【感想・ネタバレ】祈りの海のレビュー

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Posted by ブクログ 2017年10月18日

2017/08/07-2017/08/09
星5

2017年10月18日にこの感想を書いている。サボっていたので随分遅くなってしまった。帰省する際の暇つぶしに途中の本屋で買ったこの本は、とてもおもしろかったことだけ覚えている。この文庫本は短編・中編集だ。1つとして面白くない話はなかった。多くの話を...続きを読む読み終えた後、僕は不安になった。自分とは何か、自己同一性とはどのようなことか、考えていたのだと思う。良いSFだった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年01月23日

長編に挫折して以来、手付かずだったのですが。
これはこれは!
しょっぱなの「貸金庫」、読んで終わったところであまりの切なさに鼻の奥がツーン。うそー。自分でびっくり。でもホント。えかったー。

確かに物理弱いとツラいところもあるけどその辺乗り越えてでも読みたいと思わせるところがあり。そういうのナシのも...続きを読む割とあり。

喰わず嫌いを反省した次第。これ読まずに過ごしていたら・・・と思うと勿体無いどころの話じゃなかったわ。理系さんだけには独占させておけませんよ!

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Posted by ブクログ 2012年10月05日

もうイーガンの短編集はぜんぶ★5でいい気がする。
アイディアといい、そこから展開される物語といい、圧倒される。

本作でとりわけ好みなのは、「ぼくになることを」、「繭」、「祈りの海」

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Posted by ブクログ 2013年01月13日

ハードSFの大家グレッグ・イーガンの11の短編を収録した本書は、文中の言葉を借りるならば、「きみがきみであること」「自分が何者であるか」、すなわちアイデンティティを共通したテーマに据えている。

SFの手法でアイデンティティを語る作品としては、個人的にはロボットを題材にした作品が多い印象を受けるのだ...続きを読むけど、本書においてはそれに依存することなく、多彩な視点からアイデンティティを捉えている。

ヒューゴー賞/ローカス賞を受賞した表題作もさることながら、次の2作品が特に素晴らしかった。

・『ぼくになることを』
 衰退する脳を排出し、その代わりに衰えることを知らない"宝石”を移植することが一般化した未来社会。"宝石”を移植しても、その人物の思考は従前までと何も変わらない(移植するまでの間、脳と"宝石”は常にシンクロナイズされているからだ)。だけど、脳のない人間は、果たして"人間"と呼べるのだろうか…
 "宝石”の移植を頑なに拒む主人公の顛末。それが、とにかく割りきれなくて、心に刻まれるほど気色悪い。

・『百光年ダイアリー』
 未来には行けないが、知ることはできる社会。主人公をはじめとした一般市民は、"未来の自分が記した日記"により、将来を理解していた。"自分という存在"は、過去と未来の自分によって形作られる。そんな社会を甘受していた主人公だが、ある日、歯車が狂い始め…
 アイデアとなにより展開が秀逸!これは面白かったなぁ。

全作品を通じて、とにかく後味は良くない。
心を覆い尽くすのは、不安。だけど一抹の希望が潜んでいることを否定できない。
そんな不透明な心境に陥るのだけど、でもアイデンティティを認識した時って確かにそんな気持ちかもね。決して爽快な気分じゃないと思うんだ。
そう考えると、微妙なセンチメントを表現してくるグレッグ・イーガンは、流石と言わざるを得ない。

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Posted by ブクログ 2010年08月29日

進みすぎたテクノロジーと、それに置いていかれた人の精神を取り扱う、イーガンならではのセンスが光る短編集。

あらすじを語ること自体がネタバレになってしまうので、実にもどかしいのですが…。
短編集の一話一話の密度が濃く、どれも考えさせられます。
「ぼくになることを」を読んだショックは相当なものでしたし...続きを読む
「貸金庫」は今まで読んだSF小説の中で一番ほろりと来ました。

紙面には、幾何学や量子力学の話題がばらばら出てくるので、一見読みづらいと思うかもしれませんが、そんなのは雰囲気作りの装飾です。本質はもっと分かりやすくて、不可解なところにあります。最初は苦痛に感じるかもしれませんが、是非読み通してみてください。

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Posted by ブクログ 2010年06月08日

イーガンさんの短編です。
キューティを読むたび、
肉体は弱いもので魂だげ不滅だ
っていう某映画の台詞が頭に浮かぶ。
しかしながら、人間というやつは魂だけでは触れ合えなくてイレモノも必要なんです。
だから貸し金庫の主人公は自分自身について彷徨い続ける。
この人の物語からはプラトニック過ぎるというか、バ...続きを読むカ正直すぎるものが詰まっている。数学者のさだめなのかな?

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Posted by ブクログ 2009年12月14日

初イーガン。難しいけど面白かった。表題作「祈りの海」がすごい。科学と宗教の折り合いはいつの時代もつきにくいんでしょうね…。「貸金庫」「キューティ」も印象深かったです。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

文明が発達した未来社会。
肉体や魂の存在すらも限りなく物質化・経済化された世界における人間の生を描く短編集。
SF小説としてはかなりオススメ。

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Posted by ブクログ 2023年01月01日

イーガン二冊目、引き続き読みやすいと評判の短編集を手に取りました。読めば読むほど、イーガン好きだなあと思いました笑。とりあえず次は『宇宙消失』を読もう。

イーガンを調べている中で、最近「文藝」で特集が組まれたとのことで、その刊読みたいな~と思っていたところ、あれこの表紙は…と家にあることが判明笑。...続きを読む特集の一つにアニメ平家物語があって、それで買っていたんですね。今年一年ハマった平家物語から、イーガンにバトンが渡されたような、そんな気がしました。2023年はイーガンイヤーになるのかな?
イーガンは日本で謎に人気が高いということで、え~こんなに面白いのに、、と思いつつ、英語でおすすめSF記事を探すと、イーガンがあげられてるところほぼ見たことがなく、そういうことかあと少し納得。

さて『祈りの海』ですが、「キューティ」、「繭」、「放浪者の軌道」あたりは特に好きでした。その他の「貸金庫」、「ミトコンドリア・イヴ」、「イェユーカ」、「祈りの海」あたりも面白かった(基本全部じゃんという)
今回収録されているものは、特にどの作品も、アイデンティティとは何か?を様々な角度から取り扱ったもので、こんなにいろんな角度で考えられるのか…と驚きながらどんどんハマるイーガン…。とはいえ短編集としては、『しあわせの理由』の方が好きだったかな?

「繭」の、「…大衆はそこまで想像力を欠いちゃいけない。だれだって記号論は幼稚園で学んでるんだ、メッセージの解読法くらい知ってるさ」にしびれた笑

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年09月05日

短編集。一編毎に全く違う世界が描かれていて、多彩さに驚きました。
それぞれの環境の中で、アイデンティティ、私というものをどこに求めるかが突き詰められていて、読みごたえがありました。

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Posted by ブクログ 2020年04月08日

ハヤカワ文庫
グレッグイーガン
祈りの海

科学とアイデンティティの対立を描くハードSF短編傑作集。共通テーマは「科学の時代に自分のアイデンティティを確立できるか」

各短編 SFでしか描けない状況のアイデンティティを描いている
*霊のアイデンティティ
*DNA操作により生まれた赤ちゃんのアイデンテ...続きを読むィティ
*自身のバックアップがいる人間のアイデンティティ
*母胎システム管理により消滅させられる同性愛者のアイデンティティ
*決められた未来を生きる人間のアイデンティティ
*医師不要の時代における医師のアイデンティティなど

感動したのは 同性愛者のアイデンティティ「生まれつきのものであり、それを 誇りに思うことも 恥に思うこともない」

終盤2編「イェユーカ」「祈りの海」は読みとりにくい。職業倫理や宗教観が アイデンティティという捉え方でいいのだろうか?



貸金庫=自分の意識を保存する肉体
*意識(精神)と肉体 は別
*意識が 転々と人間(宿主)の肉体に憑依して 記憶を形成していく

キューティー
*親の愛は 子どもが人間として存在することを前提としている
*人間として存在する=赤ちゃんが親へ意思表示(パパと言うなど)
*DNA操作により生まれ、4歳で死がセットされた赤ちゃんに 親の無償の愛は存在するのか

ぼくになることを
*人間は バックアップ用の能に経験を同期し、30歳くらいにバックアップ用の能にスイッチし、永遠に生きられる世界
*同期により自我と意識は1つになる→一人の人間しか存在していない


*母体子宮を管理し同性愛者を発生させない細胞(繭)の研究
*分離主義〜同性愛が病気の一種にされる→一つの人種が地球から姿を消す

百光年ダイアリー
*決められた未来を生きる人間にアイデンティティはあるのか
*不変の未来〜歴史は過去も未来も決定済
*歴史はつねに勝者が書いてきた〜歴史の作者の干渉〜誰もが操られている

誘拐
*自分のスキャンファイルにより、自分の死後、仮想現実に コピーを復元できる
*私たちはお互いのことをコピーとしてしか知ることができない。私たちに知ることができるのは、自分の脳の中にいる、お互いの一部分でしかない

放浪者の軌道
*放浪者=倫理的単一文化の居住者の道徳律から外れた自分
*一つの思想体系は 信奉者から周辺の人へ広まり、無秩序な集団を取り込んでいく


ミトコンドリアイブ
*アイデンティティを確立するために 人間のルーツを規定しようとする誤り
*男性も女性も、民族主義も〜捨てるべき。そのとき「幼年期の終わり」がくる。先祖を冒涜せよ


無限の暗殺者
*無限とアイデンティティの対立
*主人公のわたし=無限=無限の数のバージョンのわたし〜死ぬことなど気にする必要はない→わたしは 無にすぎない、測度零の集合
*アイデンティティ=わたしが死ぬときに わたしが引き返さないことで 恥辱に まみれずにすむ


イェユーカ
*医師が不要となるヘルスガードという装置。主人公である医師がヘルスガードを付けること自体、医師が病気に負けている世界
*理解できれば どんな病も癒せる医師としてのアイデンティティが生まれたラストシーン

祈りの海
人生を価値あるものにしているものが〜無意味である可能性に面と向かう気構えがあれば〜その奴隷になることはない

最後のやりとりが印象に残る
「神ってのは なかなかいい思いつきだが、まるで意味をなさん」
「でも生きることがつらすぎませんか?」
男は笑って「四六時中って わけじゃないさ」





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Posted by ブクログ 2018年01月16日

読んでみたかったグレッグ・イーガンを初めて読んだ。ハードSFの大家の短編集。日本向けに選ばれたらしい。
かなり難しいSFでよくわからないのが多いが、なぜか癖になりそう。

以下は読書メモ:

貸金庫
宿主を転々と移る人。目がさめると意識が違う人に移っている。その間の記憶を書きとめて貸金庫にしまう。そ...続きを読むして、名前が死ぬまで変わらないことを夢見る。

キューティ
キューティキット(の安物のコピー商品)で妊娠して、キューティを産む男性。
ちょっと狂ってて気持ち悪い。

ぼくになることを
「宝石」を埋め込んで脳を学習させ、「スイッチ」して永遠の頭脳を得る。自分とは何か。


ゲイ、レズビアン。その発生を胎児期に防ぐ技術。その製品化が繭。

百光年ダイアリー
未来が決定している世界。将来に起こることがあらかじめわかっている。その通りに行動する。未来に従うのも「自由」だ。
…かなり難しい話。

誘拐
妻の身代金要求の映話が突然かかってきた。
スキャン アイランド コピー

放浪者の軌道
アトラクタ(吸引子)
メルトダウン
うーん、よくわからない。

ミトコンドリア・イヴ
量子古遺伝学 量子の相関性の理論を用いてミトコンドリアの遺伝子の相関性を分析し、真のミトコンドリアイヴを特定する。…よくわからん。

無限の暗殺者
平行世界 パラレルワールド
S
世界間転移
〈渦〉カルト

イェユーカ
血液センサーと薬物合成ができる指輪

祈りの海
位相教 深淵教会
ベアトリス
橋のやりとり
神を信じるとはどういうことか。難しい。

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Posted by ブクログ 2017年04月09日

『宇宙消失』に比べると格段に読み易いイーガンのSF短編集。
悲し過ぎる「キューティ」
LGBT。正常と異常の意味を考えさせられる「繭」
決められた未来の罠、ミステリとして秀逸な「100光年ダイアリー」
人類皆兄弟か!?人類史を辿る「ミトコンドリア・イヴ」
宗教体験の「祈りの海」

後者2つは解説を書...続きを読むいている瀬名英明のパラサイトイブ、ブレインバレーを彷彿とさせる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年04月29日

小学校の理科の時間に、口の粘膜を綿棒ですくって顕微鏡にかける実験があった。接眼レンズを覗くと、本当に教科書で見たような細胞があった。
「祈りの海」の主人公が覚えた衝撃は、そのときの記憶に似ているかもしれない。

地球とは別の海の星で、主人公の「ぼく」は暮らしている。幼いころにある体験をして、それ以来...続きを読む大いなる女神の存在を信じている。しかし、成長した彼が自らの研究で判明させたのは、その体験が単に微生物の排泄物がもたらす幻覚だったという事実だ。
信じていたものから神秘的な(俗悪な)ヴェールを剥ぎ取られ、主人公の拠り所は一気に瓦解する。

発想の点では、「誘拐」の、「人の心の誘拐」が一番刺激的だった。ただ、ヒューゴー賞を獲ったのは「祈りの海」だというのには納得する。
人は知性という松明で世界を照らしてきた。明るすぎる松明は人自身をも照らしてしまう。暗闇からぬっと現れる顔面像は、人が望むナルシシズムの幻想を少なからず壊してきた。
けれど人は、「祈りの海」の主人公のように前に進める。進むしかない、とも思う。

イーガンのようなSFは、もちろんScienceFictionだけれども、知性を足場に世界を覗きこむことにおいて、現実とあまり変わらないように感じる。この小説の知性の光によって、わたしたちは太陽のもとで腕に走る血管の網目模様を見るように、わたしたちの意識の組み合い方を見ることが出来る。

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Posted by ブクログ 2014年04月13日

収録されている短編のほとんどがテーマとしているのが、仮想現実におけるアイデンティティとは何か?で、テクノロジーによって代替可能になった、自己や他者の精神や肉体をとは何かについてなどの思索が語られる。アイデンティティを代替させるアイデアがいずれも面白く、それによる掘り下げも見事で哲学的な興味をそそるが...続きを読む、全体的に地味な印象。

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Posted by ブクログ 2013年01月09日

がっちりSF読んだったー!!という満足感。
私はSFは好きだけど、物理もテクノロジーも生命科学もサッパリなダメ読者なので、SF的なガジェットはよく理解できない部分が多い。
それでも面白く読めるのは、解説等で言われているように「自分が何者であるか」というアイデンティティを核としているからだろう。様々な...続きを読む状況において、より自分らしく生きるためにはどうすべきか?ということを考えさせてくれるところがいい。

「祈りの海」「百光年ダイアリー」「放浪者の軌道」「貸金庫」あたりが特に面白かった。

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Posted by ブクログ 2012年08月14日

SFの短編集。
読み終わった感想は、なんだか、頭が筋肉痛になったような感じがする。頭の中の、普段使ったことのない部分を使った感じ。11の短編が収められているが、僕自身がこれまでほとんどSF小説を読んだことがないので、ついていくのが結構大変な感じがするのだ。

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Posted by ブクログ 2010年03月11日

限りなく五つ星に近いのだが、『ひとりっ子』と比較した時に、こっちの方が少し印象度で劣る。『ルミナス』が収録されている分の差とも言えるが。

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Posted by ブクログ 2009年11月11日

SF短編集。SFではあるけどメインテーマはアイデンティティかな。
とにかく巧みなアイディアに驚かされるけど、ちょっと取っつきづらい文章なのでハードSFに慣れてる人向けかも。そこを乗り越えれば面白いよ!

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

イーガン作品は美しいです。深い余韻が残ります。短編集なので読みやすいけど、SF初心者には少しきついかもです。

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Posted by ブクログ 2022年06月08日

プロットにリアリティを持たせるために、どんな舞台装置を選び、それについての詳細な説明を加えようとしているのは、ある意味で読者に対する良心的な姿勢だとも言えるが、それも程度問題ではなかろうか。
全部で11の中・短編集であるが、いくつかの作品は読んでいてひたすら眠気を誘われるだけのものもあった。

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Posted by ブクログ 2020年02月10日

「祈りの海」「貸金庫」「キューティ」SF的でいて愛とは人間とは何かをわかりやすく問うものが多かった。科学的には分かっていても、解明されてしまっても人間は動かせない何かがあるのだ。
貸金庫の、特殊な設定で、それを法則を見つけ慣れていく主人公が面白かった。
繭、繭の中で、赤ん坊は何から守られているのか。...続きを読むすべてがホルモンやDNAで調節できるとしたら、ジェンダーは左利きは、「正常」以外はどうなってしまうのか。
誘拐、僕になることを、人格を全くコピーできる世界は、「自分」の認識とは何か。逆に、何を他人と判断するのだろう。スクリーンの妻が毎日苦しんでいたら、病みそう…
100年ダイアリー無限の暗殺者、ミトコンドリアイブ、サスペンスドラマのようで、別世界のAを殺し、Bがたたかい、難しい…でも世界観があんまり好きではなかった。
誰かの感想で、イーガンは世界観や枠組みがしっかりしてるのに、最後は個人の感想や主観に落とし込まれてしまうのが矮小化というか物足りなさがある、とありその通りだなと思った。ディアスポラのようなバリバリのSFを読みたいのだ。

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Posted by ブクログ 2018年05月23日

テクノロジーの発展により、進化した機器や科学的知見をもとにストーリーを記載。作者の構想に現実はまだまだおいついてない。

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Posted by ブクログ 2017年05月01日

優れた作品だが読者を選ぶ、私には分かりにくい
表紙   3点小阪 淳   山岸 真編・訳
展開   6点2000年著作
文章   4点
内容 510点
合計 523点

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年05月14日

「貸金庫」★★★
「キューティ」★★★
「ぼくになることを」★★★
「繭」★★★★
「百光年ダイアリー」★★★
「誘拐」★★★
「放浪者の軌道」★★★
「ミトコンドリア・イヴ」★★★
「無限の暗殺者」★★
「イェユーカ」★★★
「祈りの海」★★★★

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Posted by ブクログ 2014年01月13日

「ぼくになること」で、人格模倣AIによる不死の獲得など、できはしないということが、示されていると思う。結局それは「ぼく」などではありえないのである。”スキャン”をこのように、捉えているイーガンの作品は読んだことがないので、新鮮だった。
「繭」のようなハイテク探偵小説もので、かつ作品の要の原理が理解で...続きを読むきる作品をもっと、イーガンが書いてくれれば。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年12月22日

生命科学・時間・次元など幅広い分野を題材にしているSF短編集。全体的に暗いトーンで時おりゾクっとする怖さがあって面白かった。

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Posted by ブクログ 2010年06月13日

いまSFを読み漁っているけど、
グレッグイーガンの作品が一番いい気がする。
抵抗なく読めて、いろいろなことを考えさせられる。

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Posted by ブクログ 2010年04月12日

90年代以降では最高のハードSF作家のひとり、としてその筋ではつとに名高い作家の短編集です。90年代以降のSFは短編集の拾い読みぐらいしか体験したことのない鴨、どんだけトンガった作風なんだろうと心してページを開いたら、意外にも淡々として優等生風のイメージでちょっと拍子抜けしましたヽ( ´ー`)ノ最新...続きを読むの科学理論を生身の人間の日常レベルに溶け込ませて新たな視点を提供するのが、この人の作品の特徴のようです。科学理論なくして物語が成立しない点では明らかにハードSFでありつつも、物語の主眼はあくまでも人間ドラマ。がちがちのSFというよりも、昔ながらのアイデア・ストーリーといった方がしっくり来るかもしれません。
もう一つの特徴は、収められている短編のほぼ全てが「アイデンティティ」をテーマとしていること。冒頭の「観測される自己」とは、解説文を寄せている瀬名秀明氏がイーガンSFの共通テーマとして挙げている言葉です。実に言い得て妙な表現です。ストーリーの終盤でも明確なオチはなく、読者を突き放して考えさせるようなラストが多いです。イーガン本人のテーマでもあるんでしょうか。

鴨的に印象に残った作品は、「キューティ」「繭」「放浪者の軌道」「無限の暗殺者」あたりかなぁ。「キューティ」の主人公の気色悪さはSF史上に残るかもしれない(^_^;「繭」は「こういう視点でもSFが書けるんだ」という新鮮な驚き、「放浪者の軌道」は世にはびこる宗教の本質を突いた鋭さがそれぞれ印象的でした。「無限の暗殺者」はよくある多元宇宙ものではあるんですが、ここまで多元宇宙をダイナミックに描いた作品はなかなかないと思います。
でも何よりもインパクトがあったのは、登場する男性キャラの壮絶なまでの情けなさですね(笑)偶然の一致なのかイーガンが狙ってるのか、何故か女に振り回されて(しかも惚れ込んだ女でもなくただ惰性で付き合っている程度の女ヽ( ´ー`)ノ)自分では「やばい」と自覚しつつもずるずると自滅していくパターンの主人公が何と多いことか。ひょっとしてイーガン自身もそうなのかヽ( ´ー`)ノ人間ドラマに重きを置いている分、この情けなさがまたイヤにリアリティがあって尾を引くんですよ。最たる者が、「キューティ」の主人公です。ここまでくると、情けないのを通り越して腹立ってきますね。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

「貸金庫」目が覚めると違う人がいて、違う人たちが違う名で私を呼ぶ。
それが数人でも、数百人でも、赤ん坊に区別はつかない。

これをフィクションとして読めた人は幸福です。
グレッグ・イ―ガンはアイデンティティをテーマに書く作家だから、ことごとくトリガーに触れてきます。

親という役目をする人た...続きを読むちがいるのだと理解したと文中にあるように、兄も私も、子どもを養うものという役目の人がいるのだと理解しました。

親と言う言葉が理解できたのは、兄は小学校高学年、私は中学生になってからです。

それぞれが違う呼び名をし、それぞれが違う要求をし、時に嵐が起き、時に平穏がすぎ、その中でアイデンティティをどう保つのか。

私は二十代で、よりどころとなるアイデンティティを失った青年の話を書きました。当時はまだ、無自覚だったのでそういう客観視ができたのです。

今は駄目。
今から創らなきゃいけない時期。
トリガー読書禁止なのに、どうしてこう当たりをあててしまうのかな。しかも、そういうものでないと、頭に入ってこないのはどういうことかな。

だけど、何とか治まってます。少しは進歩があるのだと自分で思いたいです。
力のある作者です。ただ、面白いかどうかは今のわたしには判断できません。

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