【感想・ネタバレ】デルタの羊のレビュー

あらすじ

製作委員会、制作会社、ゲーム、配信、中国、テクノロジー、コロナ後…… これが日本のアニメの“リアル”!

「俺たちはあまりに善人だ」
「誰かが羊飼いにならなきゃ、日本アニメは地盤沈下していく」

アニメ製作プロデューサー・渡瀬智哉は、念願だったSF小説『アルカディアの翼』のテレビアニメ化に着手する。
しかし業界の抱える「課題」が次々と浮き彫りとなり、波乱の状況下、窮地に追い込まれる。
一方、フリーアニメーターの文月隼人は、ある理由から波紋を広げる “前代未聞のアニメ”への参加を決意するが……。

アニメに懸ける男たちの人生が交差するとき、【逆転のシナリオ】が始動する!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

アニメーションで、背景画や人物を綺麗に丁寧に描写することを取り上げた一方で、人間関係を複雑にして、今の日本の声優や俳優たちの泥々した裏側を描いているよう。また、その時のファン、所謂『オタク』たちの心境が少し垣間見られてクスリ、としながら読んだ。

今の日本のアニメや漫画が、日本だけではたち行かなくなっている現実や、アニメ界の裏事情が随所に見られておもしろかった。

本の最初と最後の仕掛けも中々で、
こんな書き方ができる作者に脱帽。

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2024年08月26日

Posted by ブクログ

スピード感が伝わりすぎる。
文章なのにアニメの映像がうかぶし
主人公が複数いる感じ。
小説なのにアニメを見ている気持ちになる、
罪の声より好き

ただ、仕事に対してやりがいがあればいいか、と思うタイプの人ではないとそもそもの感性はあわなさそう

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2022年05月01日

Posted by ブクログ

アニメってこう作られてるんだ!という裏側を知れる楽しさと、人物のあらゆる困難を乗り越えて作られるアニメに対する思いがとても込められていることと、ストーリーの展開が好き。結論とても良かった

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2021年10月17日

Posted by ブクログ

 アニメ製作業界の抱える問題と、製作に人生を懸ける人たちの情熱と苦悩をリアルに描くお仕事小説。
          ◇
 アニメ製作プロデューサー・渡瀬智哉は、念願だったSF小説『アルカディアの翼』のテレビアニメ化に着手する決心をした。まず3年かけて原作小説『アルカディアの翼』の作者を説得し、テレビアニメ製作委員会を組織するところまでこぎつけた
 ところが制作会社の買収問題や、原作者の希望で主演予定だった声優のスキャンダルが発覚し、計画は頓挫してしまう。
 そして渡瀬の盟友の文月の方も出資者の撤退や制作スタジオの倒産で打つ手がなくなり、失意のうちに郷里に帰ってしまった。
 八方塞がりに見えた渡瀬だったが……。

      * * * * *

 『夢』を前面に押し立てて描かれがちなアニメ制作の世界。辻村深月『ハケンアニメ』でもその暗部はほとんど語られませんでした。

 けれど本作は、アニメーターや声優だけでなく資金繰りも含めた編集側までもが抱える問題点を整理してうまく描き出せた、リアリティの溢れる出来栄えでした。

 その上で、作品制作を真に支えているのが製作者側の「アニメが好き」という純粋な情熱だけであることもきちんと伝わってきました。その筆力には全く感心します。まさに意欲作と言っていい作品でした。

 余談ですが、『長さん』と『狭さん』のゴンドラでの「オタク」としての会話。リアルな言葉に拘る作者のスタンスが感じられたシーンで大いに楽しめました。

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2021年11月24日

Posted by ブクログ

1つの作品対する想いや仕事への想いなど、感心・共感できる内容が多かった。
アニメーターには独自通貨があるところや、プロとしての仕事振りに見習いたいところも多かった。
物語の展開が章を重ねるごとにバラバラだったものが密度が濃く一緒になっていく展開も◎
1つだけ欠点をあげるとすれば物語の背景、動機となる序章部分が半分くらいあり、もう少し本質が始まってからの展開を長く楽しみたかった。
結末を知った上でもう一度読み返したい本。

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2021年05月08日

購入済み

アニメに詳しくなくても面白い

アニメに詳しくないので、少し不安でスタートしましたが、全くの杞憂でした。
前半から後半に移行するところで???となったのですが、!!!となり面白い仕掛けでした。
これからアニメ業界にも興味が湧きそうです。

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2020年10月29日

Posted by ブクログ

アニメーターの特殊な世界を描いた作品。情熱的な人々が熱意を持って作る作品は、見るものを感動させる。
アルカディアの翼から始まり、渡瀬たちのストーリーとなり、文月の話になる。この複雑さにも騙された。
面白い作品でした。実際の作品が見たい。

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2024年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ありそうであまり多くは見ない、アニメ作成に関連したストーリーです。[ハケンアニメ]ほどはキラキラしていません。セリフとかについてはここまで完成したアニメ好きが周囲にいないので新鮮でした。
内容はかなり読みごたえがあり、筆者の本はとても好きなのですが、業界の中をのぞいたような気持ちを味わえます。数冊筆者の本を読んで、いぶし銀のような、地味な仕事ながら着実に歩みを進めるキャラが個人的に好きなのも、筆者の作品に惹かれる要因なのかなと思ったりもしました。

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2024年07月01日

Posted by ブクログ

昼呑みしたい

ってな事で、塩田武士の『デルタの羊』

塩田武士さんならではのアニメ社会の実情を時に真面目に、時にクスッと、時にグッと熱く描く内容は流石じゃね

日本のアニメは世界一っ!って言われとるが、もうそんな悠長なことは言ってられない現状。

一昨日の新聞で中国アニメがグングン勢いを付けてきている。
資金、人材、環境が圧倒的に強い。

そのうち中国アニメが世界を席巻する事になるかもね

で、内容は小説『アルカディアの翼』を読んだ渡瀬が感銘を受けアニメ化にしたい夢を叶える為に奔走する。

その夢に賛同したアニメーター達との仕事っぷりや人間関係が面白い

アニオタの人はニタニタしながら読めるところも♪

果たしてアルカディアの翼はアニメ化出来るのかっ!

後半から滅茶苦茶面白く、熱くなる登場キャラが愛おしい人が多い

久々に爆笑した一文が
「いいか文月。スタジオ『アルカディア』の社是は『結果オーライ』だ。格好にはこだわらん」でした

これドラマか映画化しそうな気がする

それに絡めて『アルカディアの翼』のアニメを実際に作って欲しいな

2021年13冊目

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2024年02月04日

Posted by ブクログ

アニメを創り上げる、作り手達の物語と今のアニメ界を描いた作品。どこまでリアルなのかは分かりませんが、へえ~と頷くことや、そんなんなってるの!?という驚きもあり、楽しかった。熱血度の塩梅も個人的にはちょうどよかったです。

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2022年07月28日

Posted by ブクログ

アニメ業界のクリエーター達の奮闘を描いた物語。今まさに直面するアニメ業界の実情を背景にリアルを感じる。
アニメ製作プロデューサーの渡瀬智哉はSF小説「アルカディアの翼」のアニメ化に情熱を燃やす。一方でアニメーターの文月隼人はアニメ業界を描いたドキュメントをアニメ化するプロジェクトに参加していた。
リエーター達のアニメへの情熱息遣いを感じ読むのが楽しい。ふたつの物語の人生が交錯し、終盤に向け伏線回収がなされ清々しい気持ちになる。コロナ禍の記載もありリアルだ。
アニメ業界の今を描く小説。
★★★★✩ 4.0

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2021年09月13日

Posted by ブクログ

アニメ業界で奮闘するアニメーター達のリアルを描いた物語。
一度は頓挫した「アルカディアの翼」のアニメ化。その実現に全てを賭ける渡瀬智哉は、アニメ化計画「デルタの羊」を引っ提げ、不可能と言われたアニメ化の実現に挑む。
アニメにまつわる様々な専門用語が出てくるため、読みやすい文章ではなかったが、その分日本のアニメ界の現状がリアルに伝わってくる。
アニメを心から愛する人たちの熱い挑戦は、心沸き立つものであった。

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2021年09月11日

Posted by ブクログ

まるで絵のない漫画を読んでいるような、躍動感のある語り口の文章と仕掛けのある展開はさすがの一言。
ただ、アニメに関してあまりにも知識がなさすぎ、ついていくのに精いっぱいな部分もあった。
それでも最後まで読ませたのは、作中通して感じられた、アニメに限らずモノ作りに賭ける熱い思いの力か。

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2021年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アニメ界が抱える問題を小説化。
確かにスタッフを多く抱える中で、その情熱を頼りにしてしまう現実はあるのかもしれない。
その中で、鬼滅の刃のヒットがあるので、利益分散を現実に想像してしまう。
さて、物語はといえば、挫折からの成功で、マンガやアニメによくありそうな展開。
最近映像化の多い作者だけに、アニメ化を狙っているのかもしれない。

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2021年07月14日

Posted by ブクログ

一冊の本の中に、アニメの中のアニメ?と読み進めているうちに、ひとつの作品はドキュメントアニメなんだと気づき、そのふたつがうまく溶けあって進んでいく。『アルカディアの翼』は、見たこともないし見ることもない作品なのに、絵が頭の中で駆け抜けるほどの描写。スカイカラーが見てみたい。

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2021年07月03日

Posted by ブクログ

何回裏切られたんだろう(笑)

アニメ製作・制作を舞台に繰り広げられる壮大な世界観についていけず(笑)
冒頭は、SF小説 アルカディアの翼から始まる……
暫く何を読んでいるのか、うまくピントが合わない。暫く読み進んでも、さらにズレていく……

アニメ業界の抱える課題が次々と浮き彫りとなり、窮地に追い込まれ、日本アニメは地盤沈下していくことに。。。
そんな彼らの一発逆転‼
ホントにアニメで見てみたい♪

舞台が、新宿や松山など、知っているところが出てくると、さらに頭の中に映像が浮かんできますね。
USJのシーンは、一緒に垂直落下(笑)

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2021年02月23日

e3

ネタバレ 購入済み

エンタメとして良し

 エンタメ小説としては割と面白かったです。
 取材をしっかりしていることもよく伝わり、アニメの現場を描いた
 フィクション作品としてはかなり完成度が高いと思いました。
 少なくとも"現在まで"を描いた部分では、現実との大きな齟齬は見当たらなかったと思います。

 ただし、コロナ後の未来を描いた後半については色々と気になるところもありました。

 たとえば、デジタル作画は作品のクオリティそのものには寄与する部分が少なく、少なくとも現場の制作側にとっては導入のための課題の方が多すぎる点が無視されています。
 それでもいずれは置き換わるでしょうが、諸手を挙げて歓迎している人は少ないでしょう。

 また、セルルックCGについてはより大きな(そして誰もが通る一般的な)誤解があります。
 3DCGのキャラクターを使用した表現の限界はここ10年ではっきりしてしまいました。
 サンジゲンが判子顔のアイドルアニメに傾倒していること、東映の正解するカドのクオリティがアレだったことを思い出せば分かります。
 オレンジのビースターズは稀に見るほどの高クオリティでしたが、あの表情作りは国産アニメよりはピクサーに近い。
 もっと言えば、昨今のサンジゲンの表情作りも、微妙なニュアンスは排除してカートゥーン的な大げさな物ばかりになっています。
 3Dでは微細な表情を作りにくい。それこそ聖ラインなど絶対に引けないわけです。
 また、服装・髪型を新しく作るのはもとより、ダメージの合わせすら非常に高コストがかかります。
 作中のアルカディアの翼をアニメ化するとき、3DCGでキャラクターを描く選択は絶対にやってはいけないことの一つです。
 空中のアクションは3Dで、キャラ芝居は作画で、というのが本来の落とし所でしょう。
 聖さんが3Dやりたがっても全力で止めるべきでした。
 ここらへんの感覚というのは、かなり先進的なプロデューサーでも中々実感できていませんが、制作現場ではいい加減かなり浸透してきている現実です。
 Pたちが3Dを売りに金を集められる間はセルルックCGはなくならないと思いますが、それをメイン表現にした作品は早晩淘汰されるものでしょう。

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2020年11月07日

Posted by ブクログ

11月-08。3.5点。
アニメーターの物語。業界や手法がよくわかる。
アニメ化しようとするが、声優のスキャンダルにより頓挫。
復活はあるのか。。。

作中作なのかと思いきや、意外な展開が冒頭から。読ませるテクニックがある。ラストに向けてどんどん熱くなる。面白かった。

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2024年11月20日

Posted by ブクログ

私だって「存在の全てを」を読みたい
読んで待ちます、塩田さん8作目

アニメ業界の内幕を描く
アニメの制作過程とか、制作委員会系の話とか

内幕と共に 過去のアニメ作品がぱらぱら登場
会話にもアニオタっぽさ満載

アニメに人生をかけていた(結局賭け続けた)男達が 最初に描いた夢をーアニメ化したい“アルカディアの翼”作中作品ー紆余曲折しながら叶えていく

構成を工夫しすぎていて読みにくい
再読すると たぶんすっきりすると思う

そして、あとは読まずに待ちます「存在の全てを」

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2024年08月03日

Posted by ブクログ

現代のアニメ制作に関わる人たちのお仕事小説のパッケージをとりつつ、労働環境のあり方を問う。文体はあくまで軽やかだが、サブカルに近しくないと一部読むのがきついかも。それくらい攻めてる。くせが強い。読者層をどこに定めてるんだろ…。声優の炎上で作品制作が中止になるとか、あまりにリアル。
ネタバレにならない程度に書くと、美味しんぼとドラゴンボールと進撃の巨人とプリキュア、ほかにもいくつもの作品がオマージュされている。デジタル化が進んだアニメ制作が地方都市と親和性が高い、というのは地方在住者の実感としても感じているところ。

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2024年06月01日

Posted by ブクログ

表紙からしてファンタジーかと思って読みましたら、アニメ業界のお仕事小説だったんですね。
てっきりアニメは日本のお家芸で追随するもの無し、と思っていたのですが中国がそんなに力を持っているとは・・・。

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2023年01月18日

Posted by ブクログ

日本のアニメ業界をリアルに描いたお仕事小説です。装画は作中作の『アルカディアの翼』をイメージしているんでしょうね、とても素敵です。特に飛行船のデザインは『天空の城ラピュタ』最近で言えば『空挺ドラゴンズ』を彷彿とさせますね。

読み始めて最初のうちはアニメプロデューサー渡瀬の視点で話が進んでいくんですが…私が期待していたのはクリエイティブな方の制作だったのに、あれ…この本ってビジネスの方の製作の話だった?ちょっと私には難しくてついていけないかも…と不安になってしまいました。でもちゃんと文月視点のアニメーターさんたちのクリエイティブな方の制作の方も描かれていました。

アニメーターさんたちのアニメに対する愛情と情熱と、お金ではなく「人」で繋がる価値観がとても素晴らしかったです。アニメは世界に誇れる日本の文化と言っても過言ではないですよね。そんなアニメ業界の労働環境が、もっともっとよくなって欲しいなぁと切に思います。

お話の構成もとてもうまくて、クライマックスではめっちゃ興奮したしおもしろかったんですが、この本の主人公はおそらく渡瀬なんですよね…私的には文月の方により感情移入してしまっていたので、エピローグも「え、そこ?」と思ってしまいました。

***
「大空を飛び回ることは爽快だ。でも、翼が折れれば落ちて死ぬ。つまり自由は責任でできている。そしてその責任は強さの表れで、究極の強さは優しさの中にのみ存在する」(287頁)

「人生のスタートラインって、自分の本当の役割を見つけたときに引かれるもんじゃないでしょうか」(313頁)

「一度挫折をした人間は経験により精神の筋繊維が太くなる」(319頁)

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2022年03月30日

Posted by ブクログ

4分の3位読み進めて、やっとアニメを作り始める〜。諸々あってここまでが長かったよ!
作るまでではなく、作っている過程をもう少し掘り下げて欲しかったかなぁ。
読後感は爽快。

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2022年01月27日

Posted by ブクログ

敗走と助走は、ときどき見分けがつかなくなります。

僕らは芸術家じゃない。もちろん、視聴者の半歩先にいる必要はある。
でも、頑張っても一歩先までだよ。二歩先になると作り手のエゴになる。


構成が最初どうなるかって感じでやや不思議やったけど、作中作な中の半作中作みたいな入れ子構造やったな!
まあまあ面白かったんやけど、本来カタルシスであるべき、逆転のポイントで、目線が主に文月になって、ややハブられたような、なんとも中心にいれないような感じがして共感しきれんかったな。
なんというか、騙し絵の牙もそうやったような?なんかもひとつ没入感に欠けるなーこの人は

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

99出版、新聞以外の分野にも造詣が深い。オタクやったんですね。そろそろ阪神淡路のことも小説として書けるかな。楽しみにしております♪

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2021年08月06日

Posted by ブクログ

アニメ業界を舞台にしたお仕事小説。
前半の急な場面展開による凝った構成と、アニメ業界の現状を伝える詳細な描写にやや取っつきづらさを感じてしまいました。後半、物語が動き出してからはとても面白かった。

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

アニメ業界の話ということで楽しみに本を開いた。でも出だしが私の好みではなく、また構成が理解できず、途中でやめてしまおうかと思った。3分の1程読んだところで、ようやく構成が理解でき、内容的にも面白くなってきたので、最後まで読めた。
アニメ業界の大変さと、アニメーターのアニメ愛の深さがよくわかった。

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2021年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読書備忘録582号。
★★★☆。
アニメ業界のお話。しっくりこない。作者はいろいろ取材したと思うが、やっぱりしっくりこない。
アニメ業界はもっともっと進化している・・・。
物語は「アルカディアの翼」という冒険小説の冒頭で始まる。そしてこの作品をアニメ化したいという十字架を背負った玩具メーカー社員の渡瀬の話になる。アニメは製作委員会方式で作成され、そこにはアニメ制作と周辺ビジネスで商売として成立するんだという構図。グッズ販売で利益を得るのが渡瀬という訳だ。
渡瀬はアルカディアの原作者近藤との長年の交渉でやっとアニメ化の許可を得る。しかし、メインの声優の不祥事で計画は頓挫する。渡瀬は玩具メーカーを去る・・・。
場面は変わり、トータル・リポートというドキュメンタリーアニメを制作しようとしているアニメーターの文月の物語になる。なんとトータル・リポートはアルカディアの企画から挫折までを描いたノンフィクションアニメとして制作される計画。そして、トータル・リポートも制作途中に社員が起こした煽り運転事故の結果、頓挫する。制作会社も解散し、文月も無職となる。
そして渡瀬と文月が再び手を組み、アルカディアの翼を世に送り出す!
というサクセスストーリーです。
ですが!登場人物を躍らせることで、イチイチくどいくらいアニメ業界を業界!業界!業界!としつこく表現する作風にちょっとイラついてしまう私。笑
個人的にアニメは、私の人格形成の半分ほどを占めるくらい重要なアイテムなのでイライラ感が半端なかった。
夢を追う男たちとそれをサポートする女という構図もイライラを増長させる。笑
辻村深月さんの傑作「ハケンアニメ!」には足元にも及ばない。
どうもこの作家は相性が悪い。

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2021年05月03日

Posted by ブクログ

業界もので面白いはずなのだけど、自分にはこの構造がはまらなかった。そうだったのか!とわくわくする方向じゃなくて、えー、そうなの…?になってしまってその後も疑う読み方になってしまったのが残念。

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2021年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小説『アルカディアの翼』を渡瀬がアニメ化しようとする第1章、文月が1アニメーターとして働く第2章、第2章の最後に『トータル・レポート』として渡瀬の失敗の物語をアニメ化しようとしていることが書かれる。全てが同テクスト上で書かれるため、どこまでがフィクションで作品なのか、序盤は判別できない点は面白い書き方だと思った。
物語の要所や結果の部分は空白にしたまま、時間が飛び次の章が始まる書き方には好みが分かれるだろう。加え、後半は文月視点で展開されるため、実は渡瀬が奔走しており、アニメーターの繋がりの良さをアピールする終盤に、その実感が欠けてしまっているように感じた。
コーヒーを飲む休憩室、卓球、PUB、観覧車などリフとして機能する場所とそれに付随する内容の書き方は効果的に作用していると感じた。

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2021年04月06日

Posted by ブクログ

自由から世界を生み出す - 塩田武士「デルタの羊」 ★★★☆☆

非常に凝った作りになっていて、前半は可読性が悪いです。アニメと映像をうまく融合できれば映像化してもいいかもしれないかな。ただ金はかかるな。
前半と後半で全然別の物語になっていて、前半はさらに2つ。アルカディアでさらに1つなので、4つのお話が進みます。厳しいな。さらに物語の中に主張がたくさん入っているので、エピローグで、回収するのがてんやわんや。もう少し絞ってシンプルにしても良かったかもー。
#引用
・人は自由から世界を生み出す
・自由は、ただあるだけではないに等しい
・綻びは往々にして小さな棘から生じる
・執念は必然的に狂気を生む
・決められた枠組ほど絶望するものはない。想像力のエネルギー源は「自由」だ。
・自由は責任でできている。そしてその責任は強さの表れで、究極の強さは優しさの中にのみ存在する
・なんにだって寿命はある。逆算が可能だから頑張れるのであって。ゴールテープがなかったから、マラソンなんて誰も走らないだろう。
・上下関係を嫌い、思考停止のまま平均化を目指すネット先行の社会は、ことさら「普通」であることを強いる。
・家族の絆もまた、生き物だ。経年により必ず歪みが生じる

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2023年10月27日

Posted by ブクログ

 アニメが好きな私にとって、アニメの制作や製作の裏側を知ることができ、非常に面白かった。

 自分も好きなことに全力で向き合おうと思わせてくれた。

 

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2021年02月14日

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