萱野稔人のレビュー一覧

  • 金融緩和の罠

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    対談集。
    藻谷浩介;「デフレの正体」著者。
    河野龍太郎;BNPパリバ証券経済調査本部長。
    小野善康;大阪大学社会経済研究所教授。

    はじめに
    第1章 ミクロの現場を無視したリフレ政策 藻谷浩介×萱野稔人
    第2章 積極緩和の長期化がもたらす副作用 河野龍太郎×萱野稔人
    第3章 お金への欲望に金融緩和は勝てない 小野善康×萱野稔人

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    2019年03月27日
  • カネと暴力の系譜学

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    国家と暴力、国家と資本の関係について、著者みずからの思想をわかりやすい文体で展開している本です。

    国家は唯一、正当な暴力を行使することのできる主体として存在しています。著者は、人びとの公共性にもとづいて正当性が担保されるという発想をしりぞけ、国家が暴力を独占し、暴力の合法性を独占することが根本にあると主張します。さらに、上部構造である国家は下部構造である生産様式によって決定づけられているというマルクス主義の立場を批判し、国家による暴力の独占によって、資本が身分制度から解放され、資本主義の全面化が生じたと論じています。

    著者の議論の背景にはドゥルーズ=ガタリの思想がありますが、著者自身はポス

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    2019年03月09日
  • <女子力>革命

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    借りたもの。
    現代女性の生き方、働き方を考える一冊。論文と座談会。
    特に明確な答え、方法論などがあるはずも無いが、今後のライフスタイルを考えるにあたっての判断材料になる。
    おひとりさまのライフスタイル、そして同性婚についてまで。

    結婚、出産に関する年齢的限界、更年期障害…あらゆることに身体的にタイムリミットのような節目があり、女性にとっては怖いことばかり書いてあるような……
    結婚する相手――自分に合ったいい人――を見つける奔走はいつの時代もあったり(戦後、メディアの発達に伴い、それが明るみになっただけだろう)、医学が発達しても必ずしも授かる訳ではない不妊治療、ホルモンバランスの崩れからくる精

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    2019年01月12日
  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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    歴史的な観点から資本主義の終焉を語るエコノミストの水野和夫と、気鋭の政治哲学者である萱野稔人の対談が収録されています。

    水野の本では、彼の資本主義の見方が簡潔に説明されている『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)だけしか読んでいなかったのですが、本書でもそれとおなじ見解が語られています。ただし、萱野が国家と資本主義の関係という問題設定を持ち込むことで、上の本では抽象的にしか語られていなかった、ポスト資本主義に向けた日本の課題が、現代の日本が国家として直面している課題にいっそう具体的に結び付けられるかたちで説明されており、水野の立場についてもうすこしくわしく知ることができたように感じてい

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    2018年10月14日
  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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    競争の作法やデフレの正体と同時期に読んだので、この20年くらいの経済の停滞について色々な見方があるなあと思うばかりである(対話者の一人が政治哲学者なので期待してなかったのだが)。エネルギー業界にいるものとしては、資源価格の高騰が交易条件を悪化させたことがデフレの原因とする説は、非常に共感できた。したがって円高がまだましだとする考え方もその通りだと思う。

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    2021年08月08日
  • 下流中年 一億総貧困化の行方

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    団塊ジュニア、就職氷河期世代が、若年者ではなく、すでに中年世代に突入。ますます捨て置かれる非正社員の彼らの実態とは。

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    2018年06月19日
  • 死刑 その哲学的考察

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    ネタバレ

    まだ加筆・編集すると思うけど、とりあえずメモ。
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    ​非常に明快でわかりやすい。

    道徳について、定言命法からのアプローチはとてもおもしろかった。
    確かに根拠がないからこそ絶対といえるのかもしれない。
    そして著者は、「道徳は論証されなくても力を持つ」との結論に落ち着き(その道徳ってそれ自体が思い込みやご都合主義なんじゃないの?という疑問が残るけど)、カントの「同等性の原理」を根拠に死刑を肯定する。
    デリダの議論をありがたがる人々を痛々しいとハッキリ述べているのは痛快だった。

    ところで、本書の中盤では死刑制度の是非の根幹である「なぜ人を殺してはいけないのか」という問いについて長く語られ

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    2018年04月10日
  • 下流中年 一億総貧困化の行方

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    後半の団塊ジュニア世代12人の歴史が興味深い。一人目の女性の一度終身雇用から抜けると…のくだりは日本が一度正規ルートのようなものを外すと戻れないことを如実に示している。

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    2017年12月03日
  • 下流中年 一億総貧困化の行方

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    ロスジェネ世代、新卒時に思うような就職が出来なかった不本意非正規、正規に這い上がるのは困難。もう若者じゃないので支援対象でもなく、子どもも持てずに終わり、加齢とともに稼げなくなっている。自己責任じゃなく社会の問題。

    変わっている世の中に対して、遅れている意識と制度。先のしくみで利益を得た人たちがいなくなれば、変わるんだろうけど。

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    2017年07月16日
  • 下流中年 一億総貧困化の行方

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    普通に会社に入って。。ということが普通でない人々もいる、という現実を見た気がしました。
    私たち中年にとっては、働くっていうことは実はかなり重要とも認識しました。
    解決への道は見えず。

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    2017年06月23日
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか

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    もともと政治には興味がない。
    右翼、左翼の意味も分からない。
    韓国に対して、なぜ一部の人が噛みつくのか意味不明

    とはいえ、さすがにいつまでも無視するわけには
    いかないだろうと、少しでも勉強しようと、なぜか
    この本を手に取った。

    結論から言うと「予備知識無しでは意味不明」だった
    最大の問題は、この本で語られる「ナショナリズム」
    とは、何なのかがさっぱり分からなかったということだ。
    著者にとっては明確に存在しているのは確かで、
    「それ」に対して非常に攻撃的ではある。しかし
    「何」に攻撃しているのか、予備知識がないと
    さっぱり分からない。

    でも、困ったことに面白いのだ。
    そういう困った本である

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    2017年05月13日
  • 没落する文明

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    知的な対談。テーマが面白いが、東日本大震災の直ぐ後だからか、震災や自然、リスクとテクノロジーなどの人間の限界を取り上げた内容になっている。これは、個人の問題だが、目新しい事がなくあまり頭に残らなかった。

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    2016年10月18日
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか

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    フランス現代思想を参照しながら、日本におけるポストモダン思想の「反ナショナリズム」の議論の底の浅さを指摘しています。

    著者はまず、反ナショナリズムを標榜しているはずの左派知識人が格差問題について積極的に発言をしていることに疑問を投げかけます。著者によれば、格差問題はどこまでもナショナルな問題であり、ナショナリズムに依拠することなく格差問題に対する対応を政府に求めることは矛盾していると論じます。その上で、「ナショナリズムとは、第一義的には、政治的な単位と民族的な単一が一致しなければならないと主張する一つの政治的原理である」というゲルナーの定義に基づきながら、国民主権の達成へ向けてのプロセスをナ

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    2016年09月16日
  • 下流中年 一億総貧困化の行方

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    ネタバレ

    近年悪化してきている、現役世代の貧困率。救われるべきは「下流中年」ではないか? 他人ごとではない中年のリアルな危機を明らかにする。雨宮処凛と萱野稔人の対談、ルポ・下流中年12人のリアルも収録。

    見につまされる・・・。
    それよりも甥っ子たちだ。

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    2016年08月30日
  • 下流中年 一億総貧困化の行方

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    高齢者の貧困率は統計的に改善を見る一方で、深刻化しているのが40代中年層と子ども。
    高齢者の改善は、終身雇用で年金を満額でもらえる層の増加。でも、バブル崩壊後リストラの煽りを受けた方々も多いでしょうし、一概にそう言えるのかはよく分からない。
    下流中年の背景には、就職氷河期に遭遇し、雇用の調整弁として使われてきた世代であるということ。派遣労働から抜け出せず、給与も年金も低いまま推移。
    決して個々人の能力の問題でなく、社会が作り出した作られた下流。この世代が高齢化する中で、社会の助けを必要としてくる。
    このツケにどう向き合っていくのか?重たい課題。

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    2016年08月14日
  • 下流中年 一億総貧困化の行方

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    下流老人よりも、下流中年の問題の方が深刻。

    1度、非正規に落ちたら、戻ることのできない悲劇。上司からの罵倒や、職安からのダメだしなどの悲観的な話。コミュニケーション能力の大切さ。

    差別や格差はいけないと言うけど、この先も解決されない問題と認識すべきではないのか。
    非正規は正社員にならないといけないのか。もう10年以上も言われてる話だけど、なれないし、ならなくて良いのでは。
    あまりにも、年配のひとたちの右肩上がりの時代の当然に付き合って、傷付かなくて良いのではないか。

    誰かが何とかしてくれる。実際のところ、誰も何もしてくれない。結局のところ、自分しか信用できないと言うこと。

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    2016年05月14日
  • 闘うための哲学書

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    哲学の有名どころに対して、理想主義と現実主義の二人の著者が議論していく本。この人の打ち立てた哲学はこうである、という説明に留まらず、こういう見方や課題がある、という事まで見せてくれるので、なかなか面白いアプローチに飽きる事なく読める。
    ただし、逆に実際の各哲学の論点が消化不良になり気味なので、後でゆっくり読み返したいと思う。

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    2015年10月24日
  • 金融緩和の罠

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    ネタバレ

    金融緩和に懐疑的なインタビュアーが、意見を同じくする3人の専門家との対談を通じて、アベノミクスの金融緩和を批判的に記したビジネス書。結局『罠』とは、政府債務の増大とその後訪れるであろう国債価格の暴落、通貨信用の毀損(円の暴落)と、従来の反リフレ派の主張と変わらないところ。
    3人の専門家の意見に納得する部分も多かったが、同時に100%同意できるわけでもなく、納得できない部分も多々あります。とはいっても、全般的にわかりやすく、楽しく読ませていただいた。

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    2015年03月16日
  • 没落する文明

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    対談というよりも、放談。予想していることの方向性は間違っていないと思うが、実現するかどうかは全く未知数。知的格闘は必要ない。さくっと読め、手軽。

    ・2007年の調査「自力で生きていけない人たちを、国や政府は助けるべきだ」への同意が34カ国中、日本は最下位。
    ・あらゆるリスクが事実上、国家へと集まってしまう問題がありそうだ。
    ・世界で最初に工学部を擁した総合大学は東大。
    ・資本主義の歴史では、生産拡大の局面の後には、金融拡大の局面が必ずやってくる。バブル。
    ・成長幻想と輸出立国幻想。

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    2014年12月12日
  • 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか

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    著者の前著「国家とはなにか」を読んでいる人にとっては内容が薄い。最新動向としてフランス大統領選時の極右の台頭が、グローバリゼーションによる格差社会を前に生まれたという事象を、彼の国家論に取り込んでいる。この本が言いたいことを一言で言うと「グローバリゼーションは格差を生み、低所得層はネーションとしての「国民」アイデンティティが強くなるため、ナショナリズムが大きくなる。よってグローバリゼーションは国民国家を消滅させることはない」というもの。また、野心的なタイトルではあるが、書の冒頭で彼も主張しているように、彼は排外的なナショナリズムは否定し、あくまで国民国家を成立させているナショナリズムのみを肯定

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    2014年03月23日