萱野稔人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
いま多くの人が「生きづらさ」を感じている。
一九九八年以降、自殺者数は毎年三万人を超え、毎日のように練炭自殺や硫化水素自殺のニュースが報じられている。
鬱病など、心を病む人も増える一方だ。
これらの現象は、現代社会に特有の「生きづらさ」と無縁ではない。
その背景には、もちろん経済のグローバル化に伴う労働市場の流動化が生んだ、使い捨て労働や貧困、格差の問題もあるだろう。
他方で、そういう経済的な問題とは直接関係のない「純粋な生きづらさ」もあるだろう。
本書では、さまざまな「生きづらさ」の要因を解きほぐしながら、それを生き延びていくためのヒントを探っていく。
[ 目次 ]
第1章 -
Posted by ブクログ
この本は「週刊ブックレビュー」で2009年1月に紹介されました。
映画監督の佐藤忠男さんが取りあげました。
著者の雨宮処凛さんはNHKの「私の1冊 日本の100冊」や「派遣切り」の問題を扱ったテレビ討論番組にも出演しています。
佐藤忠男さんは敗戦後の貧困を経験していますが、当時の貧困は「努力すれば乗り越えることが出来た」と言います。
貧しくても誇りに思うことが出来たといいます。
いまは、競争社会で負けたものが、正社員になれずにフリーターになるという見方があります。
「自己責任にしてはいけない」と著者は言います。
中江有里さんも「次のチャンスが訪れない閉塞感は恐ろしい」と言っていました -
Posted by ブクログ
哲学書など読んだことのない私が読んでみた。
本書の「はじめに」では、インターネットが軍事目的で開発され民間に転用された例として(しかも当然誰もが知っている事実であるかのように)挙げられているのが、まずとても引っかかる。Wikipediaを見ると、1994年7月の米タイム誌の記事が俗説・流言として(騒ぎたがる一部のネット住民の間には)広まってしまっているらしい。この文章が「煽り」でないことを期待したいところだが。
本書全体の感想としては、カントの考え方の部分部分の論をわかりやすく説明していると感じる一方、それら各論が順序だてられていない印象がある。これはカントの原著の記述の順序に従って説明す -
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ネタバレ最近よく目にする「下流」。いまや老人ではなく中年も入る。
私はいわゆる就職氷河期世代なのだが、当時は友達もなんだかんだと就職していて(地方の公立大学、文系)、実感としてそんなに氷河期だった覚えはないのだが、当時就職した人たちはだいたい5年の間に職を変えている。派遣で就職してうから試験受けて公務員に移行した子もいた。みんな留学したりと方向性を変えて、25年経った今、みんなそれなりに生活はしているが、50歳ともなると子供がいたら学費、独り身なら仕事できなくなったらどうしようなどという不安が重くのしかかってくるのである。自分の子供たちが成功できるように地ならしをしてあげるような余力は私にあるんだろう -
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罠、ワナ。
これは捕らえられて、どうにも出来ない状態。経済学的に定義されている言葉は〝流動性の罠“であり、先ずはそれとこの本の金融緩和の罠の違いに戸惑う。ほとんど同じ意味に聞こえるが。
「政策を打っても効かない」状況、逆に「政策が効きすぎて止められない」状況。金利を下げても期待通りの投資や消費が得られず、もはやゼロ金利に近く打つ手がないのが流動性の罠。
金融緩和の罠は、金融緩和をやめようとして金利を上げると、国の借金(国債の利払い)が急増したり株や不動産バブルが崩壊。円高・株安が起きて景気悪化になるなど、やめたくてもやめられないまさに“罠”にハマった状態。どちらかというと、流動性の罠を解 -
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最近よく萱野さんの著作を読んでいる。
歯に衣を着せぬ語り口に惹かれている。
この本では何冊かの哲学書を読みながら、様々な「〇〇とは何か」を考えて行くという構成。
なるほど…と思う部分。何で?と思う部分。まだまだ自分では思考についていけない部分。色々とあったけれど読み通してみました。
引用から説明に入る部分で飛躍を感じる所が少し多めだったのが残念。答えが先にあって、それを説明する為に無理して引っ張って来てる感があるので致し方ないのかな。一寸強引な書き方な感じを受けました。
もう少し萱野さんの著作を読み続ける予定。強引過ぎる分引いて⭐️3個。 -
Posted by ブクログ
2023/12/22
気になっている萱野稔人さんの著作ということで購入してみたが、読み進めている今の段階では論理の飛躍や意味不明な説明が目立つ。
いたずらに残虐な殺人事件の詳細を述べたりするワイドショー的なノリ。
「宅間」という特殊な事例を一般的な事例に適用しようとしている。演繹法にしてもあまりにお粗末過ぎる。
「国家とはなにか」「カネと暴力の系譜学」で見せていた強烈な論理的流れはこの中には見られない。
まだ1/4(78/318)ほど読んだだけだが非常に残念な気分である。
今後の展開に期待して⭐️2個に。
2023/12/29
前半の非論理的に見える部分が前振り。論理の流れを優先したために -
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テーマと前書きはめっちゃくちゃいい(そこだけに星3つあげたい)けど大学生の論文なのでリアリティがないというか、ニーズにあってないというか。
私個人の好みの影響もあるかなとは思う。
このタイトルの本を読むのはおそらく「女子力」にもやってる人で、それがゆえに結婚とか出産にももやってる人もいて、そんな人が読むであろう本の最初の章が「早期出産のすすめ」(意訳)て!!!喧嘩売ってる?!?!晩婚や閉経を動物と比べるなよ!!!失礼だろ!!もう笑っちゃったよ。
早く生むことも遅く生むこともできる大学生にはわからないでしょう、この気持ち。
社会にでてないからデータでしか語れないのもなんか足りない感じがしてもやも -
Posted by ブクログ
死刑制度について、廃止と存続、双方の立場の議論をざっと俯瞰した本。
コンパクトにまとまってる感じ? 著者の独善がやや気になるけど。それに死刑の歴史的経緯についてまったく触れられてなくて現在だけを論ってるのは物足りなくもある…けど、それでは紙幅が足りなくなるかな。
著者は大衆の処罰感情を尊重しろという。でも感情論を正当化すると、政治テロや私刑だって、正当化されちゃわない? 特に、「相手を殺して自分も死ぬ」タイプの殺人とかさ?
著者は、死刑の存続の論拠に、遺族の復讐感情を挙げるのは難色を示す。殺人事件の被害者遺族(死刑判決出るのはまあ殺人事件に決まってるし)といっても皆が皆同じように死刑を望むわけ