塩田武士のレビュー一覧

  • 盤上のアルファ

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    ネタバレ

    期せずして将棋担当になった記者。子供のころから厳しい環境の中で将棋だけを頼りに生きてきて、棋士になるための最後の大勝負に挑む人。そんな二人が邂逅する。
    比較的軽いテンポで進むストーリーと対照的に、将棋の場面ではリアルな描写が続く。作者も将棋記者だったのだそうだ。ラストの展開には唸らされた。

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    2019年11月09日
  • 盤上に散る

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    これは盤上のアルファの続きと言ってよい、前作の登場人物ふんだんに出てくるし。主人公の女と、チンピラくずれコンビが真剣師を探す話。いろんなとこで登場人物がつながっていくところが面白い。この作者の文章は重厚さはないけどいい意味ですんなり読めるので、展開がはやくて時間がかからないのもいい。
    そして最後、25年前と同じ、駒をかけた大勝負、タイトルのとおり散るのかと思ったら散らない。謎も全て解けて読後感スッキリです。

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    2019年10月31日
  • 盤上に散る

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    処女作「盤上のアルファ」の続編。塩田さんの作品はいくつか読んできましたが、ストーリィよりかは生き生きとしたキャラクタ描写が好きみたいだ。そのキャラたちがストーリィを動かしているんだという感じがとても良い!“昭和”というスパイスがより魅力的にする(^^ また京都、嵐山が物語のキープレイスなのも個人的に良き。星四つ半。「罪の声」への期待が俄然高まるっっ!!!(←某ドラマキャラwww

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    2019年08月31日
  • 盤上のアルファ

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    塩田武士のデビュー作とは知りませんでした。人との出会いの大切さを思いました。捨てる神あれば拾う神あり。ラストの展開に驚くとともに救われた気持ちになりました。

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    2019年07月15日
  • ともにがんばりましょう

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    労働組合エンターテイメント小説
    それぞれ 一癖も二癖も
    あるような登場人物の
    描かれ方が おかしく 楽しい
    地方の新聞社につとめておられたころの
    経験がそのまんま見事に活かされている

    おそらく、
    そのモデルとなった「お人」たちも
    読みながら苦笑されておられることでしょう

    最後まで
    興味深く読ませてもらえました。

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    2019年06月26日
  • ともにがんばりましょう

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    大阪の中堅(?)新聞社、上方新聞の記者である武井は、ある日曜にボーッとしていたところを、上司の寺内に捕まる。そこで突然、組合の教宣部長を任命されるが、そもそも組合とは何をするものなのか…。

    塩田武士を読んでみたいと思って買ったものの、相変わらず何も考えずにあらすじも読まずに手にとったので、「あれ?応援団とちゃうんかい?」というのが最初の印象である。よく見たら「団交」と書いてあったな。

    書き始めは、若干「雑」であるため、「七分丈がまだ立っていた」と服装で人物を描写するなど、誰のことやねん?という書き方が引っかかる。

    それも、組合の12人の同士と会うまでの話。そこからは全キャラクターが例外な

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    2019年05月27日
  • 女神のタクト

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    関西弁全開の作品を読むといつも、関西人以外の感想が気になります。内容以前に関西弁がひっかかって読みづらくはないのだろうかと心配に。生粋の関西人としては、こりゃもうたまらん。稀にある、読むに耐えない関西弁ではなく、正しい関西弁。

    『拳に聞け!』で魂を射抜かれ、過去の作品に遡り。パンチパーマのオッサンを漆黒のブロッコリーに例えるセンスにもう脱帽(笑)。自信を失ったマエストロが破天荒な女に引きずられてステージに戻る。

    前半はさんざん笑わされ、『天城越え』で涙腺ゆるみ、オーケストラの演奏を文字で読んで完全に涙。好き。

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    2019年05月12日
  • 雪の香り

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    『崩壊』に続き、塩田作品四作目。過去と現在、それぞれの変化、京都の町並みや季節の移ろい。と謎の女・雪乃の変化の対比が良かったです。彼女の過去を知ったとき——さぞ大変だったろうな、と。最後はああなってしまったけど、それで逆に解放されたのかなと思うとジーンときました…。えらい遠回りした感もありますが、エピローグはとても良かったですね^^ 二人の今後の幸せを願いたい!最後に一番好きな場面の紹介を——[p99〜p112]。

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    2019年05月07日
  • ともにがんばりましょう

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    まったくの個人的事情から書かせて頂くと、もう10年近く前、労働組合のない会社から組合活動が真っ赤に燃え上がる会社に転職しました。身の回りの単語すべてが不可解で、オルグなんてきっと怪しげな集まりなんだろうと新人ほぼ全員でサボって怒られた、なんて事もありました。

    あの頃この本に接していたら、もうちょっと上手く立ち回れたかなあ、と(笑)。労使交渉という取っつきにくい分野に果敢に手を出したエンターテイメント小説です。政治的に何か訴えるわけではなく、一方で活動の時代錯誤感を嗤うわけでもなく、ただひたすら読み物に徹する姿勢はこのジャンルではむしろ稀有と言ってよく、純粋に面白く、ためになりました。

    ただ

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    2018年11月02日
  • 盤上のアルファ

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    盤上のアルファ / 塩田武士

    「秋葉、人事っちゅうのは何で決まるか知ってるか?」
    「好き嫌いや。おまえは嫌われてる。」

    「この寒い中、裸1つで追い出そうっていうんですか?
    僕の格好見てください。タンクトップですよ。
    死んだらどうするんですか?」
    「灰になるだけや。」
    「しびれるわぁ」

    かくして、嫌われ者の記者とタンクトップは出会うこととなった。
    将棋に命を懸けた男が巻き起こす、男臭く熱い真剣勝負の物語。

    「キリストとおまえの共通点ゆうたら、髭ぐらいのもんやろ」
    「あと、薄着やな」
    「どうでもええわ」

    ゆかりある神戸の風景に
    関西弁のツッコミが効いていて
    どんどん物語に引き込まれました

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    2018年09月03日
  • 崩壊

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    『女神の〜』に続き、塩田作品三作目。バブル時代を題材にした刑事モノ。素直に面白かった!優子の本宮に対する態度の変化が個人的には良かった。初めはブスーっとしてたのに、後半なんて仲良くお酒を呑む仲までなって—— 。輝の犯行動機については最後に手紙が提示されたが、個人的には「?」でしたね。何故この時に殺したのかはよく分からないな、と。次作は『氷の仮面』か『雪の香り』あたりを読みたい^^

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    2018年07月28日
  • ともにがんばりましょう

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    ネタバレ

    筆者の作品は初めてであったが、人物描写が的確で、関西弁もナチュラル、文章全体のテンポもよく、他の作品も読みたいと思った。株式会社における労働組合と経営側の交渉模様を描いた作品で、実際に労使交渉に関わる仕事をしていた私にとっては、緊張感やスピード感などが非常にリアルでとてもおもしろかった。ただ、労働組合の動きの中で比較的ポピュラーな春闘やストライキではなく、その前段にあたる「交渉」というコアな部分に焦点をあてているので、なじみのない人からすると「???」という部分もあると思う。おそらくそういう人のことを思って描かれたのであろう若干の恋愛模様が、私には余計なものに思えたので★-1とした。

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    2018年03月30日
  • 女神のタクト

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    『盤上のアルファ』に続き、塩田作品二作目。割りと早い段階から引き込まれたから良かった!退屈な時間は短ければ短いほどいい。主人公・矢吹明菜のキャラがとても良い。すぐ手を出し、足を出す暴力女w と、内股の世界的マエストロ・一宮拓斗、ブロッコリー別府、ニュージーランド人キオラなど個性豊かな楽団の職員、演奏者たち。特に主人公と別府の掛け合いは爆笑必須!笑いあり、涙ありで楽しかったなぁ^^ 解説者も書いておりますが、自分が知らない世界を知れるというのはホント楽しいですね。今回は楽団運営のイロハ?を知れたのは良かった。一度クラシックコンサートに行きたい!そう思えた作品でした♪

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    2017年10月07日
  • ともにがんばりましょう

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    前半が軽くて笑っちゃう場面多いのに後半は重くなる(よい意味で)本でした。初めてのパターンだったな。これは。面白くてかつ心に響く本であった!!

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    2017年10月02日
  • 雪の香り

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    京都の事物を背景に、ポンポンといきかう関西コトバにあふれる、若さの軽み。こんなカノジョがいたらどうヨ、という妄想にも寄り添う。テーマ全体は「青い」という印象。

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    2018年10月14日
  • ともにがんばりましょう

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    会社員だった頃は組合のある企業に勤めたことがなく縁がなかったが、派遣社員として働き始めた会社は組合活動がそこそこ活発で、ある日ストが行われた。
    朝から会議室に閉じこもる社員を尻目に、残った部長と派遣社員2人で一日中電話対応の嵐。電話の向こうの取引先に怒鳴られながら、部外者の私はどんどん心が冷え切っていった。新聞社ではないが同業界の会社だったのだが、あの裏側にはこんなにドラマチックでないにせよそれぞれの人間ドラマがあったのかな、と読み終えて少しだけ共感できる自分がいた。
    関西人ノリのちょこちょこ差し込まれるツッコミが小気味よくニヤリとさせられ、最後は組合活動という未知の世界ながら登場人物の”志し

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    2017年04月01日
  • ともにがんばりましょう

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    デフォルメ、カリカチュアライズは一部にあるが、全体的にはリアルで生真面目な「お仕事小説」。ただ、題材はふつーの仕事ではなく(いや、仕事というわけでもなく)組合役員としての組織活動、団交などを取り上げている。塩田の神戸新聞勤務での経験に取材とのこと。

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    2018年10月14日
  • 踊りつかれて

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    複雑な構図に迷子になりそうで、時々整理しながら読み進めた。
     奏は「聡明な弁護士」にとどまらず、「人を見る」力を身につけて、依頼人に寄り添える弁護士になって行くのだろうな。

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    2025年12月13日
  • 踊りつかれて

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    同じ場面を何度も違った角度で、違った思考で振り返るのがとても長く個人的には苦痛だった。犯罪の裏側というか深層心理や生き様を丁寧に炙り出していくことで見えてくるものが興味深いところなのだと思うが、私には難しかったようだ。幸せに生きることを奪われた人たちの悲しすぎる展開にやりきれなさばかりが際立った。思わぬ繋がりで不幸の連鎖を断ち切れなかった瀬尾さん、天童さんが悲しい。生きぬいた美月さんもつらかっただろうなぁ。

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    2025年12月11日
  • 盤上のアルファ

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    題名の「アルファ」とは、狼の群れのボスを指すことだったとは。
    第1章は、文化部に左遷された新聞記者秋葉隼介が、不本意ながら将棋のタイトル戦の取材に行くまで。
    第2章は、不遜な将棋棋士真田信繁の生い立ちなどが綴られる。母親に逃げられ停職のない父親は借金取りに追われるという悲惨な生活の中で、終生の師ともいえる大門に出会い、ますます将棋にのめり込む。
    そんな将棋漬けの信繁が中学の時に恋をしたとの唐突な描写があり違和感を覚えるが、終盤になってこのことが見事に回収されており、納得感が。
    前半は、重苦しい展開で読み進むのに躊躇するが、後半は信繁がプロへの編入試験を目指す展開となり、一気に読むペースが上がる

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    2025年12月08日