望月衛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
経済学というより、行動学かなと感じた。実験、検証を行い(これ大事)どの様な状況なら人はどの様に動きやすいを見極め、改善活動につなげるというもの。
・検証の大切さの再認識
・この行動原理がつかめれば改善活動はやりやすい
と感じる。
問題がある学生に多くの投資をして
・その人がさらに多くの問題を起こさないようにする
・世界で活躍できる存在になってもらう
考え方は共感、教育の大切さを再認識。
■学
人は見た目左右される
同性愛者、身体障害者はモノを買うときに値引き交渉時に有利になりにくい
生まれ等自身で同仕様もないことに対しては人は寛大になりやすいが、外見、態度等その人自身で変えられる事ができていないと他の人は不快に感じやすい -
Posted by ブクログ
多くの具体的事例を挙げ、反脆弱性の持つ強みを様々な角度から述べている。一言で表現するのはのは難しいが、何となく全体を通じて受け取ったメッセージは「将来において絶対なんてものは絶対ない」ということだろうか。
時には失敗もするし、不運にも遭うだろうし、しかし時には受け流しつつ、また時にはその経験から学び以前よりも強く成長する、といった臨機応変さや柔軟な思考が大切であることを理解した。
著者の軽妙な語り口が個人的には読みやすく、また分野を問わず豊富な知識には驚かされる。
一点もし要望するとすれば、全体としてもう少しコンパクトにできるかも?という部分。
多数の事例は理解が深め易い一方で、冗長感も出てしまうのでその点だけわずかに気になった。
他の著書も興味が湧くものが多いのでぜひ読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
誰かにやる気を出させるために何かしようと思うときは、まず、その誰かがインセンティヴがなくてももともと持っている、いい結果を出そうというやる気(空き缶をリサイクルに出して環境を守ろうとか、ガンの研究を後押ししようとか)をインセンティヴが押しのけてしまわないかを考えないといけない。インセンティヴが元のやる気を押しのけてしまうのは、自分がやっていることをなんだと思うかが変わってしまったり、あるいはインセンティヴを提供された人が侮辱されたと感じたりやる気を失ってしまったりするからだ。インセンティヴという手段を使う気なら、十分に大きなインセンティヴを提供して、やれば報いられると相手に感じさせないといけない。インセンティヴは価格だと考えよう。大きな額のインセンティヴを与えれば(たとえばアメリカの一部で実際に行われているように、レベッカが遅れてきた親御さんに1分あたり5ドルの罰金を科していたら)、たぶんみんな、あなたの望みどおりに振る舞うだろう。だから、この話のキモは、お金はたっぷり支払うか、あるいはまったく支払わないかのどちらかでないといけない、ということだ。
結局、いつなんどきでもお金は王様なわけじゃないのである。る。人が本当は何をありがたがるか「自分の時間とか善良な市民という自分のイメージとか、ひょっとしてキャンディとか――に基づいて報酬の内容を決めることが、単純にお札を何枚か叩きつけたり、あるいはふんだくったりすることより、ずっと人をやる気にさせるのだ。まとめると、すべてのインセンティヴは生まれながらにして平等ではないのである。
公的教育の世界を探索してみてわかったのは、実地実験と経済学の論理を組み合わせれば、とても大きな力になるということだった。子どもたちは即座に貰えるご褒美には強く反応する。それから、一度上げたご褒美を取り上げられるかもしれないという脅しは、後でご褒美を上げるよという約束よりも、ずっと強力であるのもわかった。親御さんたちが子どもの教育に参加してくれればとても助けになる。それは読んだり計算したりという認知的技能の学習に限ったことではなく、慎重さやなんかの非認知的技能の学習についてもいえるし、加えて、今行う投資がどうやって将来より大きな報いにつながるかを学ばせることについても同じことがいえる。
悪いニュースとしては、一部の子どもの行動、とくに中高生の行動はなかなか変えられないものだということもわかった。たとえばケヴィン・マンチーがそうだ。ブルームトレイル中学に入るころ、ケヴィンはすでに手遅れになっていた。結局彼は、どの授業も全部落第した。一方、ユーレイル・キングの成績はずっとよくなった。ユーレイルみたいながけっぷちの生徒は、お金とくじ引きでずっと容易にやる気を出させることができた。中学校で成績の改善が見られたことに、ぼくたちは希望を持った。中退していたかもしれない子どもたちをそれなりにたくさん卒業させることができた。でも、そういう子が劇的に増えたわけではなかった。中学生の子どもたちは、ぼくたちが願ったほど、簡単にやる気になってはくれないようだ。
人に行動を変えさせるための手段として、大きく強力なものに「社会的規範」がある。「隣のジョーンズんちには負けない」みたいな漠然としたきっかけで、人は他の人の後を追うようになる。
社会的規範はありとあらゆるところで人を動かすきっかけになる。他の親御さんがみんな、時間どおりに保育園へ子どもを迎えに来るようになれば、それが社会的規範になり、きっかけになる。テレビのコマーシャルで「10人中7人のお客様が」特定のシリアルだか歯磨き粉だか車だか、それこそ何でもいいが、これはいいと同意した、なんてやっているのを見ると、それがきっかけになる。そしてホテルのトイレに入って「このお部屋をご利用くださったお客様の73%はタオルを再利用しておられます」なんてサインを見ると、それもきっかけになる。
人を説得して新しいことを試させるものといえばもう1つ、昔ながらの、そう、お金だ。お金と周りからの圧力をどう組み合わせればみんなに電球を変えさせられるか調べるために、ぼくたちはデイヴィッド・ハーバリックおよびマイケル・プライスと一緒に大規模な実地実験を行った。学生を勧誘員――というか、秘密工作員――としてシカゴ郊外に送り込み、9000軒近いご家庭を訪FLのパッケージを2パックまでお買い上げいただけますと訪ね歩かせた。
訪問に応えてドアに出た人に、CFLのパッケージを2パックまでお買い上げいただけますと売り込む。電球の仕入れ値は3・75ドルから7・15ドルまでだったが、標準価格は1パック5.00ドルに設定した。また、1パック1・00ドルでも売り込んでみた。昔ながらの電球とだいたい同じ値段だ。加えて、あちこちのお家で学生に、世間からの圧力を加えさせた。たとえばこんなことを言わせるのだ。ご存知ですか、アメリカのご家庭の70%は少なくとも1つCFLをお持ちなんですよー」。あるいは、拷問よろしく締め上げるがごとく世間の圧力を加えたいときはこんなふうに言わせる。「ご存知ですか、私たちが調査したこのあたりのご家庭の70%は少なくとも1つCFLをお持ちなんですよ!」
こうして、人びとにCFLを買わせる方法が2つあるのがわかった。1つは値段を安くすることだ。だいたいの人は、政府がCFLに補助金を出して、昔ながらの電球と同じ値段で買えるようにするべきだと思っている。残念ながら、政府が財布の紐を締めにかかっているとき、は行われない。ぼくたちが得た結果によると、まあ当然だろうが、そういうやり方をするとうまくいくかもしれない。人にCFLを買わせる方法の2つ目は、ご近所さんも使ってますよと言うことだ。ご近所の人たちがどうしているか教えてあげるのは、標準価格5・00ドルのパッケージを100%値下げするのと同じぐらいの効果が上げられる。大事なのは、また訪問して安い値段でCFLを売り込むと、人びとはやっぱり買ってくれたことだ。
さて、これでわかった大事なことはこうだ。人に振る舞いを改めてほしければ、一番いい作戦は社会的規範と値段のワンツー・パンチだ。この2つは互いに補い合い、互いに効果を高め合う。世間の圧力から見てみよう。人は、他の人たちに本当に遅れたくないと思っているわけだから、他の人たちが何をしているか教えてあげよう。そうすれば教えられた人は市場に入ってきてCFLの最初の1パックを買ってくれる。で、その人自身もめでたくCFLを手に入れたら、世間の圧力はもうそんなに効果を持たなくなる。そうなったら今度は安い値段で製品を提供しないといけない。そうすることでCFLをたくさん買ってくれるようになる。
こういうふうに、社会的規範と価格を組み合わせれば、みんなに環境に優しい製品を買わせることができる。もっと一般的にいうと、環境を守る新技術があるなら、政府(でも企業でも)は、まず社会的規範で市場に切り込むべきだ。世間の圧力を使い切ったら、もうそれ以上は世間の圧力は力を持たない。そこからは価格が重要になる。
いろいろな実地実験で得た何十万件にも及ぶ観察結果を分析して、ぼくたちはこんな結論を出した。主導権を慈善団体から寄付者に移せば流れが変わる。寄付を募る相手にリストから抜ける機会を与えることで、スマイル・トレインは寄付をする人たちに贈り物をしたのだ。寄付をする人たちはそれで、今後の募金の呼びかけを断らなくても済むようになる。スマイル・トレインは、募金を呼びかけるだけではなくて、「こっちの頼みを聞いてくれたらそっちの頼みも聞くよ」と言ったのだ。
経済学の標準理論は、人は自分にとって一番いいように行動するから、大体の人はダイレクトメールを受けとったらにっこり笑って捨てるだけだと考える。でも、誰もがそんなふうに自分のことだけしか考えてないわけじゃない。ぼくたちの中にも、それこそ経済学者の中にさえ、いい人はいて、優しくされたら優しくし返すって人がいるのである。それをわかったうえで、人のおたがいさまの心に訴える作戦をやればうまくいくのだ。とくに非営利組織は、宛先シールだの世界地図だのカレンダーだの、そういうのを送って寄付が返ってくればなんて期待していることがよくある。もっと一般的にいうなら、ぼくたちの実験結果は、経済学の標準モデルが見過ごしていたインセンティヴに伴う隠れた利得に光を当てている。たとえば、ぼくたちの解釈によるとインセンティヴが伝える心理的なメッセージは――それが優しい心であっても悪意のこもったものでも――人の行動に重要な影響を及ぼす。意図が大事だ。お客に気を配る企業なら、お客は意見を聞いてもらうのをとても喜ぶのを知っているべきだ。そして彼らは、もうやめにしたいですかと尋ねられるととてもうれしいのである。
慈善活動の世界を探求してみて、ぼくたちはとても大きなものを得た。政策の世界にいる人たちは、こんな疑問の答えを知りたがっている。慈善活動への寄付に対する税控除をやめたら、ぼくたちの社会をいつにしてくれているあのいろんな慈善団体にどんなことが起きるだろう?政府の補助には何が起きるだろう?政策をそんなふうに変えたらどんな影響があるか詳しく検討する前に、そもそも人はどうして寄付をするのかわからないといけない。
別の言い方をするとこうなる。会社がおたがいさまの精神に訴える策を弄したうえで、アンケートに答えてくれませんかと人びとにお金を同封して手紙を送ったら、応じる人は増える――そして調査はコストの面で効率が上がる――だろうか?あるいは、昔ながらのやり方をしたほうが賢明なんだろうか?つまり、世間の人を従業員みたいに扱って、仕事をしてくれた人にだけ報いたほうがいいんだろうか?それともインセンティヴがどうのなんて忘れて、報酬なんて出さずにアンケート用紙だけを送ったほうがいいんだろうか?策の1つでは、会社はクラブ・メンバーの半分に、1ドルから30ドルまでさまざまな額の現金を同封して手紙を送った(ぼくたちはこれを「人付き合い」作戦と名づけた。おたがいさまの精神は人付き合いに伴う現象だからだ)。もう1つの策では、会社はアンケートに答えてくれた人の中か53500人に小切手(送る額は1つ目の策と同じードルから30ドルまでだ)を送ると約束した(こっちは「条件付き」作戦と名づけた)。対照実験のほうは、250人にアンケートを送り、答えてくださいと頼んだ。次のページのグラフは返ってきた反応を示している。
グラフによると、「損益分岐点」は15ドル近辺だ。15ドルまでは、お金を先に送ったほうが人におたがいさまだと思わせることができて、だからアンケートの答えが返ってくる割合は高い。1ドルみたいな取るに足らない額でさえそうなのだ。実際、こう書くと反応が返ってくる割合はずっと高かった。「アンケートに答えてくだされば1ドルは差し上げます」。でも額が155ドルを超えると、条件付き、つまりアンケートに答えてくださればお金をお送りします、というやり方のほうが答えが返ってくる割合は高かった。
大事なのは、条件付きでお金を払うほうが先に払うより安くつく点だ。当たり前でしょう?アンケートに答えて送り返してくれた人にだけ報酬を送るほうが、答えてくれようがくれまいがお金を送るよりも、送るお金は少ない。人付き合い作戦でかかる費用は返信1件あたり平均で45・40ドルで、これは条件付き作戦の費用(平均で20・97ドル)の倍以上だ。その結果、人付き合いにかかる費用の総額は条件付き作戦の3倍近い(3万8820ドル対1万3212ドル)。ダイレクトメールを送る会社にとって、この試みから学べることはなんだろう?予算が限られ
ていてアンケートの返信1件あたり1ドルしか使えないなら、その1ドルを封筒に入れてアンケートと一緒に送ってしまったほうがいい。1ドルを受け取った人は(少なくともいい人なら)おたがいさまの精神を発揮して喜んでアンケートを送り返してくれるだろう。でも、1人あたりで使えるお金がけっこうあるなら、アンケートを送り返してくれた人にだけお金を払ったほうがいい。もちろん、相手を見てどちらにするか決めたっていい。経済学者みたいに考える人たちには条件付きで支払うほう、経済学者とは違う種類の人たちには無条件で支払うほうを使う、なんてやり方もアリだろう。 -
Posted by ブクログ
人が何で動くか(=インセンティブ)を理解できれば、狙った結果につなげられると実地実験を通して示している。根拠が薄いと感じる箇所もあるが、観点として面白かった。
ただ、せっかくエッセイ的な砕けた文なのに直訳感があり、誤植もあったのが残念だった。
勉強しない子やその親に、適切なインセンティブ(お金やモノ)を渡せば子の成績が上がる。いいインセンティブがあれば集まる寄付金の額も上がる。
気持ちをお金で動かすことに不満の声が上がるだろうと想像できるが、お金を使えば学校中退も逮捕もされず過ごせる子が増え、寄付で助かる人も増えるということでもある。
「慈善組織は販売ってことばが嫌いなんだ」とブライアン。「でもぼくは大好きだな」
という言葉に共感した。
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Posted by ブクログ
長らく経済学の基本原則とされてきた「効率的市場仮説」。ホモ・エコノミクスとしての人間は、最も効率の良い方法で選択し、意思決定すると言うのもであるが、最後通牒ゲームやなどの結果やボランティアの行動が示すように、必ずしも効率的とな言えない面も多々あり、この原則が通用しないことも多い。これに代わる新たな原則として提案されたのが本書であり、過去の株式・債権取引等の実績、リーマンショックなどのブラックスワン的事例などを説明できるものとして語られている。確かに、人間と言っても動物のすることだから、進化論的・随時適応的な行動を原則とする考え方は理解できる。太刀川さんの進化思考にも共通する、納得できる説明が多い。一方、まだまだ検証事例が少なく範囲も狭いため、同様の事例を何度も引用することになっている。検証の幅の広がりや件数が増えることで説得力が増すと思うので、今後も注目したい。