塩田武士のレビュー一覧

  • 騙し絵の牙

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    1ヶ月ぶりに本を読みきれた。

    大泉洋のあてがき、本の中でもあるような出版の新しい企画としてのこの小説を見た時、やはり面白い、斬新だと思った。

    ひょうひょうとしながらも、社内政争、廃刊の危機、妻子との関係、部内の不和など、どんどん追い詰められていく姿。そこにだんだん感情移入し辛くなってきたところにバツんと最後に持っていかれる。一種の気持ちよさと、そこで現れる二面性の気味悪さ。なんとも言えない読後感だった。

    読み終えたその日に映画も見たが、驚くほど別の話だった。さらに騙されたのだった。でもかなり面白かった。

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    2025年04月26日
  • 騙し絵の牙

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    大泉洋さん大好きで、表紙をみて即購入。
    映画化されるとのことで先に原作読みました。
    本当に巧妙などんでん返し。主人公の性格、セリフも相まって読後感最高で、すっきりした。
    もちろん映画もとてもかっこよかったです。

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    2025年10月16日
  • 氷の仮面

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    トランスジェンダーの物語

    以下、公式のあらすじ
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    「ずっと、好きでした」
    泣いて、隠して、あきらめて。それでも女の子になりたかった――。
    『罪の声』の著者がたどりついた「本当に人を愛する」ということ。感動の傑作長編。
    *******
    「えっ、真壁君、ほんまにするの?」
    「目つむれ」
    「へっ? あかん、あかん」
    後ずさった翔太郎の肩を真壁君が両手でがっしりとつかんだ。
    「深呼吸しろ」
    言われるがままに大きく息を吸って、長く吐いた。その間、お互い顔を見られなかった。(本文p111-112より)
    *******
    小学四年の春、同じクラスになった真壁君の顔を見たとき、翔太郎は恋のきらめきと痛みを知った。小さな希望すらも打ち砕かれる人生。仮面の下、ずっと女の子になりたかった――。終章、二十四年後の春に明かされる優しく美しい秘密とは。生きてゆくことの切なさに共感せずにはいられない感動の青春恋愛小説。
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    翔太郎と然程年齢が違わないので
    現代で言うトランスジェンダーに対する世間の時代感がよくわかる
    当時はそんな無理解や偏見があったよなぁ
    まぁ、それは今でもあるわけだけれども

    トランスジェンダーをテーマした物語だと、映画「彼らが本気で編むときは」を思い出す
    あっちはあっちで、リンコに対して「リンちゃん、女の子だもんね」と受容する母親がよかった

    今作で言うと、家族の中で最初に気付いて受け入れるのは姉の恵
    そして、翔太郎の悩みを初めて受け入れてくれたのは風俗嬢の茜
    また、蘭子に生きる道筋を作ってくれたのは千里子

    他にも、幼馴染の健二や耕三は以前とは変わった姿と受け入れたし
    真壁くんは初恋の相手でもあり、辛い経験を励ましてくれた存在でもある
    最後まで読めば母親、そして父親も実は理解していたというのがよい

    同性への恋心、他者とは違う事によるいじめ、異性との恋愛関係
    身内バレ、その特徴故の職業選択の狭さ
    手術をする目的と意義、そして手術しても結局は生物学的に完全には女性にはなれないという事実
    「自分はスタートラインにすら立てない」という言葉
    手術をしても戸籍の性別が変わっても生物としては別なのだよなぁ……


    終盤のお父さんからの手紙は意外だった
    実はお父さんも昔付き合ってた人がいたというね
    だとしたら、高校の頃に打ち明けていたらどうなっていただろうかと思う

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    2025年03月17日
  • 氷の仮面

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    性同一性障害というテーマに対して真摯に取り組んでいる。その部分には感心するが、ヘテロ男性の自分としては男の主人公が自身の男性性を否定することがとても辛く、読んでいて気分が悪くなった。(玉取ったシーンとか)
    共感しようとするからこそ認知不協和が起こり、気分が悪くなるというのは自分の心の動きとして面白いと思う。そういう意味では価値ある作品かもしれない。
    アニメや漫画、バラエティ番組やゲームなどのカルチャーを散りばめることで時代感を出す手法はちょっとわざとらしいがそれなりに上手くいってると思う。

    微妙だったのは終盤の怒涛の伏線回収シーン。正直白けたし、一気に物語が嘘っぽくなったので無理にカタルシスを作ろうとしなくて良かった。

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    2025年03月13日
  • 罪の声

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    2026.7.8 西島秀俊×広瀬すず×監督:瀬々敬久 ミステリー超大作 映画『存在のすべてを』 特報映像公開 追加キャストに仲村トオル、斎藤工ら

    2025.3.2 J:テレ ドラマ
    「週刊文春」ミステリーベスト10 2016年 国内部門第1位
    第7回 山田風太郎賞受賞作
    第14回 本屋大賞 第3位
    第44回日本アカデミー賞12冠 映画原作
    ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

    昭和最大の未解決事件の〈真相〉に挑む。


    「これは、自分の声だ」
    京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。それはかつて、日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始め--。
    圧倒的リアリティで衝撃の「真実」を捉えた傑作。

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    2026年07月08日
  • 雪の香り

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    ジャンルとしたら『恋愛ミステリー』というところ。
    主人公は新聞記者。むかし京都の大学に通ってるときに、ふとしたことから同じ歳の女性と知り合い、意気投合し同棲を始める。しかし、彼女は突然いなくなってしまった。
    その後、新聞記者となった自分が追っている事件の容疑者にその彼女の名前を見つける…自分と会っていなかった時間、彼女は何処で何をしていたのか?(塩田武士さんは元新聞記者で警察回りの担当をし、このような経験をしたのが、小説のヒントになったらしい)

    この2人の若い頃のデートシーンなどのセリフが関西弁のやり取りで非常に微笑ましく、面白い。屈託の無い冗談ばかり。だからこそ、現在の状況が切ない。

    また舞台が京都で、その四季を背景に描かれるのがちょっといい。若き日の恋を回想しながら、だんだん彼女の隠された秘密がわかってくる驚き…なかなか深い。

    若い頃にした恋愛で、いまは一切の連絡先も知らない…その相手の消息があるキッカケでわかり、自分と付き合っていた頃の別な過去があった…これだけでも僕にはめちゃくちゃ興味深く思えたなあ。

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    2025年02月27日
  • 歪んだ波紋

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    4.3

    新聞を中心としたニュースの真偽についてを物語を通して考えさせられる小説。

    短編集かと思ったらニュースの真偽を通して全てが繋がっていくのがとても良かった。

    何となく思っていた『このニュースが正しいのかなー』と思っていた事が物語となって現実感を帯びているのでとても楽しめたと共に情報の真偽について考えさせられた。

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    2025年02月10日
  • 氷の仮面

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    ネタバレ

    性同一性障害の人の悩みや苦しみが、今の時代は少なくなってるといいなと思った
    真壁くんを想う描写のところは普通の恋愛小説としてきゅんとしたし、私も真壁くんのこと好きになった

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    2025年02月03日
  • 騙し絵の牙

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    映画のあてがきはたまにあるけど小説のあてがきは初めて。ザ・大泉洋的キャラクターではないけど、確かにこの主人公は大泉洋っぽいなと思わせる絶妙なバランス。10年前くらいの出版業界が舞台。今だと状況が微妙に変わりそう。登場人物がとにかく多いが、それぞれ個性が出ていて物語のまとめ方も良い。

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    2025年01月26日
  • 騙し絵の牙

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    大泉洋さんのあてがきということで
    速水のイメージを読む前から想像していたが、その想像のうえをいく素晴らしい表現っぷりだった。電子から紙に戻ってきた自分からすると、本ってそんなに売れなくなってるんだと思ったが、編集者の仕事はどうにかなくならないでほしいなぁと思います。

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    2025年01月23日
  • 騙し絵の牙

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    雑誌の編集長である速水がトリニティの出版を継続させようと奮闘する物語であり、業界の裏側を描いた物語であり、速水という人物を巡るミステリでもある。
    「忍の本懐」のアニメは配信限定なんだろうけど見てみたいなぁ。

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    2025年01月10日
  • 歪んだ波紋

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    久しぶりに一気読みした!
    「報道」をする側の色んな人の色んな事件。まあ、そこから先に
    ちょっと有りがちな話の作りだけど「そんな絡んでいく?」という短編連作。だけど、私にはとても面白かった。
    結論。「人から聞いた話なんですが」的なものを信じてはならない(笑)。

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    2024年11月18日
  • 朱色の化身

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    ★-1としたのは登場人物が多すぎて頭の整理が追いつかなかったからでストーリーの完成度の高さは満点であることを先に弁明します。
    塩田さんの作品はどれも罪≠悪を描いていて物事を一側面で捉えてはいけないという教訓じみた想いを抱かせてくれるのですが、本作はその点がとても色濃く描かれています。
    罪のベースにある理不尽さ。その理不尽さが社会構造に起因するのだという作者からの問題定義と受け取りました。

    現代社会がジェンダーフリーだマイノリティの尊重だと体裁だけ整えるような対応に終止しているように思えてならない私には、
    現代でも、いや現代は過去よりさらに、この作品の被害者(?)を生み出しやすくしているのではないかと危惧してしまします。

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    2024年09月13日
  • 朱色の化身

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    ネタバレ

    いかんせん登場人物が多くて読むのが大変だったけど、面白かった。あわら温泉にそんな歴史があったとは知らなかった。

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    2024年09月12日
  • デルタの羊

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    アニメーターの特殊な世界を描いた作品。情熱的な人々が熱意を持って作る作品は、見るものを感動させる。
    アルカディアの翼から始まり、渡瀬たちのストーリーとなり、文月の話になる。この複雑さにも騙された。
    面白い作品でした。実際の作品が見たい。

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    2024年08月30日
  • 氷の仮面

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    取材力と言うか、協力した方の本心なんでしょうね。内面の描写に苦しくなりました。昭和からの話で、今は行きやすい世の中なんでしょうか。
    最後は少しできすぎで、なくてもよかったかな。

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    2024年08月24日
  • 盤上に散る

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    苦悩する男の表紙に惹かれ手に取る。この男の正体が最後の対局の後で明かされるのだが、そのままの表現に泣かされる。
    題名にしてもいかにも将棋の世界に生きる男の話を連想させるが、それだけでなく駒師のそのダンディズムというか考え方が総じてかっこ良く、こちらも最後に意味が分かる。
    前作の盤上のアルファを読んでから時間が経っていたので人物を大分忘れていたが、話の邪魔にならない程度で登場しポイントを押さえてくれていた。
    大阪の濃いキャラ連中や、背景となる人物達に少しこんがりがりそうになったが、昭和の時代をバックにした物語が重厚で読み応えがあった。

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    2024年08月22日
  • 盤上のアルファ

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    今年度、暫定No.1!

    帰省時のバスで、なんか読も、と思って手にした一冊。新刊に読みたい本が書店に色々並んでいたが高いのでグッと我慢して、「前に読んだことのある作家だなぁ」くらいの認識でこの文庫をチョイス。
    Debut作だったんですね。将棋にはあまり思い入れのない私なので、少し読み進めてから失敗したかなぁと思ったけれど、私以上に主人公が将棋に思い入れがなかったので、安心して読み始めました。気がつくと一気読み。最後はちょうど目的地についたところで、読後感サイコーでした。アルファ、というモチーフはあまり響いて来なかったかな。
    解説も気持ちよく読めましたが、続編をぜひ読みたい、という気持ちより、この方の他の作品を読みたい気持ちが強くなりました。
    おすすめの一冊!

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    2024年08月13日
  • 盤上に散る

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    ネタバレ

    面白かった!
    個人的には前作より好き。順番に読んだ方が被る登場人物がいるので楽しめると思われる。

    棋士というと堅苦しい品行方正なイメージがある。ひふみんが人気が出たのはそんなイメージからズレたお茶目さといい加減さがウケたのではないか。私も好きだ笑
    この小説も棋士のイメージとかけ離れた、しかも、ひふみん路線ではなくアウトロー路線のきな臭い世界だった。

    キャラクターがなんとも言えず良かった。出てくる人、みんな味がある。人間臭いところが良い。
    関西弁のやりとりも最高だ。テンポ良くツッコミ合う感じが面白い。
    謎多き伝説の真剣士を探す旅に出るのはアラフォー女(多分結構美人)とリーゼントのチンピラアサラー男。普通の会社員の女がどこから見てもちょっとやばい年下の男にだんだん慣れて、むしろ親しみを感じていくサマが良い。そして、安っぽい恋愛関係にならずに終わったのも良い。

    ただ、この小説は恋愛小説です。
    1割だけ恋愛要素があり、その1割だけで恋愛小説と言いたくなるほどの読者の心をキュンキュンさせる。
    あらすじには恋愛小説と書いていないのでネタバレ設定しておきます(๑˃̵ᴗ˂̵)

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    2024年07月03日
  • デルタの羊

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    ネタバレ

    ありそうであまり多くは見ない、アニメ作成に関連したストーリーです。[ハケンアニメ]ほどはキラキラしていません。セリフとかについてはここまで完成したアニメ好きが周囲にいないので新鮮でした。
    内容はかなり読みごたえがあり、筆者の本はとても好きなのですが、業界の中をのぞいたような気持ちを味わえます。数冊筆者の本を読んで、いぶし銀のような、地味な仕事ながら着実に歩みを進めるキャラが個人的に好きなのも、筆者の作品に惹かれる要因なのかなと思ったりもしました。

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    2024年07月01日