塩田武士のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
塩田さん初作品。
怖!ジャーナリズムの世界怖!情報社会怖!!となる作品でした。
登場人物が皆ジャーナリズムの世界に関係している人達の連作短編集。
作中では虚報について深く掘り下げられていて、締切やプレッシャーにより真実でない記事を出したり、誰かを貶めるために意図的にフェイクニュースを流したりする恐ろしい展開があります。
フェイクニュースが作られていく過程•何故フェイクニュースが作られてしまうのかが、事細かく説明されていて、末恐ろしい情報社会になってしまったと実感しました。
普段何気なく目にしているネットニュースやtvのワイドショーについても、無意識に信じ込んでしまわないように、自分の中で軸を持 -
Posted by ブクログ
★4.6
二児同時誘拐事件。犯人は捕まらず時効を迎えたのちも、真実を追い求める人達がいた。
それぞれ思惑は違う。過去に向き合いたい者、正義を求める者、そして忘れたい者。
ただのサスペンスかと思っていたら、思いがけず“描くこと”と“記すこと”の本質に触れてしまった。
たまにこんな小説に巡り合う。
「まだ終わらないで、もう少し読みたい」
ページをめくる手が惜しかった。
一枚の絵に対して、画家はどこかで諦めないといけないらしい。絵に完成は訪れないから。
ただ、我々は画家の思いなど梅雨知らず、十分に美しさを感じられる。
この小説も然り。もしかすると筆者にとって完成ではないのかもしれない。
それ