山岸真のレビュー一覧

  • ひとりっ子

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     この短編の中ではちょっと重めの話。別世界、人造人間、人間の定義などのテーマが深く書かれていた。オラクルと併せて読むのがオススメ。
     人造人間じゃなくても、子どもが何を基準に好き嫌いやら良し悪しを判断してるのかは興味深かったりする。
     先天的な要因が殆どという気もするので、もしその初期設定を自分で行えたらどう設定するかってのは考えてみるとおもしろいかも。
     実際の子どもに対する時も選択肢の中の最良であるものを選ばせたいと思うのが親心だけれど、それが最良かどうかは知る由もない。最良の物を追いすぎて選択肢が狭まることもしばしば。むずかしい。

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    2011年01月21日
  • ディアスポラ

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    理論が……理論が……わたしゃ、アホや。

    「ワンの絨毯」あたりまでは何とかイメージできたけど、そこから先は読みながら、WEBでいろいろと調べる(翻訳の山岸氏もそういう読み方もありと訳者後書きに書いている)。

    ラストが好きです。孤児が帰っていくところが。

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    2010年10月09日
  • 祈りの海

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    進みすぎたテクノロジーと、それに置いていかれた人の精神を取り扱う、イーガンならではのセンスが光る短編集。

    あらすじを語ること自体がネタバレになってしまうので、実にもどかしいのですが…。
    短編集の一話一話の密度が濃く、どれも考えさせられます。
    「ぼくになることを」を読んだショックは相当なものでしたし、
    「貸金庫」は今まで読んだSF小説の中で一番ほろりと来ました。

    紙面には、幾何学や量子力学の話題がばらばら出てくるので、一見読みづらいと思うかもしれませんが、そんなのは雰囲気作りの装飾です。本質はもっと分かりやすくて、不可解なところにあります。最初は苦痛に感じるかもしれませんが、是非読み通してみ

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    2010年08月29日
  • 順列都市〔上〕

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    とにかく好き。理屈じゃないんだ、理屈あっての小説だけどでも理屈じゃないんだ。「創造主が創造物に否定される」ってのはシビアながら笑いどころのような気もする。で、私の考え方は90年代生まれのママンに似ている…年上だから当たり前。

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    2010年08月20日
  • ディアスポラ

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    悶絶すほど難しい、が要所要所に見られる、人々の生き方に大きな感動がある。

    また、スケールが大きすぎるがゆえに、一人の人としての生き方が非常に良く描かれた作品だと思った。すべてを読み終え、最初のくだりを読み直した時、読んで良かったと強く感じた。一度目は理解に精一杯だったからだ。二度目は風景を感じた。再読が非常に楽しみだ。

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    2010年07月28日
  • 祈りの海

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    イーガンさんの短編です。
    キューティを読むたび、
    肉体は弱いもので魂だげ不滅だ
    っていう某映画の台詞が頭に浮かぶ。
    しかしながら、人間というやつは魂だけでは触れ合えなくてイレモノも必要なんです。
    だから貸し金庫の主人公は自分自身について彷徨い続ける。
    この人の物語からはプラトニック過ぎるというか、バカ正直すぎるものが詰まっている。数学者のさだめなのかな?

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    2010年06月08日
  • ハローサマー、グッドバイ

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    ブラウンアイズ。
    カバーの絵が秀逸。
    最後のどんでん返し。
    ときどき出てくる丁寧な伏線。「寒さに恐怖を覚える」
    寒さに恐怖を覚えるのは、ロリンに助けてもらうため?
    ロリンはその恐怖の感情をテレパシーで知覚して助けに来てくれる。
    40年後、ドローヴとブラウンアイズ。
    ドローヴとブラウンアイズ、ブラウンアイズの両親はもう亡くなっているけど、ドローヴの両親もおそらく40年後、生きてはいないだろう。
    パラークシで二人の他に生き残っているのはストロングアームを始め、ごくわずかの人々。

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    2018年10月15日
  • 順列都市〔上〕

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    え、そんな展開!?そんな理屈!?

    という、意外性の連続な展開が非常に面白い。
    SFって世界設定の理屈付けがどれだけしっかりしていて、なおかつ驚愕を誘うものかがひとつの面白さの基準だと思うのだが、見事にそれを満たしている一冊。

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    2010年02月17日
  • 祈りの海

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    初イーガン。難しいけど面白かった。表題作「祈りの海」がすごい。科学と宗教の折り合いはいつの時代もつきにくいんでしょうね…。「貸金庫」「キューティ」も印象深かったです。

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    2009年12月14日
  • ディアスポラ

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    最初から最後まですばらしかった。
    文系の自分には科学的な話はまったくわかりませんが、そんなことは関係なく面白い。
    (解る人にはもっと楽しいのだろうな、と思うと羨ましいですが)
    たった二文字にこめられた作者の哲学に感動。

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    2009年10月04日
  • 順列都市〔下〕

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    後半の方が断然に面白い。
    結論も示唆的で考えさせてくれるものがある。
    何筋かに話が平行しているので、読み返した。

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    2009年10月04日
  • ディアスポラ

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    肉体に縛られない、肉体無しでの出発点で個を獲得するというものとは。
    ヤチマは長い長い旅をして吸収しては切り離し、時にとんでもなくのんびりしてみたり、でも割と大冒険。
    わたしは文系脳なので、理数脳の文はチンプンカンプンですが、一番良い方法は読み飛ばすことです(笑)

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    2009年10月04日
  • 順列都市〔上〕

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    被検体の時間をスライスしてシャッフルしてシミュレートするってことは未来を予測する処理が必要だと思うけど、その結果が対照標準と一致することはありえない気がする。

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    2009年10月04日
  • TAP

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    グレッグ・イーガンの初期作品。他の人の著作だったなら「おお!これはすごい!!」とか言うんだけど、その後イーガンが偉大なる作品群を続々と生み出して、ハードSFの極北まで飛んでいくことを思うと、本作品のスケール感は微笑ましく感じてしまう。

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    2025年12月07日
  • ゼンデギ

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    グレッグ・イーガンといえば難解なハードSFで読者をサイエンス棒でぶん殴ってくるイメージだったのだが、この作品はだいぶヒューマンドラマ寄り。

    イラン(テヘラン)を舞台にVRゲーム、ゼンデギの中でコピー人間を作る物語。ペルシャ神話の叙情的な物語を舞台にSFを通して生命倫理を読者に考えさせる作品と言える。

    ただ、イランの見方が白人世界からの視点になっているので、だいぶ現実の政治と離れているのはネック。

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    2025年10月26日
  • しあわせの理由

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    グレッグ・イーガンはハードSF好きの自分としては外せない作家。
    のはずなのにもしかしたら所有したのは初めてかもしれない。今までは何かの短編集的なもので読んだだけだったのかも。

    本短編集、SFなのだが、突拍子もない設定やかけ離れた未来の作品はそれほど多くはなく、時間軸としてもとても現代に近い設定のため、「あれ? これってSF?」となる作品も多い。
    表題の作品『しあわせの理由』なんて、SFではなく人間を描いており、その設定のためにSFを利用していると言ってもいいくらい。というか、多分そう。それはタイトルに現れている通りで、自分が感じるしあわせも少し懐疑的に見てしまいそうになる。
    現実の自分の認識

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    2025年10月11日
  • ハローサマー、グッドバイ

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    山頂の雪化粧に夏が完全に終わったなと思い再読
    最後に唐突に現れる大仕掛けが有名だけれど
    再読の度こんな所に!と新しく発見出来るものもあり今後も読まれ続けるのだろうなと思う

    作者マイクルコーニィ本人の
    これは恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらにもっとほかの多くのものでもある
    というコメント、まさにそのまま僕もそう思う

    何かね、最近AIが着実に芸術文化方面へ足を踏み出しているニュースの頻度が早い、増えてきたじゃないですか
    せっかく人間が考えて生み出した世界
    このハローサマーグッドバイのドローヴとブラウンアイズの恋の冒険をどうか
    人間が考えてたころの話か
    なんて思う時代は来ない

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    2025年10月07日
  • 祈りの海

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    イーガンは初めて読んだのが『ディアスポラ』で、めちゃくちゃ面白かったけど、難解さにイーガンへのハードルが上がりすぎてその後手を伸ばせずにいたのだけど、読みやすいものも多いよと何人にもおすすめされてようやく手を伸ばしたのがこちら。

    本当に読みやすくてびっくりした。単純に難解さの程度の高い低いという話だけでなく、なんというかその設定における思考実験の方向性やそこで積み上げる論理が個人的に肌に合う感じがする。そこが自分と合わないというか発想が違うからこそ面白さを感じるSFも少なくないけど、そういうものはハード・ソフトを問わずついていくのにパワーは使ってしまう。その点イーガンの本作は設定としては斬新

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    2025年09月25日
  • ビット・プレイヤー

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    ネタバレ

    グレッグイーガン、難しさもあるけど、想像出来ない展開が面白かった。
    「七色覚」 目が見えないのも困るが、目が見えすぎても良くないと感じた。
    「不気味の谷」 アダムが誰なのか何なのか分からないまま話が進み、老人の希望の部分だけが記憶されているが、記憶にないところにも重大なことがあった。
    「ビットプレイヤー」私には難しい。平行感覚が常にずれているような気分のまま、話を追っていた。
    「失われた大陸」先の見えない展開が苦しくもあり、ハラハラさせられたが、希望を感じられた。
    「鰐乗り」リーラとジャシムの愛を感じられて、ウルッとした。
    「孤児惑星」難しくてよくわからなかった。

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    2025年09月13日
  • しあわせの理由

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    ★4.4
    SF界の巨匠グレッグ・イーガンが贈る、9篇のの短編集。
    神経系の異常により“幸福”を感じられなくなった少年が、治療の果てにたどり着く「しあわせ」のかたち。感情操作を通じて再び幸福を手にしようとすることは、果たして“本人の意思”と言えるのか。(表題作『しあわせの理由』)


    タイトルだけ見ると、宗教や自己啓発本に見えてしまう本書。中身は紛れもないハードSF、もっと言えばPF[Philosophy Fiction:哲学小説]だ。
    生体操作・記憶・倫理・宗教・国家といった多様な領域を横断しながら、科学の視点で「人間とは何か」**を徹底的に解剖していく。
    思考実験の連続は、めまいをもたらす。

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    2025年06月06日