塩田武士のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ最初は、ネットの誹謗中傷に一石を投じる物語だと思っていた。
けれど読み終えて残ったのは、誰が加害者で、誰が被害者なのかを簡単には決められない、視点の揺らぎだった。
瀬尾が個人情報を晒した83人は、美月や天堂を苦しめた加害者だった。けれど同時に、その83人もまた、それぞれの人生を持つひとりの人間だ。
復讐は許されるのか。もちろん、簡単に許されるものではない。
それでも「許せない」と断じるだけでは、この物語の核には届かない。
ネットで流れてくる断片的な情報を鵜呑みにし、誰かに貼られたラベルをそのまま信じてしまう。
自分の目で見たものではないのに、知った気になり、いつの間にかそれを自分の意見のよ -
Posted by ブクログ
最近気になっている塩田武士さんの最新作。
冒頭の「宣戦布告」の文章に引き込まれる。激しい口調で書かれているんだけど、たしかにそうだな、と思わせられる。
「匿名性」の世界で、「正義感」を盾に誹謗中傷をする。相手を限界まで叩きのめす。いつからこんな歪んだ世の中になったんだろう。
「誰かが死ななきゃ分かんないの?」
許されない社会って怖いし、物事の一面だけを見て、すべてわかった風に糾弾することの怖さ。でも本人はそれを正しさだと思っている。
「ほっといてほしい」は本当に心からの声だと思った。SNSって便利かもしれない。誰かを救っているかもしれない。でも、誰かを傷つけ、心を殺しているかもしれない。そうい -
Posted by ブクログ
『罪の声』の作者で、2024年本屋大賞第3位受賞という実績から、手に取った作品
芳醇なワインを飲んだような読後感で、最初の誘拐事件のシーンは、正直少し退屈で中々ページが進まなかったけれども、誘拐事件の真相を探る展開からは、ガラッと読み易く566ページという厚さも余り気になることなく読むことができました❗️
誘拐事件なので、共感できる人を探すのは難しいですが、唯一共感できるとしたら、野本 優美さんでしょうか⁉️
ストーリーは中々やる瀬ない気持ちになる作品ですが、所々で描かれるガンダムネタが、ちょっと心を解してくれる社会派ミステリーです❗️ -
Posted by ブクログ
装丁の細い紐は何なのだろう。
そんな小さな引っかかりを抱えたまま、読み始めた一冊。
4歳の少年が20代に至るまでに歩んだ、数奇な人生。
神奈川県で同時に起きた二つの誘拐事件。ひとりはすぐに戻り、もうひとりは三年後、身ぎれいな姿で帰ってきた。その空白の時間、彼を守っていたのは誰だったのか。
刑事ドラマとしての緊張感に加え、写実絵画を追い求める芸術家の軌跡、そして母の愛の深さが重なり合い、重厚な人間ドラマとして胸に迫ってくる。
前半は地理的な描写の細かさに戸惑い、読み進めるのが少し苦しく感じる場面もあった。
けれど後半、「空白の三年」が描かれてからは、一気に心を揺さぶられる。平成と令和、二つの -
Posted by ブクログ
昭和最大のミステリー、グリコ・森永事件。あの「子どもの声」に着想を得て、ここまで重厚な人間ドラマを構築した著者の想像力と緻密な取材力に、ただただ脱帽した。
本作が描くのは、単なる謎解きではない。「親ガチャ」という言葉では片付けられないほど残酷な、家庭環境が人生を決定づけてしまう理不尽さだ。犯罪に加担させられたとも知らず、平穏に生きてきた者。一方で、その「声」によって人生を徹底的に破壊された者。その対比があまりに鋭く、胸を締め付けられる。
また、メディアの存在意義についても深く考えさせられた。「声なき人々の声を拾い上げる」こと。それは、情報の海の中で真実が埋もれ、無き者にされるのを防ぐ唯一の -
Posted by ブクログ
読書備忘録982号。
★★★★。
新年度に入って半月ほど。
やっぱ疲れますよねぇ~。
会社員の皆様疲れますよねぇ~。
しかもうちの会社は組織を大幅に見直し。
システムから業務から動かない動かない!笑
備忘録書く気力が・・・。
最低限の備忘だけでも・・・。
序章。
キタァーーーーーー!
ネットの匿名性を利用した誹謗中傷、人格否定などなど、なんでこんな書き込みが出来るのか?その行為が相手に与える影響を想像できない輩。
そしてピン芸人天童ショージが自殺。歌手の奥田美月は姿を消した。
そんな輩に正義の鉄槌を下す神が現れた!
2人に対する加害者83人のクズどもの個人情報をすべてネットに晒す宣戦布告 -
Posted by ブクログ
ネタバレSNSの誹謗中傷で命を絶った天才芸人と、週刊誌の虚偽記事で姿を消した伝説の歌姫。突然、彼らを追い詰めた匿名の人間たちの個人情報を晒す「宣戦布告」が謎の人物によって投下される——。
SNSの苛烈な誹謗中傷で命を絶った天才芸人、天童ショージ。そして、週刊誌の虚偽記事によって表舞台から姿を消した伝説の歌姫、奥田美月。彼らが持っていた圧倒的な才能や、表現に対する純粋な情熱という「美しさ」は、匿名の言葉という無責任な暴力によって、いとも簡単に砕け散ってしまった。
フェイクニュースが蔓延する現代社会において、情報の発信源(ソース)を確認する重要性は誰もが頭では理解している。にもかかわらず、その習慣