【感想・ネタバレ】君を描けば嘘になるのレビュー

あらすじ

誰もが認める圧倒的な絵の才能を持つ少女・瀧本灯子。卓越した技術で、人間業とは思えない緻密な絵を描く少年・南條遙都。二人は幼くして出会い、互いの才能を認め、共に創作へ打ち込んできた。美大へ進んだ二人に気鋭の画家として評価が高まっていた矢先、二人のいるアトリエを土砂崩れが襲う。なんとか命は取り留めた二人だったが、画家としてあまりに酷な運命が待ち受けていた。若き天才画家を取り巻く絶望と愛の物語。

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Posted by ブクログ

読んで良かったと思えるお話だった。「絵」については詳しくないけれど、芸術の世界ではきっと才能が必要で、天才に出会うと、自分の限界を突きつけられる。凡人なんだとみせられる。そんな世界のいろいろな立場の人の生き方を読んで、どの人の人生も素晴らしいなと思った。絵を好きな気持ちは同じなのに全然違う人生を歩んでいた。梢や恵介は、天才に人生を狂わされたと思いながら、出会わなければよかったとも思えないのではないかと思う。先生の人生は一人では輝けなかったけれど、教え子とともに輝かしい人生を歩んだのだと思う。

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2024年08月01日

Posted by ブクログ

とても印象的なワード、センテンスの多い小説でした。
第四部のタイトル「ある恋のない愛の物語」は、読めば「なるほど」と思います。その一方で小説のタイトルである「君を描けば嘘になる」は作中にも出てきますが、ハッキリと意味がわかる言葉ではありません。(物語上の二人には通じ合っているのでしょうが……)意味がわかりそうで、でも少しわからない。だからこそ読み終わった後も、しばらく考えてしまいます。
また梢の章で書かれていた「少しずつ、少しずつ、馬鹿になっているのがわかる」という文も、酷く私に突き刺さりました。きっと似たような想いをしているからなのだと思います。

灯子と遥都。異なる二人の天才を巡る物語で、妹や先生、別の生徒の視点がある中で、遥都の視点の章だけないのも、凄く印象的でした。(きっと、だからこそタイトルの意味を読み終わっても考えさせられるのでしょうね)

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2023年09月03日

Posted by ブクログ

「大切なものなんて、手の平に乗るくらいでちょうど良い」って言葉が好きで気に入ったし、灯子の性格をよく表してる。遥都の中盤後期の言動は個人的に冷たすぎて嫌だったかな笑

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2025年04月17日

Posted by ブクログ

“胡蝶の夢”という荘子の説話の挿入がある
夢の中の自分が現実か、現実の自分が夢なのか
もしかしたら 天才と称される人達はそんなふうにに生きているのかなと思った

圧倒的な絵の才能を持つ少女
彼女には 感情的で社会性が欠如している
綿密な技術で才能を表す少年
彼は 勤勉で品行方正
ふたりは同じアトリエで 同じ空間と時間を過ごしていく
ふたりを育てる事に 生きがいを感じる元画家の女性
巨大な才能を目の前にして苦悩する
それでも 好きな絵を描き続ける彼ら

彼女に小学生で出会った才能ある少年は、幼くして天才に寄り添う道を選んでいた
緻密な計画と生活で最初から彼女を導いていた

不幸な事故で利き腕を失った天才少女
最後まで支え続ける、嫉妬さえ感じる愛でした

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2024年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「盤上〜」がめちゃくちゃ好みだったので、同じく綾崎さんの作品を。
電子書籍で細切れに読んでいたけど、続きが気になってしまう推進力のある文章は相変わらず。

色んな登場人物からの視点で話が進んでいく構成。
電子書籍だったため残ページ数を意識していなかったがゆえに、最後には遥都視点になるのかと思っていたのにあっさり終わってしまって、びっくり。
ラストのプレゼントの婚姻届はあまりにも唐突で驚いた。ハチクロエンドということ…?
遥都視点がないからこその奥行きなのかもしれない。

遥都が灯子に献身的だった理由が私には読み取れなかった。サブタイトルからして恋ではなかったとは分かるけど、灯子の才能に圧倒されて、灯子ごと守りたかったのかな?
灯子が絵に対して抱いていた気持ちが、遥都にとっての灯子だったのかなあ。

描かれている絵が浮かぶような描写だった。綾崎さんの文体好きだ…

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

子供の頃から絵の世界で才能を発揮した2人の物語。
あまり彼らと絡みのない第三者視点が入るなど、最後まで2人の心理描写、関係性が見えてこないため、想像しながら読み進めるのが面白かったです。
ただ、遥都の感情や想いを追いきれなかったので、少し消化不良気味です。再読してみようと思います。。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

生きていて何かに打ち込んだことのある人は大体ぶち当たる壁や苦しみが書かれていて自分の心も少しちくちくした

いろいろな愛の形がある、正解はない

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2023年05月19日

Posted by ブクログ

タイトルと表紙に惹かれて購入。その帰り道のバーで、一気読みしました笑
どんな話かといえば、第四部のタイトルそのまま、『ある恋のない愛の物語』というひとことに尽きると思います。
芸術の神様に愛された二人の"天才"、灯子と遥都。
ふたりを取り巻くひとたちの視点で、物語は進みます。

どうしても愛さずにいられない何かや誰かがある人、強烈に何かに惹かれたことがある、"目を奪われる"という経験がある人は、読書中「わかる!そうなんだよね…」という気持ちで、一気読みできてしまうと思います。

また、最後まで読むとタイトルの『君を描けば嘘になる』の意味がわかって、優しい気持ちになります。

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2023年02月16日

Posted by ブクログ

登場人物のそれぞれの背景、視点からストーリーが深掘りされていく手法が新鮮で面白かった。印象的な作品だった。

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2022年11月18日

Posted by ブクログ

綾崎さんの小説はいつも、欲に抗えず一気に読み切ってしまう。儚くて美しい文章の中毒に飲み込まれて幸せだった。

極端な天才がいるとき、一定の距離や立場がある人しか1人の人間として認められないことがある。

タイプの違う天才でも、天才とその他という構造は崩れにくいからこそ生まれた「ある恋のない愛の物語」、君を描けば嘘になる、と言える素直さが心地よかった。

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2023年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

天才と秀才。
芸術の才に恵まれた男女の「ある恋のない愛の物語」。ほんとに的を射た表現。遥都の気持ちは意味ありげに終始ぼかされていたけどある意味一番分かりやすかったかも。ツンデレか?遥都が一番めんどくさいな。
終わって見れば、なんだこんなものか、と思われるかもしれないが、とてつもなく極端で普遍的な愛の物語だったのだろう。

『君を描けば嘘になる』
このタイトルの意味だけが正直ピンとこなかった。
自分は「天才」じゃないとバレる、昔から好きだったのがバレる(=嫌われようとしていた気持ちが嘘だったと気づかれる)のが嫌だった?
一目惚れした灯子にたいしたことないと思われるのが怖かった?
こんなところ?どのみち、好きな気持ちも卑怯だと思う気持ちも本音なのだろうし、当の灯子はそんなこと気にしないし、、、やっぱり面倒くさいな。

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

天才が故に気持ちの伝え方が不器用な2人が、絶望から一緒に這い上がる姿は力強くて、胸が色んな意味で熱くなります。
最後に見える景色は、紛れもなく、愛に満ちている。

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2022年11月21日

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