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戦争することが「人間の本性」であるとすれば、私たちはいかに平和を獲得しうるだろうか?『永遠平和のために』は、西洋近代最大の哲学者カントが著した平和論の古典。空虚な理想論にとどまることなく、現実的な課題として戦争の克服方法を考察した本作は、争いの火種が消えない現代にあらためて読まれるべき一冊だろう。 好評を博した番組テキストに大幅な加筆を加え、待望の書籍化!
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Posted by ブクログ
大前提として、こういう解説書は初学者には非常に良いと考えている。なぜなら、原文を読んでも意味がわからないことが多いからです。 そういう意味では、私のような初学者には非常に心強い内容でした。 カントは理想主義者ではなく、人間の暴力性を理解した上で、法によって政治をコントロールする必要があると考えてい...続きを読むる。 また世界国家のようなものはうまく行かないと考えているような非常にリアリズムを持った哲学者でした。 ロシアがウクライナを攻めている今、改めて世界のあり方を考えるための基本的な一冊になると思います。 他方でカントの時代と大きく異なる点は、核兵器の存在で、カントの考えを引き継いだ哲学者たちが、核をどのように捉えているのか知りたいと思いました。
予習として読んだ。分かりやすい!単語の意味を当時の歴史的背景や学問的系譜を踏まえて解説してくださるので、これを読んでいた方が本文の理解が深まる。
哲学書など読んだことのない私が読んでみた。 本書の「はじめに」では、インターネットが軍事目的で開発され民間に転用された例として(しかも当然誰もが知っている事実であるかのように)挙げられているのが、まずとても引っかかる。Wikipediaを見ると、1994年7月の米タイム誌の記事が俗説・流言として(...続きを読む騒ぎたがる一部のネット住民の間には)広まってしまっているらしい。この文章が「煽り」でないことを期待したいところだが。 本書全体の感想としては、カントの考え方の部分部分の論をわかりやすく説明していると感じる一方、それら各論が順序だてられていない印象がある。これはカントの原著の記述の順序に従って説明するせいかもしれないが。内容の繰り返しや後戻りがあったり、現代の教育を受けた者にとっては、至極当たり前な常識的内容にも字数を割いていると感じた部分もあった。その結果、読み進めるに当たって、いくつもの部分部分の理解を、整理し、まとめて理解するのが難しく感じた。 本書のカント哲学で画期的かもしれないと思うのは、 1. 人間は戦争を避けられないという本性を認めたことと、 2. 人間の性質に共通する正しい道徳が存在すると認めたこと、 3. 人が従うべき道徳を、「形式」的な(条件を付けないそぎ落とした形の)道徳と定義したこと、 だろう。 1. は否定したくても、歴史を見ると否定できない。このように割り切って考えることで平和論が進められる。 2. はほんの少しの項目にはあてはまると思う。殺人の忌避と嘘の忌避だけかも。しかしそれ以外の、意見が分かれる項目が多すぎるのではないか。 3. 大胆に割り切った考え方だと感心した。この前提があることで平和論が進められる。 文化を共有する集団は、国家でなく民族と呼ぶべきもののはず。そして異なる民族が同じ国家に属しながら抑圧されている民族集団が多数ある。多くの国の数えきれないほどの国家内少数民族、大きい民族集団にも中国内のウイグル族、チベット族、モンゴル族。逆に民族が別々の国家により(非公式に)望まずして分断されている例がある。モンゴルと中国の内モンゴル自治区。 カントの考える国家は民族集団と重なって論じられているので、現実の国家と民族の対立問題を考えると、カントの平和には非常に重要な考察すべき問題、もっと言えば哲学すべき問題が残されていると思う。そうはいってもこの問題は平和論にまとめるのではなく、独立して考察せざるを得ないほど難しすぎる問題なのかもしれない。 特に21世紀の現実世界になってからというもの、カントの哲学を当てはめられてはいられないような事象があふれてしまっている。 カントの原著を読まずに本書を読んだだけで言うべき言葉ではないかもしれないが、私の未熟な印象としては、カントの哲学が著者が言うように理想論ではないにしても、まだ理想的な事柄に立脚しているように思わざるを得ない。すなわち、カントの努力目標である、人間が本来持っているはずの「自然」の(善の)道徳、「誰もが正しいと認める普遍化」された道徳に沿った国際法の策定は、期待や希望にはなりえても、それが実際の現実世界へと発現させることができるのか。 本書である程度具体的に述べられている「自分だけは法の適用をまぬかれられる」ことのない国際法の策定の実現を考えてみると、例えば国連憲章やいくつもの(大国が加わろうとしない)国際法や、戦争回避・難民救済・核兵器廃絶のような相当な程度で普遍化された(と私が思う)道徳に対して、悪意を持つ為政者は、そもそも知っていながら知らないふりをする、もっと言えば、もっともらしい理屈をつけてこれを平気で無視している人(国家)が多数いることに、どう対応すればいいのか。カントは努力目標を掲げるだけで、結局、ある程度具体性のあるような問題の解決手段は示せておらず、実現の道筋も見えてこないというのが正直な感想だ。 私のこの感想からは、カント哲学が未熟だと考えることもできるが、ただカントが期待するような永遠平和のための「国際法」の成立に必要な時間がまだ経過していないだけなのだ、つまり世界はまだまだ未熟で徐々に良くなるはずなのだ、と考えられるのかもしれない。しかし後者が正しいとすると、いまだはるか遠くにあるカントの哲学と、現実とを埋める別の哲学が必要になってくるのではないかと思う。
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萱野稔人
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