塩田武士のレビュー一覧

  • 踊りつかれて

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    ネタバレ

    最初は、ネットの誹謗中傷に一石を投じる物語だと思っていた。
    けれど読み終えて残ったのは、誰が加害者で、誰が被害者なのかを簡単には決められない、視点の揺らぎだった。

    瀬尾が個人情報を晒した83人は、美月や天堂を苦しめた加害者だった。けれど同時に、その83人もまた、それぞれの人生を持つひとりの人間だ。
    復讐は許されるのか。もちろん、簡単に許されるものではない。
    それでも「許せない」と断じるだけでは、この物語の核には届かない。

    ネットで流れてくる断片的な情報を鵜呑みにし、誰かに貼られたラベルをそのまま信じてしまう。
    自分の目で見たものではないのに、知った気になり、いつの間にかそれを自分の意見のよ

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    2026年04月27日
  • 存在のすべてを

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    序盤のハラハラする展開から、中盤は少しテンポを落としたように感じてしまうが、終盤に向けて「空白の3年間」の濃密さが際立つ内容でエンディングもよかったなあ。
    写実画家の存在が重要なポイントとなっており、この小説も事件に関係する存在のすべてを写実画家のように緻密に書き切られ、心が震えるような作品だった。
    写実絵画というものを実際に生で観たくなった。

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    2026年04月26日
  • 踊りつかれて

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    audibleにて。途中まで「なんかずっと拗らせおじさんの自語り聞いてるみたいでしんどいなあ」とうっすら思ってたんだけど、途中からただただエモかった。メルヘンおじさん満足です。現代のネット社会の歪みみたいな題材を扱ってる作品はとても多いけど、それだけで読まないのはもったいない作品だなと感じた。

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    2026年04月26日
  • 踊りつかれて

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    最近気になっている塩田武士さんの最新作。
    冒頭の「宣戦布告」の文章に引き込まれる。激しい口調で書かれているんだけど、たしかにそうだな、と思わせられる。
    「匿名性」の世界で、「正義感」を盾に誹謗中傷をする。相手を限界まで叩きのめす。いつからこんな歪んだ世の中になったんだろう。
    「誰かが死ななきゃ分かんないの?」
    許されない社会って怖いし、物事の一面だけを見て、すべてわかった風に糾弾することの怖さ。でも本人はそれを正しさだと思っている。
    「ほっといてほしい」は本当に心からの声だと思った。SNSって便利かもしれない。誰かを救っているかもしれない。でも、誰かを傷つけ、心を殺しているかもしれない。そうい

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    2026年04月25日
  • 罪の声

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    昭和の未解決事件グリコ森永事件をモデルにしたフィクション。作者が子供の声の脅迫テープがあったことにインスピレーションを受け、テープの声の子供 俊哉と新聞記者の阿久津をW主人公で両面から事件を追い謎を解いていくという構成。実事件モデルの小説は大好物。少しずつ新証拠が見つかり真相に迫っていく過程がワクワクするし最後のメッセージも強烈で共感できる。ただのゴシップに終わらない良い小説だった。

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    2026年04月25日
  • 罪の声

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    グリコ事件をモデルにした内容で、構成がすごく面白かったです。
    純粋な子どもの犯罪への加担に対する罪の重さを、大人はもっと深く考える必要があるなと思いました。
    最後まで一気読みしましたが、最後まで面白かったです。

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    2026年04月24日
  • 存在のすべてを

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    『罪の声』の作者で、2024年本屋大賞第3位受賞という実績から、手に取った作品

    芳醇なワインを飲んだような読後感で、最初の誘拐事件のシーンは、正直少し退屈で中々ページが進まなかったけれども、誘拐事件の真相を探る展開からは、ガラッと読み易く566ページという厚さも余り気になることなく読むことができました❗️

    誘拐事件なので、共感できる人を探すのは難しいですが、唯一共感できるとしたら、野本 優美さんでしょうか⁉️

    ストーリーは中々やる瀬ない気持ちになる作品ですが、所々で描かれるガンダムネタが、ちょっと心を解してくれる社会派ミステリーです❗️

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    2026年04月23日
  • 存在のすべてを

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    装丁の細い紐は何なのだろう。
    そんな小さな引っかかりを抱えたまま、読み始めた一冊。

    4歳の少年が20代に至るまでに歩んだ、数奇な人生。
    神奈川県で同時に起きた二つの誘拐事件。ひとりはすぐに戻り、もうひとりは三年後、身ぎれいな姿で帰ってきた。その空白の時間、彼を守っていたのは誰だったのか。

    刑事ドラマとしての緊張感に加え、写実絵画を追い求める芸術家の軌跡、そして母の愛の深さが重なり合い、重厚な人間ドラマとして胸に迫ってくる。
    前半は地理的な描写の細かさに戸惑い、読み進めるのが少し苦しく感じる場面もあった。
    けれど後半、「空白の三年」が描かれてからは、一気に心を揺さぶられる。平成と令和、二つの

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    2026年04月23日
  • 罪の声

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    昭和最大のミステリー、グリコ・森永事件。あの「子どもの声」に着想を得て、ここまで重厚な人間ドラマを構築した著者の想像力と緻密な取材力に、ただただ脱帽した。

    本作が描くのは、単なる謎解きではない。「親ガチャ」という言葉では片付けられないほど残酷な、家庭環境が人生を決定づけてしまう理不尽さだ。犯罪に加担させられたとも知らず、平穏に生きてきた者。一方で、その「声」によって人生を徹底的に破壊された者。その対比があまりに鋭く、胸を締め付けられる。

    また、メディアの存在意義についても深く考えさせられた。「声なき人々の声を拾い上げる」こと。それは、情報の海の中で真実が埋もれ、無き者にされるのを防ぐ唯一の

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    2026年04月23日
  • 騙し絵の牙

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    編集長の速水からの視点で、出版業界で生き抜くさまを描いた本。速水の生い立ちは、最後にわかる。登場人物のキャラクターは比較的わかりやすく描かれており、利害関係とかに無理なところもない。タイトルはすっかり忘れたまま、最後まで読んでしまいました。

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    2026年04月20日
  • 存在のすべてを

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    誘拐事件の裏側に隠された、あまりにも深く、純粋な愛の物語。
    『八日目の蝉』とはまた違う視点で、「血縁とは何か」「愛するとはどういうことか」を突きつけてきます。

    存在のすべてを受け入れ、守り抜こうとする人々の姿に、愛の真実を見た気がします。
    胸の奥が熱くなる、至高の人間ドラマでした。

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    2026年04月19日
  • 踊りつかれて

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    読書備忘録982号。
    ★★★★。

    新年度に入って半月ほど。
    やっぱ疲れますよねぇ~。
    会社員の皆様疲れますよねぇ~。
    しかもうちの会社は組織を大幅に見直し。
    システムから業務から動かない動かない!笑

    備忘録書く気力が・・・。
    最低限の備忘だけでも・・・。

    序章。
    キタァーーーーーー!
    ネットの匿名性を利用した誹謗中傷、人格否定などなど、なんでこんな書き込みが出来るのか?その行為が相手に与える影響を想像できない輩。
    そしてピン芸人天童ショージが自殺。歌手の奥田美月は姿を消した。
    そんな輩に正義の鉄槌を下す神が現れた!
    2人に対する加害者83人のクズどもの個人情報をすべてネットに晒す宣戦布告

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    2026年04月17日
  • 存在のすべてを

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    30年前に起きた異様な児童同時誘拐事件の真相。元新聞記者の著者らしく、もどかしいほと丁寧に言葉を重ねながら事実から真実へと近付いていく様は、物事の表面のみに関心が向きがちな現代へのアンチテーゼか。記者の執念、刑事の矜持、美術界の暗部、人の縁。そして関係者たちの「沈黙」。心を揺さぶる極上のミステリ小説であり、恋愛小説であり、家族小説でした。

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    2026年04月14日
  • 存在のすべてを

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    ネタバレ

    個人的に前半は(前提条件も重要なんだけど)人物や設定が急に変わるのであまりストーリーに入り込めなかったけど、後半から一気に面白くなりサクサク読めた。
    絵画とリンクしたストーリー展開は美しく、登場人物や情景が脳裏に浮かんできて楽しかった。

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    2026年04月13日
  • 踊りつかれて

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    ネットの中傷で芸人が自殺、悪質な投稿をした83人をさらす。その人たちの一瞬の人生の変化がとにかく怖い冒頭だった。その後全員どうなったかを知りたくなる誰にでもある野次馬心…
    今SNSをやっている人は冒頭だけでも読むべきだと思ってしまう。結局こんな恐ろしい事態になっても、他に興味のひく話題があがればすぐに流れてしまう。教訓になるのは一瞬。それでも一度ネット上に投下されたものは消えないし、その後の人生も続いていく。
    被告人の瀬尾と美月、天童の繋がりがわかる後半も面白かったけど、とにかく前半の衝撃だけで読んで良かったと思う一冊。

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    2026年04月09日
  • 踊りつかれて

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     匿名だからと思ってネットで無責任な噂を流した市中の人々が、逆に実名をさらされて被害者になる。自業自得といえばその通りだが、それにしてもあまりに悲惨な反撃にあってしまう。それを仕掛けた瀬尾という人物の人柄、30年前からの日とのつながりが解き明かされてゆく。読み応えのある社会派の小説だった。

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    2026年04月06日
  • 踊りつかれて

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    ネタバレ

    久代奏が関係各所に話聞きに行く場面が間延びしており、発言と人物が一致できなくなったりと混乱する部分があったが、彼らのコメントが若干の伏線?張られており、最後につながっていくところでスッキリ。

    天童ショージの独白の部分はしんどかったな。実際に誹謗中傷を受けて自殺してしまう人の最期はこんな感じの幻覚をみてしまうのか。
    SNSで発信する人は読んで欲しい。
    匿名で一人の相手に罵詈雑言なんて厳罰化モンだよ。

    最後のタオル渡すシーン泣けました。

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    2026年04月02日
  • 踊りつかれて

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    ネタバレ

    読み進めていくうちに、なぜそこまでの行動に至ったのか、背景が徐々に明らかになっていく
    私は読者として
    「こんなふうに誰かを大事に思っていたら、壊されたときに普通じゃいられないよな…」
    っていう感覚にスッと入ってしまった

    でも同時に、そこが一番怖いポイントでもあって。
    “優しさ”とか“愛情”みたいなものが、そのまま復讐のエネルギーに転化してしまう構造になってる

    そういう感情のコントロールをしながら読んだ
    ブレーキをかけながらじゃないと
    読み進められないと思った

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    2026年03月31日
  • 罪の声

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    事件の真相が明らかになるにつれ、犯人側の動機にはどこか冷めてしまった。「そんな理由のために?」と、身勝手な論理に共感しきれない部分が多かった。しかし、その一方で、犯罪の声として利用された子供たちのその後の人生があまりに壮絶で、言葉を失った。親や大人たちの身勝手な執念によって、平穏な生活を奪われた彼らの人生に胸が締め付けられ、思わず涙がこぼれそうになった。

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    2026年03月30日
  • 踊りつかれて

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    ネタバレ

    SNSの誹謗中傷で命を絶った天才芸人と、週刊誌の虚偽記事で姿を消した伝説の歌姫。突然、彼らを追い詰めた匿名の人間たちの個人情報を晒す「宣戦布告」が謎の人物によって投下される——。



    SNSの苛烈な誹謗中傷で命を絶った天才芸人、天童ショージ。そして、週刊誌の虚偽記事によって表舞台から姿を消した伝説の歌姫、奥田美月。彼らが持っていた圧倒的な才能や、表現に対する純粋な情熱という「美しさ」は、匿名の言葉という無責任な暴力によって、いとも簡単に砕け散ってしまった。

    フェイクニュースが蔓延する現代社会において、情報の発信源(ソース)を確認する重要性は誰もが頭では理解している。にもかかわらず、その習慣

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    2026年03月30日