氷室冴子のレビュー一覧
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ジブリのアニメで有名な作品だが、じつは原作もいい。いや、原作の方が好きかもしれない。まだ読んでいない方は、読まないと損だ。
高知の高校を出て東京の大学に進学した杜崎拓は、地元の同級生からの電話で、武藤里伽子も東京にいることを知らされる。てっきり彼女は地元組だと思っていたのに。そこから拓は、里伽子と過ごした高校時代を回想する。
里伽子は東京から高知にやってきた転校生で、ツンとしてわがままだが、とびきりの美人だった。父親の浮気が原因で両親が離婚し、母親の実家がある高知に連れられてきたのだ。たが、里伽子は本当は父親と暮らしたかった。それでバイトに精を出していた拓から金を借り、こっそり東京の父親のも -
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ネタバレスピンオフの中でも夏姫の話が特に印象に残っている。
瑠璃姫のように活発な少女だった夏姫。乳姉妹である融や、彼の親友の高彬たちと一緒に遊ばなくなったのは高彬を「なんとなく好き」から異性としてハッキリと意識し始めたのと、彼女の姉が公達と身分違いの恋をしているのを知ってしまったからなのかな。賢くて勘の良い夏姫は「姉の恋は上手くいかないだろう」と予感し、ならば自分の片思いも見込みがないに違いないと幼いながらに考え、身を引いたと察する。のちに姉の恋愛関係は破綻。
月日は流れ、いつまでも中将を諦めきれない姉のことをなじる夏姫。それは高彬への叶わぬ想いや、自分にないものを持ち合わせている瑠璃姫への嫉妬心 -
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恋多き女の子が終始男性を追っかけまわすような物語よりも、女主人公が馬に乗っかって追っ手から逃げまわったり、事件の黒幕に果敢に立ち向かうような話が好きだ。危機一髪、瑠璃姫はどうなることかと夢中でページを繰った、10代前半の頃の私。尤も、彼女に共感できたのは自分がまだ結婚を考えるような年頃ではなかったからかもしれない。
真っ直ぐで、思い込みが激しくて信念がブレることのない瑠璃姫。大人からしたら随分危なっかしい性格だなと思うけど(いや、かなり無鉄砲なことやってるなと当時も思っていたが)、10代だった私達には充分魅力的な女の子だった。新装版を通して変わらない瑠璃姫に再会できて、私もほんとうに嬉しい。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ初夏のある日、部活帰りに友達が「これ、面白いから読んでみて」と貸してくれたのが「ざ・ちぇんじ(前編)」。そう、昔は前編と後編に本が分かれていたのだった。夕暮れどきの薄暗い部屋で電気も点けずに読み耽ったのを思い出す。当時、私は中学一年生。この本で「直衣」や「御簾」の読み方を覚えたのではなかったかな。
平安時代の登場人物たちが現代の言葉で生き生きと話し、恋に悩み嫉妬に狂えば、人生に迷う。私たちと大して変わらないじゃんと歳の近い彼らに親しみを覚えた。一気に読んで翌日、後編も貸して欲しいと友達にお願いしたのは言うまでもない。
10代前半で読んだ時は80年代当時の感覚として特に引っかかることもなかっ