山岸真のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
進みすぎたテクノロジーと、それに置いていかれた人の精神を取り扱う、イーガンならではのセンスが光る短編集。
あらすじを語ること自体がネタバレになってしまうので、実にもどかしいのですが…。
短編集の一話一話の密度が濃く、どれも考えさせられます。
「ぼくになることを」を読んだショックは相当なものでしたし、
「貸金庫」は今まで読んだSF小説の中で一番ほろりと来ました。
紙面には、幾何学や量子力学の話題がばらばら出てくるので、一見読みづらいと思うかもしれませんが、そんなのは雰囲気作りの装飾です。本質はもっと分かりやすくて、不可解なところにあります。最初は苦痛に感じるかもしれませんが、是非読み通してみてください。 -
Posted by ブクログ
手塚治虫の漫画のような、毎回示唆に富んだテーマを近未来を舞台に展開した小説です。本作は極めて高度な科学考証を基盤とする「ハードSF」であり、私としては専門的な文章が難しく、毎回テーマとしているところを汲み取れず、WEBで解説を読む始末でした。だいぶ難しいイソップ童話といったところでしょうか。内容を追うので精一杯でした。その中でも医療サスペンスの枠組みに近く、ストーリーがわかりやすかったのは「チェルノブイリの聖母」や「血を分けた姉妹」ですかね。
純粋にSF要素を楽しむべく読むやりかたのほうがよかったのかな。何かを得ようとする読み方への限界を感じてしまった。またいつかリベンジしたいですね。 -
Posted by ブクログ
どこで見たか忘れてしまったが、、確か雑誌か何かで知った一冊。最近仕事でドローンを扱うことも多く、SF好きなので自然と購入。
ショートSFならではの最後の続きを予見させるおわりにわくわくする。標題作では子供のいたずらのようなところから、ねずみ小僧的な海賊の姿が見えた時には続き読みたい...!と思った。
エグザイルパークもプラゴミ島という将来ありえなくもない環境とオロクンの超能力じみた設定。オロクンはなんの比喩だろうか。保守的な政治か麻薬か、かりそめの平和か、なにかに依存する世界を揶揄するものだろうか。
クライシスアクターズは陰謀論的な話で、気候変動を信じる信じないにしろ、とっている行動は同じで結局は環境活動に興じているというとんちのようなものにも感じた。形は違えど、親子はよく似ている。
菌の歌、軍団(レギオン)は支配型の未来が成立した世界。SFといったらこのやりすぎ設定が面白いが、技術のゴールは平等な社会だとするとこれって社会主義的な思想に近いと感じる。一方で、渡し守のような、割り切った資本主義構造によって貧富の差が大きくなることも一種の将来として想像しやすい。いずれにしても完全に管理することが可能な技術が出来上がると社会は極端な方向へ向かってしまうような気がする。
SFの面白さを改めて考えると私は読み始めのその世界を探っている感じが楽しい。どんな設定だろう、そういう常識の世界かーみたいな。そこにアイデアも感じるし、何を比喩しようとしているのか、フィクションだからこそストレートに感じる著者の意見が見える。
インタビューにあったキムスタンリーの、「SFには予言と現在のメタファーの二つの働きがある」というのはまさにその通りだと思う。予言としてみたらトンチキな設定かもだけど、風刺する意味では現代そのものだったりする。抽象化・メタ化して現在を投影した世界がSFそのものであり、だからこそいろんな歴史・ 知見が入るし、知的好奇心もくすぐられる。そこが好きなんだなと改めて認識した。