塩田武士のレビュー一覧

  • 女神のタクト

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    関西弁全開の作品を読むといつも、関西人以外の感想が気になります。内容以前に関西弁がひっかかって読みづらくはないのだろうかと心配に。生粋の関西人としては、こりゃもうたまらん。稀にある、読むに耐えない関西弁ではなく、正しい関西弁。

    『拳に聞け!』で魂を射抜かれ、過去の作品に遡り。パンチパーマのオッサンを漆黒のブロッコリーに例えるセンスにもう脱帽(笑)。自信を失ったマエストロが破天荒な女に引きずられてステージに戻る。

    前半はさんざん笑わされ、『天城越え』で涙腺ゆるみ、オーケストラの演奏を文字で読んで完全に涙。好き。

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    2019年05月12日
  • 盤上のアルファ

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    NHKプレミアム(BS)連続ドラマの原作。配役は、記者秋葉が玉木宏、棋士真田が上地雄輔。原作では、秋葉はもう少し硬派で、真田はもう少しふてぶてしい。原作の場所は神戸。神戸市民としては身近な地名が出てきてとても楽しい。ドラマには登場しなかった女流棋士の加織や真田の棋士仲間たち(犬を含む)との絡みがお気に入り。続編が読みたい!

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    2026年01月12日
  • 雪の香り

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    『崩壊』に続き、塩田作品四作目。過去と現在、それぞれの変化、京都の町並みや季節の移ろい。と謎の女・雪乃の変化の対比が良かったです。彼女の過去を知ったとき——さぞ大変だったろうな、と。最後はああなってしまったけど、それで逆に解放されたのかなと思うとジーンときました…。えらい遠回りした感もありますが、エピローグはとても良かったですね^^ 二人の今後の幸せを願いたい!最後に一番好きな場面の紹介を——[p99〜p112]。

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    2019年05月07日
  • ともにがんばりましょう

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    まったくの個人的事情から書かせて頂くと、もう10年近く前、労働組合のない会社から組合活動が真っ赤に燃え上がる会社に転職しました。身の回りの単語すべてが不可解で、オルグなんてきっと怪しげな集まりなんだろうと新人ほぼ全員でサボって怒られた、なんて事もありました。

    あの頃この本に接していたら、もうちょっと上手く立ち回れたかなあ、と(笑)。労使交渉という取っつきにくい分野に果敢に手を出したエンターテイメント小説です。政治的に何か訴えるわけではなく、一方で活動の時代錯誤感を嗤うわけでもなく、ただひたすら読み物に徹する姿勢はこのジャンルではむしろ稀有と言ってよく、純粋に面白く、ためになりました。

    ただ

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    2018年11月02日
  • 盤上のアルファ

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    盤上のアルファ / 塩田武士

    「秋葉、人事っちゅうのは何で決まるか知ってるか?」
    「好き嫌いや。おまえは嫌われてる。」

    「この寒い中、裸1つで追い出そうっていうんですか?
    僕の格好見てください。タンクトップですよ。
    死んだらどうするんですか?」
    「灰になるだけや。」
    「しびれるわぁ」

    かくして、嫌われ者の記者とタンクトップは出会うこととなった。
    将棋に命を懸けた男が巻き起こす、男臭く熱い真剣勝負の物語。

    「キリストとおまえの共通点ゆうたら、髭ぐらいのもんやろ」
    「あと、薄着やな」
    「どうでもええわ」

    ゆかりある神戸の風景に
    関西弁のツッコミが効いていて
    どんどん物語に引き込まれました

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    2018年09月03日
  • 崩壊

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    『女神の〜』に続き、塩田作品三作目。バブル時代を題材にした刑事モノ。素直に面白かった!優子の本宮に対する態度の変化が個人的には良かった。初めはブスーっとしてたのに、後半なんて仲良くお酒を呑む仲までなって—— 。輝の犯行動機については最後に手紙が提示されたが、個人的には「?」でしたね。何故この時に殺したのかはよく分からないな、と。次作は『氷の仮面』か『雪の香り』あたりを読みたい^^

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    2018年07月28日
  • ともにがんばりましょう

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    ネタバレ

    筆者の作品は初めてであったが、人物描写が的確で、関西弁もナチュラル、文章全体のテンポもよく、他の作品も読みたいと思った。株式会社における労働組合と経営側の交渉模様を描いた作品で、実際に労使交渉に関わる仕事をしていた私にとっては、緊張感やスピード感などが非常にリアルでとてもおもしろかった。ただ、労働組合の動きの中で比較的ポピュラーな春闘やストライキではなく、その前段にあたる「交渉」というコアな部分に焦点をあてているので、なじみのない人からすると「???」という部分もあると思う。おそらくそういう人のことを思って描かれたのであろう若干の恋愛模様が、私には余計なものに思えたので★-1とした。

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    2018年03月30日
  • 女神のタクト

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    『盤上のアルファ』に続き、塩田作品二作目。割りと早い段階から引き込まれたから良かった!退屈な時間は短ければ短いほどいい。主人公・矢吹明菜のキャラがとても良い。すぐ手を出し、足を出す暴力女w と、内股の世界的マエストロ・一宮拓斗、ブロッコリー別府、ニュージーランド人キオラなど個性豊かな楽団の職員、演奏者たち。特に主人公と別府の掛け合いは爆笑必須!笑いあり、涙ありで楽しかったなぁ^^ 解説者も書いておりますが、自分が知らない世界を知れるというのはホント楽しいですね。今回は楽団運営のイロハ?を知れたのは良かった。一度クラシックコンサートに行きたい!そう思えた作品でした♪

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    2017年10月07日
  • ともにがんばりましょう

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    前半が軽くて笑っちゃう場面多いのに後半は重くなる(よい意味で)本でした。初めてのパターンだったな。これは。面白くてかつ心に響く本であった!!

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    2017年10月02日
  • 雪の香り

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    京都の事物を背景に、ポンポンといきかう関西コトバにあふれる、若さの軽み。こんなカノジョがいたらどうヨ、という妄想にも寄り添う。テーマ全体は「青い」という印象。

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    2018年10月14日
  • ともにがんばりましょう

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    会社員だった頃は組合のある企業に勤めたことがなく縁がなかったが、派遣社員として働き始めた会社は組合活動がそこそこ活発で、ある日ストが行われた。
    朝から会議室に閉じこもる社員を尻目に、残った部長と派遣社員2人で一日中電話対応の嵐。電話の向こうの取引先に怒鳴られながら、部外者の私はどんどん心が冷え切っていった。新聞社ではないが同業界の会社だったのだが、あの裏側にはこんなにドラマチックでないにせよそれぞれの人間ドラマがあったのかな、と読み終えて少しだけ共感できる自分がいた。
    関西人ノリのちょこちょこ差し込まれるツッコミが小気味よくニヤリとさせられ、最後は組合活動という未知の世界ながら登場人物の”志し

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    2017年04月01日
  • ともにがんばりましょう

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    デフォルメ、カリカチュアライズは一部にあるが、全体的にはリアルで生真面目な「お仕事小説」。ただ、題材はふつーの仕事ではなく(いや、仕事というわけでもなく)組合役員としての組織活動、団交などを取り上げている。塩田の神戸新聞勤務での経験に取材とのこと。

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    2018年10月14日
  • 存在のすべてを

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    ・厚木、横浜山手で同時に起こった児童誘拐事件。厚木を囮にし(被害者児童は保護)、山手で身代金要求を目論んだ事件は、3年後に児童が祖父母の元に帰還するという意外な結末で幕を閉じ、時効を迎える
    ・管理職として何となくの毎日を送っていた元記者の門田は、懇意の刑事がこの事件に掛けていた思いを知り、事件を追うことを決意。記者としての魂を取り戻していく
    ・取材を続ける中で、ある写実画家の名前が浮上し、そこから、少年(亮)が失踪した3年間に何があったのか、驚くべき真実が明らかになる

    以下感想&メモ------
    ・この物語の舞台の一つとして出てくる「ホキ美術館」(写実絵画専門の世界唯一の美術館)にずっと行っ

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    2026年05月03日
  • 盤上のアルファ

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    棋士を取材する記者の仕事とはこういうものかと興味深くもあり、さくさく読めた。真田が現実離れと思いつつも愛さずにはいられないキャラ。終盤まさかの展開で秋葉と同じくやられた感が。よい読物でした。

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    2026年04月30日
  • 騙し絵の牙

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    エンタメとしての楽しさと、どこに伏線が張られているんだろうというドキドキを両方味合わせくれる一冊です。
    出版業界の苦悩を凝縮したような話で、紙媒体の売上が低迷していく中で、どう売上を伸ばしていくかを、面白く描いていています。
    個人的には本は絶対に紙派なので、出版社の方々を心より応援しています。

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    2026年04月29日
  • 踊りつかれて

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    SNSの闇。
    コメントとかしたことないけど、気をつけよう。
    しかし倍速で動画をみちゃう私には長かった。

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    2026年04月26日
  • 罪の声

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    『子どもを犯罪に巻き込めば、その分、社会から希望が奪われる。「ギン萬事件」の罪とは、ある一家の子どもの人生を粉々にしたことだ。』

    テープに使われた3人の子供
    被害者である彼らの歩んできたその後の悲しい人生

    俊也と阿久津が、同時期に別々の局面から「真実」へと辿りついていく

    『金がほしいわけでもなく、権力や資本主義に一矢報いるためでもなく、ただ砂上の楼閣を建てるためだけに青酸菓子をばら撒いたとでも言うのか』
    記者としての阿久津の苛立ち

    「事件を起こして、あなたの言う“社会”を見せて、世の中は変わったんですか?」
    「あなたには正義がない」

    被害者であり、巻き込まれた子ども
    特に、翻訳家にな

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    2026年04月25日
  • 踊りつかれて

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    ネタバレ

    物語としての価値というよりも、
    「今のSNS社会の風潮って、どうなんですか」
    「匿名性に隠れた、責任を持たない加害者/殺害者になっていませんか」
    という、過渡期ならではの空気感を痛烈に批判する強いメッセージを感じた。

    冒頭に提示される「宣戦布告」。
    これは作中の犯人・瀬尾によるブログの文章だが、
    著者、あるいは登場人物が現実社会に対して投げ込んだ、“意見の火炎瓶”のようにも見えた。

    芸能人への誹謗中傷、匿名性の陰に隠れた暴言、
    承認欲求や優越感を満たすために人を叩く愚かさ。
    さらに、過激な意見や陰謀論的見解を、
    単純な真実として盲目的に信じてしまう構造。
    そうしたSNSにおける現代人の傾向

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    2026年04月19日
  • 罪の声

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    グリコ・森永事件をモチーフにした小説。犯罪に巻き込まれた子供のその後の人生や家族としての責任の取り方を考える。大人としての正しさみたいなものを改めて考える必要を感じた。

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    2026年04月15日
  • 存在のすべてを

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    ネタバレ

    面白かった。正直、前半は私には刺さらず、読むことが苦痛に感じたときもあったが、後半の展開は心に沁み入るものがあった。
    血のつながりに関係なく愛は存在する。一方で、血がつながっていてもクズとは距離を置くべき。

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    2026年04月11日