山岸真のレビュー一覧
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ハードSFの大家グレッグ・イーガンの11の短編を収録した本書は、文中の言葉を借りるならば、「きみがきみであること」「自分が何者であるか」、すなわちアイデンティティを共通したテーマに据えている。
SFの手法でアイデンティティを語る作品としては、個人的にはロボットを題材にした作品が多い印象を受けるのだけど、本書においてはそれに依存することなく、多彩な視点からアイデンティティを捉えている。
ヒューゴー賞/ローカス賞を受賞した表題作もさることながら、次の2作品が特に素晴らしかった。
・『ぼくになることを』
衰退する脳を排出し、その代わりに衰えることを知らない"宝石”を移植することが一 -
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進みすぎたテクノロジーと、それに置いていかれた人の精神を取り扱う、イーガンならではのセンスが光る短編集。
あらすじを語ること自体がネタバレになってしまうので、実にもどかしいのですが…。
短編集の一話一話の密度が濃く、どれも考えさせられます。
「ぼくになることを」を読んだショックは相当なものでしたし、
「貸金庫」は今まで読んだSF小説の中で一番ほろりと来ました。
紙面には、幾何学や量子力学の話題がばらばら出てくるので、一見読みづらいと思うかもしれませんが、そんなのは雰囲気作りの装飾です。本質はもっと分かりやすくて、不可解なところにあります。最初は苦痛に感じるかもしれませんが、是非読み通してみ -
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どこで見たか忘れてしまったが、、確か雑誌か何かで知った一冊。最近仕事でドローンを扱うことも多く、SF好きなので自然と購入。
ショートSFならではの最後の続きを予見させるおわりにわくわくする。標題作では子供のいたずらのようなところから、ねずみ小僧的な海賊の姿が見えた時には続き読みたい...!と思った。
エグザイルパークもプラゴミ島という将来ありえなくもない環境とオロクンの超能力じみた設定。オロクンはなんの比喩だろうか。保守的な政治か麻薬か、かりそめの平和か、なにかに依存する世界を揶揄するものだろうか。
クライシスアクターズは陰謀論的な話で、気候変動を信じる信じないにしろ、とっている行動は同じで結 -
Posted by ブクログ
11作品収録。
グレッグ・イーガンの発想の豊かさには舌をまく。よくこんなに様々な世界が思いつくものだと感心する。頭いいんだろうなー。しかもいずれも秀作(正直に言うと、『繭』は自分的に微妙であった)。
分類すればSFなのだが、描かれるものは、”宇宙”や”テクノロジー”というよりは、”異なる世界”といった感じ。
収録一作目の『貸金庫』は同地域・同年代の身体を毎日移動する意識だけの主人公の物語。読んでいく途中で謎が溶けていき、わかった瞬間思わず、そういうことか…、と少し居心地が悪くなる。
続く『キューティ』『ぼくになること』は、倫理観がテクノロジー(医療ではないと思う)を制御出来なかった時の物語と