武田砂鉄のレビュー一覧

  • 往復書簡 無目的な思索の応答

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    これは面白い組み合わせ。そして、期待に違わぬ興味深いやり取りが繰り返される。往復書簡ってそういうものなのかもしれないけど、真正面から返し合うのでなく、受けた文面から自分の思索があちこち飛び交い、場合によってはだいぶ距離のある観点からの返書となる。その過程をあれやこれや考えるだけでも楽しい。求・続編。

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    2024年02月21日
  • なんかいやな感じ

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    1992年、武田少年が物心がついたころから、世の中の動きをどうとらえていたか、
    考えていたかを綴った本。
    彼より20年近く年長の私は当然同じ時代を生きてきたわけだが、
    武田氏のようにその記憶を文章に綴ることはできない。
    宮崎勉に殺された少女と同世代、少年少女を殺傷したサカキバラと同世代、
    ということに対する子供ならではの感覚は何となく理解できるが、、、

    その後時代が流れ、武田氏は成人し、政治に対する向き合い方も確立される。
    同じような感覚を私も持っていたかもしれない。上手に書くものだ。
    永六輔さんも登場する。震災と戦争は同じと。語り継ぐしかないと。
    永さんは武田さんの心にも、私の心にも生き続

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    2024年02月07日
  • なんかいやな感じ

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    わが子と同じ年齢です。随筆でしょうか。でも記憶に新しいことが、次々と。
    そういえばほぼ忘れていたけれど、こんなことがあったね…と。
    本当は忘れてはいけないこと…も。
    最近の風潮は、なんか嫌な感じ…です。

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    2024年02月05日
  • わかりやすさの罪

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    ラッパーのTaiTan氏の後書きに興味を惹かれ購入。
    コスパ・タイパが正義という価値観が蔓延し、「5分でわかる」「〇〇が9割」のようの自己啓発本が本棚を埋め尽くす現代に警鐘を鳴らす一冊。情報が溢れて人間の処理能力を超えた結果、つい考えることを放棄してしまいそうになるが、それではいけない、屈するな!と我に返らせてくれる。

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    2024年02月04日
  • 父ではありませんが 第三者として考える

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    ネタバレ

    やわらかい文章。すぐ読める。表紙の黒いラインが髪の毛に見えて本を手に取るたび払おうとしてしまう。
    以下印象に残った文たち

    男性に向けては(こどもが)ある、いるという状態についての本しかない。だから書いてみた本である。
    →自身にこどもがいないことについて、人生はまだ一回目であれこれ慣れないし、とあり、かわいいな〜と思った。その言い方使いたい。

    そうではない側から見る
    経験者と未経験者が意見をぶつけ合うことによって、物事は重層的になっていく。
    →友人たち、三十代すぎると属性が枝分かれしてくる。異なる属性でも付き合い続けられる人は意見をぶつけ合うというより、異なる意見をへーそう考えるんだね〜と受

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    2024年01月11日
  • 父ではありませんが 第三者として考える

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    子どもを作る選択をせず生きている著者があえて子どもについて考える本。なんで作らないの後悔するよ、老後はどうするの、といった言説を他者に浴びせる人たちは、一方で、君も結婚かようやく一人前だなとか、君にも守るべきものができたなとか、勝手に他者を評価する。そこにあるのは、普通こうだよね、という普遍的な人生の歩み方を前提にした社会構造と、その普通を前提にやたらに共感し合おうとする人々だ。共感できない・されない者は普通ではない人として扱われる。そうか、差別はこうした流れからも生まれるんだな、と感じながら読み終えた。

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    2024年01月02日
  • なんかいやな感じ

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    それほど同著者の作品に多く触れたわけでもないが、文体やテーマとする情景については悪く言えば既視感ともなるが、そうそうこんな感じだよなと受け入れる段階に入っている気がする。

    そういった読みやすさの中で、平成の歴史の歩みにぶらさがる筆者の経歴のあり方がどうであったのか、やはり安定して咀嚼しやすい語りがありがたい。

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    2023年12月02日
  • 父ではありませんが 第三者として考える

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    ネタバレ

    母として、父として、出産や育児を語る本はたくさんあるけど、これは父ではない立場から結婚や出産についていろんな角度から考えた本。
    第一印象としてはフェミニスト視点の本(でだいすき)だ!と思ったんだけど、勝手に型にはめたくもないな、とよくよく考えると「男尊女卑なヘルジャパンに警鐘を鳴らす人」「社会の中で当然のように居座る"普通"を、本当に"普通"なのか?って考えられる人」という印象を受けたからだったんだと思う。

    結婚や子どもを持つことが普通っていうこの社会で生きてると、結婚しないこと・子どもを持たないことには理由がいるからめんどくさい....
    正直「子ども

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    2023年11月24日
  • 父ではありませんが 第三者として考える

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    マジョリティから見えづらい立場にいる人びとにも必ず意見はあり、その声をぞんざいな対応でかき消すと多様性は失われ、民主的な社会から遠ざかり全体主義が跋扈する。”~でない” “~しない” という一見消極性を帯びているようでも “そうでない” ひとつの選択肢であり、それをなかなか認めようとしない世情は、優位を絶対的価値として置いてしまう競争社会に通底する。なぜ比べるのか、無いものをなぜ足りないと拙速にジャッジするのか、現在見ている角度をほんの少し変えるだけでその答えは見つかるかもしれない。筆者武田砂鉄の文章にそのヒントがある。分からなかったことをほんの少し分かるのは好奇心の賜物であり、その “少し”

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    2023年11月24日
  • なんかいやな感じ

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    ラジオを聴いて、いつも気になっていた方
    初めて著書を読む。

    時代の中で起きたことと自分の身の回りで当時起きていたことの間にある点を、少しずつ浮き彫りにしていくような感じ、一つの視点から見て、また別の視点からの否定や肯定を繰り出してくるリズム。読んでいて武田さんの語り口が脳内再生される。

    違和感をどう見ていくか、いつも感じるあれは何なのだろうかと、たぶん全然違う感覚なんだろうけど自分のことにも置き換えてモノを見てみる。

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    2023年10月31日
  • なんかいやな感じ

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    いつもの武田節。今回は、自身の人生とほぼ重なる、平成時代の振り返りを通して、現代の”感じ”を論考するもの。嫌な思い出もいい思い出も、自分が覚えておきたいことしか覚えていない訳で、当然、そこからこぼれ落ちているあれやこれやは数多存在する。旧友との会話など、何かのきっかけでってのはあるけど、基本的には”無かったこと”になってしまっているあれこれ。注意が向かない方に積極的に注意を払い、記憶から消したいことをこそ心に留め置く。そんな心がけからこそ見えてくる、他者の気持ちもありますわな。

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    2023年10月04日
  • 父ではありませんが 第三者として考える

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    砂鉄さんは好きなコメンテーターで、
    この本で彼が言うことはよくわかる。
    「普通」ってなんだ、
    子育てするのが普通の夫婦なのか!
    普通なんてないんだ。
    といいたいのだと。

    確かに、結婚「できない」男女が増え、
    子供を持たない夫婦も増えている。
    夫婦子供二人が標準家族、
    何てのは昔の話。
    独り世帯が多数、という現実はある。

    普通なんてないのだ。

    ただ、、、子供のことになると、
    素直にそうだそうだと言い切れない自分がいる。

    自分に子がいるから?孫がいるから?
    そうかもしれない。
    しかし、それ以前に、
    どこかしら、

    人は何のために生きているのか、
    というところで、
    次の世代につなぐため
    とい

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    2023年09月29日
  • 芸能人寛容論 テレビの中のわだかまり

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    上梓された氏の著作の中では、かなり初期の作品。芸能界を通して、普遍的な違和感を抉り出しているってのが本質だから、本作においても基本的なスタンスは変わらない。安心の武田節。TVは見ないけど、本作で扱われる人や事は、概ね付いていけたから、それなりに背景も分かった上で楽しめた。

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    2023年08月30日
  • 父ではありませんが 第三者として考える

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    父ではない
    産んだことも、育てたこともない。ということ。それに付随するいろいろ。
    とにかく、「普通」の価値観を押し付けないでほしいし、「普通」であることが万人にとって幸せであるわけではない。「普通」から外れても幸せなことを、「普通」の人は想像しないんだろうか。

    砂鉄さんの本も何冊か読んで、ラジオも時々聴いていたら、あれ、この本読んだことあるっけ??というどこかで聞いたことのある話が出てくる。それぐらい、同じことばっかり言っている。繰り返し言うことの大切さ。一度じゃ忘れることもあるし、その時々によって響き方も違う。考えてみれば当たり前のことが一向に当たり前にならないので、何度も同じことを繰り返

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    2023年08月27日
  • 芸能人寛容論 テレビの中のわだかまり

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    政治臭の強い同筆者のエッセイなどは、意見の合う合わないではない部分でなにか勿体ないなと思っていたのもあったが
    この本としてはこういうシニカルなエッセイは昨今あまり見ないもので、週刊誌などで拾い読みする手軽さがありこうやってまとまった形でも変遷が辿れて面白かった。

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    2023年08月19日
  • 父ではありませんが 第三者として考える

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    「である」という状態から言説が多過ぎるのではないか、「ではない」という状態からの言説が黙殺されていないか。
    「である」と「ではない」は常に表裏一体、そこに貴賤も上下も無いはずなのに、ふりさけみれば「である」からの言説ばかりが目につく。
    社会に蔓延る「普通」を内面化し過ぎないようにしようと思うが、これがなかなか難しい。

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    2023年08月14日
  • 父ではありませんが 第三者として考える

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    武田砂鉄さんがラジオでお話しされているのは聴いたことがあったけど著者を読むのは初めて。頭をぐるぐる回転させながら読んだ。
    ・当事者じゃなくても、「第三者という当事者」の視点から考えることが必要じゃないか。
    ・子どもがいる人、いない人、欲しいと思ってる人、思っていない人、みんなそれぞれ立場が違うのだからそれぞれの立場で考えればいい。子どもがいる人を基準にするのはおかしい。
    ・「子どもがいない人には分からない」という言葉の暴力性
    共感したり、反省したり、自分を肯定してもらった気持ちになったり、読んでよかった一冊でした。
    改めて、自分が一番世間でいう「普通」にとらわれてしまっているんだなぁと思う。

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    2023年07月30日
  • 今日拾った言葉たち

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    『暮らしの手帖』2016年から2022年に連載されたものを一冊にまとめたもの

    先日、松尾貴史との対談『ちょっと違和感』をリモートで視聴した
    二人とも淡々と大切なことを語っていた

    世界中で、とんでもないことが次々起こり、次々記憶から消えていく
    ふと気がつくととんでもないことに!

    自分の暮らしを大切に「おかしいな?」という感覚を常に持っていたい
    「言葉」を大切にしたい、と改めて思わせてくれた一冊だった

    ≪ ちょっと待て 溢れる言葉 立ち止まれ ≫

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    2023年07月20日
  • 父ではありませんが 第三者として考える

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    多数派であるから正解だと思っている人や、属性で決めつけられることが何より嫌いである。
    それなのに、当事者であるだけでその意見は重要視されるはずだとか、「普通は」を隠れ蓑にして多数派の正義を振りかざしていたかもと、あれこれの言動を思い返して落ち込む。
    そして、あとがきに書かれている担当者とのやり取り、「互いに『確かにそう思います』『いや、そうは思いませんけど』を繰り返しながら、この本がここまでたどり着きました。」
    なんて健全なのだろう。いろんなコメントを見るたびに、あるテーマとか人物とか特定のものに対して、全否定か全肯定のどちらかが圧倒的に多くて息苦しさを感じていた。自分で考えることを放棄してい

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    2023年07月02日
  • べつに怒ってない

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    昼休みにベンチに座ってのんびりしながら、1日10タイトルくらいずつ読んでいると、全身から力みや疲れが消え、「いい時間だーーー!」と感じることができた。すごく同感できるものも、そうでもないものもあるけれど、武田さんの脳内は好ましい思考回路で、私も意識的にこういうことを書きつけてみたいなぁと思った。日々たくさん感じながらもすぐにやり過ごしてしまうような、ほんのちょっとした引っかかりがいっぱい詰まった1冊。

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    2023年06月09日