小川哲のレビュー一覧

  • ゲームの王国 下

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    ムイタックとソリヤの関係性というテーマは綺麗に解決して終わったと思うんだけど、それ以外の全てが取っ散らかしっぱなしで終わった感じ。架空戦記じゃなくてSFだったってのも嬉しさより落胆のほうが勝った。出てきた様子のおかしい人たちも雑に死んだり放置されたりでもやもや…… 不思議と読後感は悪くなかったけど、うーん……

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    2025年12月16日
  • 嘘と正典

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    ネタバレ

    内容を忘れてしまったので再読する。6篇で1冊。

    ❶魔術師
    父、竹村理道は天才マジシャンだった。タイムマシンという奇術を発明し客席が阿鼻叫喚のなか19年という時間を遡る。姉もまたマジシャンとなり、そのトリックを明かすためタイムマシンを行う。

    ❷ひとすじの光
    スペシャルウィークという競走馬と、それを追っていた亡き父の原稿

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    2025年12月10日
  • ユートロニカのこちら側

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    小川哲のデビュー作。

    巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。
    その都市で暮らす為には自らの視覚や聴覚、
    位置情報などプライバシーの全てを提供しなければならない。
    ただし、その代わりに得られる報酬で平均以上の豊かな生活が保証される。
    そんなアガスティアリゾートに纏わる人々の6つの物語。

    デビュー作で日本ではなくアメリカ、しかもディストピアを描く、
    まさに挑戦的とも言えるし、トチ狂ってるとも言える。
    そんな規格外な発想を実現させた小川哲に賛辞を贈りたい。

    ビックブラザーのいないオセアニアの様な世界。
    すごく乱暴に言えばそういったところか。
    不都合な真実は見向きもされない。

    人間は次第に無識状態に回帰していき、そしてユートロニカが訪れる。
    永遠の静寂。これほど恐ろしいことはないんではないだろうか。

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    2025年12月03日
  • 地図と拳 上

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    第168回(2022下)直木賞。上下で700頁を超える長編。日清戦争後から終戦まで、満州に造ったとする理想郷の統治。その意味でSF。速いテンポで主人公も明確に展開するので、サクッと楽しんで下さい。

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    2025年11月16日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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    ネタバレ

     本書は、小川哲がパーソナリティを務める(務めた?)ラジオ番組でのゲストとの対話をまとめたもの。作家、映画監督など表現者との対話が主であり、なかなか錚々たる顔ぶれだ。1年半ほどの番組の中からセレクトした12人、12章が並ぶ。
     ざっと見て、万城目学、逢坂冬馬、九段理江、加藤シゲアキとその著作を読んだことのある作家が目立つ。芸能人作家でもある小泉今日子に太田光も、どちらの著書にも触れたことがある。映画監督濱口竜介は、ちょうど『悪は存在しない』が上映されていたころの対談か。映画も観ているので話が分かりやすい。
     そう、登場人物たちの作品にある程度触れていないと、その会話の深みが味わえない部分もあるが、本書をきっかけに、それぞれの作家の作品へ目を向ける一助にもなる。

     それに作家たちは、小川哲も含めて、いろいろ古今東西の作品を読み込んでいるな、とういうこともよく分かる。小川哲は、このラジオ番組の仕事のためということもあろうかと思うが、対談者の作品は実にしっかり読みこんでいて感心させられた。
     しかも、その読みが、半端なく深い!!
     万城目の文章について、「」の後に“と言った”を付けないと指摘して、そこに気づいたことに万城目から驚かれるシーンは圧巻だ。

     逢坂冬馬、九段理江との創作談義が深みもあって面白かったかな。九段理江は、声もいい。

     そうそう、この対談は、元になったラジオ番組もネットで聞ける。本書の冒頭にQRコードがあり、番組サイトへ導いてくれる。
     聴いてみると、しゃべっていることの3分の1から半分ちかくはカット、本書には収録されていない。ギュッとエッセンスを要約したものが一冊に収まっていて、読んだ方が時間は早い。
     でも、読んでから音声を聴きながら、改めて読み返してもみた。

     万城目学は、そのまま大阪弁全面押しで文章化してもよかったんじゃなかろうか(笑) そのほうが味わいが出る。

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    2025年11月14日
  • 嘘と正典

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    大雑把に言えばタイムトラベルと歴史に関しての短編集といったところか。

    各短編の良し悪しにはかなりの差を感じた。
    だが概ねどれも興味深く読めたのは確か。

    名馬スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる『ひとすじの光』は
    競馬好きにはたまらない内容。
    自分が一番競馬に熱を上げていた時期の名馬に関する物語が読めるとは。
    そしてこれほどまでに熱い血の浪漫が読めるとは、そういった感動があった。

    そして表題にもなっている『嘘と正典』
    これは長編で読んでみたいと思うぐらいの出来だった。
    マルクスとエンゲルスの出会いを阻止することで共産主義の消滅を企む。
    構成とオチは完璧。勿論、その結末には驚かされたに決まっている。

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    2025年11月14日
  • 旅する小説

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    ネタバレ

    ・宮内悠介 「国境の子」
    対馬生まれ韓国人とのダブルの話
    ・藤井太洋 「月の高さ」
    〇小川 哲 「ちょっとした奇跡」
    自転がほぼ止まった地球で明暗境界を移動するカティサーク号の少年は、地球の反対側で同じことをしている車へと出発する。
    ・深緑野分 「水星号は移動する」
    〇森晶麿 「グレーテルの帰還」
    グレーテルはヘンゼルに誘導され魔女(祖母)を焼き殺す。
    〇石川宗生 「シャカシャカ」
    地表が突然シャッフルを始め、時間と空間が円環する。

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    2025年11月09日
  • ユートロニカのこちら側

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    個人情報を提起することで、理想的な生活が
    送られる実験都市「アガスティアリゾート」。
    その情報に等級をつけて、住民たちの生活を管理しています。
    監視されながら生きる生活に自由はあるのか。
    ユートピアとディストピアの狭間で創り上げられた都市で生きる人々のお話です。
    小川さんのデビュー作で、最初ユートロニカの
    意味が分からなかったのですが、理想郷の意味が
    ある「ユートピア」と電子音楽や電子機器全般の
    総称でもある「エレクトロニカ」を掛け合わせた
    造語だったみたいで、「永遠の静寂」を意味するみたいです。

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    2025年11月02日
  • 旅する小説

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    「旅」をテーマに、気鋭の作家陣が短編を寄稿したアンソロジー。とはいえ旅の解釈はそれぞれであり、SFだったりミステリーだったり、各人の特徴が出ている内容となっている。

    個人的な好みは藤井太洋さんの「月の高さ」。ご本人の経験を踏まえた舞台芸術の置かれた現状、地方巡業のドタバタ感、枯れたおじさんと若い女性の緩い連帯といった内容が小気味よくロードムービー的に展開されていて面白かった。

    一方で石川宗生さんの「シャカシャカ」については正直よく理解できなかった。地表がシャッフルされるという話のメタ構造として、各章の順番もシャッフルされていく流れなのだけど、いきなり話と場所が飛んでしまうためについていけない印象を持ってしまった。まぁその辺の実験的な取り組みができるのも短編集の良いところなのだろう。

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    2025年10月13日
  • スメラミシング

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    宗教とか思想、多方面から苦情が来そうな内容を書ききりましたね。難しいので、合わないひとはほんの数ページで読むのをやめるのではないでしょうか。
    最後は大衆向けのSFです。もう一つの月ができて自転がなくなり極零下の暗闇と灼熱の極光の世界になった地球を生き残るために二つの船が限られた資源の中、奇跡が起きない限り、数千年で資源が尽きる運命の中、ルールを調整しながら生きていく世界のちょっとしたロマンスを込めて。この一作がなかったら、この本は・・・

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    2025年09月25日
  • スメラミシング

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    何を言うてるの?という話が半分くらいだったけれど、陰謀論だったり、宗教だったり、神だったり題材が自分の関心というか不思議だと思うことと重なっていて、自分はそっち側になることもあるし、その逆側になることもあるんだけど、それを俯瞰して読めることが面白かった。
    小川哲さん、「君が手にするはずだった黄金について」で初めて読んで好きになって、「君のクイズ」も面白くて、期待に胸を膨らませてこの本を手に取った。でも最初から読みづらすぎて全然入ってこなくて、無理だと思って諦めちゃっていたんだけど、「地図と拳」ではまって読書熱が上がり、もう一回読んでみてよかった。特に最後の話がとても好きだった。

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    2025年09月10日
  • 大宮エリーの東大ふたり同窓会

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    やはり東大は頭一つ抜けていて、人物的にも面白い人が多い印象。
    なるべく自由で、様々な人材を輩出する最高学府であってほしい。

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    2025年09月05日
  • 嘘と正典

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    ネタバレ

    SF短編集。この短編集ひとつであらゆる時代のあらゆる物語が楽しめる。作者の着眼点・想像力が凄まじい。ただし、ものすごく分かりやすい文章にしてある所為か、文学的な要素は薄いと感じた。

    ○魔術師
    父親の世紀のマジックを、姉が再演しようとする話。結局タイムトラベルを実際にしたのかどうか分からないままで、余韻の残るラスト。そこまで好みではなかった。

    ○ひとすじの光
    作者の競馬愛がひしひしと伝わってくる作品。誰にも注目されず、ひっそりと現役生活を終える競走馬の一頭ずつにドラマが込められていることがわかった。

    ○時の扉
    個人的には今作で一番微妙だった作品。あまり記憶に残ってない。

    ○ムジカ・ムンダーナ
    個人的には今作の中でベスト。音楽を通貨とする部族の設定が面白かったし、それに魅了された父と子の物語もとても素敵だった。

    ○最後の不良
    流行が消滅し、個性を出すことがダサくなった近未来を舞台に、懐古厨たちが暴れ回る話。と見せかけて、全て仕込みだったというオチ。これだけで長編一作できそうなくらい面白い設定だった。

    ○嘘と正典
    一番ボリュームがある表題作。冷戦期のモスクワを舞台にしたがっつりSF。エンゲルスとマルクスの出会いを阻止することで、共産主義を世界から抹消しようとするCIA職員の物語。冷戦期のスパイ活動の緊張感がしっかりと伝わってきて、とても楽しめた。

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    2025年07月24日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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    小川哲の対談集。個人的には対談相手の誰よりも、小川自身に人間としての面白さを感じるので、結局は小川の言葉が残った。あらゆる事象に小説を探すという発言に彼の小説家たるを見る。一見、合理的であり商業的でさえあると思ってしまう、時に軽く聞こえる小川のふるまいだが、「人間小説家」小川哲としての素直なふるまいであることを感じた。歴史的なナラティブを読み込み、エクリチュールの無責任さを自明なものとして言葉を残す。よかった。

    25/07/16

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    2025年07月16日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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    ラジオ放送の書籍化なので、軽い読み物のつもりで手に取ったが、驚くほど読み応えがあった。

    著者は、前書きで「本業の支障になる仕事はしないつもりでMCを引き受けた」と後ろ向きな断りを入れている。
    しかし、ゲストに著作があれば必ず感想を伝えて、「そこまで読みとってくれて嬉しい」と言わしめ、経歴を踏まえた質問にもそつがない。
    ゲストがアイドルの回であっても、著者との共通点をとっかかりに、活動のきっかけや苦労ポイントなんかを丁寧に聞いている。すごい。
    あの前書きは謙遜だ。できる人は違う。

    既に終了したラジオ番組、リアルタイムで聴きたかったな。

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    2025年06月29日
  • ユートロニカのこちら側

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    マイン社が管理するアガスティアリゾートそこは夢の街なのか⁉️個人が管理されることが自由なのか不自由なのか、犯罪を未然に防ぐ事のという名目で罪を犯すかもしれない人達の自由が奪われていいのか。色々な家族の物語からそれを考えさせられる。自分ならどうする?

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    2025年06月25日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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    適度に緩くちょっとしたすき間時間でストレスなく読んだ。
    小説家の考えていることや視点が垣間見えて読む時の参考になりそう。
    戦争や史実を題材にした作品への取り組み方は書き手として特別なことだと知り、その意気込みを感じつつ手に取ってみよう。

    様々なプロフェッショナルな方々との対談は相手への関心やリスペクトなど感じられ清々しかった。

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    2025年06月14日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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    ラジオ番組での対談をまとめた本。 ラジオの会話なので、適度に気が抜けていて、その分対談相手と小川さんの人となり、考え方、フィクションに対する姿勢などが感じられた。 小川さんの登場人物のミスで話が展開するのが好きじゃない。読書してても、ベストを尽くしてないやつがいると、突っ込んじゃって読むのやめちゃう。というのには共感して笑ってしまったw

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    2025年04月11日
  • ユートロニカのこちら側

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    読んだ後、レビューをすっかり忘れていた。

    傑作『ゲームの王国』の小川哲のデビュー作。

    『ゲームの王国』が傑作過ぎたのか、大して面白くなかった。
    言いたいことというか、やりたいことは伝わるのだが、面白味はない。

    印象に残らない。
    星は3つ。3.3くらいか。

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    2025年04月09日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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    ラジオ対談番組の書籍化らしいが、小川哲氏なので読んでみた。まあ対談なんでこんなもんかって感じだけど、小泉今日子氏の「本を読むのが好きになったのは、本を読んでいる人には声をかけにくいのではないかと思ったから」が滅茶苦茶共感できた。人と会話するのって90%は無駄話だと思っているので、本という防御力を行使している仲間がいるのは心強い。また逢坂冬馬氏の月村了衛が師匠という件もさもありなんと納得。

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    2025年04月04日