萱野稔人のレビュー一覧
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大前提として、こういう解説書は初学者には非常に良いと考えている。なぜなら、原文を読んでも意味がわからないことが多いからです。
そういう意味では、私のような初学者には非常に心強い内容でした。
カントは理想主義者ではなく、人間の暴力性を理解した上で、法によって政治をコントロールする必要があると考えている。
また世界国家のようなものはうまく行かないと考えているような非常にリアリズムを持った哲学者でした。
ロシアがウクライナを攻めている今、改めて世界のあり方を考えるための基本的な一冊になると思います。
他方でカントの時代と大きく異なる点は、核兵器の存在で、カントの考えを引き継いだ哲学者たちが、核 -
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萱野 完全に居場所がないという状態だったんですね。で、その後、右翼団体にいくわけですね? 雨宮 はい。こういう言い方は変かもしれませんが、右翼はすごく居心地がよかったですね。ある意味、いまかかわっている労働組合と似た感じがあります。労働組合に入ってくる人たちも、ここではじめて人間に対する信頼感を取り戻せたというんです。「この人を蹴落とさなきゃ」とか「競争しなきゃ」とかいう感情ぬきで、はじめて人と話すことができた、と。私にとっては、そういう体験をしたのは右翼団体がはじめてだったん
右翼にいったのは、いまから分析すると、「誰にもどこにも必要とされてない」という心情とすごく関係が -
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リベラル的な人々が嫌われる現象がすごくよくわかる。
著者のいうリベラルの限界という補助線を用いると、ツイフェミとオタクの論争や少し前のベルクの喫煙論争におけるリベラル的な人々の欺瞞とそれに対する普通の人々の嫌悪感がよく説明できる。
分配の限界という補助線を用いると経済政策が弱いことの致命性が見えてくるし、マクシミン戦略の誤謬という補助線はリベラル的な人々がネトウヨを嘲る際の「想像力が足りない」という紋切り型が表層的であることを看破させる。
著者が意図した以上にリベラルが自らを省みるのに役に立つ本である。とりま、立憲より左の方の人たちは全員読むべき。左に行けば行くほど読むべき。だがこういう本当の -
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死刑という制度を哲学的観点から考察するという内容だったが、死刑制度に限らず多くの気づきをもらえた。
OECDで死刑制度があるのは日本、アメリカ、韓国の3カ国で韓国では20年以上死刑を執行されていない状況を考えると事実上の廃止しているようなものだそう。
なぜ国際的に死刑制度廃止の流れに向かっているのか?
そんな中なぜ日本が死刑制度を続けているのか?
死刑はなんのためにあるのか?
死刑は必要なのか?
様々な疑問があふれてきたが、できる限り中立的な立場で哲学や道徳論など様々な観点から死刑制度について考察されていたおかげで自分なりの答えがみつかった。
個人的には、死刑に対する考えだけでなく、「 -
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ネタバレ哲学を専門としながら選挙などの制度面にも造詣の深い著者らしく、序盤は社会学的、中盤は哲学的、そして終盤は制度的アプローチにより死刑制度の是非を論じる視野の広いところを見せる。
「死刑の是非は、道徳判断の本質が相対性にあることから道徳的には確定困難。制度的にみると、公権力に内在する構造的要因により死刑は冤罪リスクと無縁ではありえないため、死刑は廃止し終身刑の導入を検討すべき」と端折ってしまえば身も蓋もないが、そこに至る筋道は簡便ながら説得力あり。特に中盤、カントの「同等性原理」や定言命法・仮言命法を引き合いとしながら、道徳判断の相対性から判断根拠の普遍性を際立たせる下りは、込み入っているがなか -
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資本主義とは自由な市場原理における経済活動ではない。なぜならその市場のフレームやそこでのルールの策定は市場原理とは別の力(国家による政治力)によって決められているからだ。バブルが崩壊したとき公的資金という市場とは別に調達された資金が、資本主義のシステムを支えているのはそのいい例だ。本書は資本主義を歴史の線でとらえななおし、資本主義がどういう理屈で富を生み、やがてどういうふうに行き詰まっていき、どういう新たな市場を産み出していくのかを検証していく。そして著者たちは、金融バブル崩壊後の社会においては、もはや経済成長を前提とした展望はなく、資本主義という仕組みが歴史の中で大きな転換期を迎えている点を