
と思ってはいけない世の中。
難しいなあ。
Posted by ブクログ
父ではない
産んだことも、育てたこともない。ということ。それに付随するいろいろ。
とにかく、「普通」の価値観を押し付けないでほしいし、「普通」であることが万人にとって幸せであるわけではない。「普通」から外れても幸せなことを、「普通」の人は想像しないんだろうか。
砂鉄さんの本も何冊か読んで、ラジオも時々聴いていたら、あれ、この本読んだことあるっけ??というどこかで聞いたことのある話が出てくる。それぐらい、同じことばっかり言っている。繰り返し言うことの大切さ。一度じゃ忘れることもあるし、その時々によって響き方も違う。考えてみれば当たり前のことが一向に当たり前にならないので、何度も同じことを繰り返す。また同じこと言ってるけど、同じこと言い続けるぐらい何も変わんないんだよなと、何度も意識する。
Posted by ブクログ
「である」という状態から言説が多過ぎるのではないか、「ではない」という状態からの言説が黙殺されていないか。
「である」と「ではない」は常に表裏一体、そこに貴賤も上下も無いはずなのに、ふりさけみれば「である」からの言説ばかりが目につく。
社会に蔓延る「普通」を内面化し過ぎないようにしようと思うが、これがなかなか難しい。
Posted by ブクログ
武田砂鉄さんがラジオでお話しされているのは聴いたことがあったけど著者を読むのは初めて。頭をぐるぐる回転させながら読んだ。
・当事者じゃなくても、「第三者という当事者」の視点から考えることが必要じゃないか。
・子どもがいる人、いない人、欲しいと思ってる人、思っていない人、みんなそれぞれ立場が違うのだからそれぞれの立場で考えればいい。子どもがいる人を基準にするのはおかしい。
・「子どもがいない人には分からない」という言葉の暴力性
共感したり、反省したり、自分を肯定してもらった気持ちになったり、読んでよかった一冊でした。
改めて、自分が一番世間でいう「普通」にとらわれてしまっているんだなぁと思う。
砂鉄さんの「『普通』という言葉に何度でも刃向かっていきたい」という言葉に勇気づけられた。
Posted by ブクログ
多数派であるから正解だと思っている人や、属性で決めつけられることが何より嫌いである。
それなのに、当事者であるだけでその意見は重要視されるはずだとか、「普通は」を隠れ蓑にして多数派の正義を振りかざしていたかもと、あれこれの言動を思い返して落ち込む。
そして、あとがきに書かれている担当者とのやり取り、「互いに『確かにそう思います』『いや、そうは思いませんけど』を繰り返しながら、この本がここまでたどり着きました。」
なんて健全なのだろう。いろんなコメントを見るたびに、あるテーマとか人物とか特定のものに対して、全否定か全肯定のどちらかが圧倒的に多くて息苦しさを感じていた。自分で考えることを放棄していない限り、そんなことはありえないだろうと思うのだが。
それぞれの「そう思う」「そうは思わない」を繰り返しつつ、同調は出来なかったとしても尊重はする。大変に難しいかもしれないが、そうあればと切に願う。
Posted by ブクログ
ライター武田砂鉄さんの著書を初めて読んだ。
武田砂鉄さんを知ったのはラジオだった。言葉を選んで、しっかり話す方だなあと好印象を持ったものだった。
父ではない立場の、父ではない主張がしっかり届いた。私は母ではなく、子供もおらず、結婚もしていないので、世の中の普通に焦ることもあるのだが、武田さんほどは感じ考えることなく生きてきた。もしかしたら、私は世の中の普通ではないくせに、人に普通を押し付けた言動をとったことがあったかもしれないなと思った。
読み進めていくと、武田さんのことをこの人めんどくさいな、こんなに敏感に感じていたら、考えていたら、生きづらいだろうにと思った。このように日々感じた「んっ?」という違和感を言葉に文字に表現できるところがすごいなと思う。
他の著書もぜひ読んでみたい。
読者中、頭の中では、ラジオで聞いた武田さんの声で文字を拾っていた。私のイメージは淡々とした落ち着いた口調。面白かった。
20230607
Posted by ブクログ
悪意のない言葉の暴力。自分も経験をしてきたし、今もたまに経験することもあるが、この悪意のない言葉の暴力は時として自分も誰か他者に向けて振りかざしてしまうこともある。
そういう危険性を孕んでいることを、読んでいて何度も感じた。
正解はないし、すべての人に好かれたり批判されないことはあり得ないので、考えすぎると身動きできなくなるが、ふと著者の言う『普通』が立ち現れた時、自分で言葉を慎重に選んだり、考えたりできるようにと改めて思う1冊。
Posted by ブクログ
ある友人から子育てについて相談を受けた時の事。私はこう思うよ、と伝えた後、思い切って聞いてみた。
「私は子供がいてないから、私が言った事、子供もいて無いのに何が分かるん?っていう気持ちにならへんかなっていつも気になるねん。」
すると友人は
「全然思わへん。子供がいる人は、自分の子育ての経験を持ち出したり、自分と比べたりするから、寧ろ子供のいないmukumiの意見の方が冷静な感じがしていいねん。」
そう言われて、ちょっと嬉しくて、いい友人を持ったな、と思った。
私の事も公平にみてくれてるんだなと。
私は子供がいない事、結婚してない事にいつも負い目を感じて生きて来た。
時折、結婚していない芸能人を思い浮かべては、あの人だって、と自分を慰めたりして来た。
でも、この本を読んで共感する部分が多かったし、心が少し軽くなった。
1人で生きていくという事は、時にパートナーや子供がいる人より大変な事だってある。
どんな生き方にだってそれなりに大変な事はある。
当事者にしか分からない事、当事者じゃ無いから分かる事。どちらもある。
私もどんな時もどんな事にも公平な態度で臨みたいなと思う。
Posted by ブクログ
思考のヒント、きっかけを与えてくれる本
部長が私の上司に向かって「お前も早く結婚しろよ〜」と言ったいたのにどうももやもやして、その部長のSNSのアイコンが子どもの写真なのも含めて、全てにもやもやしていたから、この本を上司に読ませてあげたい、読んでほしいと読みながら思った
Posted by ブクログ
第3者の視点からの意見。
親に「いつ結婚するの?」という質問をされると本当に
気分が悪くなり、なんらかの理由をつけて話を遮断したくなる。
結婚するのが普通、子供を産むのが普通という
世の中の昔からの普通というものを叩き壊してくれる良い本だった。
Posted by ブクログ
TBSラジオ選挙特番での石丸伸二氏へのインタビューでヒリヒリさせられた後、「そう言えば、砂鉄さんの本読んだことないな」と気づいて選書。このテーマ、この試みだからこそのじっくりと省察しながら練り上げられた文章で、何度も頷かされた。
Posted by ブクログ
普通に囲まれて生活しているなかで、たまに自分が「ではない」側を歩いているかも、と気づく。
「ではない」側にいる時に感じるモヤモヤを、言葉にしてくれているなと感じた。
Posted by ブクログ
私は子持ちですが、基本的に子供への対応が苦手なタイプなので、「子どもへの対処方法、それにまつわる周りからの目線や恥ずかしさなど」に関しては特に共感するところがあった。
あと「積極性」が問題を隠すということ。
賃金あがらず物価があがるというような状況のなか、ワイドショー番組で節約術などを紹介することによって、大変な状況だけどそれぞれで頑張るしかないよねって言う方向にもっていく、それでこんな状況を作った人は責められずに済んでいる。ほんと積極性に隠されているものが何なのかを考える頭は持ち続けないといけないな。
私自身はやっとコロナの報道くらいから、マスコミ情報を鵜呑みにするのではなく自分で考えないと、調べないといけないと思うようになった。
Posted by ブクログ
町田康と並ぶくらい理屈っぽいけど、著者みたいな人が増えてくれるともう少し風通しの良い社会になるのではと思う。
185cmもある長身の人だったのね。
石原慎太郎や橋下徹を軽くディスってたのが面白かった。
真逆のタイプだもね。