山岸真のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ順列都市が私達の精神がデータ化されるまで、また自律するAIが誕生するまでの話だとしたら、これはデータ化された私達が幾重にも別れて(データ化されているので、クローンを生み出すのは簡単です)さまざまな宇宙に拡散し、探索をするさらに未来のお話でした(根源的には、未来の滅びを避けるための手がかりを探索の目的にしています)。
私達が気づいていないだけで、私達の生きる空間はトランスミューターのような存在とは既に繋がっているのかも。トランスミューターが進化の果てに獲得したのが、あらゆるものに干渉しすぎない「自制」の力であったことがとても印象的でした。
3次元以上の世界って想像するのが難しいですが、かなりイメージが掻き立てられます。
あと、主人公のヤチマのようにマイペースに生きることは辛くなく生きるコツなのかなと思いました。イノシロウ、オーランド、パオロ…様々な人物の末路が描かれますが、自分の中に生きることの答えを見出したヤチマの行き方は最も自分自身という存在にとって幸福なことのように思います。
-
Posted by ブクログ
グレッグ・イーガンの直交三部作ラスト。
相変わらず難しいんだけど、前二作に比べるとまだ理解できるかな。
ストーリーやキャラも前よりは深みがあるような。
ただ、母性への帰還はこの三部作においてかなり大きなイベントだと思うのだけど、最後にさらっと描かれるだけで、いいんでしょうか。勿体ないような気が。
頭のいい人が考えることはわからない。
未来からのメッセージという謎のシステムがメインだけれど、多分これはストーリー的必要性よりも、理論が書きたかったんだろうなー。
物理法則が異なる世界を思いつきストーリーに落とすという仕事はすごいとは思うのだけど、私は小説が好きな文系人間なので、どうしても物語的に物足りなさを感じてしまう。
でもイーガンもおそらく小説的面白さよりこの世界を描きたかったのだと思うので、理論も含めて楽しめる人が評価してくれればそれでいいのだと思う。
その試みは面白いと思うし、とても好感を持つ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの表紙とタイトル、裏表紙のあらすじから、少年のひと夏の恋と成長を描いた話だと思っていました。
SFという部分についてはタイムスリップかなぁと安易に想像していたのですが、見事に裏切られました。
否、確かに途中までは少年のよくあるバカンスでの恋物語でした。それが後半の後半に様相が変わり、一気にSF色が強くなりました。そして確かに“どんでん返し”の結末でした。
ただ、主人公のドローヴという少年の思春期によくあるであろう親や権力への反発は理解出来ますが、いずれ彼が成長して反発の対象であった親や権力に対して何らかの折り合いをつけていくだろうと思っていたので、ドローヴが大して変わることなく物語が終わってしまったのは少し残念に思いました。
しかし、多少モヤモヤした感想はあるにしても、伏線のはり方、登場人物のセリフに込められた意味など、結末を知ってから再読するとまた違った読み方が出来そうな気がします。確かにSF恋愛小説の傑作かもしれません。
面白かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初イーガン。
なるほどなるほど、これはハードルが高い。
自分はそれなりに科学技術好きな理系脳だと思うけど、興味ない人には苦痛がまさるんじゃないだろうか。
でも、解説にもある通り分厚いサイエンス成分を透かしてみれば、どの話もものすごく哲学的。
引き込まれました。それにしても、どれもこれもよくもまあこんな設定を思い付くなあ!
「闇の中へ」時間軸を物理的なベクトルに読み替えているんですかね、すごくスリリングでした。
「道徳的ウイルス学者」いま世界がコロナに揺れている中、ウイルスをなんらかの意図をもってコントロールできる可能性が示されており、そら恐ろしくなります。
「ボーダー・ガード」量子サッカーを始め、情景がさっぱりイメージできなかった…そもそも設定からしてイメージしようとすることに無理があるのか?
「しあわせの理由」現実はなにも変わることなく、自分の気分だけで世界はいかようにも変貌する。しあわせとは何なのか。考えさせられます。 -
Posted by ブクログ
いやー時間がかかった。
私が小説読むのにここまで時間がかかるとは。
それはひとえにその難しさ故。
プラス、『エターナル・フレイム』よりストーリー的に惹かれなかったからかな。
★2にするか悩むところ。
世界観が素晴らしいのは間違いない。
理解できるかどうかは別として、架空の世界のその完成度の高さは今まで読んだどの作家の作品よりも高い。
私はその完成度の高さが理解できない頭脳の持ち主なので、したがってこれを理由に★をたくさんつけるのはちょっと違うかな、と思う。
理解できたら素晴らしいんだろうけどなー。
地球人とは異なる主人公たちは理解できるんだけど、
頭が自分の世界から完全に切り離せないので
(世界の発想が全く違うわけじゃないのも切り離せない理由でもあるんだけど)、
どうしても、
基本双で子供作るなら種として存続できるのか、
とか(まあでもこの種は実質単性生殖種だ。雄は誘発するだけみたいだから)、
社会があまりにも地球に似てはいすぎないか? とか、
いろいろ考えてしまう。
そこをプロットの甘さと見るかどうか。
異なる世界の構築を除くと、
でもしかし残念ながらストーリーはちょっと陳腐な気がする。
大まかなストーリーは面白い。
母星に危機が迫って時間を稼ぐためにウラシマ効果を狙って孤絶(言ってみれば巨大な宇宙船だ)を打ち上げる。
素晴らしい。
でもね、小説を小説たらしめるための小さなエピソードが
取ってつけた感があって、うーん、なんだよな。
例えば、
邪魔はあった方がいい。
敵はいた方がいい。
人間関係もちょっと面倒いことがあった方がいい。
主人公も欠点があった方がいい。
とかそういう感じ。
一エピソード一エピソードに深さがないって言うか。
ただそれはもしかして、
小説の長さと描こうとしたストーリーの長さが一致していないからなのかもしれない。
と読み終わった今は思う。
十分に長い一冊なんだけれども、
描こうとしているのが主人公ヤルダの幼少期から最後までなので
それでも長さが足りなくて、
小さな一つ一つのエピソードが雑になるというか。
(でもそれをまとめるのも才能な気がするけど)
キャラクターもエピソードと同じようなことが言えるんだけど、
うーん、今となっては興味深いキャラもそれなりにいたかな。
ダリアとか。
私の集中力を維持するのが難しかった本だけど、
最後は良かった。
囚人ニノの処遇と、自分の子供の名前の行(くだり)。
そこに不本意に出産してしまった友人の名前を久しぶりに出すことで、
ヤルダの生涯の振り返りと過ぎ去った者たちへの想い、
そして時間の流れをうまく表現していたと思う。
評価がすごーく難しいので、真ん中の3が妥当かなあ。
個人的好みとしては『エターナル・フレイム』の方が読みやすかったし、
カズ・レーザーが二作目である『エターナル・フレイム』を挙げたのはその辺に理由があるのかな、
と思ってみる。
実は3作目も買っているんだけど、
ちょっとハードなので少しお休みします。
いつか読む。 -
Posted by ブクログ
「祈りの海」「貸金庫」「キューティ」SF的でいて愛とは人間とは何かをわかりやすく問うものが多かった。科学的には分かっていても、解明されてしまっても人間は動かせない何かがあるのだ。
貸金庫の、特殊な設定で、それを法則を見つけ慣れていく主人公が面白かった。
繭、繭の中で、赤ん坊は何から守られているのか。すべてがホルモンやDNAで調節できるとしたら、ジェンダーは左利きは、「正常」以外はどうなってしまうのか。
誘拐、僕になることを、人格を全くコピーできる世界は、「自分」の認識とは何か。逆に、何を他人と判断するのだろう。スクリーンの妻が毎日苦しんでいたら、病みそう…
100年ダイアリー無限の暗殺者、ミトコンドリアイブ、サスペンスドラマのようで、別世界のAを殺し、Bがたたかい、難しい…でも世界観があんまり好きではなかった。
誰かの感想で、イーガンは世界観や枠組みがしっかりしてるのに、最後は個人の感想や主観に落とし込まれてしまうのが矮小化というか物足りなさがある、とありその通りだなと思った。ディアスポラのようなバリバリのSFを読みたいのだ。 -
Posted by ブクログ
★4としたいのはやまやまだけど、これを★4にしたらそれは見栄になってしまう。
難しいんだよ。
面白かったけど。
『クロックワーク・ロケット』読んだ後で変えるかも。
お恥ずかしいながらSFマガジンでグレッグ・イーガンの作品を初めて読み、
これは私の好きなタイプ、
と早速一冊の購入を決意。
調べると見覚えのあるタイトル、『エターナル・フレイム』が。
以前テレビでカズ・レーザーが好きと言っていて、一瞬興味が湧いた本だ。
というわけで購入。
購入後三部作の真ん中だと気づく。
まあでも一作品は一作品だから大丈夫だろう…、
と思ったけどあまり大丈夫じゃなかった。
”物理法則が違う”とは書いてあったけど、登場人物たちも人間じゃないのね。
読みながらその特徴がわかってきたけど、
確実に一作目から読んだ方が効率が良かった。
環境の前提もところどころ事前知識が必要で(重力や孤絶の方向など)、
読み順はちょっと失敗かも
(『クロックワーク・ロケット』読後追記:順番関係なかった)。
まあしかし何より理解が難しかったのは、前半よく出てきた物理や数学の情報。
ほとんど理解ができませんでした。
おそらく、私達の住んでいる宇宙の物理法則に従った説明でも、
あのレベルはあまり理解できなかった自信がある。
違う世界では何をか言わんやだ。
ちょうどこの本を読む前に数学の本をずっと読んでいたので、
複素数や複素平面的(次元が違うけど)発想はなんとかわかった気がしたけど…、
だからどうした。
ってレベル。
うーん。
私って賢くないんだなあ…。
しかしながら。
不思議なことにそれでも面白かった。
後半はきちんとハラハラドキドキさせられた。
この登場人物たちの種としてのステージはおそらく我々人間と同程度で
(知的生命体は成熟すると賢くなる、というSF的発想を支持しております)、
SFの話だけではなく、社会やコミュニティ、様々な人(便宜的表現。
でも作中でも使われていた)の葛藤や争い、愚かさ、なんかも描かれていて、
濃かった。
まあ多分通常の文庫にすると二冊分くらいだろうから長さもあるんだけど。
登場人物たちの姿はどうしても人間を想像しちゃうんだけど(そして樹精はオラン・ウータンを想像させる。
人に近種なだけでなく、多分その呼び名が”森の人”を連想させるから)、
グレッグ・イーガンはどういう感じをイメージしてたんだろうなー。
もう少し理解をするために、『クロックワーク・ロケット』読んだ後再読かなー。
ちなみに解説も難しくてすっ飛ばした。
しかしながらとても文句を言いたいのは、本のサイズ。
早川書房って、ハヤカワSF文庫も通常の文庫のサイズより大きくて嫌いなんだけど、
この本はそういった概念を軽く飛び越えて不快。
なんだよこのサイズ。
普通の文庫本サイズで出してよ。
実は「カズ・レーザーの好きな本」と聞いた時に
SF好きにも関わらず購入に至らなかったのはこの規格のせい。
本棚が乱れて困るんだよなー。
文庫本で出版し直してほしい。 -
Posted by ブクログ
青春恋愛SFというキャッチフレーズに誘われて。
読み終わってみて、今一つだったかな~。もはや甘酸っぱい十代の恋愛に共感できる齢でもなくなってしまったのか…。
思春期真っ只中の自意識と自尊心を盛った一人称に共感出来ず。
主人公の両親等、鼻持ちならない人物は多数いるも、主人公もその一人に思えてならない。
フェンスの内と外に恋人と隔てられて、「夜は心地いい寝台で暖かく一夜を眠ってから」朝になって日課の如く恋人との逢瀬を重ねるとか何なん?恋愛部分は何か陰キャ男子の妄想爆発的な男にとっての都合よさ。40年以上前の作品とは言え…。
ラストは安易なハッピーでもただ苦いだけのバッドでもなく、祈念するかのような救済の形には唸らされた。 -
Posted by ブクログ
SF小説の中でも有名な作品を一通り読んでみようキャンペーンの7作品目。
SFと言えるのか大いに疑問だが、ストーリー自体は良いです。
あらすじは
夏休暇をすごすため、政府高官の息子トローヴは港町パラークシを訪れ、宿屋の少女ブラウンアイズと念願の再開を果たす。
粘海(グルーム)が到来し、戦争の影が次第に町を覆いゆくなか、愛を深める少年と少女。
だが、壮大な機密計画がふたりを分かつ…少年の忘れられないひと夏を描いた、SF小説であり戦争小説であり、恋愛小説。
舞台は太陽系外の異星人が住む惑星で人類ではない。
そのため、独自の自然現象や生物については理解が追いつかない。
だだ便宜上、登場人物は人型(ヒューマノイド)ということになっている。
タコ型生物の恋愛模様でないのでご安心を。
SFじゃなくてもいいじゃん!と思ったけど結末を読んで、しぶしぶ納得。
作者がSFだって言ってるんだからしゃーない。