塩田武士のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
これは映画化されるねと思ったらもうすでになっていた(公開は2027だけど)
この誘拐されたいた3年間が一番の謎で読み進んでいったんだけど、そういうことだったのね。
ちょっと「八日目の蝉」テイストを感じた。
内藤亮にとってはこの3年間は疑似家族だけど、今まで経験したことのない暖かくて幸せな時間だったんだね。
その生活を応援してくれた画廊オーナーの岸朔之介や北海道の不動産の人の支えがあったからこそ。
写実画家の野本貴彦と優実は実の父親、母親以上に亮にとっても父と母だった。
最後に木島家に連れ戻す別れのシーンは涙なくしては読めなかったよ。
でも、この2児同時誘拐事件を執念で追った中澤刑事と新聞記者の門田には頭が下がる。
でも、だからこそこの尊い真実に辿りついたんだね。 -
Posted by ブクログ
PP(パーフェクトポエマー)YASUSHIの新作「ゲット さてぃすふぁくしょん」は秀逸
笑いを堪えるために、俺は剣山で皮膚を痛め付けたっ!
以下、本文を抜粋
予はマンゾクじゃ
見つめられたらゾクゾクじゃ
はしゃいだおいらはテイゾクじゃ
予はボウソウゾクじゃ
仲間の絆をセツゾクじゃ
カゾクが連なりミンゾクじゃ
予はカイゾクじゃ
平日はキゾクじゃ
どちらもキキンゾクが好きじゃ
世の中みんな
ゲット さてぃすふぁくしょん
中山明正財政部長は執行委員の中で一番真面目に考えている
発言を求められただけで固まる武井とは次元が異なるっ!
ニャー吾郎だょ
武井の心中を察する気がないのか、遥は邪気なく繰り返す
彼女がちょっと○ホに見えたっ!
君たちは金をくれと言い、増収策はダメだと言い一体どういうつもりなんだっ! 文句ばかりだなっ!
朝比奈労担はキレかかったヨ
奥さん、イッちゃうの?
イクぅ~
スーパー迫田の店長は川島冴子の父という衝撃っ! -
Posted by ブクログ
ネタバレついに読み終わった…。すごく長い時間がかかった…。
2児同時誘拐事件から始まる同作。最初の警察と犯人グループのやり取りは手に汗握った。茂が無事に身代金を目的地に置けたと思いきや、忘れ物として警察に届けられた時はものすごい絶望した。
そこからずっと語り部は警察側なのかと思いきや、野本貴彦や野本優美に変化していく。
特に野本優美視点の話は本当につらかった。別れを告げるシーン、別れのシーンは胸が張り裂けそうで、自然と涙があふれた。血のつながりはなくとも、3人は紛れもなく本当の家族だったから。
亮と里穂が再び出会えたのは嬉しかったけど、それよりも何よりも貴彦と優美がもう『2人』では生きていけなかったことが悲しかった。
優美は亮と再会できたようだけど、貴彦は…。貴彦はどこに行ってしまったのだろう。
願わくば3人でまた再会してほしいけど、もう貴彦と優美は元の関係に戻れないのかもしれない。
心がポキリと折れて、どこかへ行ってしまったのだろうけど、死んではないと思う。それこそ、作品を通して再会してほしい。互いの写実画を、『存在のすべてを』知っているのだから、きっと2人は再会できると私は思う。 -
Posted by ブクログ
女の子になりたい男の子の話
片思いの男の子に想いを寄せる小学生から性転換手術を経て三十代までの話
前半、大好きな男の子への想いはもう女のコ。
マンガを見ているような胸キュンだけど、自身の性に悩み、そしその後はいじめにあったりする。辛い。
成長するにつれ自分を誤魔化すこともできず、父親にも理解されず、家を出る⋯。
前半は心と身体の成長期と、
後半は「女になりたい」為に懸命に足掻く様子が中心となる。
昔はホモとかオカマとかオネェとかニューハーフとか呼ばれて、偏見が付きまとい理解されなかったり、家族から受け入れられなかったり、想像以上に辛いんだと思う。
テレビの中の人くらいしか知らないので、こういう本を読んで、どういう風に手術したのかまで知れて、よかったと思う。
そして⋯最後の明かされる真実。
ずっと見守られていた。
男という仮面を無理に引きはがそうとして、心に血を流して生きてきた。でも優しい人たちによって支えられていた。
凍てついて、唯一、温もりによってのみ溶ける氷の仮面。
その仮面がはずれる時に初恋の真壁くんがそばにいてよかった。
-
Posted by ブクログ
講談社文庫創刊55周年!の企画
550円「STORY IN POCKET」
5月の刊行本。
550円というお値段と
初読み作家さん
“入門、作家さんとの出会いに”
という 書店のポップを見て手に取る。
いつか読んでみたいと思っていた作家さん
4篇の短編集
『小さい上司』 『仮縫い』
ライトで少しニヤニヤしながら
だけど、最後はほんわか、じんわり
自分はまだまだなんだと思い
成長する主人公たちに共感
『鈍い火』
50ページちょっとの短編だけど
読みごたえあり、
終始不穏で少しの恐怖を感じつつ没入できた
最後の表題作の 『起点』
わずか8ページの短編
著者の 塩田武士さんご自身の50年後の未来。
孫が訪ねてきて、おじいちゃんである作家塩田さんを取材するという構成。
AIの進化ですごい事になってる50年後
「とにかく現場に行け、人に会いまくれ 会って話を聞け」と孫に言う塩田おじいちゃん。
すでにAIがあふれていている今
人に会わなくてもなんとかなっていて
便利でもあるんだけど
今にも通じる苦言にも聴こえた。
塩田さんの長編
『罪の声』『踊りつかれて』読んでみようと思う。
-
Posted by ブクログ
実在の「グリコ森永事件」をモチーフにした社会派サスペンス小説。
「実際も本当にこうだったんじゃないの…?」と思わせてくる文章の説得力に脱帽。これが途方もない資料やリサーチの賜物だと思うと、作者の執念のようなものを感じる。
おもしろいと一言で表現するのが憚られるような作品。
もちろん小説として楽しんだんだけど、ひとつの事件にあまりにもたくさんの人生が狂わされていて呆然としてしまう。被害者・加害者だけにとどまらず、その家族や友人、関わったすべての人たちまで否応なしに巻き込まれ、人生に影が落ちる。
世の中にとっては「一未解決事件」だけど、関わった人はそれを一生背負っていく。誰にも吐き出すことができず、重荷を降ろすことができない。
なんとなく過ぎていく日々のニュースにも、「この事件のせいで」と悲しんでいる人がいるんだと気づかされた。
惜しむらくは映画を先に見てしまったこと。
経済分野に特別苦手意識があって株価操作の話がいまいち入ってこず、「映画なら簡潔にまとめられてるだろうから、さわりだけ見よう」と見始めた。そしたらあれよあれよという間に夜更かしして最後まで見てしまった。それだけ映画がすばらしかったということなんだけど、小説を読んでいても小栗旬と星野源で再生されてしまったのが少し残念。
でも、映画には映画のよさ。小説には小説のよさがある。そんな作品でした。
信頼の野木亜紀子脚本なのでおすすめ。