塩田武士のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作者のデビュー作ですが先が気になり一気に読めました。特に序盤でのドイヤ姫路での、シリアスな展開から一気にギャク路線になるところに驚きましたが嫌いじゃないです。作者のギャクをもっと読みたい気持ちで他の作品を手に取りそうです。特に二人の主人公の関西弁の掛け合いがとても楽しいです。更に二人をつなぐ三角関係となる女将、静がいい味だしてます。
プロ将棋の過酷な世界を垣間見るようだが、プロ棋士による解説には物語になるような事は少ないとも書いており、個人差があるのかと。作者がこの作品を執筆していた頃は神戸新聞の棋士記者だというので驚きと納得感があります。
終盤のプロ棋士編入試験の緊迫はとても読み応えがかるが -
Posted by ブクログ
ええ感じの会話!ノリツッコミありの!
これぞ関西って感じには、親近感が!
しかし、将棋は、ほぼ知らんに等しい。駒の進め方ぐらいしか知らん。
作者の塩田さんは、元将棋担当記者みたいなんで、リアリティがある。更に神戸新聞みたいなんで、関西弁もリアリティあり!
文化部に左遷された不貞腐れた新聞記者(秋葉)と将棋の夢に敗れホームレス寸前の人(真田)の話。
2人の交わりを通じて、将棋のプロを再度目指す。(アマチュアから、プロへとか色々制度があるんやな)
将棋に賭ける熱い思い(真田)また、今まで、興味なかった将棋への思い(秋葉原の2人の交わりは面白かった。
しかし、秋葉さん〜可哀想〜〜
ええように -
Posted by ブクログ
今でこそ多様性が理解されて、周りにもLGBTを公にしている人がいるけど、自分が小さい頃は理解されにくかったり、人とは違うことに対して差別的な捉え方をする部分も一部あったように思う。
本作もまだ性同一性障害が理解されてていない時代に、女性として生きていくまでの半生を描いた物語だったけど、蘭の生きた半生は想像するに決して容易ではなかったし、本当の意味で理解してあげられることは出来ないなだろうと思う。
それだけにラストとエピローグで報われたのは読んでいてとても安堵した。真壁の写真館のエピソードは、ここまでの心の葛藤を読んできた中で、心の底から蘭に良かったねと言ってあげられる仕掛けでした。
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Posted by ブクログ
社会部の県警担当から文化部の将棋担当へと異動を命じられた男。無職で住所不定のプロ棋士を目指す男。このふたりが嫌われ者である理由は「彼は性格が悪かった」。2回この文が出てきて笑いました。
将棋のことはほとんどわからないのに、胸が熱くなるシーンがあります。例えるなら、『シコふんじゃった。』で竹中直人が勝利を収めるのを観たときと同じような感覚。映画館で拍手が起きたことを覚えています。本作でも思わず立ち上がって拍手したくなりました。
将棋担当になったことは左遷以外の何物でもなかったわけですが、でも確かに、事件事故だけでは紙面は埋まらない。あらゆる面をつぶさに読みたい気持ちにさせられます。 -
Posted by ブクログ
近頃は小説や映画などでも題材として取り上げられることが増えたLGBTQだけど、本人の苦悩や性を換えていくことの苦労が丁寧に綴られている本作はとても引力があったし物語としても充実した内容だった。
物語の始まりは主人公の白水翔太郎が小学生4年生の頃。同じクラスになった真壁くんの顔を見た瞬間、翔太郎は恋のきらめきと痛みを知った。
思いをひた隠しにしながら、小さな希望すらも打ち砕かれる人生。仮面の下、翔太郎はずっと女の子になりたかった。
そして最後の章、24年後の春に優しく温かい秘密が明かられる。
自分の意図とは関係なく、生まれた時の性と本当の性が一致しない苦しみというのは、そうじゃない人間からし