池上正樹の一覧
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ユーザーレビュー
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序章から何とも例えようがないずしりと鈍く重い気持ちになりました。
当事者である柴田さんの
「いっそのこと、絡み合った問題の糸を、全部燃やしてやった方が早いのではないか」
という言葉の背景を想像すると、同年代だからなのか、共感する部分もあるからか、どうしても他人事には思えませんでした。
その後の章で
...続きを読むも様々な理由・環境で”ひきこもり(未満)”の状況にある方々が出てきて、中には警備員になられた高橋さんのような理想的なステップを踏んでいかれる話もありましたが、やはり再び最終章で紹介された柴田さんの話が序章とあわせて印象に強く残りました。
最終章では柴田さんから筆者の池上さんに送られたメールが時系列で紹介され、折々のアクションについても書かれていましたが、個人的には最初の会合の開催をきっかけに少しずつナーバスになられていっているように感じました。
柴田さんの思うような条件で会合が開催され、理想の形でできていたら、もしかしたらもう少し生きていらしたのか?
そんな想いもふと抱きました。
同時に冒頭の「問題の糸を全部燃やす」という言葉を発した時には、もしかしたらそれはそこまでの本気ではなかったのではないかとも感じました。
勝手な推測ですが、9カ月のロスタイムは生きる糧になる物事への希望が少なからずあったからではないのかなと。
とりあえずは読み終わった直後の感想を思ったままに。
もっと頭を整理してまとめておきたい考えや感想もあるけど…。
Posted by ブクログ
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「体裁は整っているように見えるのに、何か大事なものが欠けている」
この新書は、この一文から始まります。
私は何か日本社会の本質を描き出した一文だと思います。
ひきこもってしまう原因は、十人十色です。社会や組織から理不尽な仕打ちを受けて、
自分に存在価値を見つけられず、ひきこもってしまう。体調や精神
...続きを読むに不調をきたして、
ひきこもってしまう。一概に、これが、ひきこもりになる原因とはいえません。
また引用すると、「周りの空気を読みすぎてしまうくらい心やさしい感性の持ち主だからこそ、ひきこもってしまうのだ」。
やさしい人が、ひきこもってしまうなんて、なんだか矛盾しています。
やさしい人だからこそ、社会で活躍してほしい。
しかし、本当にやさしい人は、今の社会では、この凄く生きにくい、これは真実だと思います。
少なくない人が日本社会や組織に違和感を感じていると思います。
異常な社会と言った方がいいかもしれません。
何が異常かは、うまく表現できませんが、冒頭の一文を考慮して表現すると、
日本社会は、ものすごく便利な社会ですが、人が生活をする上で極めて困難になっている。
普通は便利になると生活が快適になるはずですが、それは表面的な
便利さで、人が元気に幸福でいられる要素を奪っていっているように思えます。
ここ十数年でしょうか、もの凄い勢いで、社会が変化して、大事な何かを失ったのかもしれません。
その失ったものは、おそらく人が生きていく上で絶対に必要な
何かだと思います。共感、優しさ、助け合い、、、なかなか表現できません。
日本社会はどんどん便利な社会になっていますが、心に余裕がなく、競争が激烈で、
何でも成果を求められ、人と人が、助け合うことが、なかなか難しい社会になっています。
経済成長が明らかに行き詰って、労働人口が絶対的に減っているのに、
GDPを増やせと言っている時代です。1人当たりの労働生産性を上げれば、大丈夫!
個人にもっと付加価値をつけろ!、、、社会からの要請は、いつも現実とかけ離れています。
そのしわ寄せは、あらゆる所に及んでいます。
私は今は、組織人として働いていますが、いつクビになり、放り出されるかわかりません。
日本社会は一度、社会との結びつきが途切れると、復活するのが困難な社会です。
間違いなく、私は「大人のひきこもり予備軍」です。私の周囲には、ひきこもっている友人は、
結構います。どの友人も、優しくいい奴です。みんな一生懸命、働きたい、でも、ひきこもってしまう。
自分に、できる事といえば、相手の話に耳を傾けることぐらいです。
今は、利益を出せる人間とそうではない人間とに、社会が振り分けているような感じがします。
誰も好き好んで、ひきこもりになったりしません。
そうせざるを得ない理由があったからです(本書にも、具体的な事例が書かれています)。
その理由をしっかり受け止めてくれる機関や人は、なかなか存在しません。人は自信’がなくなると、
行動することが億劫になりますし、今の自分を客観的に振り返り、再度、行動するのは、かなり困難です。
嘆いても仕方ないですが、嘆かずにはいられない状況です。
Posted by ブクログ
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四十歳以上の、公的支援を受けられないひきこもりは推定100万人以上、という衝撃的な予測で始められた本書は、高齢化していくひきこもりの現状について、その分析と、いま現在取られている対策とを広く紹介したものである。
最新の内容を含んだ新書であり、この本は早く読んだ方がいい。情報は古くなればなっただけ
...続きを読む価値を失う。これだけの内容が古びてしまうのは、それだけで大変惜しいものだ。
個別事例も多く含まれているため、古びてからも読む価値がない内容ではないのだが、ひきこもり対策の現状について現場の動きが読めるのは、大変価値ある内容である。
個人的には、大変心を揺り動かされた一冊だった。現状の苦しさ、難しさを改めて見せつけられ、解決されない問題について、考えさせられる。
新書とはこうしたものであるべきだろう。なんの衒いもなく、星五つである。
Posted by ブクログ
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80代の親と50代のひきこもり子を扱った本。
親の遺体と暮らしたり監禁されたりと様々なケースが紹介されている。
一番惨いのは年齢により救いの声を封殺した行政と思われる。「9060問題」に移っているのも考えさせられる。
東京都も重い腰を上げたようだが2020年コロナ禍によりまた事態は変わるような気がす
...続きを読むる。
Posted by ブクログ
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努力しても駄目な理不尽な目にある社会的孤立者たちのルポタージュ。
淡々と生を絶つ事となった柴田さん。文面や会の条件付けなどから察するに自分で言うほど不真面目な人間ではなかったと思われる。父親のアルコール依存と母親の風見鶏的態度も影響大なのであろう。自己責任という言葉を嫌いつつ自己責任で死を選ぶ状況を
...続きを読む看過してよいものなのか考えさせれられる。
Posted by ブクログ
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