実際の未解決事件「グリコ森永事件」をモデルとして、その事件に関わった人々の人生や苦悩を丹念に追っていく読み応えある力作。
子どもの声の脅迫テープがあったと知り、何も知らない未成年を犯罪に加担させる闇の深さにゾッとする。
曽根と阿久津、立場が違う同い年の二人の青年がそれぞれ真摯に事件と向き合う情熱に後
...続きを読む半は一気に惹き込まれ、未来につなげようとする阿久津の取材の姿勢が招く終着は素直に感動できた。
曽根の声を録音した意外な人物と罪悪感の薄い反応には驚き。子どもたちに与えた苦しみの前ではどんなポリシーも空しく響くだけだ。