塩田武士のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「女性になりたい」という強い思いを胸に、自分の人生を切り開いていく主人公の壮絶な歩みが描かれた物語。苦しくもどこか美しさを感じる作品だった。
「ひとりだけ違う世界に住んでいる。ミラーハウスという名の反転な世界に。」という一文が心に残る。周囲と同じ場所にいながら、どこか違う世界にいるような孤独が伝わってきた。
辛い過去や心ない人との出会いもあったが、周囲の人に恵まれていたことに救われる思いがした。そして真壁くんが初恋の人だったことも、温かく感じられる。
プロローグとエピローグが見事にリンクし、読み終えたあと、思わずプロローグを読み返したくなるような胸に残るラスト。波瀾万丈の人生だったが、これからの彼女の人生をそっと応援したい気持ちで本を閉じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物が多くて最初は少し混乱しましたけど、読み進めるうちに自然と整理が出来ていくのは、きっとキャラの書き分けが秀逸だからでしょう。
逆に言えば、それだけ個性的なキャラが乱立しているのですけど、そこにわざとらしさがなく、大袈裟にも感じないのは、出版業界という特殊な舞台による先入観から、実際には知らなくてもそうなんだろうなぁと受け入れてしまうからでしょう。
終始、臨場感とか不条理とか、やるせなさ、熱量、策略、打算…といった、あらゆる「現場」ならではの息遣いやライブ感が伝わってくる物語です。
出版業界のリアルな苦境や、混沌とした展望なども垣間見ることが出来、こうして本を手にすることのありがたさと共に、その裏で起きている複雑なシステムについつい思いを馳せてしまいました。
エピローグがなくても、なかなか味わい深いオープンエンドとも受け取れる結末でした。
しかし、長めのエピローグで物語の風味は一変します。
ここからややネタバレになりますが、エピローグの前半では胸スカの勧善懲悪の展開があり、後半では速水の過去にフォーカスされ、タイトルの深い意味が回収されます。
やはり、このエピローグがあることにより、この作品の素晴らしさが際立つと思います。 -
Posted by ブクログ
いやー、面白かった!!!
警察小説好きなのでこういうの大好物
犯人は割と序盤に判明していて
大きな何かがやってくるわけではないのですが...
複雑に絡まった糸を少しずつ解いていく
感じがとても良かった。ラストにわかる動機も。
タイトルの「崩壊」。
何かが崩れる時って本当に一瞬で...
すごく小さな綻びも後に大きなものに
影響を与えることってよくあることだよね。
お金、人間関係、信頼、、
一瞬で崩壊してしまう恐ろしさにぞっとします。
あとは本宮と優子のペアも良かったな..!
唯一作中で癒されるペアだったかもしれない。
王道って感じの警察小説はやっぱり良い
すき!!!!!! -
ネタバレ 購入済み
今だからこそ読んでほしい作品
これは本当に多くの人に読んでほしい作品。
プロローグの言葉が強すぎて序盤で挫折しかけましたが、そこを乗り越えたらあとはぐんぐん読まされました。
SNSがテーマの作品なので、きっと多くの方に刺さるはず。
実際私も、SNS黎明期の頃にSNSがどういうものかをきちんと理解できておらず、人を傷つける使い方をしてしまったことがあります。ものすごく反省したし、事が起こってはじめてSNSの危うさを学び、もう2度と同じことはするまいと誓いました。
ですが、記憶というのはどうしても風化するものです。劇中で主人公の久代さんが懸念しているように、喉元過ぎれば痛みは薄れ、また同じことを繰り返してしまうということは、実際あると思います。私も何度か同じ轍を踏みかけました。
気軽に発言ができてしまいますが、そこが世界という大舞台であり何億人という人々の視線が自身に向いているんだという事を常に心に留め置かねばいけません。誰だって人前で立つのは緊張するものです。そういう緊張感を持ってSNSに向かい合うべきだと改めて深く心に刻みました。
気づきと教訓を与えてくれる点では素晴らしい作品ですが、裁判以降の美月のエピソードがちょっと冗長だった印象。壮絶な過去でしたが、前半のSNSへの教訓でめちゃくちゃ釘が刺さったので、そこで切り上げても良かったかなぁと。でも瀬尾と美月と天童の関係性が紐解かれる様はドラマティックでよかったです。ヒューマンドラマとしてすごく密度が高く、読み応えがありました。
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Posted by ブクログ
轢き逃げ事件の犯行車両が被害者宅に……というスクープを取った新聞記者の物語が第一話。
まるで誤報と虚報をテーマにした5話の短編集、連続短編のように描かれていたが、数多の点が絶妙に繋がっては途切れ、途切れては繋がるような感覚を覚えて、全てを一つの物語と勘違いしたまま読み終えてしまった!
それほどに、たった150ページの中に多くの人物、誤報事件、虚報事案が発生する。
人や媒体を信頼することと、情報を信頼することの違い、そして人も自分も情報をどのように得て受けられるのか。
「歪んだ波紋」は、決して作中の苦悶する記者たちだけではなく、自分のような他業種、一般的人間の判断力が問われる罠のようなものなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
2016年第7回山田風太郎賞受賞、同年「週刊文春」ミステリーベスト10 国内部門第1位、2017年本屋大賞3位、2020年には小栗旬×星野源で映画化される。現在NetflixとU-NEXTで配信中、昨夜は1章とエピローグを残してU-NEXTで映画鑑賞。そのあと残りの91ページを読み終えてレビューをする。
罪の声とは35年前、企業事件の揺動に関わった子供たちの声のこと、テープの存在を偶然知った当時の加害者でもあり、被害者の曽根俊也が過去の事件を追う記者とその全貌をあばくお話。事件に関わった3人の子供のそれぞれの人生はやり直せないが、ラストには前向きに生きる希望を与えてくれる。イヤミスではない読後感。 -
Posted by ブクログ
読み応えのある本でした。ちょっと難しそうかなと思って読みはじめましたが、展開が面白くドラマのようにさくさく読めました。
特にp.160-161の所が印象に残りました。安くて手軽で時間潰しばかりに時間を使ってしまっていると、自分の生活を反省しました。昔は一日中本を読んでいられたのに、今は読んでいてもついついスマホに手が伸び、分からない単語を調べようと思っただけでも、そこからSNSを開いてしまったり…
これからはスマホ依存から脱することが豊かな人生に繋がるのかと考えたり、何も考えずに生活してしまっていたなと、この本を通して色々と考えさせられました。
最後の解説で大泉洋さんを元に小説が作られたと知り、びっくりしました。読み終わった後に知ると、速水さんと大泉洋さんはどうしても重ならなかったです(笑)
実写化されたと思っていたので、どうして章毎に大泉洋さんが出てくるの?と疑問に思っていたので、それも最後に回収できてよかったです。