塩田武士のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文庫550円シリーズ。
薄い本だけど、550円以上に楽しめました。
短編なので合間にも読みやすい。
一番、塩田さんらしい作品だなと思ったのは『鈍い火』かな。だんだん嫌な展開に進んでいくけど、後を引かない終わりかたなので、イヤミスみたいにならなくて良かった。
『仮縫い』は冴えなかったはずの旧友の結婚話から主人公も再生していく物語。
『小さい上司』は何か笑えるダメ上司。"小山田"ってネーミングもいい。
↑ここまでは40歳代の冴えない登場人物が活躍している物語。作者自身も40代なので、自身の経験と照らし合わせているのかな~と思った。
『起点』だけは未来設定。
罪の声(2 -
Posted by ブクログ
30年前に起きた2児同時誘拐。
囮と思われた1人は無事に保護されたものの、本命と思われたもう1人は行方しれずのまま事件は未解決となり、誘拐が起きてから3年後突然被害者男児が祖父母の家に戻ってきた。
その事件を追い続け解決に至らぬまま亡くなってしまった元刑事、その思いを引き継いだ新聞記者が、執念で真相に迫っていく。
どうして被害者は戻らなかったのか、そこに何があったのか、読み進めていくうちに何ともやるせない気持ちになって、被害者加害者という言葉だけでは片付けられなかった。
そしてこの話は、もう1人の主人公であるギャラリストの女性の視点からも書かれているが、そちらの視点が果たして必要だったのかどう -
Posted by ブクログ
塩田さんの作品はとても好きです。過激な描写がなく真摯で品の良さを感じます。
所々で、マスメディアへの不信や警告みたいなものを感じるのですが、最後の書評を読んで凄く納得しました。
小説は正義と不正義の狭間にあるものをすくいあげ寄り添う事の出来る数少ない媒体であり、作者は、危うくて弱いけれど個人の尊厳を手放そうとしない個人の姿を書いていくだろうとありました。
長い序章の先にある、ラストの風景はとても美しくすぐにでも雪の舞い降りる朱色の橋に立ってみたいと思いました。
しかし、車から降り立った咲子さんの発する言葉を聞きたかったと思った私は、次の章があるのを期待していました。
珠緒さんの穏やかな行先が描 -
Posted by ブクログ
ネタバレ瀬尾さん辛かっただろうな。
自分が大切にしてきた人達がつぶされていって。
人間は本当に恐ろしいなあと感じる。
今はSNSで簡単にいろんなことが発信できるようになったのでより混沌としてきているように感じる。
ただ気軽に発信できることはいい面もあるので今回は悪い方向へ行き過ぎてしまった結果なのだろう。
そもそもSNSで誹謗中傷できることにすごいと感じてしまう。全世界に発信していますよ。なんなら拡散もされるから拡声器で大音量で叫んでますよ。
しかも、失敗に対して必要以上の制裁が行われる状況がその人たちにとってプラスなのかなあ。
自分が制裁を加えられる側に回る可能性も十分にあるわけで。
この -
Posted by ブクログ
SNSの「正しさ」の炎上社会に反撃する物語。しかしこの小説自体でメタ的に反論しているので、物語であるとともに思想書・社会論のような作りになっている。
物語はかなり昔のストレートな「美しい話」のようになっているが、これも思想書としての著者の「論法」なのかもしれない。
実際には、この「正しさ」を克服する方法も目処もあまり論じられていないかもしれないが、今後の社会への一石には充分値する作品。
物語の重要人物が子供時代にかなり残酷な不幸に見舞われる(フィクションとはいえ読み進めるのをちょっと躊躇するくらいな凄い描写)が、これを救ってくれる人物が現れる。この人の職種、立ち位置としては一般的に「グズの外道 -
匿名
購入済み現代のSNSの問題を直接的に描いていて、考えされられる作品だった。
SNSやってる奴はとりあえず読んだ方がいい。
でも、それで終わらず物語としても面白かったし、綺麗にまとまっていたと思う。