綾崎隼のレビュー一覧
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物語を必要な人がいて、そんな人が物語を書く人に必要とされている。
彗星の如く現れた覆面作家ミマサカリオリ。熱狂的ファンも多い。その反面、批判も多くなる。そして主要キャラの死に世間は大荒れ。厳しい批判の中、完結目前にミマサカリオリの訃報が報じられる。
後を追うようにミマサカリオリに心酔していた少女も自殺未遂。
やがてファンサイト7人(自殺未遂少女含めた)が物語に似た山中の廃校に集まり、、、。
ミマサカリオリは生きている。そしてミマサカリオリは誰なのか。途中で色々ミスリードしていたことに気付き、展開が楽しい。本は人を救う。書き手、編集者の苦労も垣間見えた。
誹謗中傷という言葉の暴力は人を死に追い込 -
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“胡蝶の夢”という荘子の説話の挿入がある
夢の中の自分が現実か、現実の自分が夢なのか
もしかしたら 天才と称される人達はそんなふうにに生きているのかなと思った
圧倒的な絵の才能を持つ少女
彼女には 感情的で社会性が欠如している
綿密な技術で才能を表す少年
彼は 勤勉で品行方正
ふたりは同じアトリエで 同じ空間と時間を過ごしていく
ふたりを育てる事に 生きがいを感じる元画家の女性
巨大な才能を目の前にして苦悩する
それでも 好きな絵を描き続ける彼ら
彼女に小学生で出会った才能ある少年は、幼くして天才に寄り添う道を選んでいた
緻密な計画と生活で最初から彼女を導いていた
不幸な事故で利き腕を失 -
Posted by ブクログ
なんだか妙にリアルな素敵な小説でした
二か月後、新潟オリンピックが開催される全日本フィギュアスケート選手権大会
出場枠は2
一つは、女子フィギュアの牽引者三十歳を迎えているレジェンドが決定している
残る一枠をかけて、二人の天才少女が銀盤を跳ぶ
そして、この少女たちを支え彼女たちの人生まで抱えて一緒に銀盤を跳ぼうとする女性コーチ二人
二人×二組の女性たちの決戦
決戦の日をたどりながら、四人のそれまでの人生を読ませる
「蜜蜂と遠雷」の天才たちの話を思い出す
この二人の少女たちがなかなかの問題児
加えて彼女らに責任の無い家庭の問題も次々と起きる 波乱が続きすぎ
卓越したセンスと表現力を持つ完璧主義の -
Posted by ブクログ
人気小説家ミマサカリオリが、人気シリーズの完結前に亡くなる。熱狂的なファン7人が人気シリーズに出てくる舞台と似た廃校に集まり、小説をなぞる生活をして、物語の結末を探ろうとする。そして、共同生活をする中で、予想だにしない出来事が起こる。
といったあらすじ。
Instagramでオススメされていた作品。
7人で共同生活をするのですが、7人全員が何かしらの嘘をついています。
また、登場人物の会話文を途中で「・・・。」と切って、何を話したのか読者に伝えず含みをもたせたり、「聞かれなかったから、答えなかった」といったこともあったりして、真相が気になり、あっという間に読み終わりました。
99人がどん -
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ネタバレ「盤上〜」がめちゃくちゃ好みだったので、同じく綾崎さんの作品を。
電子書籍で細切れに読んでいたけど、続きが気になってしまう推進力のある文章は相変わらず。
色んな登場人物からの視点で話が進んでいく構成。
電子書籍だったため残ページ数を意識していなかったがゆえに、最後には遥都視点になるのかと思っていたのにあっさり終わってしまって、びっくり。
ラストのプレゼントの婚姻届はあまりにも唐突で驚いた。ハチクロエンドということ…?
遥都視点がないからこその奥行きなのかもしれない。
遥都が灯子に献身的だった理由が私には読み取れなかった。サブタイトルからして恋ではなかったとは分かるけど、灯子の才能に圧倒され -
Posted by ブクログ
「裸の王様」「人魚姫」「赤い靴」「みにくいアヒルの子」「親指姫」…懐かしい童話と、その物語の登場人物達が出てくる。
【物語の中で不幸になった者だけ】
が、集まる世界。
彼らを幸せな結末へと導くのが、「物語管理官」の役目。
大変面白い設定と、本来の物語に主人公達が介入して結末を変えていく過程が、よく考えられていてとても面白い。「どうやって変えるのか」「どこで介入するのか」を読み手も考えながら読み進めてしまう。
…が、本来の物語の「主軸」は、そこではなく、もう一つの「軸」が用意されててあり、中盤からはそちらの謎を解いていく展開とかわっていく。
すっかりハマってしまい、Wikipediaやら -
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Posted by ブクログ
将棋に関する物語って、そう言われても面白そうには思わないという人が多数だと思います。
ちなみに私もその一人でした。
でも、読んでみればわかるのですが、この本はただ堅苦しい将棋の棋士の話ってわけではありません。
どちらかといえば、人情味溢れる感動どんでん返しというイメージだと考えてくれると、少しは解りやすくなると思います。
物語としては人との関係性が濃く描かれていて、でも専門分野も浅くなく深い。……それでいて、最後は清々しい気持ちで終わらせてくれる。
作者である綾崎さんはそんな作品をよく作ってくれる方なのですが、この本も傾向は変わらない気がします。将棋を中心に、色んな知識を深められる本です