塩田武士のレビュー一覧
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誹謗中傷の言葉を気軽に一瞬にして投稿できてしまう現代において、その言葉が持つ「重み」を感じさせられる読書体験だった。
本書に登場する二人の芸能人たち(美月、天童ショージ)は誹謗中傷が転換点となり人生が狂わされていく。本書では、その転換点前の二人のそれまでの人生や栄光の道を自力で掴み取るまでには至難困難を潜り抜けてきたことが描かれている。
事件をきっかけにメディアやSNSによって事実無根な悪者像が作られていき、焚き付けられ、その炎が最悪の結末でしか消化できないところまで広がっていく。誹謗中傷をSNS投稿する本人にとってはちょっとしたストレス解消でしかなく、いかに相手の痛みには鈍感であるかと思わ -
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ネタバレ三度目の正直でようやく読み終えられた!
そして、読んで良かったと思えた。
最後は母の気持ちでぼろぼろと涙が。
わたしは案外門田さん好きです。
それから、文章がとても写実的で、実際のその場をよく知る人なら脳裏にそのイメージがありありと浮かぶのだろうなと感じた。
スマホで画像検索しながら読みました。
作者の他の作品を知らないのでなんともいえないけれど、写実画家のお話でこの描写。
読み終わって考えてみれば、幸せとは何か、本当にわからなくなる。
亮と関わったことによって生まれた幸せと破滅。
関わらなければ安穏とした日常がただ続いていたのかもしれないと思うと、なんともいえない気持ちになる。
でもそんな -
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やってしまった…次の日もあるのに夜更かしして一気読み…
うつらうつらしながら読んだのが勿体無かった…
今もネット上で飛び交う正義感を振り翳した罵詈雑言の嵐。いいね貰うために過激になってるそこの愚か者。とりあえずこの本を読め。晒されて人生狂うぞ。
正しさに対する違和感を見事に言葉で固めてくれた一冊。話がどんどん壮大かつ辛くなってくる。若干ミステリ要素も感じながら読める。
自分の価値観を疑い、多様でグレーな在り方を、皮肉を、もやもやしながら引き受ける人でありたい。
人間、真の「正しさ」の前にはひれ伏すようにできてる。でも、個人にそれが備わらんことは、みんな百も承知や。その不完全さを笑いに変 -
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大部分は新聞記者の門田が事件を調査する様子が描かれていて、ノンフィクションを読んでいるような気分だった。描写が細かく(ETCカードを忘れた。みたいな描写は必要だったのか?)、なかなか話が見えず、全体が掴めない。そもそも長い。しかし、ただの記者が警察も辿り着けなかった真実に辿り着く経緯を書くにはこの長さが必要だったんだろうな。
ラストは一気に読んでしまった。何とも苦しくも、幸せな「人生」。ディティールを観ると不幸に見えるかもしれないけど、確かに幸せもあって、俯瞰で見た時にそれが人生に見えるんだな。「水はどう描けばいいのか」に通づるなと思った。
「描きたいものだけを細かく描いても嘘くさくなる。キャ -
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社会派ミステリ書かせたら、塩田さんですよね。今回はミステリじゃないけど、、、
SNS時代の「匿名性」が「免責」になる社会の怖さをこれでもかと叩きつけてきた感覚。
週刊誌という、消費され捨てられることを前提にしたメディアと、SNSによって誰もが発信者になり、情報が半永久的に残り続ける現代。
形は変わっても、人の興味や悪意が誰かの人生を消費していく構造は変わっていない。
物語を読み終えて、加害する側だけでなく、情報を受け取る「利用者」としての自分もまた無関係ではいられないと感じた。
他人事として距離を取ることができず、どう関わっていくべきかを考え続けさせられる一冊だった。
追記とはなりますが -
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世間のバッシングに晒された昭和の歌姫と現代のお笑い芸人。
アイドル歌手だった彼女は週刊誌の捏造記事によって表舞台から姿を消した。
お笑い芸人は私生活をネットで晒され、激しい誹謗中傷を浴びて命を落とす。
そして、特に執拗な書き込みをした83名がある人物の『宣戦布告』によって特定された実名や個人情報を逆に公開される⋯。
長大な物語だが勢いをもって読めました。たぶん主要人物たちに好感が持てたから、この重い内容にも耐えられたのでしょう。
読後感は表紙のように美しかったてす。
これを週刊文春で連載されたとのこと。
売れればなんでも書いて写真を載せていた、1週間後には捨てることを前提に企業が作ってい -
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ネタバレ恋愛とは違う愛の形でしょうか。
それともこれが究極の推し活と言うものなのか…。
序章の宣戦布告の文体とそれを書いた紳士の人物像がかけ離れている感じがしました。でも、この紳士がどうして芸能界を追いやられた2人のためにここまでするのかじわじわと物語が進むにつれ納得させられていきます(それでもやっぱり露悪的過ぎる文体という気がするけど…)
悲惨な人生を送った人がたくさん出てきてとても重い。でも現実にSNSで追い詰められた人の話も見聞きするようになってしまっている現実を思うと、この物語に登場するいくつかの悲惨な人生について「どうすればよかったのか」「どうにかできなかったか、途中からでも変えることの -
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ネタバレSNSの誹謗中傷により大切な人を亡くした男による、加害者約80名の個人情報をネットにさらし復讐を行った。
現在のSNS問題を扱った題材で、実際に誹謗中傷により自殺をした人もいる避けては通れない問題。
序盤の、ネットにさらされた加害者がどういう被害を受け人生が壊れるかと言う場面では、確かに個人としては人生が大きく変わるような出来事になるが、人生が壊れると言うものほどではなくて、同情はする一方で因果応報といったところか。
中盤に犯人はわかり、その後は、裁判の話や犯人と過去被害にあった2人との話になるが、読めば読むほどに胸が痛くなる、苦しい思いをした。
有名人だからと言って、誹謗中傷の対象になってい -
Posted by ブクログ
誹謗中傷という無自覚の暴力により損なわれてしまった人生への償い。社会的な意義を問うわけではなく、個人的な復讐だと言い切る瀬尾。彼の意思としてはそうなのだろうが、社会に対する問題提起であることは確かだ。自らの人生を代償として対象者の人生を傷つけようとした瀬尾。
奥田美月を失った後、立ち上がることのできなかった瀬尾がようなく見つけたパートナーは芸人である天童だった。彼は不倫が原因で誹謗中傷の的となり自死する。二度まで同様の理由でパートナーを失った瀬尾は、対象者の人生を壊すことを目的として個人情報を晒す。物語はそこから出発し、冒頭からしばらくはその顛末が描かれるのだが、どうやらそちらは主体ではない