塩田武士のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
白く澄んだ素晴らしい作品だった。
不穏な空気が漂うと明らかに靄がかかったような雰囲気になるのが、凄い。
最初は刑事系のパキッとした文で感覚を掴んでいたのに、誘拐事件に関する記述が早々に終わったのでこれから先の展開がどうなるのか不安に思いながら読み進めていた。
しかし、進んでいくにつれて、こう進むべきだったと思えてくる素敵な物語構成だった。
特に印象的だったのは、同じ事柄を語る時に微妙に表現を変えてくるところ。
大体の小説は、違う人物が同じ展開や人物、物体に出くわした時、それが共通のものであることを認識させるためにほとんど言い回しを変えていないように感じる。
ただ今作は、それぞれの人物がそれぞれ -
Posted by ブクログ
著者の話題の新作だけに、読む前からの期待感もかなりのものだったけど、さらにその上を行く出来。SNSの持つ悪魔性が際立つ内容だけど、決してアンチな立場一辺倒ってわけじゃなく、まだ歴史が浅い文化なんだから、これからきっと然るべきルール編成が順次行われ、利便性も上がっていくだろうっていうスタンス。でもそこに至る過程で、最悪命が失われるっていう事態を軽く見られる訳もなく、現時点での個人的な見解としては、圧倒的に否に傾く。有事の有用性なんかが引き合いに出されたりするけど、それでも尚、”無い”時代の方が幸せだったと考える。でも戻ることはもはや出来ない訳で、それありきの上で、生産性のある議論を進めなきゃって
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Posted by ブクログ
ネタバレ辛く切ない、暗い部分がある物語だが、読み応えがあった。
別府や京都、私に馴染み深い土地が出てきて、ちょっと嬉しい。
SNSで他者を誹謗中傷する行為は、弱い未熟な人間がやることで、本来、強い人間なら振り回されることはないのだけど。
振り回されちゃうんだね、芸能人として成功していても、弱い人間だったから。
天童も美月も、生い立ちが影響してる。
登場人物は、家族や恋人では、ないけど。それと同等なお互いをリスペクトし合うような愛で繋がっているのがよい。
物語には、恋愛が付き物みたいなところがあるけど。
私も年齢的に恋愛とかから卒業してるので、年齢や異性や肩書きに因らない、人間関係に憧れる。
自分軸 -
Posted by ブクログ
なぜ早く読まなかったのか…
散りばめられた沢山の点と点が、少しずつ丁寧に線になっていく
それが一つも無駄ではなく、一字一句読み進めていかなくては…という気持ちになる話だった
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1991年に神奈川県で発生した「二児同時誘拐事件」
誘拐の手口
警察の捜査手法
記者の動き
序盤はこれらが事細かく描かれている
担当刑事、担当記者も30年が経ち、誘拐されていた男児は画家として脚光を浴びていた
30年の謎を記者が紐解いていく
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そもそも実際の元の事件がどの程度モデルとなっているのか気になりながら読みつつ、調べたらネタバレにるかもと調べることもできず、貪るよう