塩田武士のレビュー一覧
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ネタバレ元芸人で今は便利屋バイトの省吾は、ボクシングジムの立ち退き仕事をきっかけに、ボクサー親子とともに日本タイトルの夢を追いかけることになる。他人の夢に一喜一憂するうちに、捨てたはずの自分の夢にも再び火が灯っていく――。
読みやすく肩のこらない文章で、隙あらば差し込まれるコメディシーンはカット割りやせりふ回しまで脳裏に浮かぶようだった(貞次郎はマキタスポーツのイメージ)。
主人公はあくまで新田ジムを立ち退かせようとしていた省吾。いわば部外者なのに、なんとなくずるずると関係者になっていく様子がユーモラスだった。
個人的には、さびれたジムを背負って闘う若きボクサー・勇気にもっとスポットを当てて、そ -
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ネタバレ「ギン萬事件」ー製菓会社の社長誘拐・毒入り菓子ばら撒きという社会的な大事件。
事件の関係者の可能性があるテイラーの曽根と、事件を追うことになったジャーナリストの阿久津が、真相解明のために奔走するというお話。
正直、作中の株関連の話は自分が疎すぎてあまりよく理解できなかったものの、少しずつ事件の真相に近づいていく過程が面白く、後半は一気に読んでしまった。
実際の事件が元になっているということもあってか、内容がとても濃密。
そして、「ギン萬事件」によって生島家の子ども二人の人生がぶち壊されたという切ない結末。
自分の声を使われたという同じ立場なのに、人生をぶち壊された生島家の二人と、何不自由ない -
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辻珠緒。
関わった人間の証言を読み進めるも、捉え所のないよく分からない人物としての印象が強くなっていく。
この女は一体、何者なのか?なぜ失踪したのか?それが気になってほぼ、一気読みに近かった。
そして浮かび上がってくる様々な角度から見た、珠緒の表情と過去の因縁。
因縁は、珠緒だけに限らずその母、さらにその母をも時代とともに巻き込み、飲み込んでいたとは。。。
時代とは時に残酷であると感じた。
そうしたくなくても、そうしないと生きていけない時代の中で抑圧され必死に耐える。。。今の時代もそうであるが、女性はいざと言う時の職をやはり持っておくべきた。
この本を手に取ったのは舞台になっている芦原温 -
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グリコ・森永事件を題材にしたフィクション…ようやく読むことができました。
京都でテーラーを営む曽根俊也が、母の部屋から偶然古いカセットテープを見つけたことがことの発端…再生してみると、自身の子供の時の声が録音されていた。よく聴いてみると、それはかつて“ギン萬事件”で犯人が使用した音声と同じものだった。また、大日新聞の記者である阿久津英士も、かつての未解決事件を取材することになり…。
そうそう、“どくいり きけん たべたら しぬで”とか、当時ちょっと流行ったなぁ…。お菓子がフィルムで包装されて売られるようになったのもこの時期だった。ジュースの自販で、当たりを引いてもう一本もらえたのに、 -
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吉川英治文学新人賞受賞作
短編連作の5つの物語から構成されていますが、正直読みにくい。
内容がうまく入ってきませんでした(笑)
■黒い依頼
ひき逃げ事件をめぐる報道。誤報?
その裏には虚報が..
そこには、フェイクニュースを作り出すサイトの存在。
今では生成AI含めてフェイクがネットではあふれいますよね。やっぱりマスゴミなのかなぁ
■共犯者
過去の誤報。
それが一人の人生を狂わせる。誤報は怖いですよね。
■ゼロの影
報道されない盗撮事件。その裏側にあったものとは?
これは深い。
■Dの微笑
今度はテレビのやらせ。
同じ人物がインタビューに答えていることが描かれていますが、これ、実際にS