塩田武士のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレレビューとして問題があると思うで、ネタばれにしています。
その問題は、自分の感性の問題なのか、はじめて合わない作家に触れたのかが、まだ検討がつきません。
まず、四作のうち、「仮縫い」以外は読みました
小さい上司は、読み出した時には、カネ使っちゃったよ、という後悔を少し抱きながら、読み終えるとキレイなカタルシスがあり、カネ払わなきゃ読み切れなかったから、買って良かったなぁと思えました、面白かったんですよ
鈍い火も面白かったです ちょっと生理的に苦手な感じのする主人公のおかげで、作品へ意識を注げて、ああ面白い短編だったなぁと有料の水準の小説を読んだ快感がありました
その次に、「仮縫い」を読もうとしたのですが、上の世代の人の同世代や先輩後輩に対する、越えてはいけない他人の敷地の垣根を思わせる意識の壁を取り払ってしまった世代なので、私の感性から来る造語ですが、ねめじい他者への視線や思いへ共感できそうになくて、カタルシスを拾えそうにないので、写真の出てきたあたりで止めました、もう少し人生経験を積めれば、楽しめると思います。
そして、問題なのが、「起点」です
この8pの短編が、私に、はじめての小説体験をもたらしました、読んでいて、「これではいけませんよ」って誰か編集者とか言ってくれなかったのかと疑問を抱いて読みました
それでもレビューで星を五つにしたのは、小さい上司と鈍い火が面白いからで、一度に、同時に「小さい上司」「鈍い火」「起点」「仮縫い」を並行しながら読むことなんて出来ないので、点数を平均化する意味はなくて、星五つだって言える作品が一つでも入っているなら、それは星五つで良いと思っています
それで、「起点」を読んだこの感覚って何だろうと感じたことを振り返っていました、つまらなくてはありません、つまらないは、何の感情や興奮を抱かせなくとも、見続けさせる読み続けさせる人目を引く質がある、という価値だと思っています、けれども、ただ読んだ感覚が無いような、手触りのない感じだけ残っています、それはストレスを強く感じている時に、ファストフードを食べて、ただただ温かいとしか味わえないような感じがします
そして、困ったことに、書き手の情念のような意志を感じた作品が、この短編の他の2作と比べると、「起点」が一番に強かったのです、それはSNSで男はカス女はクソと異性をけなして、決して異性を認めない強い意志のような硬さを感じました
だから、奥付を見て、新聞で発表された作品だと知り、それが、自分の感性の起源を探るためのヒントとなると思い、作品が世に出た経緯を想像をしました
まず、短編集として、三作品で179pより、四作品で189pの方が、満足感が高そうです、それで収録されていることに納得はいきました
では、どうして新聞は、「起点」を載せようとしたのかと考えました
ここから、いよいよ困っていきました
多くの名作があり、SF作品の中で培われた近未来の描写が、先例として活用されていないのはなぜだろう、たぶん短い文章で、まして広く新聞で読んでもらうには、インチキなSFの文章は、いつもの新聞を読む時には、相手にもされないでしょう
次に、どうして「起点」の中身が出来上がったのかと考えました
新聞社に、こういうの書いてと発注されたのか、喫茶店で話していて、盛り上がった内容をこれでいきますって書いたのか
つまり、「拙さ」を感じてしまう部分が、そのまま出ていることへの違和感がスゴイ強かったのですよ
じゃあ、あえて「拙さ」を出した小説もあるという話を聞いたことがあります、その目的は何でだろうと、困ったことに、考えてばかりになっていました
つきはなして考えれば、SNSは素人ばかりで、カネをもらって書いているプロの文章ほど内容も文章も練らないバズりの勢いに任せたフェイクニュースと誹謗中傷と呼ぶには中身のない罵詈雑言で、新聞は凄いんだよ、なんでかって、会って取材してっから、って内容なのかなぁと考えもしたのですが、それでは、「拙さ」を感じてしまう自分の感性と矛盾します
むしろ、新聞の取材なんて、テレビも一括りのオールドメディアで「起点」の内容を恥ずかしげもなく、事件の当事者が自分で発信できる令和になっているのに、取材してってから、なんて胸を張っても、拙いことしか出来ていない、という内容を、「拙さ」を強調することで、新聞への慇懃無礼な文章を載せさせる、という目的なのかとも考えましたが、そこまで、ろくでもない作家ではないでしょう。
だから、尚更、困ってしまっていて、その困っていることを記録するために、このレビューを書きました。
いつか、自分の感性が整えられればなぁと思いました -
Posted by ブクログ
さえない中年のオッさんについての短編集。第2話の「鈍い火」が好き。永久保存版として売られないことが決まった。これは割と栄誉な一冊である。
第1話 啓太は広報課の新人だった。小山田という小狡いおっさんが係長。ピントは外れているわ、ケチだわ、妙な嘘つくわと困った人だが、病気の家族の面倒を見る優しい一面もあると知る。
第2話 育郎は育ちすぎてデブである。ベスパで移動している。今日は業務上過失致死の判決を聞いて記事を書く。執行猶予がつくかどうかが焦点だ。ただ裁判の場で知ったのは、引かれた子供が育郎の知合いの子供だったということだ。
第3話 若かりし僕たちのマドンナ、高木由美子とリンネンが結婚したらしい。僕は高校教師で子供が2人いる。
第4話 近未来の話。塩田武士が孫に取材されている。 -
Posted by ブクログ
文庫550円シリーズ。
薄い本だけど、550円以上に楽しめました。
短編なので合間にも読みやすい。
一番、塩田さんらしい作品だなと思ったのは『鈍い火』かな。だんだん嫌な展開に進んでいくけど、後を引かない終わりかたなので、イヤミスみたいにならなくて良かった。
『仮縫い』は冴えなかったはずの旧友の結婚話から主人公も再生していく物語。
『小さい上司』は何か笑えるダメ上司。"小山田"ってネーミングもいい。
↑ここまでは40歳代の冴えない登場人物が活躍している物語。作者自身も40代なので、自身の経験と照らし合わせているのかな~と思った。
『起点』だけは未来設定。
罪の声(2016年出版)から50年後、孫にあたる大学生が祖父(作者)に取材にきた設定の会話。 -
Posted by ブクログ
塩田さんの作品はとても好きです。過激な描写がなく真摯で品の良さを感じます。
所々で、マスメディアへの不信や警告みたいなものを感じるのですが、最後の書評を読んで凄く納得しました。
小説は正義と不正義の狭間にあるものをすくいあげ寄り添う事の出来る数少ない媒体であり、作者は、危うくて弱いけれど個人の尊厳を手放そうとしない個人の姿を書いていくだろうとありました。
長い序章の先にある、ラストの風景はとても美しくすぐにでも雪の舞い降りる朱色の橋に立ってみたいと思いました。
しかし、車から降り立った咲子さんの発する言葉を聞きたかったと思った私は、次の章があるのを期待していました。
珠緒さんの穏やかな行先が描かれている事も。
再読してよかったです。
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匿名
購入済み現代のSNSの問題を直接的に描いていて、考えされられる作品だった。
SNSやってる奴はとりあえず読んだ方がいい。
でも、それで終わらず物語としても面白かったし、綺麗にまとまっていたと思う。 -
Posted by ブクログ
塩田さん初作品。
怖!ジャーナリズムの世界怖!情報社会怖!!となる作品でした。
登場人物が皆ジャーナリズムの世界に関係している人達の連作短編集。
作中では虚報について深く掘り下げられていて、締切やプレッシャーにより真実でない記事を出したり、誰かを貶めるために意図的にフェイクニュースを流したりする恐ろしい展開があります。
フェイクニュースが作られていく過程•何故フェイクニュースが作られてしまうのかが、事細かく説明されていて、末恐ろしい情報社会になってしまったと実感しました。
普段何気なく目にしているネットニュースやtvのワイドショーについても、無意識に信じ込んでしまわないように、自分の中で軸を持っておこうと思いました。
熟練の新聞記者ですら同業者に騙されているので、この人とこの人は繋がってるの?!もう何を信じたらいいの?!と混乱しまくりでした笑
新潟出張で読んだ思い出の作品! -
Posted by ブクログ
ネタバレ挫折した男たちの再起の物語。
人間関係が上手くなく、左遷に近い人事異動をくらった新聞記者。
生まれも育ちも不遇で、将棋だけが残された男。
そんな二人が出会ってもう一度前を向いてもがく。
新聞記者を将棋未経験者としたことで、読者が将棋を知らなくても読める様にしたのは親切。
将棋を通して描く人間模様こそが主題なので、安心して手にとって欲しい。将棋を知っていると輪をかけて面白いのはあると思いますが。
将棋にすがって生きてきた男の生き様は確かに不遇であるが、場面々々で手を差しのべる人がいたのはほんの少しの幸運だったなぁ。そのほんの少しの幸運が後に大きくなって帰ってくるとは。
秋葉にとっては大きな失望となってしまいましたが。でも、やっぱり春が来そうで良かった。
まさか、あの2人がそんな関係だったとは。それも含めていい読後感。
続編なのか、スピンオフなのかもある様なので楽しみです。
序盤の女流二人が対峙した場面、面白かったなぁ
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Posted by ブクログ
新鮮!臨場感、半端なし!
塩田武士さんによる大泉洋あてがき小説。
映画やドラマを見ているように、小説を読み進める愉しみを発見!
ダヴィンチの企画が発端で、
最初の目論見通り映画化も実現。
映画の原作ではなくて、
あくまでも、あてがき小説。
「存在のすべてを」よりも
私はこちら推し!
出版界の抱える問題を浮き彫りにしつつ、
会社という大きな組織での
裏切り、確執を描く。
主人公の速水=大泉洋が
とにかく魅力的で引き込まれる。
他の登場人物達も個性的で
どこか憎めない。
速水の行く末を
応援。ドキドキしながら読み進めていく。6章の会議のシーンの緊張感たるや!そして、最後そうきたか!と思った後明かされるアナザーストーリー的な速水の過去。情景が美しく浮かぶラストシーン。
うおー! 良かったなあー!
社会派小説好きも
ヒューマンドラマ好きも
大泉洋好きも
大満足の作品のはず。
はい、次の小説読も、って
なれない。これは良い作品の証。
まさに、今日は次には行けません!