山岸真のレビュー一覧

  • しあわせの理由

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    初イーガン。オチまで読んでもわからなくて「?」となったりもしたけど、総じて面白かったし、予想よりずっと読みやすかった(なのにわからないという、ね)。
    どうせ忘れてしまうから、1編ごとに簡単に感想を書いたけど、こうしてみるとやはり、人間の生の意味とか自由意志とか、思考(あるいは感情)とはなにかという、SFらしい壮大なテーマが流れているのを感じます。

    「適切な愛」事故に遭って危篤の夫を救うため、摘出した脳を胎内で(!)保存することを選ぶ女性。その決断に至るのは、保険が下りるかいなか、経済的に見あうかどうか。それもリアルだし、保存に至る過程もリアルだし。新井素子の「あたしの中の」を思い出しつつも、

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    2020年06月09日
  • 祈りの海

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    ハヤカワ文庫
    グレッグイーガン
    祈りの海

    科学とアイデンティティの対立を描くハードSF短編傑作集。共通テーマは「科学の時代に自分のアイデンティティを確立できるか」

    各短編 SFでしか描けない状況のアイデンティティを描いている
    *霊のアイデンティティ
    *DNA操作により生まれた赤ちゃんのアイデンティティ
    *自身のバックアップがいる人間のアイデンティティ
    *母胎システム管理により消滅させられる同性愛者のアイデンティティ
    *決められた未来を生きる人間のアイデンティティ
    *医師不要の時代における医師のアイデンティティなど

    感動したのは 同性愛者のアイデンティティ「生まれつきのものであり、それを

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    2020年04月08日
  • ハローサマー、グッドバイ

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    本書は1975年に執筆されたSF青春ストーリーの古典的名作。
    本書を知ったのは、読書好きな人には有名な作品である「文学少年少女あるある」を面白可笑しく描いたギャグ漫画『バーナード嬢曰く1巻』で取り上げられていたからだ。

    『バーナード嬢曰く』は“名著礼賛ギャグ漫画”とも言われており、その中の主要登場人物であり大のSFマニアの神林しおり嬢が本書『ハローサマー、グッドバイ』を「SF史上屈指の青春恋愛小説」として激推しているのだ。

    本書は、ある星に住む人間と同じ姿かたちをした少年少女たちの恋愛を主題にした小説なのだが、SFとはいうものの、地球以外の星を舞台にしたということと、ちょっと変わった動物が

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    2020年02月01日
  • 白熱光

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    中盤までは、ほぼ苦行。いや、これは修行なんだと自分に言い聞かせながら読み進める。そこから先はランナーズハイのようなもの。物理学とか幾何学とか理解の次元を超えた先にイーガンの良さがある。と、分かったつもりで読み終わった後に、あとがきの誤解ポイントの解説で撃沈・・・。でも、本作に登場する箱舟居住者たちのように、知識欲を刺激される作品だった。

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    2019年10月18日
  • ビット・プレイヤー

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    イーガンの作品を完全に理解するのはかなり難しい。特に科学的な説明はよほど知見がないと理解できない。でも、作品は面白く感じる。それは、物語のベースがしっかりしているから。物語の根底にある人間ドラマ(人間ではない生命もいるけれど)があるからだと思う。現代の問題を切り取って、それをSFにしている感じだ。「七色覚」は自分の視覚を拡張するアプリの話だし、「不気味の谷」は未来の相続問題のように思える。とはいえ、難しいのは難しい。雰囲気で読む中短編集である。

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    2019年09月11日
  • ビット・プレイヤー

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    読みやすイーガンなほうだと思うけど、それでもたまにつらい時がある。
    身体感覚の拡張についての「七色覚」アンドロイドの権利にまつわる「不気味の谷」ファーストコンタクト系「孤児惑星」などどれも手ごわくも、おもしろい。
    一見ぶっ飛んでいて、あっという間に5万年が経過したりするのだけど、その実登場人物たちの感情はとても現代的で、理解できる。不思議な作家だ。
    未読の「しあわせの理由」も読んでみようと思う。

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    2019年07月10日
  • ビット・プレイヤー

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    イーガンについて私などが何を申すことがありましょう…まあ、何をいってもイイガン!と私の米子弁魂が主張しますので展開しますと、まんず文系女子には科学・天文・IT的設定説明はいっさい意味をなさず、ただ流れ行くものを立派じゃのうとうっとり眺めているにすぎない。でもその中で描かれる人間性が、感情が、とてもリアルで胸を打つので、その世界に私も属するもののように感じるのです。

    未知の世界に足を踏み入れるとき、愛する人にかたわらにいてほしい。まるで相容れない世界で助けてくれた誰かのために隠れて泣く。
    データとなって深宇宙を渡ろうが、ゲーム世界の登場人物として目覚めようが、生きよう、謎を解こうとする人間の魂

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    2019年06月14日
  • しあわせの理由

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    イーガンは難解なイメージがあって食わず嫌いだったのだけど、もっと早く読めばよかった。
    解説にもあるように読者を観測者に見立てていることが、イーガンの本質なのかもしれない…と思って量子力学をちょっと勉強してみたくなった。しないけど。

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    2019年06月13日
  • ビット・プレイヤー

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    - 孤児惑星(Hot Rock)
    この話はこの著者の十八番である惑星において一つの生物圏をそっくり創ってそこで繰り広げられる生物の話なのですが、相変わらずマクロからミクロな視点まで裏付けをしっかり整えている点が凄すぎます。
    核心にはオーバーテクノロジーなど存在するのですが、科学的整合性のあるまま想像力をここまで広げられるものかと毎度驚かされます。。

    - 鰐乗り(Riding the Crocodile)
    他者・別文化圏・意思疎通すら取れない生物とも認識できないものに対して communicate を中心におき、ホモ・ソーシャルとも言えるものの生き方について記載した短編。(タイトルもそういうこ

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    2019年05月26日
  • しあわせの理由

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    短編集。
    表題作の「しあわせの理由」。
    脳内の化学物質でしあわせを自分でコントロール出来るようになったら…。

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    2019年05月15日
  • ひとりっ子

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    イーガン作品は初めて読んだ。短編集。それぞれのエピソードのテーマは、人の意識、脳の領域に記憶や感情をインストールする技術、多元宇宙論、人造人間など。

    登場人物の会話が完全に理解できないのが難点だが、ストーリーは面白い。この本で書かれている技術はいずれ実用化されそうなものが多いと感じた。

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    2019年04月21日
  • 順列都市〔上〕

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    SF作家の中でイーガンは特に興味があり、最初に読むものとしてこの初期作品を選んだ。イーガンは「難解」と言われたりするが、彼が作品中で設定している根本的なロジックさえ納得できれば、読み進める事はそれほど難しいとは思わなかった。この作品では主人公が「塵理論」を元に純粋な情報のレベルで世界を作るというもので、線型代数学の基礎知識がある程度の私だがなんとなく理解はできた。作者が設定するロジックを面白いと感じるかどうかが好き嫌いの分け目かと思う。私はこういったロジカルな作風はSF表現の一つとしてとても面白いと思う。

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    2019年04月12日
  • ひとりっ子

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    『1984年』は2+2=5であることを証明するSFである
    と他の誰でもないこの作者が言うのだからそうに違いない
    それはともかく
    この作者の作品を久しぶりに読んだけれど
    SFとして最先端であるというより小説としての幅の広さが良くわからない感じ
    『ルミナス』のように小説らしいSF小説が書かれている一方で
    表題作のようにむりやり小説にしているようなお話もあり
    SFにおけるカガクテキな着想をお話にする手段に
    質の高低でなく種類の幅が迷走しているかのように見えて落ち着かない
    数理論文でないものを書きたいのだろうし
    SF作家として名声を獲得しているのに何かをいうこともないけれども
    小説としては合わないと合

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    2018年12月08日
  • ディアスポラ

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    あまりの壮大なスケール。はっきり言って難しすぎてついていけない所があるが見事な大法螺イーガン節である。すばらしい。

    これまで読んだ作品と比べるとユッタリとしたストーリーで、解説の大森望氏が指摘するようなビークル号的古典的冒険譚の香りもある。もう少し異世界の細部をギリギリ書いて冒険譚風味を出して、という気はするが、それじゃテーマとそれるし冗長か。

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    2018年11月05日
  • クロックワーク・ロケット

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    波長がどうとか理科の教科書みたいな図やそれについての登場人物たちのやりとりが出てきて読むのに苦労した。その辺は無理に全部理解しようとしなくても流し読みするくらいでいいと思った

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    2018年01月31日
  • シルトの梯子

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    端からサルンペト則って何?と躓いて、第一部で理解の範疇外にあるかもと放置しかけたが、なんとか梯子を登り切りました。第二部に入ると良く判らないけれど、これって何かキレイだし、スゴイんじゃない?と爆発している芸術を楽しむ境地だった。^^;
    あとがきを読んで、判らなくても大丈夫と喜んだのだった。

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    2018年01月09日
  • 祈りの海

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    読んでみたかったグレッグ・イーガンを初めて読んだ。ハードSFの大家の短編集。日本向けに選ばれたらしい。
    かなり難しいSFでよくわからないのが多いが、なぜか癖になりそう。

    以下は読書メモ:

    貸金庫
    宿主を転々と移る人。目がさめると意識が違う人に移っている。その間の記憶を書きとめて貸金庫にしまう。そして、名前が死ぬまで変わらないことを夢見る。

    キューティ
    キューティキット(の安物のコピー商品)で妊娠して、キューティを産む男性。
    ちょっと狂ってて気持ち悪い。

    ぼくになることを
    「宝石」を埋め込んで脳を学習させ、「スイッチ」して永遠の頭脳を得る。自分とは何か。


    ゲイ、レズビアン。その発生

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    2018年01月16日
  • ひとりっ子

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    相変わらず読みにくい部分もあるが、表題作はよかった
    表紙   6点田中 光   山岸 真訳
    展開   6点2006年著作
    文章   5点
    内容 698点
    合計 715点

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    2017年10月17日
  • ディアスポラ

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    ネタバレ

    大変な大作。作者はもちろんのこと、読む方にも根気と体力が強いられる。
    好きな場面はヤチマが自身の精神を統合し、「ヤチマ=自分」と理解する場面。というか、それまでの分裂した自我と子宮プログラムの中での精神の産出の描写。嵐の中の船のような気分になるけれど、いつ、どうやって私たちが、自己という世界とのリンク媒体を手に入れたのかが想起される。

    グレッグ・イーガンの小説では、緻密なSF描写・設定に加えて、人間の心理を暴くような哲学的命題が魅力の一つになっている。今回は哲学的・心理的描写は二の次に置かれ、高次元宇宙への限りない飛躍を主題にしている。(ただし、それが出来るのはポリス生まれのヤチマのみで、肉

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    2020年08月21日
  • ハローサマー、グッドバイ

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    序盤はやや読むのに時間がかかってしまった(異星の設定になじめなくて)が、途中からどんどんテンポがよくなり、最後の急展開は一気に読んでしまった。読後感がすばらしい。

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    2017年08月06日