山岸真のレビュー一覧
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初イーガン。オチまで読んでもわからなくて「?」となったりもしたけど、総じて面白かったし、予想よりずっと読みやすかった(なのにわからないという、ね)。
どうせ忘れてしまうから、1編ごとに簡単に感想を書いたけど、こうしてみるとやはり、人間の生の意味とか自由意志とか、思考(あるいは感情)とはなにかという、SFらしい壮大なテーマが流れているのを感じます。
「適切な愛」事故に遭って危篤の夫を救うため、摘出した脳を胎内で(!)保存することを選ぶ女性。その決断に至るのは、保険が下りるかいなか、経済的に見あうかどうか。それもリアルだし、保存に至る過程もリアルだし。新井素子の「あたしの中の」を思い出しつつも、 -
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ハヤカワ文庫
グレッグイーガン
祈りの海
科学とアイデンティティの対立を描くハードSF短編傑作集。共通テーマは「科学の時代に自分のアイデンティティを確立できるか」
各短編 SFでしか描けない状況のアイデンティティを描いている
*霊のアイデンティティ
*DNA操作により生まれた赤ちゃんのアイデンティティ
*自身のバックアップがいる人間のアイデンティティ
*母胎システム管理により消滅させられる同性愛者のアイデンティティ
*決められた未来を生きる人間のアイデンティティ
*医師不要の時代における医師のアイデンティティなど
感動したのは 同性愛者のアイデンティティ「生まれつきのものであり、それを -
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本書は1975年に執筆されたSF青春ストーリーの古典的名作。
本書を知ったのは、読書好きな人には有名な作品である「文学少年少女あるある」を面白可笑しく描いたギャグ漫画『バーナード嬢曰く1巻』で取り上げられていたからだ。
『バーナード嬢曰く』は“名著礼賛ギャグ漫画”とも言われており、その中の主要登場人物であり大のSFマニアの神林しおり嬢が本書『ハローサマー、グッドバイ』を「SF史上屈指の青春恋愛小説」として激推しているのだ。
本書は、ある星に住む人間と同じ姿かたちをした少年少女たちの恋愛を主題にした小説なのだが、SFとはいうものの、地球以外の星を舞台にしたということと、ちょっと変わった動物が -
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イーガンについて私などが何を申すことがありましょう…まあ、何をいってもイイガン!と私の米子弁魂が主張しますので展開しますと、まんず文系女子には科学・天文・IT的設定説明はいっさい意味をなさず、ただ流れ行くものを立派じゃのうとうっとり眺めているにすぎない。でもその中で描かれる人間性が、感情が、とてもリアルで胸を打つので、その世界に私も属するもののように感じるのです。
未知の世界に足を踏み入れるとき、愛する人にかたわらにいてほしい。まるで相容れない世界で助けてくれた誰かのために隠れて泣く。
データとなって深宇宙を渡ろうが、ゲーム世界の登場人物として目覚めようが、生きよう、謎を解こうとする人間の魂 -
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- 孤児惑星(Hot Rock)
この話はこの著者の十八番である惑星において一つの生物圏をそっくり創ってそこで繰り広げられる生物の話なのですが、相変わらずマクロからミクロな視点まで裏付けをしっかり整えている点が凄すぎます。
核心にはオーバーテクノロジーなど存在するのですが、科学的整合性のあるまま想像力をここまで広げられるものかと毎度驚かされます。。
- 鰐乗り(Riding the Crocodile)
他者・別文化圏・意思疎通すら取れない生物とも認識できないものに対して communicate を中心におき、ホモ・ソーシャルとも言えるものの生き方について記載した短編。(タイトルもそういうこ -
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『1984年』は2+2=5であることを証明するSFである
と他の誰でもないこの作者が言うのだからそうに違いない
それはともかく
この作者の作品を久しぶりに読んだけれど
SFとして最先端であるというより小説としての幅の広さが良くわからない感じ
『ルミナス』のように小説らしいSF小説が書かれている一方で
表題作のようにむりやり小説にしているようなお話もあり
SFにおけるカガクテキな着想をお話にする手段に
質の高低でなく種類の幅が迷走しているかのように見えて落ち着かない
数理論文でないものを書きたいのだろうし
SF作家として名声を獲得しているのに何かをいうこともないけれども
小説としては合わないと合 -
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読んでみたかったグレッグ・イーガンを初めて読んだ。ハードSFの大家の短編集。日本向けに選ばれたらしい。
かなり難しいSFでよくわからないのが多いが、なぜか癖になりそう。
以下は読書メモ:
貸金庫
宿主を転々と移る人。目がさめると意識が違う人に移っている。その間の記憶を書きとめて貸金庫にしまう。そして、名前が死ぬまで変わらないことを夢見る。
キューティ
キューティキット(の安物のコピー商品)で妊娠して、キューティを産む男性。
ちょっと狂ってて気持ち悪い。
ぼくになることを
「宝石」を埋め込んで脳を学習させ、「スイッチ」して永遠の頭脳を得る。自分とは何か。
繭
ゲイ、レズビアン。その発生 -
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ネタバレ大変な大作。作者はもちろんのこと、読む方にも根気と体力が強いられる。
好きな場面はヤチマが自身の精神を統合し、「ヤチマ=自分」と理解する場面。というか、それまでの分裂した自我と子宮プログラムの中での精神の産出の描写。嵐の中の船のような気分になるけれど、いつ、どうやって私たちが、自己という世界とのリンク媒体を手に入れたのかが想起される。
グレッグ・イーガンの小説では、緻密なSF描写・設定に加えて、人間の心理を暴くような哲学的命題が魅力の一つになっている。今回は哲学的・心理的描写は二の次に置かれ、高次元宇宙への限りない飛躍を主題にしている。(ただし、それが出来るのはポリス生まれのヤチマのみで、肉