山岸真のレビュー一覧

  • パラークシの記憶

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    前作ハローサマー、グッドバイの記憶が薄れないうちに読むのがおすすめ!いろいろと新しい設定も増えていて、変化が楽しい。

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    2017年08月06日
  • ハローサマー、グッドバイ

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    新しい出会いがあって、恋をして、親の考え方疑問を持って、子どもが子どもじゃなくなっていく。そのなかで国が傾いていく波にのまれていく。主人公たちの恋も想像していたかたちじゃなくて、新しかった。

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    2017年06月12日
  • 順列都市〔下〕

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    分かりにくいがその世界に入れば第一部はなかなかいい
    表紙   5点小阪 淳  山岸 真訳
    展開   7点1994年著作
    文章   6点
    内容 725点
    合計 743点

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    2017年04月12日
  • 順列都市〔上〕

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    分かりにくいがその世界に入れば第一部はなかなかいい
    表紙   5点小阪 淳  山岸 真訳
    展開   7点1994年著作
    文章   6点
    内容 725点
    合計 743点

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    2017年04月12日
  • 祈りの海

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    『宇宙消失』に比べると格段に読み易いイーガンのSF短編集。
    悲し過ぎる「キューティ」
    LGBT。正常と異常の意味を考えさせられる「繭」
    決められた未来の罠、ミステリとして秀逸な「100光年ダイアリー」
    人類皆兄弟か!?人類史を辿る「ミトコンドリア・イヴ」
    宗教体験の「祈りの海」

    後者2つは解説を書いている瀬名英明のパラサイトイブ、ブレインバレーを彷彿とさせる。

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    2017年04月09日
  • アロウズ・オブ・タイム

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    ネタバレ

    物理法則も生物学的にも異なる世界の科学者たちの冒険譚。図解入りで世界観を説明したりと難しげだけれど、旧概念の束縛とか政治で苦労しちゃったりするのはフツーかな。
    最後の最後にえらくさっぱりとハッピーエンド的にもっていかれて拍子抜けした。

    破滅が予見された時に方舟的なもので一部が助かる、異星人や遠い未来の超科学で回避できてしまうというよくある展開ではないのはすごいのかな。

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    2017年02月26日
  • ゼンデギ

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    3D感覚で実際に自分がその場にいるかのようにゲームをプレイできる、オンラインゲームの高度進化版(ハンターハンターのGIを思い浮かべるとイメージしやすい)を軸にしたSFものだが、親子の絆などの要素も込められた物語。
    グレッグ・イーガンというと、現在SF作家の最高峰だったり、ハードSFの旗手と呼ばれたりで、とっつき難い印象があった。

    いずれ読まねばと思うが、これより前の「ディアスポラ」などは非常に理解が難しく、「白熱光」に至っては筆者のウェブサイトにて図付きの解説が載っているという事実が二の足を踏ませる。

    それらよりは遥かに読みやすい(理解力に乏しい我々にイーガンが歩み寄った)作品ではあるよう

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    2016年11月22日
  • 順列都市〔上〕

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    2016/09/07-2016/09/10
    星4.5

    「グレッグ・イーガンのSFがおもしろい」というのを風の噂で聞いたので読んだ。ハヤカワ文庫SFの中ではこれが最初の単行本だが、日本語訳されているイーガンの長編の中では2番目らしい。創元SF文庫から出ている『宇宙消失』が最初。Wikipediaによると更にそれより前に "An Unusual Angle" というのがあるらしい。

    物語の背景として主軸にあるのは、物理・情報科学・生物の知識。物理に偏ることも情報科学に偏ることもなく、基礎原理から生物的性質まで幅広く設定され考察されているのには、想像力の広さを感じた。

    今ま

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    2016年09月13日
  • 順列都市〔下〕

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    ネタバレ

     1994年発表、グレッグ・イーガン著。ソフトウェア化された意識〈コピー〉が一般化された世界。富豪のコピー達に、宇宙が消失しようとも永遠に生きられる方法を提示する男。N次元オートマトンを駆使した、膨張し続けるTVC宇宙(エリュシオン)内に、コピー達と彼らの住む街〈順列都市〉を作り、さらに簡略化された物理法則を持つオートヴァ―ス宇宙を作る。やがてオートヴァ―ス宇宙側(そこに住む知的生命体、ランバート人)から、TVC宇宙への浸食(より高次の万物理論の暗示)が起こり始める。
     久しぶりのイーガンだったが、やはり一筋縄には理解できない。依然読んだ『ディアスポラ』以上に難しいと感じた。おそらく難解な部分

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    2016年08月27日
  • ディアスポラ

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    初めてグレッグ・イーガンの作品を読んだ。想像以上にハードSFだった。最初から難しい。脳のシナプスを活性化させ、目から入ってくる文章から画像を生成し、脳みそに汗をかきながら読んだ。涙ぐましい努力(自分的には)の結果、最初の部分はかなり楽しめた。

    この最初の部分は、非常によくできていて、生命の誕生(コンピューターの中の世界だが)のプロセスを臨場感と共に思い切り楽しめる。その部分があるからこそ物語に引き込まれ、最後までドキドキしながら読むことができた。

    後は大宇宙を移動しながら、時には次元を越え、時には別宇宙に飛び、自分のクローンを作りながら永遠の旅をする。

    数学やら物理やら、やたら難しい単語

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    2015年10月25日
  • ひとりっ子

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    ここに、ひとの感情を固定させることのできるインプラントがあるとしよう。インプラントは鼻孔に挿入された後、脳まで一直線に掘りすすみ、そこから放出されたウイルス大のロボットが適切な処置を施してくれるのだ。もちろん痛みはない。
    さて、ここで質問。あなたは夫婦間、あるいは恋人への愛情を例えば倦怠期による磨耗から守るために、このインプラントを使用するだろうか。

    テクノロジーの発展がもたらす社会的道徳や価値観の変容。本書は、まだ変容を受け入れきれていない社会を舞台に、倫理と欲望の葛藤、そして思わぬ落とし穴を描く作品がちらほら。現代SFの最高峰グレッグ・イーガンの短篇集は全7篇収録。

    テクノロジーの発展

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    2015年09月14日
  • ゼンデギ

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    いやあこれは意外。前作の「白熱光」がガチガチのハードさだったので、おそらくまたわからんだろうけど頑張って読むもんね!と鼻息荒く読み出したら、おっとっと、なんだか雰囲気が違う。若干途惑いつつ、そうだよ、ここのところ文系読者にはキビシイのが続いてたけど、人の心に繊細に分け入るドラマ性の豊かさもまたイーガンの持ち味だったよね~とずんずん読み進め、本を置いた今はしみじみとした満足感の中にいる。やっぱりイーガンは最高だ。

    何よりも意外だったのは、本作には度肝を抜くようなSF設定がないことだ。人間の脳をスキャンしてヴァーチャルな存在を作り出すというお話ではあるが、「ディアスポラ」でその突き抜けた形を差し

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    2015年07月06日
  • パラークシの記憶

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    ネタバレ

    一応ハローサマー、グッドバイの続編。前作の主人公たちは今作では神話上の人物として出てくる(ネタバレだけど、本作の主人公のハーディとチャームは、ぞれぞれ前作のドローヴとブラウンアイズの子孫)。
    やっぱり前作と同じで少年少女の成長と恋が描かれてるけど、今回は後半からミステリ的な要素もある。
    終盤、「舞台となる星は大凍結と呼ばれる氷河期に向かっており、大凍結をどうやって乗り越えないと人類は絶滅してしまうので、大凍結を回避するために方法を探す」という展開は前作と同じ。しかし、ここで前作のラストの「ネタばらし」がされる(正直私は前作のラストは意味がわからなかったけど、今作を読んで納得した)。
    ハローサマ

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    2015年05月10日
  • 祈りの海

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    ネタバレ

    小学校の理科の時間に、口の粘膜を綿棒ですくって顕微鏡にかける実験があった。接眼レンズを覗くと、本当に教科書で見たような細胞があった。
    「祈りの海」の主人公が覚えた衝撃は、そのときの記憶に似ているかもしれない。

    地球とは別の海の星で、主人公の「ぼく」は暮らしている。幼いころにある体験をして、それ以来大いなる女神の存在を信じている。しかし、成長した彼が自らの研究で判明させたのは、その体験が単に微生物の排泄物がもたらす幻覚だったという事実だ。
    信じていたものから神秘的な(俗悪な)ヴェールを剥ぎ取られ、主人公の拠り所は一気に瓦解する。

    発想の点では、「誘拐」の、「人の心の誘拐」が一番刺激的だった。

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    2015年04月29日
  • ひとりっ子

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    しあわせの理由に引き続き読んだ。

    ザ・SFな内容が味わえて不思議な気分になるが、大事なことは精神的な問題や社会的な問題でそこに正面から向き合った話が根本にあった。

    例えば自分の意思が可視化されたらその先には何が見えるのか。
    例えば人間の脳が宝石になり、まったく同じ考えを持つ人が隣にいるとどうなるのか。
    例えば量子力学的な分岐を持たないAIが別の分岐に来たらどうなるか、なぜ来たのか。

    グレッグ・イーガンは人間の脆弱性をついたセキュリティー試験を行っているのではないだろうか。

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    2015年02月08日
  • 順列都市〔上〕

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    ネタバレ

    どうやって人間をサイバー空間に送り込むか? という問題については、つまりこの順列都市の「スキャン」って方法で解決できちゃうのかも。身体構造をまるごと写しとって、仮想世界に用意した真っ白いインテリアの部屋にぶちこめばいい。魂というものがない限り、人間はそれで問題なく動くかも。

    この小説で面白いのは、その「スキャン」の発想と、ダラムの展開する「塵理論」。なんだけど、その解釈が難しいのでこれが塵理論かな? と思うのを二つ書いておく。

    塵理論その①
    主人公の一人であるダラムは妻によって一度仮想世界を体験し、自身をコピーと思い込んだ。その結果、「ベッドで眠る自分」と「コピーとしての自分」という二つの

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    2015年01月10日
  • 順列都市〔上〕

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    最初は退屈するけど,仕組みをわかってくるうちにじわじわ面白くなってくる小説。登場人物がたくさん出てくるので整理しながら読むと面白いと思う。

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    2015年01月06日
  • ディアスポラ

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    最近(一部で)超話題のウルトラハードSF『ディアスポラ』を読破!!「近年のSFでは最高」だとか、「イーガンの頂点の一つ」だとかの評価があったので、ずっと読みたかったんですよ。
    グレッグ・イーガンって人はすごい作品を書くのはわかってました。『万物理論』は難解ながらもとんでもない方向に行っちゃうところが刺激的だし、『しあわせの理由』や『祈りの海』なんかは「技術とアイデンティテイ」という問題を考える上で重要な事柄を扱ってて興味深い。とにかく、いまホットな人なんですよ!(力説)
    『ディアスポラ』の評判は聞いてたんですが、近くの本屋になかったので、いままで読んでなかったのです。この前、渋谷による用事

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    2014年12月14日
  • ディアスポラ

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    グレッグ・イーガンのソフトな人々が描かれたハードなSF作品です。
    人類の多くが肉体を捨て、意識をシミュレートできるコンピュータ上に生活環境を移した世界で、問題に直面した人類の外宇宙への進出が描かれます。
    そして、ハードなSFだけに、その辿り着く果てである結末も、ハードボイルド(煮詰り過ぎ)です。

    <そんなに簡単に、ヒトが身体を捨ててコンピュータに移り住むの?>
    ”私”という意識は、身体ではなく、脳内の電気的、化学的な変化自体でもない。
    脳内の電気的、化学的の変化が、連続的な意味のある変化の場合に、生み出される現象…雷とか風とかと変わらない…と思われる。
    同様の変化が起こるなら、例え機械であっ

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    2014年09月15日
  • ディアスポラ

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     1997年発表、グレッグ・イーガン著。仮想現実都市ポリスに住む、ソフトウェア化した人類。ソフトウェア化を拒み、肉体を保ったまま地球で生きる肉体人。地球を襲う天文学的危機をきっかけに多次元空間へと逃れた人類は、遠くの星へクローンを飛ばす「ディアスポラ」を開始する。その果てに未知の生命体と接触する。
     とんでもない小説だった。全力で理詰めだ。ストーリーの流れは何となく分かるのだが、冒頭の孤児ヤチマが生まれるシーンなどはまだしも(このシーンが個人的には一番面白かった)、幾何学やワームホール、多次元の話など、大学で物理科や数理科を専攻でもしていないと完全には書かれていることを理解できないに違いない。

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    2014年09月19日