塩田武士のレビュー一覧

  • 盤上に散る

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    塩田武士『盤上に散る』講談社文庫。

    主人公が訳あって忽然と姿を消した将棋の真剣師・林鋭生をひたすら捜すというストーリーの創作小説。

    前半は確かに面白いのだが、なかなか真相に近付かない平坦な展開にイライラする。『真剣師』が登場するというので期待したのだが、将棋の世界に於ける勝負の厳しさやスリルといったものは殆んど描かれていない。

    『真剣師』というと団鬼六の『真剣師 小池重明』というノンフィクションや夢枕獏の『風果つる街』といった創作小説の傑作を思い出すのだが……

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    2019年02月04日
  • 崩壊

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    関西の市議会議長殺人事件をきっかけに浮かび上がる、80年代バブル経済に呑み込まれた人々とその子どもたち。ある家族の崩壊と殺人事件を通して、時代に翻弄された人間を鋭く描く刑事小説。
    グリコ森永事件を舞台にしたミステリー小説「罪の声」が話題の作者だが、初期作品である本書はまだまだ文体が固い。登場人物たちの沢山のエピソードを詰め込みすぎて、途中から誰の出来事だったのかが分からなくなってしまう。枝葉を剃ることができたら傑作になったと思う。

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    2018年11月08日
  • 拳に聞け!

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     3cm×15cmほどの新聞広告に心が揺らいだ。本屋に行くと、探すまでもなく平台にサイン本が置かれていた。
     チャンピオンを目指す若いボクサーがいる。周りを囲む人々は、各々に「湿った人生」を抱えている。若いボクサーが一段ごと階段を上がるたびに、周りの人々も湿った人生を一つづつ、しばいていく。夢をしばきあげるために、主人公が、スポットライトの中に飛び出していく光景が目に浮かぶ。よし、俺も走り出すか!

     サイン本には『湿った人生しばいたれ!!』と書かれていました。

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    2018年08月25日
  • 拳に聞け!

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    著者初読み。大阪の貧乏ボクシングジムを舞台に青年ボクサーの成長とうらぶれた中年の再生を描くスポ根人情もの。題材のボクシングを差し置き、パンチの代わりにこれでもか!とボケとツッコミの応酬を繰り広げる登場人物たちだが、その所為で肝心の物語はかなり大味で予定調和。しかし、クライマックスに待ち構える因縁試合のカタルシスには思わず胸が熱くなった。未読ながら「罪の声」の硬派なイメージとは大凡結び付かない作風に驚くばかり。作中で少年隊の楽曲「湾岸スキーヤー」をしつこくいじり倒すシーンはさすがに笑ってしまった。(^ ^)

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    2018年08月09日
  • 拳に聞け!

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    何より塩田さんの作品の醍醐味はリズム。
    関西弁のつらつらと音になって耳から入ってくるかのようなリズム。迫真のボクシングシーンは文章を読んでるとは思えないほどジャブ、フック、アッパーがリズミカルに繰り出される絵が浮かぶ。そして何より。登場人物の造形が新喜劇みたいに愛すべきキャラクターで活き活き動いてくる。そして最後はいつも予定調和でなくじんわりじんわり心が温かくなる。読んで楽しい一冊です。

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    2018年07月31日
  • 拳に聞け!

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    塩田武士『拳に聞け!』双葉文庫。

    はっきり言って、つまらない。百田尚樹の傑作ボクシング小説『ボックス』の足元にも及ばない。この作品の前に読んだ『罪の声』が非常に良かっただけに残念。

    芸人を諦め、便利屋でアルバイトをしていた池上省吾はひょんなことから貧乏ボクシングジムと関わるが……

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    2018年07月19日
  • 女神のタクト

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    表紙を見ると女性指揮者の話かと思うんだけど、実はオーケストラのスタッフが主人公の話。
    新鮮ですね。
    実際にオーケストラとかコンサートに出たことのある人は、とても愉しめるかも。
    あと、実際に裏方さんやっている人にもお勧め。

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    2018年03月17日
  • 罪の声 昭和最大の未解決事件(1)

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    ネタバレ

    グリコ・森永事件ってほんとにあった事件なんだ。。知らなかった。
    内容にリアリティがあるから、大人向け漫画として引き続き読みたいと思う。

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    2017年10月01日
  • 雪の香り

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    12年前に突如として姿を消した恋人。新聞記者になった私に、警察が彼女を追っているとの情報が入る。京都の四季を背景に描かれる青春の日々が甘酸っぱい純愛ミステリー。
    ヒロイン・雪乃のキャラクターが印象的である。その個性故に好き嫌いが極端に分かれ、作品の評価にもつながりそうだ。二人の会話のテンポが関西人らしく、ボケとツッコミも的確で微笑ましい。解説の尾関さんの雪乃は満島ひかりに私も賛成。

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    2017年09月27日
  • 雪の香り

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    素性を隠した女性に恋した大学生。何も言わずに姿を消した女性に12年振りに再会した時、彼は新聞記者になっており、彼女は警察に追われていた。
    粗筋としてはとても面白いのだけれど、いかんせん、ヒロインとなる女性の言動がエキセントリックで、男性がどうしてここまで惹かれるのか共感し辛く、話に入り込むのに時間がかかった。

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    2017年09月11日
  • 崩壊

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    何となくタイトルに惹かれ読んでみたが、今ひとつスッキリしない警察小説だった。

    波山暑の刑事・本宮は捜査一課の女性若手刑事・平原優子とコンビを組み、市議会議員の殺人事件を捜査するが…

    捜査の過程で次々と繋がりが明らかになる人間関係。本宮自身もその輪の中に巻き込まれるというのはする都合が良すぎるかな。

    バブル前後の天国と地獄、家族崩壊と殺人事件。メインの材料は揃い、様々な調味料を使ったが、味が決まらなかった、という感じの作品だった。

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    2016年05月06日
  • 女神のタクト

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    本当に主人公が凶暴(笑)しかし、料理上手だし、うらやましい。主人公の過去がわかった時には涙していた。女神だけど、やわやわな女神じゃない。力強い女神。出てきた音楽を聴いてみたくなった。

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    2016年01月22日
  • 女神のタクト

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    「女、三十にして全てを失った。」でも、ちょっと楽しい。旅で出会った老人に頼まれ、報酬欲しさに京都へ。瀕死のオーケストラをなんとかするため演奏会に向け突っ走る。マエストロ、ブロッコリー、松浦さん他…皆キャラも濃く楽しく読めた。何もかも失ったアラサーの行動力はすごい!ちょっと、羨ましい(笑)先が読める展開だけど、テンポがよく、音楽が好きな人達が、音楽に向き合っていく姿がいい。出てきた曲聞いてみたくなった。

    「女、三十にして全てを失った。」

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    2016年01月23日
  • 崩壊

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    題名の通り、バブルの崩壊、家族の崩壊が、様々な事象に影響し、登場人物もそれぞれに痛みや悲しみを抱えている。
    しかも、あちこちの場面で氷雨ともいえる雨が降っており、「色で言えば、グレーだ。」と解説でも書いてある通りの作品。
    陰鬱と言っていいほどの物語の中で、唯一救いと言えるのが、捜査一課の若手美人刑事・平原優子(勿論彼女も重い過去を抱えているが)の存在か。
    ベテラン刑事本宮とのコンビは、乃南アサ著『凍える牙』以来の名コンビ「音道貴子と滝沢刑事」を、連想してしまった。
    平原・本宮コンビも、シリーズ化があるのだろうか。

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    2015年12月14日
  • 女神のタクト

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    読んでからしばらくは設定がめちゃくちゃだなーって思ってたけど最後は涙止まらなかった。やっぱり最後は電車で読めず、家で読んだ笑

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    2014年11月21日