萱野稔人のレビュー一覧

  • 金融緩和の罠

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    マクロ経済学の骨格を外すような話をするので、学者を始め、各方面から揚げ足取り的な批判をされている各論者たち。しかし、三者に共通する、過度な金融緩和は、現在の日本において、根本的な解決策になることはないという点はとてもしっくりくる。生産世代の減少、将来への不安、社会の成熟化による物的需要の減少、に対応した構造改革を含めた施策が必要だ。これらの問題の解決が無いままの金融緩和は、国の信用を損ね財政破綻に陥る危険性がある。アベノミクスでいうと「第3の矢」である成長戦略がめっちゃ大事という事かな。とても面白かった。

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    2013年09月19日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    対談という形式上、問題提起とその共有が本書の中心だろう。

    その問題提起において、萱野氏は抽象的・一般的な傾向を、雨宮氏は具体的な体験についてお話になる傾向があった。

    特に雨宮氏が提起し、萱野氏が補足する個々の事件(もしくは“それ未満”の体験談)の生々しさは壮絶である。

    ただし、対談の記録である以上仕方ないのかもしれないが、もう少し注記を充実させて欲しかった。
    せめて、新聞記事などになった事件などについては、詳細が知りたい。

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    2013年06月09日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    萱野稔人と雨宮処凛の対談本。
    何回かの対談をまとめているので,重複するやり取りが多く見られる。
    編集して,重複する部分を省いてもよかったと思う。

    右傾化とか左傾化とか,リストカットとかODとか,いじめとか,
    空気を読むとか,まぁ,色んな事象があるけど,
    コアなところにあるのは, 自己承認欲求なのでしょう。

    皆が繋がれば空気を読むのにシンドくなるし,
    孤独になれば誰にも承認されずにシンドくなる。
    どちらに振れても,生きにくいことに変わりはない。

    ならば,もう,いっそのこと,
    承認を求めるのをやめてしまえばいいのでは?
    と暴論的なことを思ったりもする。

    まぁ,そんなことができるほど人はタフ

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    2013年04月30日
  • 金融緩和の罠

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    一人のインタビューアが、リフレ反対派の3人に一人づつインタビューをしていくという形式。この点の本は主張がバラバラとアチコにに書かれていてポイントがわかりづらいという特徴がある。

    一人目の藻谷浩介氏はリフレ派に否定された大ヒット作『デフレの正体』で言わんとすることを再度主張。数年前に読んだ時には、日本の『現役世代を市場とする商品の供給過剰による値崩れ』の原因は『15歳から64歳までの生産年齢人口の減少』にあるという氏の主張の分かりやすさに大いに納得したものだ。ただその後多くの『リフレ派』に、その主張が経済学的検知から間違っている、『デフレ』の定義を勘違いしている、高齢化が進んでいる他国でもデフ

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    2013年04月29日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    「生きづらさ」に対する共感によって社会的弱者の状況を読みあさり、下には下がいることに安堵して自尊心を満たす。
     山の高さではなく谷の深さに目を向けて、今いる場所に納得する。それは極めて利己的な納得であり、心地よい居場所を求めてしまう本能的なものでもある。
     その場所まで登ってきたのではなく、ただ降り立ったのがその場所であっただけで、私と彼らは何が違ったのかと自問して、それは自己決定とか自己責任の範疇には収まらない至って先天的なものなんだと思い至り、それが先天的なものゆえに、何かの弾みで転げ落ちることを恐れ登ることを躊躇する。
     つまるところ、登るという行為を知っているかどうかの違いにすぎない。

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    2013年04月05日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    データ的な部分がないからエスノグラフィーということになるのかな。「生きづらさ」の正体、過度に「空気を読む」コミュニケーション能力が求められる、絶えず競争に晒される、労働やコミュニティの流動化、などによる生きづらさ。それによるナショナリズムへの傾倒。「自分を責めたら死ぬ」
    レビュー登録日 : 2011年01月08日

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    2012年11月21日
  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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    経済も政治もド素人の自分が読んだかぎり、政治と経済の関係を歴史を振り返りながら考える、というような本なのかなと思った。
    もう少し勉強したらまた読み返したいと思う。

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    2012年07月02日
  • IT時代の震災と核被害

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    東北の震災の際に関わったITのお話。パーソンファインダーとかUstとかポジティブな面と、人間のダイレクトな関係が支えたあの時期についての考察をさまざまな方がしています。今回ほどSNSが重要な役割を果たしたことはなかったと思う。でもいろいろと課題もあったのも実際です。私がもし使いこなせなかったらどうだったんだろう…気になったのは書き手の差かな?いろいろな人の観点から見れるのは面白いけど、明らかに当事者だった人と取材して他人事だった人の文章は違うと感じました。

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    2012年04月16日
  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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    面白い部分もあったが、本当に超マクロな展望であり、なんかふわふわした感じがした。

    現在のデフレは構造的な問題である、だとか、もう先進国の経済成長は望めないというった事を資本主義がどのように発展していったかを踏まえながら説いている。

    産業革命によって資本主義が発展していったという認識があったので、それよりも、植民地主義やイギリスの海賊が果たしている役割が大きい点などは面白かった。

    ただ、やはり思うのは、現在の資本主義はもう限界に来ていて、新興国がこれからも経済成長を目指して発展してくるのであれば、それに対抗して経済成長を目指すのではなく、経済成長がない状態での新しい世界のあり方を率先して目

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    2012年03月23日
  • 没落する文明

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    この本が多くの賛同を得ている理由がイマイチ分からない。

    例えば、人間は傘を開発してしまったが故に天気予報をいちいち気にせざるを得なくなったとか。文明の否定の論拠がそんなものだったりする。
    個人的には、傘があるからこそ40%だろうと80%だろうと、とりあえず出掛けることが出来るんだがなぁ。

    そもそも文明の没落ってなんなのさ??

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    2012年03月19日
  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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    ネタバレ

    「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」でファンになった水野氏と政治哲学者?の萱野氏による対談形式。基本的には上記水野著書にあった、過去の超長期的トレンドに基づいて現代の経済・金融動向を説明する、という内容。萱野氏が加わることによって国家間の覇権の遷移など政治と経済の関係がより充実しているが、その分上記水野著書にあったような統計情報に基づいた説明というのが希薄になってしまっている。ちょっと週刊誌の対談的になってしまい残念。  それにしても、毎度のことながらこの煽りタイトルはやめてほしい。こうしないと売れないのか?

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    2012年03月11日
  • IT時代の震災と核被害

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    今年気になったほぼ全ての方々が登場し、総括的に意見を述べられている感で、俯瞰的に、また各々方の比較をしながら読むことが出来ました。それによって、各々型の主張や活動の方向性をよりはっきり認識出来たように思います。
    新しい論はあまり無かったのですが、良書でした。いずれどの立場も論点も欠かされてはならないなと改めて痛感しました。

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    2011年12月31日
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか

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    今ままで表層的な日本の人文系論壇の、更に表層しかなぞっていなかったので、ナショナリズムに関して深く考えたことが無かったが、萱野氏の論はわかりやすく、納得しました。自明性を解明されました。

    社会の産業化の過程で、意思決定とそれの完遂のための共通言語というナショナリズムの条件が基盤となり、国民的暴力装置としての国民国家が成立した歴史を踏まえると、国境無きグローバル社会は夢想でしかない。
    ナショナリズムを(可能ならば、相互調和的に?)改変または、拡張していくしか道はない。

    共通言語といえば、英語?と考える人は多いでしょうが、大多数の日本人にとっても英語など不要のまま実生活を送っているのだし、

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    2011年12月26日
  • IT時代の震災と核被害

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    震災直後、俺達があたふたしてる間にGoogleのエンジニアがパーソンファインダーを公開するに至る経緯がメイン。膨大な行方不明者の情報をオンラインで可視化する為に、社内エンジニアが処理できない分はボランティアに任せる…と言った経緯は感心した。Googleらしいフットワークは好感が持てた。無料PDF版だったのでここまで。

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    2011年12月05日
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか

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    ナショナリズムの定義として、第一義的には政治的な単位と民族的な単位とが一致しなければならないと主張する一つの政治的原理である。この定理に基づき、国内の問題はナショナリズムによってしか解決できない。よってナショナリズムは必要であるとする。

    さて、このナショナリズムの定義基づいて論は進むのだが、そもそもナショナリズムの定義が一般的には「国家主義・民族主義」から「排外主義・国粋主義」に変化しているのではないかと思うのだ。昨今特にそう思う。前に「市民社会」という言葉は時代、語る人によって意味を変えてきた。

    ゆえに、自分はナショナリズムから距離をおきたい。あとは、後半で「国家の本質は暴力である」と出

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    2011年10月19日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    細かくいえば評価は3・5。納得できるところとできないところがあったが、社会的に立場が低いと見られている人たちがどのようにしてその状況から脱却しようとしているか。というのが書いてあった。国や国民が利己的ばかりになるなってことだったのかな。

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    2010年06月01日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    派遣問題、ニート、自殺、右翼左翼がほとんど同じ問題を抱えていることを対談?で解説されている。
    正直、共感はできませんが内容と考え方、プロセスは面白い。

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    2009年10月04日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    「生きづらさ」というタイトルに惹かれて購入した本です。
    新しい貧困問題について,当事者の視点に触れています。福祉事務所等がこれらの貧困問題に対して対応できていないことについても書かれています。生きづらい状況について,心理的なことと社会的なことが関連していることについては分かりますが,ナショナリズムとは強引に結びつけているという印象です。確かに,社会システムや国の施策と大きな環境があるのですけど。

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    2009年10月04日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    対談なので多少冗長な感は否めないが,問題を考えるヒントは散見される。特に,第3章「認められることの困難とナショナリズム」は示唆に富む。日常生活で承認を得られない弱者が,日本人でさえあれば受容されるコミュニティとして右翼を見出すというのは,ありうる話だと思う。フリー=どこにも所属しないという定義付けも有用だろう。どこにも所属しないからこそ,徹底的に自己責任に追い詰められる。他者からの承認を過度に要求される社会において,承認を得られないことは,厳しい疎外感を生むことは身をもって感じている。ただ,そこから生まれる「連帯」は,常にナルシスティックなものに堕する危険を孕むのではないだろうか。僕が,インデ

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    2009年10月07日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    「生きづらさ」についてはわかりやすく説明している。
    解決ではなく、「生きづらさ」の原因、プロセスである。

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    2009年10月04日