あらすじ
「効率的市場仮説」に代わる新理論
心理学・神経科学・進化論・人工知能など最先端科学の成果を取り入れたバイブル、ついに刊行!
提唱者による決定版
「金融市場は経済法則では動かない。
金融市場は人間の進化の産物であり、むしろ生物学の法則で動く」
「フィナンシャルタイムズ」ベスト経済書
【本書への賛辞】
「ロー氏は説得力ある議論を展開し、同時に、この本を使って面白いアイディアをいくつも披露している。巨大で分散投資の利いたファンドを作り、ガンのさまざまな治療法の開発に投資する、なんかがそうだ」
―エコノミスト誌
「アンドリュー・ローの『適応的市場仮説』は合理性に基づく正統派のアプローチと、心理学や神経科学、進化論、それにコンピュータ・シミュレーションや人工知能などの手法に基づく新しいアプローチを、見事に統合している」
―ダイアン・コイル[ケンブリッジ大学教授]
「私たちが創り出した金融市場も、同じように進化の原理を映している。つまり、競争、革新、再現、適応だ。この重要な著作で、MITのローは、この洞察から得られる過激な意味合いをあからさまにしている」
―マーティン・ウルフ[『フィナンシャル・タイムズ』紙]
「これは素晴らしい文献だ。アンドリュー・ローは、自分が経済学における効率性を再検討し、効率的市場仮説から自分が創った適応劇市場仮説へと、心理学や神経科学、生物学、そして金融技術革新や金融危機の研究を通じてたどり着く旅路を辿って見せている。この本は価値ある発見を多数示しており、同時に、感情――熱意、悦び、憤懣、痛み――であふれている。そのこと自体が、重要な発見を高らかに宣言していると言える。合理的思考と感情は切り離せないものなのだ」
―清滝信宏[プリンストン大学教授]
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
金融市場は魔物だとよく言われますが、この書籍を読んでなるほど確かに魔物でもあるなという理解ができた気にさしてくれた。
ただ、圧倒的に量が多すぎてわいの脳みそでは一度の通読では3割程度ぐらいしか理解してない気がします。読んでるとなんども圧倒的な知識不足感を感じました。
最後に12章の考え方はとても好きでわいも個人的にはそのような未来が訪れてほしいと思います。
Posted by ブクログ
ずるいよ
市場仮説と金融経済の感じでいながら最後の最後で一挙に煽るなんて
まー本書の内容を私のような素人が運用に使えるようになるには少なくともあと10年、理論が整備されて一般向けの解説書が出ないと駄目だろうけど
しかし欧米の専門家はどうしてこんなに惹きつけるような文章が書けるのだろう。ライターが別にいる?いてもいいや
最先端の研究の表面だけだけでもたかだか数千円で味わえるのだものな
私は医学者でもドクターでもないから、ハーヴェイ・ロディッシュにはなれないけれどネットで技術記事を書いたり技術書の紹介をしたり、少しでも道を誤って世の中を良くする人を増やそう
うん
増やそう
Posted by ブクログ
長らく経済学の基本原則とされてきた「効率的市場仮説」。ホモ・エコノミクスとしての人間は、最も効率の良い方法で選択し、意思決定すると言うのもであるが、最後通牒ゲームやなどの結果やボランティアの行動が示すように、必ずしも効率的とな言えない面も多々あり、この原則が通用しないことも多い。これに代わる新たな原則として提案されたのが本書であり、過去の株式・債権取引等の実績、リーマンショックなどのブラックスワン的事例などを説明できるものとして語られている。確かに、人間と言っても動物のすることだから、進化論的・随時適応的な行動を原則とする考え方は理解できる。太刀川さんの進化思考にも共通する、納得できる説明が多い。一方、まだまだ検証事例が少なく範囲も狭いため、同様の事例を何度も引用することになっている。検証の幅の広がりや件数が増えることで説得力が増すと思うので、今後も注目したい。
Posted by ブクログ
ファイナンスを学ぶ際に、空気のような存在として当然に前提とされる効率的市場仮説に対抗する理論として唱えられた適応的市場仮説。この本を手に取るまでは恥ずかしながら全く知らなかったのだが、進化論的観点からホモ・エコノミクスを捉える切り口は明快且つ納得感がある。
一方で、金融市場とはこうである、という明示的な答えが示されているものではないので、各論は面白いものの読後感がすごくいい本でもない。また、規制に関する論考はどことなく筆者にも答えが出ていないような歯切れの悪さを感じた(私が筆者の主張を理解できるだけの能力がないだけかもしれないが)。各論の面白さを以てして充分に評価できるので、星は4つ。
アルファの探求の為の金融手法の進化は留まることを知らず、ついこの間までアルファを生み出していた手法が一般的になると市場はより効率的になっていく。それでもアルファを生み出す更に高度な手法が開発されていく。一方で環境に適応しすぎたプレイヤーは環境の変化に耐えきれず絶滅していく・・・。
金融市場の参加者を生物のように捉え、各参加者の判断に幾ばくかのバイアスがあるものとして考えると、金融市場は非常に人間くさいものに見えてくる。ハワード・マークスなんかはとっくの昔からそうやってマーケットを見ているのだろうと想像するが、彼の思考の断片を覗き見るだけの存在である私には到底たどり着くことの出来ない世界である。でも、適応的市場仮説というレンズを通してマーケットを見てみると、ほんの少しだけハワードの思考に近づけるような気がした。
あと、一般的な感想として、学問もビジネスも「思考の速さ」で発展していくので、学びを止めてはいけないなと強く思った。空気のように存在する効率的市場仮説を理解することは重要だが、それを絶対として捉えていては見えてくるものも見えてこない。今後もベースの知識を持ちながらも新たな考え方には常に触れていたいと強く思った。
Posted by ブクログ
効率的市場仮説の不完全性を補完する新しい考え方についての経済本。600ページの分厚さだけど、著者のポエムや昔話などもかなりのボリュームがあって、無味乾燥でお堅い学説といった雰囲気は無い。
金融市場は経済法則だけで動くものではなく、人間が進化の過程で獲得してきた特質によって生物学的に説明されるとしている。
どこまでの範囲を仮説と呼んでいるのか?事例紹介はあるけれど科学的根拠の裏付けがあるのか?など、不明点はいろいろあるけれど、考え方として面白いなと感じた。
■基本原理
・人間は常に合理的でも非合理的でもない。進化によって特徴づけられる気まぐれな存在である。
・人間の行動にはバイアスがある。過去の経験に学んだ結果である。
・人間は思考の速さで進化する。抽象思考、未来予測、環境変化をしうる。
・生存することが競争、革新、適応の原動力である。