【感想・ネタバレ】リベラリズムの終わり その限界と未来のレビュー

あらすじ

自由を尊重し、富の再分配を目指すリベラリズムが世界中で嫌われている。米国のトランプ現象、欧州の極右政権台頭、日本の右傾化はその象徴だ。リベラル派は、国民の知的劣化に原因を求めるが、リベラリズムには、機能不全に陥らざるをえない思想的限界がある。これまで過大評価されすぎたのだ。リベラリズムを適用できない現代社会の実状を哲学的に考察。注目の哲学者がリベラリズムの根底を覆す。

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Posted by ブクログ

最近目に、または耳にする機会が増えた保守派(ナショナリズム?)の人たちのいうことに納得できない部分があったので、自分はリベラルだと思い込んでいたけど、そうではなく、私も立ち位置は彼らと同じで、違いはマインドの質だけだと気がついた。そして本書を読んで痛い所をたくさん突かれたような気持ちになった。
考え直す機会ができた。
読んで良かった。

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2020年06月27日

Posted by ブクログ

読みやすい
身近な例がたくさん載っているので、学生にもわかり易かった!
たしかに、同性婚ばかり取り上げられて一夫多妻などの結婚形態について言及していかないのか?など、リベラリズムの限界について学ぶこと、改めて考えることができた。

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2020年04月05日

Posted by ブクログ

リベラリズムについてよく纏まっている。
なぜそう考えるのか、他の考えとの比較、考察など十分。全体最適のまずさ、功罪についても深く理解できた。

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2020年03月08日

Posted by ブクログ

著者とは、ほぼ同年代。
マスメディアで扱われる政治情勢、学校教育で伝えられた政治情勢。苛つく内容が多く含まれていた。
そうした違和感を、明確に文章の形で、掘り起こしてくれている。
様々な受け止めは、時代、年齢にも大きく影響を受けるものだろうか。
そんな疑問を持つほど、書かれている内容が、自らの感覚と近い。素晴らしい。

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2020年02月21日

Posted by ブクログ

リベラル的な人々が嫌われる現象がすごくよくわかる。
著者のいうリベラルの限界という補助線を用いると、ツイフェミとオタクの論争や少し前のベルクの喫煙論争におけるリベラル的な人々の欺瞞とそれに対する普通の人々の嫌悪感がよく説明できる。
分配の限界という補助線を用いると経済政策が弱いことの致命性が見えてくるし、マクシミン戦略の誤謬という補助線はリベラル的な人々がネトウヨを嘲る際の「想像力が足りない」という紋切り型が表層的であることを看破させる。
著者が意図した以上にリベラルが自らを省みるのに役に立つ本である。とりま、立憲より左の方の人たちは全員読むべき。左に行けば行くほど読むべき。だがこういう本当のことを看破する内容の本は左に行けば行くほど読まれないだろう。

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2019年12月31日

Posted by ブクログ

同性婚が認められるべきなら、一夫多妻婚も認められるべき。一夫多妻婚を自ら選択しようとする個人の自由が制限されるべきでない。また、本人の同意があるなら、近親婚の自由も認められるべき。リベラリズムは一夫多妻婚も近親婚も否定できない。しかしリベラル派は同性婚は認められるべきだが、一夫多妻婚や近親婚は認めない。結局は、結婚をめぐる規範意識がまずあって、その規範意識のもとで自分たちが認めたい結婚に対してのみリベラリズムを適用しているにすぎない。p.54『リベラリズムの終わり』

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『権力の読み方』★3
『名著ではじめる哲学入門』★3

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2024年05月19日

Posted by ブクログ

《紹介と感想》
リベラリズム――他者に迷惑をかけない範囲で個人は自由であり、社会はその自由を制限してはならないという原理――の限界を哲学的に論じた本。リベラリズムは理想論的で社会に余裕がなくなると成立し得ない考え方であるということ。雑に言えば「リベラリズムを徹底すると社会がめちゃくちゃになり得る」ということだろうか。今風に言えば「持続可能性に乏しい」とも表現できるだろう。予備知識不要で素人の私でも読みやすかった。著者の読者への配慮が随所に見られる良い文章だと感じた。

《関連する書籍》
御田寺圭『ただしさに殺されないために』
御田寺圭『矛盾社会序説』

《メモ》
①リベラリズムとは「他人に迷惑や危害を加えない限り、たとえその行為が他人にとって不愉快であったとしても、社会は個人の自由を制限してはならない」という哲学的原理。
②もし「先天異常の子どもが生まれるリスクが高まる」という理由で近親婚を禁止するのであれば、同じ理由で一定年齢以上の結婚も禁止すべきということになりかねない。
③インセスト・タブー(近親相姦の禁忌)は、家族を成り立たせ、結婚を成り立たせ、人間集団のあいだで協力関係を構築することも可能にしている。
④我々の社会には、リベラリズムの原理を適用すべき要件を満たしていても、それを適用することがどうしてもはばかられる事柄がたしかにある。そしてそうした事柄ほどより根源的な秩序原理として社会を成り立たせている。
⑤リベラリズムの限界とは、パイの配分を手厚くすべきというリベラリズムの考えはパイが拡大しているときにしか説得力をもたない、という限界。

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2023年03月01日

Posted by ブクログ

最近、個人の自由を重んじる、リベラル派の人たちへの批判が高まっている。それはなぜか?彼らがよって立つ思想「リベラリズム」を考察し、その“限界”を解き明かした書籍。

「リベラリズム(自由主義)」とは、「できる限り個々人の自由を尊重すべきだ」とする考え方のことである。

リベラル派の人たちは、同性婚を認める一方で、一夫多妻婚は認めない。
その根底には「結婚とはこういうものであるべきだ」という“規範意識”がある。
リベラリズムは、この根源的な規範意識を超えてまで機能しない。ここに、リベラリズムの“限界”がある。

近年、人々が「右傾化」してきたといわれる。
その根底には、例えば、国の財源が厳しい中で、法的に受給資格のない外国人が生活保護費を受給することなどに対する問題意識がある。
つまり、パイの縮小に対する危機意識が広がっている。

現代の右傾化現象は、政治哲学的には「功利主義」の拡大・激化として捉えられる。
功利主義とは、全体的な利益を考慮して、その全体的な利益が最大になるよう行為すべきと考える立場のこと。

人々の間に、パイの縮小に対する危機意識が広がるのに伴い、リベラル派に対する批判も高まっている。なぜならリベラル派は、パイの分配を手厚くすべきだという立場に立つから。その考えが、パイの縮小に対する危機意識と対立するのは明らか。

パイの分配を手厚くすべきというリベラリズムの考え方は、経済が成長していて、パイが潤沢にある時にしか説得力を持たない。ここに、現代のリベラリズムの大きな限界がある。

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2021年07月04日

Posted by ブクログ

第1章 私達はリベラリズムをどこまで徹底できるのか
リベラルがやりがちなダブルスタンダード

第2章 リベラリズムはなぜ「弱者救済」でつまづいてしまうのか
リベラルは給付を厚くするよう主張するが、その原資(増税)については触れない

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2020年12月28日

Posted by ブクログ

リベラル的な人々が嫌われる現象をロジカルに分析した本。
欧米でリベラルが退潮な理由の一端をよく表している。
リベラル=理想、保守=現実という風に見ると、リベラルは理想を通り越して「お花畑」「夢想」の域まで行っちゃってる事例が多いと考えます。

本の中で書かれてませんが、日本の場合は民主主義を破壊する社会主義・共産主義的な人間が「リベラル」を名乗ってしまっているので、前提が成り立たない部分があると考えます。

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2020年02月06日

Posted by ブクログ

どこまでもロジカル
哲学って役に立たないって言われるけどこういうロジカルの訓練ハンパないのだろうな
同性婚は問題なし一夫多妻はギリギリでも近親婚まで認めないとリベラルじゃないなんて
難しいねサッちゃん

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2020年02月06日

Posted by ブクログ

萱野稔人(1970年~)氏は、早大文学部卒の、政治哲学、社会理論を専攻する哲学者。津田塾大学教授。
本書は、近年「リベラル」といわれる人たちへの風当たりが強くなっていることに対し、その現象の本質は何なのかを明らかにしようとしたものである。
本書のおおまかな内容は以下である。
◆「リベラリズム(自由主義)」とは、哲学史上はジョン・スチュアート・ミルが体系化した、「他人に迷惑や危害を与えない限り、たとえその行為が他人にとって不愉快なものであったとしても、社会は各人の自由を制限してはならない」という哲学的原理のことである。しかし、リベラル派と呼ばれる人びとでも、その多くが、(今日では)同性婚を認めることはできても、一夫多妻婚を認めることができないように、どの範囲までリベラリズムの原理を適用するかを決める規範意識が、リベラリズムの原理よりも先にあるという点において、リベラリズムには「限界」がある。
◆リベラル派が批判されるのは、人びとが右傾化したためだと一般に言われるが、リベラル派への批判が高まってきたことと人びとが右傾化してきたことは、同一の事態における表裏の現象であり、因果関係にはない。右傾化といわれる現象のもとにあるのは、経済成長が鈍化してパイが縮小するという危機意識で、その言動は限られたパイを死守しようとするものであり、右・左という政治的立場の選択というより、功利主義(全体的な利益を考慮して、その全体的な利益が最大になるよう行動するべきだと考える立場で、ジェレミ・ベンサムが体系化した)の拡大と捉えるべき。一方、現代におけるリベラリズムはパイの配分を手厚くするべきだという立場(ジョン・ロールズが理論化した)に立つ。よって、現代の右傾化といわれる現象と、その周りで生じている対立は、(現代の)リベラリズムと功利主義の対立というべきである。
◆ただし、ロールズのリベラリズムには、パイの分配には「経済が持続的に発展する」という条件・前提がついており、パイの拡大が見込めない現代において、リベラル派の主張には根本的な欠陥があり、人びともそれを見抜いている。
◆また、そもそもなぜ現代の(ロールズの)リベラリズムはパイの分配を手厚くすべきだと考えるのかを突き詰めると、パイの配分を(ミルの)リベラリズムによって正当化することは実は極めて難しい(むしろ、功利主義などで説明する方が容易)のだが、リベラル派はその「限界」を自覚できていない。
上記の通り、著者は、現代リベラリズムの限界を二つ挙げており、その論旨は明快である。前者は、おそらくリベラリズムの本質に係る問題であり、本当にリベラリズムを主張するなら乗り越えていかなければならない問題といえる。一方、後者については、パイの再分配をどう考えるか、即ち、経済的格差をどう考え、どう手を打つかということであり、理論的根拠をリベラリズムに求めるか否かにかかわらず、現代世界の究極の課題のひとつである。
そして、後者の問題について、著者は、日本の歳入・歳出の統計等を示して、拡大しないパイの配分を厚くすることは現実にはできないと述べているのだが、私は疑問に思っている。事実、米国では、上位1%が持つ資産は下位90%が持つ資産の総量よりも多いというし、米国の株価指数は、今でも史上最高値を更新し続けている。世界全体で見た場合の、様々なレベル(国の中、国々の間など)での格差は歴然としているし、再分配するだけの原資はいくらでも存在するはずだ。私は、世界中で進む内向きの風潮は言うに及ばず、宗教・民族間の対立の根本的な原因さえも「格差」にあると考えている。格差を縮小する政策は、地球温暖化を止める対策と同じくらいに、われわれの将来を左右する重要テーマである。それは、リベラル派であろうとなかろうと真剣に考えなければならないことなのだ。
(2020年1月了)

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2020年01月25日

Posted by ブクログ

昨日の衆院選は自民公明の圧倒勝利で終わった。立民は後退した。野党の選挙連合がまさに意味のないことが証明されたようなものだ。そして、この本である。新書であるゆえ、高度な議論ではなくわかりやすい例を多数あげてリベラルの限界を示してくれており、それを昨日の選挙も証明したようにすら感じた。もっと政治には力をいれて勉強が必要だ。

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2021年11月01日

Posted by ブクログ

功利主義とロールズの正義論。
仰る通り、と首を頷きたくなる部分は多い一方で、批判だけして終わってしまった1冊なのが残念。
そこまで言うなら、じゃあどうするの、の筆者なりの考察があっても良いのでは…と感じてしまった。こちらも偉そうですが。。

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2020年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リベラリズムとリベラルの違いがよく分かる良書です。
同性婚と一夫多妻に対する二重基準が特に納得しやすかったです。

半面、問題点を提示しつつも、その解決の糸口が示されていない点が残念です。

また、本書ならびに著者に対する排外主義という中傷も
本書に記載している排外主義の前にある問題意識を
(故意か過失か分からないが)無視しているという点で皮肉なところも面白いです。

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2020年01月06日

Posted by ブクログ

リベラルな思想とリベラリズムの違いがよく分かる。
ただ、文体はかなり読みにくく、個々の事例を否定してるだけなので読後感は悪いです。前向きな提案や事例が書かれて欲しかった。

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2019年12月26日

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