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重力が変化した世界で目覚めた主人公を待っていたものを描く表題作など全6篇収録。ハードSFの雄、イーガンの7年ぶり日本オリジナル短篇集! 解説収録/牧眞司
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Posted by ブクログ
「鰐乗り」に価値あり。 死が穏やかな眠りとしか語られていない。 冒頭で濃厚な人生をいくら語られようが、 融合世界で生まれ育った人達にとって1万年は、 神の存在しない死へと向かうのに充分な時間なのか。
イーガンの『ビットプレイヤー』を読んでるんだけど、宇宙に飛び立つとイーガンの語る話は時間的にも空間的にもスケールが大きすぎて、最高に最高。「我々には一万年ほどしか残されていない」とか強すぎる。しかも銀河半周してまだまだ終わらない。 読み終えて、やはりイーガンは未来を見通すための力がある作家だなと感...続きを読むじた。というか、フェムトマシンすごい…。
これまた読み応えズッシリな短編集だった。でもブレずにハードに”グレッグ・イーガン”な味だったので落ち着いて読み進める事が出来た。
前半はちょっと中途半端な話が多かった。もっと世界観広げてもよかったのに。 最後の孤児惑星はとてもおもしろかった。
イーガンの作品を完全に理解するのはかなり難しい。特に科学的な説明はよほど知見がないと理解できない。でも、作品は面白く感じる。それは、物語のベースがしっかりしているから。物語の根底にある人間ドラマ(人間ではない生命もいるけれど)があるからだと思う。現代の問題を切り取って、それをSFにしている感じだ。「...続きを読む七色覚」は自分の視覚を拡張するアプリの話だし、「不気味の谷」は未来の相続問題のように思える。とはいえ、難しいのは難しい。雰囲気で読む中短編集である。
読みやすイーガンなほうだと思うけど、それでもたまにつらい時がある。 身体感覚の拡張についての「七色覚」アンドロイドの権利にまつわる「不気味の谷」ファーストコンタクト系「孤児惑星」などどれも手ごわくも、おもしろい。 一見ぶっ飛んでいて、あっという間に5万年が経過したりするのだけど、その実登場人物たちの...続きを読む感情はとても現代的で、理解できる。不思議な作家だ。 未読の「しあわせの理由」も読んでみようと思う。
イーガンについて私などが何を申すことがありましょう…まあ、何をいってもイイガン!と私の米子弁魂が主張しますので展開しますと、まんず文系女子には科学・天文・IT的設定説明はいっさい意味をなさず、ただ流れ行くものを立派じゃのうとうっとり眺めているにすぎない。でもその中で描かれる人間性が、感情が、とてもリ...続きを読むアルで胸を打つので、その世界に私も属するもののように感じるのです。 未知の世界に足を踏み入れるとき、愛する人にかたわらにいてほしい。まるで相容れない世界で助けてくれた誰かのために隠れて泣く。 データとなって深宇宙を渡ろうが、ゲーム世界の登場人物として目覚めようが、生きよう、謎を解こうとする人間の魂が変わらぬことが深く深く響いてくる。 だーかーらーSFが好きだし励まされるし、SFがないと生きていけないよう!
- 孤児惑星(Hot Rock) この話はこの著者の十八番である惑星において一つの生物圏をそっくり創ってそこで繰り広げられる生物の話なのですが、相変わらずマクロからミクロな視点まで裏付けをしっかり整えている点が凄すぎます。 核心にはオーバーテクノロジーなど存在するのですが、科学的整合性のあるまま想像...続きを読む力をここまで広げられるものかと毎度驚かされます。。 - 鰐乗り(Riding the Crocodile) 他者・別文化圏・意思疎通すら取れない生物とも認識できないものに対して communicate を中心におき、ホモ・ソーシャルとも言えるものの生き方について記載した短編。(タイトルもそういうことなのかな?) 何をなすべきかということはなく、自由意志なき今のなりたい・為したいことについて考える良い機会になりました。
2005-2017年のグレッグ・イーガンのSF短編を集めたもの。 以前テッド・チャンの『息吹』(2019)を読んだときなかなかに感銘を受け、このチャンさんがグレッグ・イーガンなる作家を推賞していたので、本書を手に取った。 ハードSFというものだろう。最新の科学やテクノロジーについての知識を基盤...続きを読むにし、そこから果てしなく想像を繰り広げていく作風は、確かにテッド・チャンに似ている。 SFといえば中学・高校の頃は幾らか読んでいたが、ややこしい科学の話が頻出するような高度なハードSFは苦手だった。私が一番好きなのは、H. G. ウェルズのような古典か、崩壊感覚が素敵なフィリップ・K・ディック辺りだ。 この種のSF小説を読む際、冒頭の1章に多大な集中力が要る。現在の我々が住む世界からは大きくかけ離れた天体や異次元、遙か彼方の未来のような環境の設定を呑み込んでいく必要があるからだ。特に本書中の「鰐乗り」「孤児惑星」などで舞台となる超遠未来では、人類は従来からの物質・肉体の世界とデジタルな仮想空間の世界とを行き来し、後者では肉体の無い意識が浮遊しているらしいのだが、他者と面接する際には何やらカラクリを使って自在に視覚イメージ?を身にまとったりしていて、もはやここまで来ると私には訳が分からない異質さで、戸惑いまくった。 様々な意匠は貪欲に渉猟された科学的知識に基づいているらしく、それを遥か先まで延長して未聞の異様な未来像を構築するという、この恐ろしく理知的な創作行為には感嘆するが、何となく理系ずくめな知性で、私にはあんまり向かないかも、と思ってしまった。 SF的な道具立ての中で、人間性を追究するような文学であれば感動するだろうが、そこまでは行ってないし、そもそも、人間の意識が肉体を置き去りにしてデジタルな世界を飛び回り、なおかつそんな領域と物質界が「融合」しているといったぶっとんだ世界では、我々が意味するような「人間性」それ自体がすっかり変容してしまっているのかもしれないが。
「七色覚」★★★ 「不気味の谷」★★★ 「ビット・プレイヤー」★★★ 「失われた大陸」★★★ 「鰐乗り」★★★ 「孤児惑星」★★★
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グレッグ・イーガン
山岸真
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