望月衛のレビュー一覧
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タイトルの反脆弱性というのは、脆弱性の英語「fragility(もろさ)」の対義語がないことから、著者が作り出した造語“Antifragility”の日本語訳。
あらゆる物事は、脆弱、頑健、反脆弱の3つに分けることができ、この本で最も大切とされているのは、この反脆弱性です。
反脆弱性と言われ、ぱっと頭に浮かんだのは、心理学の「レジリエンス」でした。
また、先日読んだ「ネガティブケイパビリティ」も、「不確実性に耐え抜く力」と捉えれば、こちらに当てはまると思っていましたが、この本ではそれらは「頑健さ」というカテゴリーになります。
反脆弱性とは、簡単に言えば、「不確実性を糧にして成長すること」です。
これだけで考えれば、なんだレジリエンスと一緒ではないかと思うかもしれませんが、
反脆弱性は、「能動的に小さな失敗をすることで、成長していくこと」を言います。
人は快適性・利便性・効率性を求めて、リスクやストレスを避けている、と著者は説きます。
また、こうしてリスクを避け続けると、ブラックスワン(システムが一気に崩壊すること)にでくわし、大きな損失を生み出します。
(この箇所を読んで、この本がコロナウイルス関連本の中にあったことの意味がなんとなくわかりました。)
全体を通して読んでいて、この本が素晴らしいと思った点は、筆者が自分の主張と行動を合わせていることでした。
一見、普通なことのようにも思えますが、言っていることとやっていることが矛盾している人はかなり多くいます。
リスクを負うべきだと言いながら、自分だけオプションをもらいながら安全圏にいる人など、数えればきりがありませんが、著者が本の中でバッサバッサと力強い言葉で切り付けていく様は、痛快で、英語がもう少しできたら原本で読みたい、と思うほどでした。
文章に力がこもっていて、日本語訳にもそのエッセンスが見事に詰め込まれていて、文章の奥ゆかしさを改めて実感させられました。
大切なのは、著者の考えを知り、自分ならどうするべきかを導き出すことだと思います。
知識を得るだけでは、脆いと思います。行動に移し、身銭を切り、失敗を繰り返すことで経験は磨かれ、自分だけの経験則(ヒューリスティック)は作られていくのだと思います。
「反脆さ」という考えを知ることにとどめることなく、自らも「反脆弱性」を身につけていきたいですね。 -
Posted by ブクログ
コロナ危機を受けて再読した。本当に素晴らしい本だと思う。ブラックスワンの頃から読んでいないと分からない部分も多いと思うが、この本に書いてあることは類を見ないクォリティと革新性だ。タレブはかなり昔から物事のオプション性の危険性と対処の仕方を様々な形で話している。冗長である事や細かな間違いを全体に反映する事ができる事が非常に重要であること、合理的な手法や様々な仮定の上に成り立つエセ科学的な理論の危険性を繰り返し指摘し、脆弱ではない事とはどのような事かを説明する。その内容は圧倒的だと思う。パンデミック後の社会を考える上で非常に重要だと思う変わらないだろうと思いつつ、この本の偉大さに感じ入る。
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Posted by ブクログ
「マーケットは効率的だ,それを出し抜く隙はない」
「賭博場では参加者は胴元に必ず負けるようになっている」
定説に対して,本当か?と疑問を抱き,
考える力という己の武器を駆使して相手に正面から(相手の土俵,つまり相手のルールに従った上で)相手を打ち破る.
そして,この資本主義社会において間違いなく成功と言われる経済的自由を掴みとる.
惚れ惚れする,ナシームニコラスタレブに並ぶ自分の中のヒーロー.
リターンを追い求めるためにリスクはとるもの,その上で以下にそのリスクを最小化するか.筆者は卓越した思考力で数理ファイナンスを当時誰よりも先駆けたことで市場から途方もないお金を取っていった.
ルールに沿った上で皆を出し抜くには,自分しか持っていない重要な情報をいち早く掴んでポジションを取るか,公開されている情報で誰も到達していない洞察を得るしかない.
それをつかめない以上(地震と根拠を持ってそれが説明できないのであれば)偶然を除き,平均に勝つことはできない.
株式市場であれば,アクティブ運用をするということはそういうこと
インデックス運用を支持することと、市場公立仮説を信じることはまた別。自分をはじめとして、市場や投資対象に無知であるが故に効率的に見えるのかもしれない。
(非合理的な投資家と、その非合理性をとって裁定取引により利鞘を稼ぎ、それにより商品価格も適正になる。この時、市場には最低取引が可能な非効率的な状態があり非合理的な投資家と非合理的な価格が確実に存在している )
・新車は買った瞬間、車庫を出た途端に価値が何割か下がる
・年次で貸借対照表を作って、資産推移を振り返る
・P164の市場観はnote。
自分がやっているマーケットへの参加方法(個別株投資,投資信託購入)は真似事にすらなっていない,危険な火遊び.
売買のテクニックや銘柄選びではなく,リスク管理方法から見つめ直した方がいいかもしれない...
2020/02/25,ちょうど米国株は大幅な調整が入っている様子...) -
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ネタバレ銃とプール危ないのはどっち?
相撲の力士は八百長なんてしない?
学校の先生はインチキなんてしない?
ヤクの売人がママと住んでいるのはなぜ?
出会い系のサイトの自己紹介はうそ?
ウィキペディアは信頼できる?
アメリカで170万部を売り上げたベストセラー本です。
経済学といえばこの本というくらい有名な本です。
この本の内容の一部に、アメリカの「ティーンエイジャーの殺人の件数の発生率」について少し取り上げていきたいと思います。
これについて詳しく説明すると、ある専門家は10年以内ティーンエイジャーの殺人の件数の発生率は良くて15パーセント、
悪くて100パーセント上がるといわれていました。
しかし実際には5年で50パーセントの減少という結果でした。
これについて専門家は全く予想ができず、
さらにこれについて後から言い訳をするといった結果に。
しかもその内容も人それぞれで、銃の規制が厳しくなったからだとか、
ニューヨーク市の画期的な取り締まり戦略が効いただの。
しかしこれには実際には別の要因があって、
中絶が合法化したことでした。これと殺人のなにが関係あるの?と思いますが実は研究の結果、
家庭環境の悪い子供は将来犯罪を犯しやすいという結果が出ています。
そこで中絶をしようとする人たちは、貧しい未婚で未成年の中絶する余裕などない女性たち。
そこで本来犯罪予備軍になっていた子供たちが中絶の合法化により生まれてこなかったことで、
圧倒的に犯罪件数が減ったということが実際の要因です。
この例で大事なことは、専門家はあたかも自分たちがあっているかのように意見します。
しかし、実際にはあっているなんてものではなく、
もはや「中絶が殺人を減らしている」なんて予想は誰1人していなかったという結果です。
世の中の裏側を見た気がします -
Posted by ブクログ
数理的な手法で,不確実性とリスクテイクに立ち向かい,勝利をつかんだ男の物語.
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持ち前の能力(”考える力”)と知的好奇心で,現実の難題に立ち向かい,資本主義ゲームの上がりにまで至った人,
己の知力と試行錯誤,そしてリスクテイクを積み重ねて資本主義世界での勝利(お金を稼ぐ)を成し遂げたことには素直に憧れる.
・前例,慣例に抑圧されない⇨ブラックジャックには勝てない.
・法的であることと、倫理的であることはちがう。
・何かを為すには武器が不可欠。武器なくしての大成は物言わぬ死体が背後に積み上がったラッキーでしかない。ソープは数学力(というか知的好奇心ととことんエネルギーを注げる情熱,能力)
⇨自分は...? 目先の金をどう増やすか悩み,運ゲーで消費するのではなく今は刃を研ぐとき.
オッカムの剃刀:何かの説明に設ける仮定は,シンプルな方が良い.
下巻も楽しみだ. -
Posted by ブクログ
「貧子は困苦に当って、己れを鍛練し
富子は安逸に流れ、己れを柔弱にする」
ここには、本書のテーマの「反脆さ」という概念が
表現されてるように思いますね。
◇久しぶりに、自身の考え方に影響を与えてくれる
本に出会えました。
著者の前2作から、本書も、その延長だろうと
たかをくくってましたが、全く違いました。
前2作(『まぐれ』『ブラック・スワン』)は
本書の一パーツにしか過ぎませんでした。
◇本書は「反脆さ」という概念についての本です。
もろいの反対なのですが、その概念を表す語句が存在しません。
(「もろくない」や「頑健」ではない)
「雨降って、地固まる」
の諺は、この概念を表しているかもしれませんね。
もっと言うなら、雨が降らないと、地面は固まらない、
といったところでしょうか。
◇ダニエル・カーネマンの言うように
世界観を変えてくれる本のように思います -
Posted by ブクログ
「まぐれ」「ブラックスワン」のタレブの本。
この人の本は久し振りに読んだけど相変わらずのキレキレ。文句なしにおもしろい。
反脆弱性の概念は一見分かりにくいのだが、
ながーい上下巻を通してイヤと言うほどエッセンスを語られるのでおぼろげながらも言いたいことは掴めてくる。
今まで教えられてきたリスクの観念とか、
投資の観念からは際立って異なるかんがえかたなので、
タレブの言っていることは頭では理解できるものの、
どこまで実践できるかというとなかなか難しい。
でも、今後本を読む際に、批判的な見方やタレブ的な見方をする事もすごく大事という観点をもてたのは良かったと思う。
ブラックスワンよりだいぶ難しい気がするので、
タレブファンにはオススメ。いきなりこれから読むと面食らうかな。 -
Posted by ブクログ
「まぐれ」「ブラックスワン」のタレブの本。
この人の本は久し振りに読んだけど相変わらずのキレキレ。文句なしにおもしろい。
反脆弱性の概念は一見分かりにくいのだが、
ながーい上下巻を通してイヤと言うほどエッセンスを語られるのでおぼろげながらも言いたいことは掴めてくる。
今まで教えられてきたリスクの観念とか、
投資の観念からは際立って異なるかんがえかたなので、
タレブの言っていることは頭では理解できるものの、
どこまで実践できるかというとなかなか難しい。
でも、今後本を読む際に、批判的な見方やタレブ的な見方をする事もすごく大事という観点をもてたのは良かったと思う。
ブラックスワンよりだいぶ難しい気がするので、
タレブファンにはオススメ。いきなりこれから読むと面食らうかな。 -
Posted by ブクログ
上巻につづき、おすすめの本です。
七面鳥問題というものがあります。
七面鳥はかいがいしく世話をしてくれる飼い主からの愛を毎日感じて生きています。今まで毎日受けている世話という"データ"によると、今後もずっとこの幸せな生活が続くことが予測できる、と七面鳥は考えました。この幸せが終わりを告げる、という証拠はどこを探しても見つからないのですから。しかしクリスマスイブがやってくると、七面鳥は屠殺されて飼い主の食卓に並びましたとさ。
著者は、今までのデータを元にして今後を予測するのはとても困難であることの例として、この七面鳥問題を挙げています。"証拠がない"ことは、"ないことの証拠"ではないのです。
馬鹿馬鹿しいと思うかもしれませんが、実際多くの人はこの七面鳥と同じような間違いをおかしています、
例えば2008年頃の投資家達。彼らはこの成長が終わる"証拠はない"、として、今後もこの成長が続くと"予測"していました。しかしリーマンショックによってその成長は終わりを告げます。
この七面鳥の誤謬からわかるように、現実世界という極めて複雑なシステムにおいては、予測というのはほぼ無意味です。どんなにデータがあっても、この予測不可能性は原理的にかわりません。
上下巻を通して、著者はこのような世界でどう生きていくか、についての方針を与えます。
この下巻の付録にはグラフを用いたわかりやすい解説があり、本編でなんとなくの理解で終わっていたものも、数学的、視覚的な表現で理解を深められるようになっています。
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Posted by ブクログ
これが世にいうGIFTEDというものなのだろう。生まれた家庭はあまり裕福ではなかったようだが、高い知的な能力と、それを存分に必要とする膨大な知的な好奇心を指針として、エドワード・ソープは大成功を収めていく。
ギャンブルにせよ、株式市場のデリバティブにせよ、過去の例を踏まえたうえで自身の頭で考えきり今まで人が到達しえなかったアプローチへと辿り着く。そのプロセスが行われるのは自分が他から抜きんでた能力を持ち、誰よりもうまくやれるという自信が根底にあるからだろう。
誰しもがこれほどの能力と運に恵まれて生まれるわけではないが、自信と能力を指針として人生を切り拓いていく生き方にはぜひ近づきたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても示唆に富む本なのだけど、色々考えてしまって進みませんでした。でも、もう少し通して理解しないといけない内容でした。自分もモデルを作っていたからわかるけど、モデルは基本的に線形結合。特に一昔前の多変量解析は線形推定検定論以外の何物でもない。ただ、こうした推論で行くと、どうしてもテールの事象、すなわち出現確率が小さくて、でも起こった時のエクスポージャーが大きなものは過小評価されてしまう。特に損失期待値などを出そうものなら、頻度の小ささでエクスポージャーの大きさを見失ってしまう。ただ、テール事象は思ったほど起こらないことではない。そして起こった時に関連性があって、連鎖的に起こる事象も無視できない。その時のエクスポージャーの大きさは推論の域を超えているかもしれない。それから、昔からあり淘汰されていないものが正しいという考え方。リスクを取っている奴が偉いという考え方。どれもこれまでの自分の思考と違うように思うけど妙に説得力がありました。この辺が消化しきれていないけど、とても気になった点。いずれまた整理します。
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Posted by ブクログ
ひょっとすると、バイブルになるかもしれない書。世の中論理的に判っていることは少なくて、ほとんどは実践的に体系つけられてきた。論理的なシステムは論理が破綻したら脆く(脆弱)、論理が破綻しても壊れないぐらい強いもの(頑強)を対義語と考える人が多いが、本当の対義語は論理が破綻したとき(ブラックスワンがが舞い降りた時)さらに飛躍する(反脆弱)システムを指す。ブラックマンデーで儲かった人たちこそ反脆弱である。ある予想に対して実際は非対称な分布を持つものを探し(ほとんどがそうだ!正規分布なんてそれほどない)確率は低いが 論理学者が思っているほどは低くない事象に賭ける(もちろん全額ではなく、一部)と将来安泰になるかもしれない みたいな主張である。
いろいろなオプションを考え、バーベル戦略:オプションの両極端に両方投資するを行う。片方は上限なく儲かり、片方は損失の上限が限定される。
ちょっと違った角度で言うと、論理的にみえるビジネスプランに投資するのではなく、人に投資しろ
医者の論理は、合理的なものだが、経験によるものを否定することもある。現代医学が新しい病気を産む(医源病)こともるのだ
等が 上巻での結論かな?
下巻に期待 -
Posted by ブクログ
名著『ブラック・スワン』で「一度発生すればカタストロフィをもたらすが、人間には決して予測できない」事象を「ブラック・スワン」と名付け、不確実性の高い世界を予測・コントロールしたいという人間の取り組みがムダであることを暴いた著者が、その後に実際に発生した2つのブラック・スワンである、リーマンショックと東日本大震災による福島原発問題を踏まえながら、不確実な世界を生き延びるための唯一の考え方・方法論をまとめたのが本作となる。
上巻では、本書のキーコンセプトである反脆弱性という概念の説明と、半脆弱性を持つことがブラック・スワンのような事象に対する唯一の対策であることを示しながら、その具体的な考え方が示される。我々はつい「脆弱さ」に対して、その対義的な概念である「頑健さ」を志向してしまいがちであるが、ブラックスワンのような事象に対して、いくら頑健さを誇ったところで、崩壊のスピードを僅かに遅くする程度の効果しか得られない。むしろ、衝撃を自らの進化のために利用してしまうような「反脆弱さ」こそが重要であり、その例として、適度なストレスにより成長するような人体組織などが挙げられる。
購入してから読むまでにだいぶ時間が空いてしまったが、いったんページを開いてしまえば400ページの上巻を一気に読み通してしまった。衒学的かつブラックユーモア溢れる文体は顕在。引き続き下巻が楽しみでならない。 -
Posted by ブクログ
『THE SINGULARITY IS NEAR』の著者レイ・カーツワイル氏のことを、タレブ氏は「対極にある」(要は「嫌い」)と言っているが、私は両者とも大好きで現代を象徴する思想家であり実践家だと思う。タレブ氏は連続性を断絶させる不確実性を「ブラック・スワン」という概念を以って説明してみせたが、本書ではさらに昇華し、「反脆弱性」という新語を用いて非線形におけるダウンサイドとアップサイドの非対称性を見事に解き明かす。
タレブ氏の発言はやや棘があり誤った認識も見受けられるが、無責任で言いっぱなしのエージェンシーたちへの痛烈な批判は痛快だ。ダウンサイドが限定的かつオプション性がありアップサイドが∞であることを見極められるリスクテイカ―こそ世界を変える者たちだ。『ブラック・スワン』がエポックメイキング的概念であったように、彼らの行動を讃え推奨する『反脆弱性』の理解は転換点をもたらしえるかもしれない。