塩田武士のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本のアニメ業界をリアルに描いたお仕事小説です。装画は作中作の『アルカディアの翼』をイメージしているんでしょうね、とても素敵です。特に飛行船のデザインは『天空の城ラピュタ』最近で言えば『空挺ドラゴンズ』を彷彿とさせますね。
読み始めて最初のうちはアニメプロデューサー渡瀬の視点で話が進んでいくんですが…私が期待していたのはクリエイティブな方の制作だったのに、あれ…この本ってビジネスの方の製作の話だった?ちょっと私には難しくてついていけないかも…と不安になってしまいました。でもちゃんと文月視点のアニメーターさんたちのクリエイティブな方の制作の方も描かれていました。
アニメーターさんたちのアニメ -
Posted by ブクログ
同期から貸してもらった。性同一性障害の男の子が命を賭けて女の子として生きていくお話。いじめの話や家族と恋人にカミングアウトする話が辛過ぎて途中読むのやめたくなった。エピローグ読んでからプロローグを読み直すと全てが繋がる。エピローグで泣かされた。周りの数人の友達(特に真壁くん)が理解があってすごく救いになるけれど、現実世界で周りが理解して受け入れてくれるケースってまだまだ少ないんじゃないかな。ここ数年でLGBTに理解のある人やパートナーシップ制度を認める地域も増えてきた。命を賭けてでも自分の性別を変えて好きな人と一緒にいたい人は知らないだけで沢山いると思うし将来的には同性婚が世間で認められて欲し
-
Posted by ブクログ
敗走と助走は、ときどき見分けがつかなくなります。
僕らは芸術家じゃない。もちろん、視聴者の半歩先にいる必要はある。
でも、頑張っても一歩先までだよ。二歩先になると作り手のエゴになる。
構成が最初どうなるかって感じでやや不思議やったけど、作中作な中の半作中作みたいな入れ子構造やったな!
まあまあ面白かったんやけど、本来カタルシスであるべき、逆転のポイントで、目線が主に文月になって、ややハブられたような、なんとも中心にいれないような感じがして共感しきれんかったな。
なんというか、騙し絵の牙もそうやったような?なんかもひとつ没入感に欠けるなーこの人は -
購入済み
作者のデビュー作
「罪の声」にとても感銘を受けたので、この作者のデビュー作である「盤上のアルファ」を読んでみた。はっきり言って「罪の声」よりはかなり落ちる作品だと感じた。序盤の一章が本筋とはあまり関わりがないのに妙に力が入ってるし、何よりも他の作者の将棋を扱った作品と比べて対戦場面の記述に迫力がない。題名も内容を象徴しているとは思わない。
-
ネタバレ 購入済み
社会批判する者の極端な論理が
主犯格の一人は、動機を「自分が社会に希望が持てなくても、誰か社会に希望を持つ者(今いる社会が、絶対的の基盤だと信じる人々)に空疎な社会を見せることができる。」と語る。インタビューをした記者は、強い憤りを感じた。「金が欲しいわけでもなく、権力や資本主義に一矢を報いるためでもなく。ただ、砂上の楼閣を建てるため青酸菓子をばらまく」。砂上の楼閣は、脅迫文の録音の主である幼い子供のその後の人生であり、その家族や犯人と関係者のその後でもある。戦後20年が過ぎたころから戦争を知らない世代が、中心的に、幸福の理想を求めた反帝国主義、反資本主義、社会民主主義、新自由主義など運動を起こした。しかし、活発になるほど
-
Posted by ブクログ
ネタバレ読書備忘録582号。
★★★☆。
アニメ業界のお話。しっくりこない。作者はいろいろ取材したと思うが、やっぱりしっくりこない。
アニメ業界はもっともっと進化している・・・。
物語は「アルカディアの翼」という冒険小説の冒頭で始まる。そしてこの作品をアニメ化したいという十字架を背負った玩具メーカー社員の渡瀬の話になる。アニメは製作委員会方式で作成され、そこにはアニメ制作と周辺ビジネスで商売として成立するんだという構図。グッズ販売で利益を得るのが渡瀬という訳だ。
渡瀬はアルカディアの原作者近藤との長年の交渉でやっとアニメ化の許可を得る。しかし、メインの声優の不祥事で計画は頓挫する。渡瀬は玩具メーカーを -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説『アルカディアの翼』を渡瀬がアニメ化しようとする第1章、文月が1アニメーターとして働く第2章、第2章の最後に『トータル・レポート』として渡瀬の失敗の物語をアニメ化しようとしていることが書かれる。全てが同テクスト上で書かれるため、どこまでがフィクションで作品なのか、序盤は判別できない点は面白い書き方だと思った。
物語の要所や結果の部分は空白にしたまま、時間が飛び次の章が始まる書き方には好みが分かれるだろう。加え、後半は文月視点で展開されるため、実は渡瀬が奔走しており、アニメーターの繋がりの良さをアピールする終盤に、その実感が欠けてしまっているように感じた。
コーヒーを飲む休憩室、卓球、PUB