塩田武士のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
序盤は実録風の事件もの。
やたらと多い登場人物に苦労しながらも、緊張感あふれる展開を楽しんでいたのだが、、、
単なる誘拐事件ものと思って読み始めたら、だんだんと他の要素が増してきます。
僕はもともとミステリー好きではないので、却って読みやすく、面白かったです。
途中、美術界ゴシップものかと思うくらい美術界という因習村がフィーチャーされます。
師匠と弟子、百貨店と画廊との関係、絵画の価格付け(作家ごとの号単価×号数)の問題等が
作品の中で取り上げられ、事件の閉塞感と相まって、息が詰まりそうな雰囲気を醸し出します。
終盤はヒューマンドラマ。
先が気になってついつい読み急いでしまいました。47 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本を震撼させた未解決の脅迫事件に、主人公の親族が関わっているかもしれないーその疑念から物語は始まる。時効が成立した事件を追う記者の視点と、加害者の親族という立場にある主人公の視点が交錯しながら、事件の真相が少しずつ明らかになっていく展開に強く引き込まれた。
特に印象に残ったのは、大人の都合によって事件に巻き込まれてしまった子供たちの存在である。彼らには何の責任もないにもかかわらず、事件に利用され、その後の人生までも大きく狂わされてしまう描写は非常にリアルで重く感じられた。一度背負わされた「過去」は簡単には消えず、大人になっても背負い続けなければならない。私自身は体験していないが、その残酷さ -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めは私刑によって胸糞の悪い人間たちが断罪されて、すかっとする話なのかなと思っていたが、さすがにそこは塩田武士。そんな単純な話ではなかった。社会派でありながら、人情派という感じ。芸能界の闇にも触れている。
それぞれの人間模様が絡まり合ながら、弁護士の奏が瀬尾の動機を解き明かしていく。その過程で見えてくる、圧倒的才能に惚れた一人の男の姿。美月と瀬尾、奏とショージ。心が通じ合い、それでも依存し合うことがない緊張感のある関係。高潔な愛、なのだろうか。そんな相手は私にはいないから分からない。
自分が大切に大切に心を砕いてきた存在を、無責任な他人に奪われる苦しみ、怒り。想像を絶するが、近しいことが現実 -
Posted by ブクログ
「奇のくに風土記」と「家守綺譚」を続けて読んだ直後だったので、急に現代の荒んだ社会に引き戻されて、最初は読みにくかったが、途中から引き込まれた。
まさに普段、不安になったり、うすら怖くなったり、怒りを覚えていることを、ピシャリと小気味よく問題提起し、批判してくれた感じ。
また、結局はリアルな人と人との関係が残っていくのだと、少しホッとするような気持ちにもなった。
それにしても…普段は通称を使用しても、アカウントを作る際は身元の確認を必須にするようなことはできないのだろうか?匿名でないと言えないようなこととは、つまり、言わないで胸に留めたほうがよいことだと私は思う。
私自身は、スマホが発売され -
Posted by ブクログ
華々しい舞台から引きずり落とされる2人のスター。
ルサンチマンから彼らを匿名のスナイパーとして攻撃する数多の人々。
その事実に怒り、具体的な攻撃を与える、2人を愛した1人の男。
その人生を紐解いていく弁護士。
自分も、どの登場人物にもなりうる危険性を感じ、
正義が自分のもとにあるとき、
行動する前に絶対に一度立ち止まって考えなければならない。
と身が引き締まった。
音楽業界や芸能界の内情、具体的な音楽に関するテクニックを描いている箇所が少し薄っぺらく感じた。
個人的な好みだが、
専門性の高い分野に関しては詳しく記述すればするほど、
著者とその分野の溝が浮き彫りになる気がするので、
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Posted by ブクログ
怖い。相手の見えない悪意は本当に怖い。自分の声は誰にもどこにも届かずに闇の中に吸収されて、相手の悪意は鋭いナイフになって刺さる。
自分がその当事者になるのも、自分の大切な人がなるのも、本当に怖いはずなのに、無意識に誰かを批判したり、攻撃してないかな。いいね。をつけることで傷つく人はいないかな。
とか、考えるとなんも発信できなくなるけど、それでいいかな。とおもう。
何かや、誰かにこんなふうに思うとか、こんなの嫌だとかそう言うことは別に不特定多数の誰かに言わなくても、身近な家族や友達に直接話せばいいと思う。そしたら共感も、違う考えもなんらかの反応はあるし、それでまた考える。
なんか、相手がこっちに -
ネタバレ 購入済み
今だからこそ読んでほしい作品
これは本当に多くの人に読んでほしい作品。
プロローグの言葉が強すぎて序盤で挫折しかけましたが、そこを乗り越えたらあとはぐんぐん読まされました。
SNSがテーマの作品なので、きっと多くの方に刺さるはず。
実際私も、SNS黎明期の頃にSNSがどういうものかをきちんと理解できておらず、人を傷つける使い方をしてしまったことがあります。ものすごく反省したし、事が起こってはじめてSNSの危うさを学び、もう2度と同じことはするまいと誓いました。
ですが、記憶というのはどうしても風化するものです。劇中で主人公の久代さんが懸念しているように、喉元過ぎれば痛みは薄れ、また同じことを繰り返してしまうということは、