萱野稔人のレビュー一覧

  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    「生きづらさ」の原因は自分を肯定できない環境にあるため。自己肯定は何らかの集団(会社、学校等)への所属→他者からの承認のプロセスが必要。そういった集団から抜け落ちてしまったニート、引きこもり、フリーターはナショナリズムに傾倒。しかし、現代はナショナリズムに傾倒するのも困難な層(ネットカフェ難民、ホームレス)が存在。原因は労働力の流動化。。。
    雨宮氏が実体験ベースで語り、萱野氏がそれを論理的に分析(フランスと日本の状況比較等)していく形になっていて読みやすい。

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    2011年07月01日
  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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    エコノミストと哲学者による対話集である。ヘゲモニー(覇権)の変遷を観点に世界経済の動向を分析しているのはおもしろい。

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    2012年02月19日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    [ 内容 ]
    いま多くの人が「生きづらさ」を感じている。
    一九九八年以降、自殺者数は毎年三万人を超え、毎日のように練炭自殺や硫化水素自殺のニュースが報じられている。
    鬱病など、心を病む人も増える一方だ。
    これらの現象は、現代社会に特有の「生きづらさ」と無縁ではない。
    その背景には、もちろん経済のグローバル化に伴う労働市場の流動化が生んだ、使い捨て労働や貧困、格差の問題もあるだろう。
    他方で、そういう経済的な問題とは直接関係のない「純粋な生きづらさ」もあるだろう。
    本書では、さまざまな「生きづらさ」の要因を解きほぐしながら、それを生き延びていくためのヒントを探っていく。

    [ 目次 ]
    第1章 

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    2011年04月09日
  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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     成長を前提とした経済システムは限界を迎えており、それに固執する先進国は財政破綻の危機に瀕している。
     著者によると、この現象は、中世封建社会から近代資本主義社会への転換に対応できず、旧システムに固執したことにより財政破綻した16世紀のスペインの姿によく似ているという。
     500年に及ぶ資本主義の歴史が語られ、オランダ、イギリス、アメリカがどのように世界経済の覇権を握り、失っていった(いく)かが俯瞰されている。歴史が、現代の諸問題を考える示唆に満ちていることを改めて教えられた。

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    2012年01月18日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    貧困、アイデンティティ、ナショナリズム 他人を蹴落としてでも勝ち残れ、あるいは自分を押し殺してでも社会にとけこめ、それでだめなら自己責任という重苦しい空気。その先に死があるとすれば、「甘えるな」の一言で片付けるのはいささか乱暴にすぎる。

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    2010年09月15日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    この本は「週刊ブックレビュー」で2009年1月に紹介されました。
    映画監督の佐藤忠男さんが取りあげました。
    著者の雨宮処凛さんはNHKの「私の1冊 日本の100冊」や「派遣切り」の問題を扱ったテレビ討論番組にも出演しています。

    佐藤忠男さんは敗戦後の貧困を経験していますが、当時の貧困は「努力すれば乗り越えることが出来た」と言います。
    貧しくても誇りに思うことが出来たといいます。
    いまは、競争社会で負けたものが、正社員になれずにフリーターになるという見方があります。
    「自己責任にしてはいけない」と著者は言います。
    中江有里さんも「次のチャンスが訪れない閉塞感は恐ろしい」と言っていました

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    2009年10月04日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    派遣労働者や現在の経済格差、労働環境の問題を対話形式で論じている。
    一貫してアイデンティティの問題を主題としている。
    いつの時代でも経済格差は多かれ少なかれ存在するだろうが、貧困層が社会的に包摂されているかということが重要なのである。

    まあこういう問題に興味がある人は読んでおいていいだろう。

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    2009年10月04日
  • NHK「100分de名著」ブックス カント 永遠平和のために 悪を克服する哲学

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    哲学書など読んだことのない私が読んでみた。

    本書の「はじめに」では、インターネットが軍事目的で開発され民間に転用された例として(しかも当然誰もが知っている事実であるかのように)挙げられているのが、まずとても引っかかる。Wikipediaを見ると、1994年7月の米タイム誌の記事が俗説・流言として(騒ぎたがる一部のネット住民の間には)広まってしまっているらしい。この文章が「煽り」でないことを期待したいところだが。

    本書全体の感想としては、カントの考え方の部分部分の論をわかりやすく説明していると感じる一方、それら各論が順序だてられていない印象がある。これはカントの原著の記述の順序に従って説明す

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    2025年08月12日
  • 下流中年 一億総貧困化の行方

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    ネタバレ

    最近よく目にする「下流」。いまや老人ではなく中年も入る。
    私はいわゆる就職氷河期世代なのだが、当時は友達もなんだかんだと就職していて(地方の公立大学、文系)、実感としてそんなに氷河期だった覚えはないのだが、当時就職した人たちはだいたい5年の間に職を変えている。派遣で就職してうから試験受けて公務員に移行した子もいた。みんな留学したりと方向性を変えて、25年経った今、みんなそれなりに生活はしているが、50歳ともなると子供がいたら学費、独り身なら仕事できなくなったらどうしようなどという不安が重くのしかかってくるのである。自分の子供たちが成功できるように地ならしをしてあげるような余力は私にあるんだろう

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    2025年08月02日
  • 金融緩和の罠

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    罠、ワナ。

    これは捕らえられて、どうにも出来ない状態。経済学的に定義されている言葉は〝流動性の罠“であり、先ずはそれとこの本の金融緩和の罠の違いに戸惑う。ほとんど同じ意味に聞こえるが。

    「政策を打っても効かない」状況、逆に「政策が効きすぎて止められない」状況。金利を下げても期待通りの投資や消費が得られず、もはやゼロ金利に近く打つ手がないのが流動性の罠。

    金融緩和の罠は、金融緩和をやめようとして金利を上げると、国の借金(国債の利払い)が急増したり株や不動産バブルが崩壊。円高・株安が起きて景気悪化になるなど、やめたくてもやめられないまさに“罠”にハマった状態。どちらかというと、流動性の罠を解

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    2025年04月19日
  • 名著ではじめる哲学入門

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    最近よく萱野さんの著作を読んでいる。
    歯に衣を着せぬ語り口に惹かれている。

    この本では何冊かの哲学書を読みながら、様々な「〇〇とは何か」を考えて行くという構成。
    なるほど…と思う部分。何で?と思う部分。まだまだ自分では思考についていけない部分。色々とあったけれど読み通してみました。

    引用から説明に入る部分で飛躍を感じる所が少し多めだったのが残念。答えが先にあって、それを説明する為に無理して引っ張って来てる感があるので致し方ないのかな。一寸強引な書き方な感じを受けました。

    もう少し萱野さんの著作を読み続ける予定。強引過ぎる分引いて⭐️3個。

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    2024年01月10日
  • 死刑 その哲学的考察

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    2023/12/22
    気になっている萱野稔人さんの著作ということで購入してみたが、読み進めている今の段階では論理の飛躍や意味不明な説明が目立つ。
    いたずらに残虐な殺人事件の詳細を述べたりするワイドショー的なノリ。
    「宅間」という特殊な事例を一般的な事例に適用しようとしている。演繹法にしてもあまりにお粗末過ぎる。

    「国家とはなにか」「カネと暴力の系譜学」で見せていた強烈な論理的流れはこの中には見られない。
    まだ1/4(78/318)ほど読んだだけだが非常に残念な気分である。
    今後の展開に期待して⭐️2個に。

    2023/12/29
    前半の非論理的に見える部分が前振り。論理の流れを優先したために

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    2024年01月03日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    もっとこう、精神的な悩み的な生きづらさかと思えば、どちらかというと社会的なことかな。

    まぁ、そこから精神的なものに来るわけだけれど。
    時代というやつですかね。

    雨宮さんは何度か名前は見かけた事があるけれど、書籍にはあまり触れた事が無くて、こんな方なんだと。

    僕自身もそうだけれど、いつの時代も「生きづらさ」に悩む人は多い。それゆえに、いろいろな活動を起こす人もいれば、内に入る人もいる。

    何かの助けになれればと、いつでも思っているけれど、何が出来るかわからない。
    案外そういう人も多いのだろうな。

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    2023年09月09日
  • リベラリズムの終わり その限界と未来

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    昨日の衆院選は自民公明の圧倒勝利で終わった。立民は後退した。野党の選挙連合がまさに意味のないことが証明されたようなものだ。そして、この本である。新書であるゆえ、高度な議論ではなくわかりやすい例を多数あげてリベラルの限界を示してくれており、それを昨日の選挙も証明したようにすら感じた。もっと政治には力をいれて勉強が必要だ。

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    2021年11月01日
  • <女子力>革命

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    テーマと前書きはめっちゃくちゃいい(そこだけに星3つあげたい)けど大学生の論文なのでリアリティがないというか、ニーズにあってないというか。
    私個人の好みの影響もあるかなとは思う。
    このタイトルの本を読むのはおそらく「女子力」にもやってる人で、それがゆえに結婚とか出産にももやってる人もいて、そんな人が読むであろう本の最初の章が「早期出産のすすめ」(意訳)て!!!喧嘩売ってる?!?!晩婚や閉経を動物と比べるなよ!!!失礼だろ!!もう笑っちゃったよ。
    早く生むことも遅く生むこともできる大学生にはわからないでしょう、この気持ち。
    社会にでてないからデータでしか語れないのもなんか足りない感じがしてもやも

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    2021年07月26日
  • 死刑 その哲学的考察

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    死刑制度について、廃止と存続、双方の立場の議論をざっと俯瞰した本。
    コンパクトにまとまってる感じ? 著者の独善がやや気になるけど。それに死刑の歴史的経緯についてまったく触れられてなくて現在だけを論ってるのは物足りなくもある…けど、それでは紙幅が足りなくなるかな。
    著者は大衆の処罰感情を尊重しろという。でも感情論を正当化すると、政治テロや私刑だって、正当化されちゃわない? 特に、「相手を殺して自分も死ぬ」タイプの殺人とかさ?
    著者は、死刑の存続の論拠に、遺族の復讐感情を挙げるのは難色を示す。殺人事件の被害者遺族(死刑判決出るのはまあ殺人事件に決まってるし)といっても皆が皆同じように死刑を望むわけ

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    2022年01月30日
  • リベラリズムの終わり その限界と未来

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    功利主義とロールズの正義論。
    仰る通り、と首を頷きたくなる部分は多い一方で、批判だけして終わってしまった1冊なのが残念。
    そこまで言うなら、じゃあどうするの、の筆者なりの考察があっても良いのでは…と感じてしまった。こちらも偉そうですが。。

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    2020年02月25日
  • 「生きづらさ」について~貧困、アイデンティティ、ナショナリズム~

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    持たざる若者が、何々人であることにしかアイデンティティを見出せず右化する。それは日本でも同じようだ。
    元持たざる者である筆者の率直な意見を記載している点は興味深い。
    共感は難しい部分も多かったが、異なる視点からの意見を知るのは自身の視野を広げるには有用かな。

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    2020年01月24日
  • リベラリズムの終わり その限界と未来

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    ネタバレ

    リベラリズムとリベラルの違いがよく分かる良書です。
    同性婚と一夫多妻に対する二重基準が特に納得しやすかったです。

    半面、問題点を提示しつつも、その解決の糸口が示されていない点が残念です。

    また、本書ならびに著者に対する排外主義という中傷も
    本書に記載している排外主義の前にある問題意識を
    (故意か過失か分からないが)無視しているという点で皮肉なところも面白いです。

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    2020年01月06日
  • リベラリズムの終わり その限界と未来

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    リベラルな思想とリベラリズムの違いがよく分かる。
    ただ、文体はかなり読みにくく、個々の事例を否定してるだけなので読後感は悪いです。前向きな提案や事例が書かれて欲しかった。

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    2019年12月26日