あらすじ
冬の再訪も近い不穏な時代、ハーディとチャームのふたりは出会う。そして、あり得ない殺人事件が発生する……。名作『ハローサマー、グッドバイ』の待望の続編。いますべての真相が語られる。
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Posted by ブクログ
前作の「ハローサマー、グッドバイ」に並ぶ自分の中のベスト小説になった。面白すぎる。こんなに面白いのに表紙が面白くなさそうなのが残念。表紙がかっこよかったらもっと人気が出ると思う。
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文句無く面白い!前半、主人公以外の登場人物が頭悪過ぎて読むのが大変ですが…事件が起こり、謎が波乱を呼び、最後は大円団のハッピーエンド。読んでよかった。この本とおうか、この作者を勧めてくれた神林しおりにお礼を言いたい。貴方のおかげで、SFを読むようになったんだよー♪
Posted by ブクログ
文句を言いたいわけじゃないが、5年待った。『ハローサマー、グッドバイ』のあとがきに触れられていた続編のようやくの登場である。
続編というのはいささか語弊があって、直接的な続きというより、同じ舞台を使った作品である。しかも、『ハローサマー』の主人公、ドローヴとブラウンアイズは伝説の人物となっていて、その実在すら定かではなくなっている未来の話。スティルクと自らを呼ぶこの星の知的生命は人間とそっくりなのだが、『ハローサマー』では機械文明初期にあったのが、この未来の話では産業革命以前のような狩猟・農耕社会に退行している。
しかもスティルクたちはこの何百年かのあいだに『ハローサマー』にはなかった能力を身につけている。それは同性の祖先の記憶をアーカイヴのように残しているということである。父が自分を受胎させるまでの記憶、祖父が父を受胎させるまでの記憶、というようにずっと遡っていけるのだ。ただそれを思い出すには、それ相応の努力がいる。そしてもっとも長く祖先の記憶をたどれる家系が、村の長となるのだ。記憶が女系と男系に分かれているせいか、コミュニティも男性集落と女性集落に分かれており、男の子は一定年齢になると母から離されて、男性集落の父のもとで過ごすようになる。
「ぼく」ヤム・ハーディは、男が狩猟、女が農耕を営むヤムの村の男長の甥である。彼の父の弟が男長だ。年少の兄弟のほうが父の記憶をより多く持っているから長になるのである。折しも、年々寒さが強まり、獲物がとれにくくなり、作物も実りにくくなっている。だいたい『ハローサマー』と同じような状況になっていると読者にはわかるわけだ。このため、ヤムの村では漁を営む沿岸のノスの村に援助を求めることになる。そこでハーディはノスの女長の娘ノス・チャームと出会い、恋に落ちる。美しくて、利発で、意志の強い女の子が主人公と相思相愛になるのはマイクル・コーニイの常。
『ハローサマー』の時代よりあと、この惑星には地球人がやってきていて、鉱物を採掘している、というのも、新たな設定。地球人ミスター・マクニールはハーディのよい助言者である。
ハーディの父ブルーノはリーダーの才覚のある人だが、その資質を欠く弟のスタンスが男長を務めており、ブルーノはスタンスを保佐して村を運営している。しかし、ある日、父ブルーノは殺されて発見される。祖先の記憶を有するスティルクたちは、殺人のような不名誉な記憶を子孫に残すのを嫌って、恐ろしく犯罪は少ないはずなのに。
基本的には『ハローサマー、グッドバイ』と同じ話といってもいい。この星の人たちが、40年続く凍期をどうやり過ごすのかという話だ。そして『ハローサマー』を読んでいる人はその答えもすでに知っている。そこで作者は上記のような新たな設定を投入して、似ているけどぜんぜん別の話、でも『ハローサマー』をもうひとつ読みたいという読者のわがままをかなえてくれる本を書き上げたのだ。登場人物たちが『ハローサマー』の舞台だったパラークシ(今では聖地とされている)での出来事の記憶にたどり着けるかどうか、殺人事件の真相はどうなのか、スティルクたちはどうしてこんなに人間に似ているのか、などなど。
そして、あとがきには次のお楽しみが。傑作だったということしかもう記憶にない『ブロントメク!』が本文庫で復刊予定だというのだ。
Posted by ブクログ
前作が、夏の日差しから凍期を前に
希望も恋も失われていき、徐々に灰色が濃くなって
行くかのような雪の中、ラストを迎えるのに対して、
続編は、前作になかった異星人の特徴や前作と異なる
文化、文明状態など戸惑いもあるが、前作のことも
全て(一応)説明を付けたうえで、日差しのなか
終わるのが、皆が待った続編が届いた、
という感じでよい。
まわりの青二才がアホで、少しはそれより優れている
といっても、二人を隔てる障害があっても、
主人公が初めからビシッとしていて、
美少女と惹かれあっては一般人には妬みの
種なだけだし、徐々に古くからの世界を
新しく築きなおすという所につながって、
青二才が一人前の男になる過程を見ていけるのもよい。
Posted by ブクログ
典型的なボーイ・ミーツ・ガールのストーリー、いけすかないムカつく敵役、繰り返される災厄等々、前作をそのままトレースしたかのように見えて、それでも一気に読ませられてしまうのがスゴイと感じました。
前作から、もう一度、通して読み直したくなりました。
Posted by ブクログ
『ハローサマー、グッドバイ』の続編。
続編、とは言っても前作から数百年単位であとの世代の話。だけれど、その数百年の“記憶”が上手く話に生かされているので、前作を読んでから読んだ方が絶対に楽しめる。
記憶遺伝子をもつ人間型の種族で、世代間に記憶が継承されていく(制限はあるし、自主的に制限をかけることもできる)という設定がとても面白かった。
それにしても、前作のドローヴとブラウンアイズのいちゃつき具合も大概だったけど、今作のハーディとチャームもなかなかのものでした…(笑)まあ、どちらも愛は世界を救うというところなので。良い青春恋愛SFでした。
Posted by ブクログ
一応ハローサマー、グッドバイの続編。前作の主人公たちは今作では神話上の人物として出てくる(ネタバレだけど、本作の主人公のハーディとチャームは、ぞれぞれ前作のドローヴとブラウンアイズの子孫)。
やっぱり前作と同じで少年少女の成長と恋が描かれてるけど、今回は後半からミステリ的な要素もある。
終盤、「舞台となる星は大凍結と呼ばれる氷河期に向かっており、大凍結をどうやって乗り越えないと人類は絶滅してしまうので、大凍結を回避するために方法を探す」という展開は前作と同じ。しかし、ここで前作のラストの「ネタばらし」がされる(正直私は前作のラストは意味がわからなかったけど、今作を読んで納得した)。
ハローサマー、グッドバイが気に入った人は今作も楽しめると思うし(前作より多少血なまぐさい展開はあるが)、今作で新たに出てきた様々な設定(星夢、ロリンの正体、地球人類の登場、etc…)によって、前作よりもSF度は上がってる。少年の成長物語であり、恋愛小説でもあり、ミステリでもあり、SFでもある。
個人的に一番格好よかったのは地球人のミスター・マクニール!
Posted by ブクログ
「ハローサマー、グッバイ」の続編が出るなんて誰が予想しただろうか!が、続編が出たおかげで前作のあの読後に訪れる余韻がかなり薄まってしまった。もったいない。そして内容はいいのだから、このカバーはやめてほしい。前作と合わせてほしい。レジに持ってくのかなり恥ずかしいです、河出さん。
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待望の『ハローサマー、グッドバイ』の続編。前作の数百年後を舞台とし、幾つか追加設定も。青春恋愛SFとしては勿論、その世界ならではのロジックが活かされた異世界ミステリとしても傑作。
Posted by ブクログ
『ハローサマー、グッドバイ』の続編小説。
SFであり、ミステリであり、恋愛小説でもあり、青春小説でもある。
ある種中二病的とでもいうのか、青くて自尊心強めの子供世代の登場人物が多く、保守的な大人世代と対立する構図が前半主なのですが、痛々しくて辛かった。読むのにもエネルギーが要りそうです。
でも、恋愛小説的な観点からみると若くて強く一途な思いは甘酸っぱくて好きでした。
私は『ハローサマー、グッドバイ』を読んだのが大分前なのですが、できれば記憶が薄れないうちに読んだほうがいいと思います。設定も色々増えてたり。
Posted by ブクログ
最後の最後で、SF的大どんでん返しに驚かされた「ハローサマー、グッドバイ」の続篇。何十世代も後のあの星が舞台だということで、今度はどんな物語が展開するのかと楽しみに読み出したのだが、あらら?なんだかいろいろ違うではないか。
前作では限りなく地球人に近かった住人たちは、はっきり異星人として描かれており、前作にはなかった設定が次から次から出てくる。それはそれで興味深くはあるけれど、ちょっと途惑うのも確か。
「記憶遺伝子」という設定をはじめ、異星の奇妙な文化のありようがみっちり描き込まれており、殺人事件の犯人捜しというミステリ的な面白さもある。しかし何と言っても話のキモは、裏表紙の紹介文に「真相が今語られる」とあるように、例の大ネタに合理的説明(あくまでSF的に、だけど)がつけられることだ。これをどう思うかで、人によって読後感はずいぶん違うと思う。
私は、こういう理屈抜きの前作の方が好きだなあ。なんだかよくわからんところが、かえって魅惑的じゃあないの。あの「ハイペリオン」も、背景が明らかになる「没落」より第一作の方がより好きだし、「ラギッドガール」は大傑作だと思うけど、「グラン・ヴァカンス」の世界により魅了されてしまう。いやまあ、これらは別格に好きな作品で、背後の世界が明かされていくことの愉しさも大きいのだけど。
そういう意味では、本作の「説明」はちょっとどうかなあ。「キキホワホワ」とか、うーん、どうももう一つぴったり来ないのだった。