山岸真のレビュー一覧

  • 白熱光

    Posted by ブクログ

    知っているけど何を意味するか解らない単語、短いからテンポよく読めるのだけどなんだかビジュアルが浮かばない文章、最後まで構造の理解出来なかった奇数章と偶数章のふたつの物語、だけど、なんか心の動く読書体験でした。初めて聞いた曲の外国語の歌詞が全然、理解できなくてもジーンとしてしまった感じみたい…登場人物達がみんな「発見と探求」に向けて突き動かされているところが、このハードSFのメロディラインだと思いました。もしかしたら人類の発見して来た物理法則そのものがモチーフになっているところが基底音かな。

    0
    2014年04月13日
  • 祈りの海

    Posted by ブクログ

    収録されている短編のほとんどがテーマとしているのが、仮想現実におけるアイデンティティとは何か?で、テクノロジーによって代替可能になった、自己や他者の精神や肉体をとは何かについてなどの思索が語られる。アイデンティティを代替させるアイデアがいずれも面白く、それによる掘り下げも見事で哲学的な興味をそそるが、全体的に地味な印象。

    0
    2014年04月13日
  • ひとりっ子

    Posted by ブクログ

    ハードSF短編集。イーガンの短編集には珍しくあちこちに他作品との繋がりが見える一冊。とは言えもちろん単独で読めます。
    総合して見ると「人間とは、意識とは何か」ってテーマを起点にいろんな切り口からのアプローチ、って感じの一冊。ごくごく単純なワンアイディア短編あり、多世界解釈の分岐を絡めてタイトルまたいで込みいった中編あり。
    テーマには一貫性があるけど、書かれた時代が幅広いのもあって一編ごとのまとまり方はちょっとばらつきがあるかな。
    あと「プランク・ダイヴ」収録作「暗黒整数」に直接繋がる「ルミナス」収録もこの本。これが一番好き!

    0
    2014年03月28日
  • 白熱光

    Posted by ブクログ

    ちびっこ異星人が独自に科学水準を上げていく様は、アシモフの神々自身を彷彿とさせる

    イーガンにしては読みやすい

    解説が必須。解説を読んではっと気付くところがある

    0
    2014年01月04日
  • パラークシの記憶

    Posted by ブクログ

    「ハローサマー、グッバイ」の続編が出るなんて誰が予想しただろうか!が、続編が出たおかげで前作のあの読後に訪れる余韻がかなり薄まってしまった。もったいない。そして内容はいいのだから、このカバーはやめてほしい。前作と合わせてほしい。レジに持ってくのかなり恥ずかしいです、河出さん。

    0
    2013年11月17日
  • パラークシの記憶

    Posted by ブクログ

    待望の『ハローサマー、グッドバイ』の続編。前作の数百年後を舞台とし、幾つか追加設定も。青春恋愛SFとしては勿論、その世界ならではのロジックが活かされた異世界ミステリとしても傑作。

    0
    2013年10月16日
  • ディアスポラ

    Posted by ブクログ

    知性の進化の極み、だがそれが人の身には叶わないというのは悲しい。だが、おおいに考えられることだ。
    肉体を持たない意識はその時点で、人類とは呼べず、それが人間の精神構造を模倣したものであっても、AIと呼ぶべきだと思う。
    人類はAIを生み出すための存在でしかないのではないかとも思えてくる。
    未来の行く末について、思考が広がる作品を書ける。現代SF作家で、この人は最高峰だ。

    0
    2013年08月09日
  • ひとりっ子

    Posted by ブクログ

    特に携帯メールの予測変換の進化ときたら、あまりにもすばらしいものだから、面倒なメール返信のときにはついつい予測で表示される単語をそのまま繋げて送ってしまったりする。・・・でも、これって、本当に「ワタシ」が送ったメッセージなんだろうか。私の介在は最小限であり、携帯がメッセージを作ったと言っても良いのではないだろうか。
    こんな風に日常を取り巻くさまざまな事象が進化していくと、これまで当たり前だった「境界」がものすごく曖昧になる。どこまでが「自分」で「自分の意思」なのか、「生命」とか「人」と認識されるにはどんな条件が必要なのかとか、「選択した現実」と「選択しなかった現実」の差異とか。
    ・・・なんてことを、倩倩と考えてしまう物語群。本当の自分の姿は自分の中にあるようで、実はほかの誰かとの関わりの中でしか現れ得ない?そもそも「本当の自分の姿」なんて意識自体が幻想かもね。

    0
    2013年03月21日
  • 祈りの海

    Posted by ブクログ

    がっちりSF読んだったー!!という満足感。
    私はSFは好きだけど、物理もテクノロジーも生命科学もサッパリなダメ読者なので、SF的なガジェットはよく理解できない部分が多い。
    それでも面白く読めるのは、解説等で言われているように「自分が何者であるか」というアイデンティティを核としているからだろう。様々な状況において、より自分らしく生きるためにはどうすべきか?ということを考えさせてくれるところがいい。

    「祈りの海」「百光年ダイアリー」「放浪者の軌道」「貸金庫」あたりが特に面白かった。

    0
    2013年01月09日
  • ひとりっ子

    Posted by ブクログ

    ルミナスが収穫。
    イーガン作品を読むなら、この作品を読んでからにした方が理解しやすい。

    お得意の、計算によってこの世界を決定する、という話だが、多少丁寧に説明してくれている。もちろん、よく分からないのだが。
    それにしても、1024ビット程度の演算を順序入れ換えて実行して演算結果が異なるって嘘臭いなー。何ビットでも嘘臭いけど。

    光で計算に最適なハードを作り出す、というアイディアは秀逸。ハードウェアの最適化。

    0
    2012年08月16日
  • 祈りの海

    Posted by ブクログ

    SFの短編集。
    読み終わった感想は、なんだか、頭が筋肉痛になったような感じがする。頭の中の、普段使ったことのない部分を使った感じ。11の短編が収められているが、僕自身がこれまでほとんどSF小説を読んだことがないので、ついていくのが結構大変な感じがするのだ。

    0
    2012年08月14日
  • ひとりっ子

    Posted by ブクログ

    久しぶりにイーガン読んだら難しかった。自分の知ってるイーガンっぽくないとも思った。収録されてる中にわりと古い作品があって、その頃のだと受ける印象が違うみたい。

    0
    2011年09月04日
  • ディアスポラ

    Posted by ブクログ

    これだけの宇宙を見せられて、人間ひとりひとりの物語に価値が見出せる人がいたら会ってみたい。
    価値はないけれど意味はあるよね。個人的に重きをおきたいのはヤチマの人間性について。人によって色々思うところがあるんじゃないだろうか。私は彼(彼女?)が『何の曇りもない笑顔』を浮かべられることと故郷を捨てて一人で真理を求め続けることから見える 無邪気さ を持っていることに大きな意義がある……気がする。引用したとこが心に残ったのは、ヤチマのセリフだからです。
    物理とか数学をやったことのない文系の人には読みづらいかも。でもわかるとこだけ読んでればおkです。
    あと5回くらい読んでちゃんと理解したい。

    0
    2010年09月26日
  • ひとりっ子

    Posted by ブクログ

    いくら不可知な人間の精神とはいえ、自然界の法則に逆らうことはできない。イーガンは数学をはじめとした大変な科学の知識で(文系のため、どんなジャンルの学問かもすでにわからない。汗)、人間の行動の決定や、愛や憎しみの感情を、どんどん因数分解していってしまう。各短編には、しょせん人間も機械の部品の組み合わせにすぎないのだという趣旨の文章がちらちら見える。しかし読み終わると、いやそうではないという思いが、まったく理屈ではないところから立ち上がってくる。

    この短編集の最後2編はなかでも難解で、多元宇宙論をテーマにしている。全然わからないままとにかく最後まで読んだら、あれっと思う関連が隠されていて、また読み直した。すると、初読より断然得るものが多かった。イーガン独特の科学法則のたたみかけのような、やや退屈に思える部分が実はセンチメンタルなメタファーであることに気づいたのだ。その一瞬のひらめきはまるで天啓だった。他にもないかとページを繰ったけれど、残念ながら同じ感覚はもう訪れなかった。

    理系の人なら感知できるのだろう、ロジカルな文中にそっと埋め込まれたイーガンのセンチメントを、私はずいぶん見逃してしまっているのだろう。それでもかすかな気配だけは感じることができる。それが彼の小説を苦労しても読みたいと思わせる“行動原理”なのだ。

    0
    2010年07月05日
  • ディアスポラ

    Posted by ブクログ

    ディアスポラ=離散
    宇宙(多次元)の様々な方向に自分たちのコピーを1000個派遣して知的生命体、生存をかけて可能性を探検する。


    人間存在が究極に不滅になったときの最終的な人の行き先。
    これを作者なりに推し進めている
    ・自分の全ての可能性を探索しつくす(完了)
    ・自分の人生の中で不変の箇所を探し続ける(アイデンティティの探求)
    ・自我を維持できなくなり消滅、霧散、停滞

    自分の夢想した問題意識が表現されていて興味深かった。
    ”価値”は、自分の視点中心に”現れる”のであって、それ自体存在しない
    残るのは、自分への探求か、全て(個々に優劣が無いため)の外部の探求。

    やはり不死/長命は、普通の人間存在(=自分)には耐えられない。言いかえると、自分のアイデンティティは維持できない(ある意味での死)
    あらためて有限の生(死)に向き合う生き方をしたいと感じた

    グレッグイーガン全てに通底するテーマであるが、改めておもしろかった。

    0
    2021年06月24日
  • 祈りの海

    Posted by ブクログ

    限りなく五つ星に近いのだが、『ひとりっ子』と比較した時に、こっちの方が少し印象度で劣る。『ルミナス』が収録されている分の差とも言えるが。

    0
    2010年03月11日
  • 祈りの海

    Posted by ブクログ

    SF短編集。SFではあるけどメインテーマはアイデンティティかな。
    とにかく巧みなアイディアに驚かされるけど、ちょっと取っつきづらい文章なのでハードSFに慣れてる人向けかも。そこを乗り越えれば面白いよ!

    0
    2009年11月11日
  • ひとりっ子

    Posted by ブクログ

    短編集イーガンの数学的ネタが難解で「ルミナス」ついていけませんでしたが「真心」「ふたりの距離」は印象に残りました。特に「ふたりの距離」は二人の人間のアイデンティティを限りなく近付けるとどうなるかという…ある意味怖いです。

    0
    2009年10月04日
  • ひとりっ子

    Posted by ブクログ

    短編集。「行動原理」「真心」「ルミナス」「決断者」「ふたりの距離」「オラクル」「ひとりっ子」以上7篇収録。

    0
    2009年10月04日
  • しあわせの理由

    Posted by ブクログ

    全9編によるハードSFの短編集。
    絵画を実際に再現するため、人を攫っては絵画に合わせて人体改造していく「愛撫」や、ワームホールに囚われた人物を救出に向かう「闇の中へ」など、ユニークな設定が目白押しです。
    しかし、個人的には表題作以外はどうにものめり込めず、あまり楽しめませんでした。全般的に設定が細かすぎる傾向があります。

    例えば「道徳的ウィルス学者」では、不倫をした者や同性愛者など、主人公が不道徳と見なす人間を殺すためのウィルスをばらまく物語ですが、このウィルスの設定が「どのタイミングで染色体にコピーされ、変異し、受容体に取りつき、どのように擬態するか」といった仕組みが、あらゆるパターンを網羅するように延々と解説されます。
    著者の博識ゆえか、フワッとした説明で済みそうな箇所にも緻密な理屈づけが施されており、説明が長すぎて結局頭に入りきらないまま読み進めることになります。
    本題と末節の区別がつかなくなり、骨の折れる読書でした。

    恐らく著者の意図は、独創的なアイデアとその設定の作り込み、そして作中のキャラクターを通じたメッセージ性や思考実験の面白さにあり、物語はあくまで舞台装置なのでしょう。
    ただ、私自身は登場人物のドラマを読みたいタイプなので、あまり好みが合いませんでした。

    その中で表題作「しあわせの理由」は別格の面白さでした。
    脳に巣食ったウィルスを除染した際に幸福感(ホルモン)を生み出せなくなった主人公が、脳細胞を代替するメモリを埋め込むと今度はあらゆる物事に幸福を感じるようになってしまうという物語です。

    他人の脳細胞データから作成したメモリを埋め込むという設定も興味深いのですが、主人公は言わば「他者の評価軸で動く人間」となっており、Twitterの登場以前から、他者評価に幸福を左右される現代的な人間像を予見していたような、その慧眼には驚かされました。
    運動に幸福感を覚えるよう設定してダイエットに勤しむ描写など、あすけんと組み合わせたような発想も秀逸です。

    他人の感情が共存する状態を、希望を込めて描いているのがとても良かったです。
    この状態を異常ではなく、人間にしかできない知性の継承として捉えており、人間讃歌のドラマへと昇華させた手腕は見事でした。

    全体としては自分の好みとはややズレる短編集でしたが、表題作「しあわせの理由」だけでも読む価値のある一冊だと思います。

    0
    2026年07月05日