塩田武士のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者の言葉遣いが知的で美しく、景色や人物の表情、雰囲気がよく伝わってくるような文章であった。どの頁も大切な場面であるところが特に良かった。驚くような伏線や予想外の展開があるわけではないが、現代社会における問題を鋭く提起しており的確、かつ自分事として捉えることのできる内容で現実的な点も良かった。
著者は研究者気質あるいは観察力のある方ではないかと思う。思想の偏りはないが、自分の意見、目的のようなものをはっきりと感じられた。
SNSやマスコミを通して一部を切り取られた人間たち、そして切り取られた一部を我々がその人の全てのように見てしまう気持ち悪さ、対して、リアルに面と向かって会ったときの人間の魅力 -
Posted by ブクログ
まず、この作品が文春で連載していたということがおもしろい。
誰にでもその人の生きてきた年数分の思いがある。
それを、顔も知らない他人が、本人が目の前にいたら言えないくせに匿名性を利用して土足で踏み躙っていいのか??
どんな人にだって生活があり、周囲に大切な人がいて夢があって努力して泣いたり笑ったり困ったり悩んだり。
そんな人としてのごく当たり前の感情を、全く無関係の他人が弄んでいいのか。
SNSと無責任なネットニュース、ゴシップ記事に翻弄されて、それらに人生を大きく変えられてしまった人たち。
そして、そのゴシップに群がりネットを利用し無責任に相手の人生を破壊した人たちがこれまた -
Posted by ブクログ
最近気になっている塩田武士さんの最新作。
冒頭の「宣戦布告」の文章に引き込まれる。激しい口調で書かれているんだけど、たしかにそうだな、と思わせられる。
「匿名性」の世界で、「正義感」を盾に誹謗中傷をする。相手を限界まで叩きのめす。いつからこんな歪んだ世の中になったんだろう。
「誰かが死ななきゃ分かんないの?」
許されない社会って怖いし、物事の一面だけを見て、すべてわかった風に糾弾することの怖さ。でも本人はそれを正しさだと思っている。
「ほっといてほしい」は本当に心からの声だと思った。SNSって便利かもしれない。誰かを救っているかもしれない。でも、誰かを傷つけ、心を殺しているかもしれない。そうい -
Posted by ブクログ
昭和最大のミステリー、グリコ・森永事件。あの「子どもの声」に着想を得て、ここまで重厚な人間ドラマを構築した著者の想像力と緻密な取材力に、ただただ脱帽した。
本作が描くのは、単なる謎解きではない。「親ガチャ」という言葉では片付けられないほど残酷な、家庭環境が人生を決定づけてしまう理不尽さだ。犯罪に加担させられたとも知らず、平穏に生きてきた者。一方で、その「声」によって人生を徹底的に破壊された者。その対比があまりに鋭く、胸を締め付けられる。
また、メディアの存在意義についても深く考えさせられた。「声なき人々の声を拾い上げる」こと。それは、情報の海の中で真実が埋もれ、無き者にされるのを防ぐ唯一の