萱野稔人のレビュー一覧

  • 死刑 その哲学的考察

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    死刑に関して正面からかつ丁寧に論じた一冊。1、2章と死刑の実情と課題を挙げての3章からが本題。道徳で決着がつかないことには肯首できるし、冤罪に関する論は余り意識したことがなく興味深かった。

    ただ冤罪の賞はやや急ぎすぎで以下の点などは納得するに至らなかった。
    ・死刑は取り返しがつかないことに依っているが、他の刑は本当に取り返しがつくのか。確かに終身刑や無期懲役の場合は冤罪が認められた際に社会復帰することも可能だが、それまで拘束されていた期間は本当に償うができるのか。不可逆な時間を戻すことが出来ない以上、経済的もしくはその他補償で取り返しがついたと言えるのか。それを考えるには生や時間の価値にまで

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    2019年02月03日
  • カネと暴力の系譜学

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    以前単行本で持っていたものを文庫で買い直しました。もっと早く読んでおけばよかったと反省しています。若い子に特に読んで欲しいです!

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    2019年01月04日
  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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    資本主義経済について、経済学者と国際関係学者との対談をまとめたもの。現在の資本主義体制は、マクロ的に転換点にあり、金融緩和(ゼロ金利政策)を継続してもデフレ脱却はできないことを中心に、説得力ある発言が多かった。わかりやすい。
    「新興国の台頭によって、エネルギーをタダ同然で手に入れることを前提になりたっていた近代社会の根底が揺さぶられている」p18
    「基軸通貨だからこそ、アメリカの財政赤字や経常収支赤字がいくら膨らんでも、各国はドルを買い支えてくれる」p52
    「どのヘゲモニーの段階においても、実物経済がうまくいかなくなると金融化が起こる。そしてその金融化が進むと、同時に、(バブル経済が起き)そ

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    2018年11月12日
  • <女子力>革命

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    女子の不安解消に役立ちます!
    将来どうなるのだろうと思っていた事や考えなければならない事が記されていて参考になりました。
    リアルな未来を想像する事ができ、、今できることをやろうと思いました。

    本のデザインも可愛く、読んで良かったです。

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    2018年11月08日
  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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    現在の日本の経済状況(主にデフレ)を考えるときに、今までのパターンのひとつと考える流れと、まったくあたらしいパターンと考える流れがあるが、この本は後者。資本主義の形がかなり変わってきていているので、この100年単位の考え方では通用しないというもの。

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    2018年11月06日
  • 金融緩和の罠

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    哲学者の萱野稔人氏が金融緩和策に批判的な三人の専門家(藻谷浩介氏、河野龍太郎氏、小野善康氏)と対話形式でのインタビュー内容を文字に起こしたものである。
    3人の中でも小野氏の内容が興味深かった。
    小野氏の論理展開の大前提は、「お金が究極の欲望の対象になる」ということ。成熟社会では、モノがあふれていて、モノへの欲求がお金への欲求より低くなってしまったとする。
    「成熟社会になってもまだまだ人びとにはほしいモノがある」との反論に対しては、
    「もっているお金をつぎ込んで、ほしいモノを次々に買うのかと聞いてみると、大概の場合、返ってくる答えはこうです。『いや、お金がもったいないから買わない』
     この言葉こ

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    2021年08月08日
  • 金融緩和の罠

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    2013年刊行の少し古い本。三人の著名エコノミストがアベノミクスの掲げる金融緩和を真っ向から否定し、その危険性を解く。
    自分の理解できる範囲で、何で金融緩和が意味がないかという理由は2点)。
    1.日本は人口オーナス期(現役世代が減少して高齢化社会)に入っていて、人口が減っていくところに需要は生じないというもの。需要のないところにお金をジャブジャブ注ぎ込んでもその効果は?
    2.人は豊かになっていくとモノではなくお金の所有願望が強くなっていくというもの。ものが溢れている日本にお金をジャブジャブ注ぎ込んでも実際にお金がモノに変わるのか?
    2番目については思いあたる節もあり目から鱗。ミニマミスト思考と

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    2018年01月22日
  • 死刑 その哲学的考察

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    基本的にはとても良かった。私は死刑反対派だが、賛成にしろ反対にしろ一分の理以上のものがあるので、どちらの意見に与するにしても難しい。日本では賛成派が圧倒的なので、反対派としてはどう反対するのか、はかなり理論武装しないといけない。本書は著者が反対派寄りとはいえ、結論ありきではないので、賛成派にも自分の意見を確認し、改めて正しいと思えるかどうか考える良い機会になるのではないか。反対派にとって最も困るのは「じゃあお前の家族が殺されてもいいっていうのかよ!」という感情論で、それは家族が殺されたらそりゃ殺したいわ、と思うし、最高刑が死刑な現実の中で、最高刑しか妥当じゃないという判断は当然あるわけで…。ま

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    2017年12月28日
  • 死刑 その哲学的考察

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    政治や国家といったプラグマティックな問題についての論考で知られる哲学・社会理論研究者の著者による死刑論。

    本書の前半は、カントの思想をベースにしながら、道徳的な観点から死刑の是非を考えるところからスタートする。そうした議論の中で、道徳とは普遍的なものではなく、状況により変化するものであること、道徳の根源とは人間の”応報論”、つまり「やられたらやり返す」という極めてプリミティブな心情にあることを明確化した上で、そうである以上、重度の犯罪に対して、死刑により天秤が釣り合うと考える人もいれば、死刑では釣り合わないと考える人もおり、必然的にどちらかに決まるということはあり得ないということが見えてくる

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    2017年12月17日
  • 死刑 その哲学的考察

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    死刑という制度を道徳的視点と政治哲学的視点から論じた書籍。

    平易な文章かつかなり細かい部分に関しても抜けが無いように落とし込めており、決して少ないページ数ではなかったが、一気に読み通すことが出来た。

    唯一の欠点としては一度脱線するとかなり長いページ数が割かれてしまうこと。一瞬本題を忘れてしまうぐらい脱線してしまうので読む際には注意が必要。

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    2017年11月29日
  • 闘うための哲学書

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    新書でまさかの400ページ(1,000円)!読み応えありました。哲学の古典をもとに、二人の哲学者が対論する本。結構激しい言い争いになっている箇所があったりして、それもまた面白い。
    22冊も取り上げれば、ちょっと知っている哲学者も初見の哲学者もいて、知っている人だと「こういう見方もできるのか」という驚きになり、初見だと「こういうことなのか」と勉強になる。
    特に、二人が哲学を日常に活かすことに心血を注いでいることが良かった。机に向ってコツコツとやる研究ももちろん大事だけれど、そこから何か実践につながるものがあると、読んでいて面白い。もしなかったとしても、それはそれで大事な研究ももちろんあるのは前提

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    2017年08月17日
  • 下流中年 一億総貧困化の行方

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    未来に希望が持てない、何となくそういう雰囲気が定着しつつあります。本書を読んで更に今後どうなっていくのだろうと、不安に思いました。誰もが貧困に陥る可能性があり、それは個人の頑張りだけでは解消できないところまできています。当たり前に働けば生きていける、そういう時代ではなくなってきているようです。
    ではどうしたら良いのか。それを皆で考えていかないといけないのです。

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    2016年11月13日
  • 成長なき時代のナショナリズム

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    各地で叫ばれるナショナリズムについて分析した上で、その対策にまで踏み込んだ1冊。
    ナショナリズムの原義からすれば、リベラル派もナショナリズムであるという主張に納得させられた。また保守派とリベラル派でナショナリズム含め、議論になぜズレが生じるのかということにも触れられているのがよかった。
    ナショナリズムを分析したあとは、おきまりの低成長時代はどうすべきかという議論になるが、他の本と比べ、特に目新しい点はない。ただ日本政治の動きと連関づけられて語られてる点で、他の本と少し違うと感じた。
    ベーシックインカムの是非についても、労働からの解放は果たして善なのかという問いを投げかけているところが興味深い。

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    2016年01月18日
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか

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    ナショナリズムと国家。この二つに共通していることは、言語と暴力である。これは統治していく上で切り離せないという考えは確かに頷ける。また、グローバルになればなるほど、海外の安い労働力を利用することになり、経済格差がおこるという矛盾。それが巻き起こすナショナリズム。現在の不安定な世界を観ると、国内経済崩壊による外部経済への拡張。すなわち戦争という暴力による侵略が実際に起こってもおかしくない不安定な状況。そこはかとなく怖さを感じるのは自分だけだろうか?

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    2015年11月27日
  • 闘うための哲学書

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    タイトルはうさんくさかったけど中身は良かった。
    露骨にバチバチ意見を食い違わせてて読み物としてもおもしろかったし、解釈の違いとかの勉強にもなった気がする。
    残念ながら読んだことのある本は一冊しか無かったので何を読むか決めるときの参考にもしたい。

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    2015年07月12日
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか

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    「ナショナリズム批判」を批判する立場をとる萱野氏のナショナリズム論。
    アーネスト・ゲルナーのナショナリズム論を軸としながら、アンダーソン「創造の共同体」やネグリ、ハートの「マルチチュード」などを批判しつつ、それらが国民国家、ナショナリズムの亜流や変形でしかないことを指摘している。またグローバリゼーションが、国民国家を不要とするリベラル派の予想通りには進んでおらず、むしろナショナリズムの高揚につながることを指摘している。

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    2015年03月22日
  • 闘うための哲学書

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    新書にしては、分厚い、エネルギッシュな本です。対談を通してだと、お二人の考え方がよりいっそう伝わってくるような気がする。中身でも書いてあるように、小川さんが理想主義者、萱野さんが現実主義者。わたしはどっちかというと小川さん寄りなのだけど、萱野さんの物事に対する姿勢は徹底しているような気がして、好感が持てた。
    ただ、哲学の入門書としては、どうなんやろ。わたしはこういう本をよく読んでいるつもりやけど、いっこうに「わかった」気がしない。ゆっくりわかってくる、そんなかんじも哲学を学ぶ醍醐味なのかなと思ってますが。

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    2015年03月09日
  • 闘うための哲学書

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    市井の哲学徒の私にとっては、今更ながらではあるが、対談の二人のというか、主に萱野稔人氏の意見を読みたいがために買ったようなもの。
    紹介されている哲学書は、読んだものもあり、解説書を読んで済ませていたものもあり、改めて、課題図書は読まねばいかんなと思った(^_^;)
    この対談を読むと、どうも小川さんの理解が浅いような感じで、萱野さんに押されてるような場面が毎度あった。
    小川さんの著書は読んだことはないが、(入門書のようなものが多いので、元より読まずに済ませてきたのだが、)今後も読まないかもと思った次第。
    萱野さんの著書は、積読になってるが、読まねばならないと改めて思った(^_^;)いかんな、消化

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    2015年01月24日
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか

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    アーネスト・ゲルナーが定義するナショナリズムを基本に,その歴史的な意義と機能を明らかにする書籍。

    ウヨクやホシュハを擁護するものではない。
    そのことは、以下によく表れている。

    「私がナショナリズムを肯定するのは,基本的に『国家は国民のために存在すべきであり,国民の生活を保障すべきである』と考えるところまでだ。もしナショナリズムが『日本人』というアイデンティティのシェーマ(図式)を活性化させて『非日本人』を差別したり『日本的でないもの』を排除しようとするなら,私はそのナショナリズムを明確に否定する。」(29頁)

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    2015年01月04日
  • 闘うための哲学書

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    筆者らは「哲学」が年々学問の場から遠ざけられている事に対して意義を唱えようとしている。一つは学問や生き方に取って哲学は重要であるという事を認識してもらう事。そのためにこのような本を出版して啓蒙している。
    事実、この本を読むと哲学は人生を良く生きる為の武器になる学問である事がわかる。

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    2015年01月01日