【感想・ネタバレ】新版 いっぱしの女のレビュー

あらすじ

あなた、やっぱり処女なんでしょ――。「少女小説家」は嘲笑された。『なんて素敵にジャパネスク』『クララ白書』ほかベストセラーを多数送り出し、セクハラという言葉が世間に登場し始めた頃、「いっぱし」の年齢・三十歳を超えた著者。女としてただ社会に在るだけで四方八方から襲い来る違和感を、まっすぐに、そして鮮やかに描いた不朽のエッセイが満を持して復刊!

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Posted by ブクログ

1992年に刊行されたエッセイ集。その時にすでに成人していた自分はその頃の時代感もわかり、かつそれから30年以上経っても当てはまるようなエピソードも多くて、古さや感覚のずれがさほどなかったことに安心しつつ社会の変わらなさをもどかしく思ったりもしました。

「銀金」や「海がきこえるII」などその後の氷室作品にも出てくるフレーズが本エッセイ集にも出てきたりして氷室さんの視線や思考が伝わってくる。

町田そのこさんの解説もとてもよかった。

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2025年07月06日

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未婚、女性、社会人であるがゆえに感じることをピタリとハマる言葉と繊細な言葉で表現しており、その時々の心の揺れが鮮明に伝わってきた。今でも古くないエッセイ。

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2024年03月15日

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もう先生が執筆した年齢をはるかに超えましたが、読んでいると10代20代に自然と戻ります。
いつまでも繰り返し読んでも飽きない。

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2023年06月01日

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エッセイの内容はさることながら、言葉の選び方や紡がれた言葉のリズムがとても綺麗で、読んでいて感動を覚える。

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2022年05月29日

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2022.07

"いっぱしの女"?と思って
なんとなく本屋で開いて面白そうだったので
会計へ向かうと本屋の店主さんに
「それ、面白かったですよ」と言われた本。

ベルサイユのバラ、関白宣言、ノルウェイの森など
出てくるワードに時代を感じつつ
でも書かれるエピソード自体には
時代を感じないというか"わかる"だった
そしてその"わかる"のエピソードにちくっとして
それすらもまた"わかる"なのだ…なった
(自分でも何言ってるんだろうと思うけど本当にそう)

何度も読み返したくなる気がするし
このところ分厚い本ばかり読んでいたので
この軽さが心も軽くしてくれる気がして
とてもよかった。


***

P46 女性はどうして簡単に、この小説がわかる、というるのだろう。"わかる"という言葉を、かるがるしく使うのがどんなに傲慢なことか、わかってない。かりにも文学を研究するのなら、"わかる"という共感を落としどころにしてはいけない。せめて、私はほんとうに"わかっている"のか、私がわかる(共感する)のはなぜなのか、と自分自身への問いかけを含んでいてほしい。わかる、だけで書いたものは論文とはいわない。それは夜中に書いた片思いのラブレターみたいなものだ、と。
P49 ただ、もうこれ以上、彼女のいう"あなたは〇〇なタイプだから""あなたのことはわかってるわ"ふうな押しつけがましい物言いを聞くのは絶えられない気がしたのだ。
P50 私たちはふだん、友だちだから、女同士だから、親子だから、恋人だからという理由で相手のなにかをわかった気になっているけど、それ自体はなんの根拠にもならないのだということ。いつも、自分はほんとうにわかっているのかを自問した方がいいこと。共感によりかかった態度は、決して誠実とはいえないこと。

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2022年03月08日

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私にとって氷室冴子さんといえば、『海がきこえる』。2冊を一晩で一気に読んだことを思い出す。あぁ、そうか。あの瑞々しい描写の背後には、こんな淋しさや、怒りや、そしてそれでも手放さなかったユーモアがあったのだな。

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2021年09月15日

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この本を読んで「やはり!」「なるほど~」と言ってしまう人がかなり居るだろう。流石な「いっぱしの女」なのである。

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2021年08月23日

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とてもおもしろかった。鮮やかでシニカル時に感傷的総じて聡明な…自分の知人で一番捻くれている最高な人と重ねながら全編楽しく読んだ。氷室冴子さんて、こんな人だったんだ。ご存命だったら今は何を書いたかな。好き。

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2021年08月17日

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女の子が好きで女の子に甘いところも、「わかる」と思いながら「わかる」に立ち止まるところも、たくさん傷つき闘いながら「いっぱしの女」として生きるところも、全部素敵だった。こんなひとが少し前のこの日本にいた。それだけで気分が良くなる。そんな風に生きてくれてありがとう。

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2025年02月23日

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ネタバレ

切れのよい言葉で綴られるエッセイ。
以下、お気に入りの段落。

・いっぱしの女の夢の家
『共感』についての話が心に残っている。
自分を顧みる。


・いっぱしの女から男たちへ
 『オンナにも、オンナと生まれたからには栄耀栄華を極めたいと思う人もいるはずだけれど、それはひとつのタイプであって、十字架というようなものではない。肩にくいこむ十字架というより、いくつかの選択肢のなかから選びとった、天にはためくスパンコール付きの軍旗みたいなものである。いざとなれば、作戦変更も名誉ある撤退もありうる。理屈なんて、あとでなんとでもつけられる。この選択肢の多さにかけては、男はほとんど太刀打ちできない。』


氷室冴子さんの著者、もっと読みたい。
単行本は1992年発行。

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2024年09月30日

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氷室冴子さんのエッセイ。
私は学生時代、小説を読まずに漫画に浸かっていたので、大人になるまで氷室冴子さんの作品を読んでなかった。そして大人の私の感想は、独特の空気感と女の子たちの心情や言動がとても好きだ、だった。
そんな氷室冴子さんのエッセイ。
作品に通ずる、愛の深さと潔さと多彩さを感じた。深くもあり、けれど一瞬にしてそれが飛散するような儚さもある。でも、ゼロにはならない、ような。そんな、感じ(私の感じた雰囲気の話なので、それを伝えようとしてたというわけではない、と思う、多分)
どん、と胸に重みを感じる言葉がたくさんあった。そしてほんの少し、昔だったり今の私が思い浮かんでくることも。

そして、当時の氷室冴子さんが生きていた世界と、そこで過ごしていた氷室冴子さんに、なんだか窮屈だな、そんな時代だったのかな、そんなふうに思い生きていた人たちが、道を少しずつ作ってくれて今があるんだろうな、と。

いっぱしの女が、たくさんいたんだろう。
私も、もしも何かぐぬっときたとき、つぶやこう。自分のために。それはもしかしたら、この先の誰かのための、道のカケラくらいにはなるかもしれない。

町田そのこさんの解説も、愛が溢れててとても好きだった。ほんの少し、寂しさがあって、それこそ、愛だなと感じた。

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2023年07月09日

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氷室冴子さんの作品を初めて読んだが、日々の鬱憤や違和感を、こんな風に自分の言葉にしていることってすごいな、と思う。元は1992年に刊行された本だが、30年経ても良くも悪くも変わらないことはたくさんあり、すんなりと読めた。

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2022年06月15日

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女が生きる上で感じている違和感を描くエッセイ。
時代が変わっても変わっていない部分が大きいことに驚く。

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2022年05月29日

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30年前に刊行された本とは思えない。

いつの時代も同じように生きづらい。
氷室さんのカラッとした語り口が痛快でクセになる1冊。

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2022年03月27日

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さようならアルルカン、白い少女たち、クララ白書、アグネス白書、シンデレラ迷宮、シンデレラミステリー、恋する女たち、雑居時代、少女小説家は死なない!、ざ・ちぇんじ、なんて素敵にジャパネスク、なぎさボーイ、多恵子ガール……

ちょいとマセた小学生が児童文学に飽き足らず、大人の階段のぼる読書にハマるにうってつけのコバルト文庫。
そういえば、シンデレラ迷宮のあとがきに登場人物ジェーンの由来があって『ジェーン・エア』を手に取ったのだった。11歳だった。

復刊エッセイ。
いっぱしの女として。独立して生きていく上で、断絶する社会と、友人たちとの違和感。少女小説家は世間とどう抗っていたのか。その怒りと行動に、思わず(わかる……)と苦笑していると、ピシャリと叩かれる。

「私たちはふだん、友人だから、女同士だから、親子だから、恋人だからという理由で、相手の何かをわかった気になっているけれど、それ自体は、なんの根拠にもならない」

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2021年10月14日

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30年前の作品とは思えないほど現代に通じるフェミニズム&シスターフッド。そのような言葉はまだないのでレズと表現されているのに時代を感じる…
ただ、「男は奢って当たり前」という価値観はこの頃には最新だったというのが驚きなんだけど、本当か?!

30歳過ぎて(私はまだ過ぎてないけれど)女友達が昔とちょっと変わってしまった淋しさ、男は男でオトナぶっていて、それを冷ややかに見たい一方で自分だけオトナになれていないようなやはり淋しさ、でも自分はプライド持って生きてるしどこかに仲間だっているんだから、という意地に大いに共感、元気が出た。
なんなら最後の対談の貧乏暮らしエピソードにもめちゃくちゃ元気もらった。マジ生きるぞと思った

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2021年10月08日

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子供のころよく読んでたコバルト文庫。その中でも特に人気で、映像化もたくさんされているのがこの著者。久しぶりに新版が出たと知って、懐かしくなって読んでみた。

30年近く前に出版された本を、2021年に新装版で出版したもの。解説(町田そのこ)が追加されている。町田そのこと言えば、今大人気の「52ヘルツのクジラたち」の著者だ!

氷室冴子は小説以外も読んでいたので、この本ももしかしたら昔読んだのかもしれない、覚えてないけど。
30歳前後で独身、小説家という自由業、そして女であるということでの世間の風当たりの強さなどが書かれている。今では結婚しない人も多いし、当時もセクハラという言葉はあったみたいだけど、今では〇〇ハラもいっぱいできて、他人との距離感の取り方が変わってきているので、他人の生き方、趣向にずけずけ踏み込んでくる人もあまりいないけど。
「結婚なんかより大恋愛をするといいのよ。いい思い出になって、幸せなものよ。」というのが心に残った。完全に理解はできないけど、そうなのかな…

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2021年09月26日

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氷室さんの作品は実は読んだことがなかったが、面白そうだと思って手に取った作品。まず、この作家さんの物事に対する視点と、語彙力、表現力に驚かされた。流れるように読めるのに、深くて、そしてすごく面白い。これが33歳で書かれたもの、ということに驚愕。自分は33歳よりも大部年上なのに、例え作者と同じようなことを感じたとしても、このように表現する言語能力を持ち合わせていない。まあ作家さんと素人の自分を比べることがおこがましいですが。。

内容としては、作者の考えていることを、実体験で起きた出来事を基に描いていく構成で、その対象となる映画やらを知らないとついていけない部分もあるが、それでもなお楽しめる。なんというか、これを読んでいると、今のあるがままを批判的な目線で見つめることもせず、ただそういうものなのだ、と受容し、ノホホンとしている自分が恥ずかしくなった。

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2024年06月03日

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202109/新版で再読。1992年の刊行、なのに今もこの時とあまり変わっていないことにショックを感じつつ。まだまだ氷室冴子たくさん読んでいたかったなあ…。

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2021年09月15日

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30年前のエッセイだからといって「さっぱり理解できない」なんてことは無いらしい。
時代が変わっても同様のもどかしさや面倒臭さはあるのだなあと。
特に『ミザリー』と『一番とおい他人』の章が痛い。
旅行先で一緒になった老婦人が囁いてくれた“人生の秘密”は覚えておきたいと思った。

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2021年09月05日

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ネタバレ

1992年発行の単行本を新版として再刊行。

懐かしい。私にとっては『なんて素敵にジャパネスク』の原作者さん。小説は原作として読んだかな?というぐらいの記憶しかないのが申し訳ない(;'∀')

「詠嘆なんか大嫌い」…昔の女友達にたまに会うとこういう感じ(現在の愚痴をずーっと言う)になるのかなぁ。もう会ってないのでなんとも言えない。

「一番とおい他人について」…女性の「それ分かる(共感)」について。

「レズについて」…女が女にあこがれること、について。女性が「こうなりたい」と思うときの対象って女性なのが普通なのでは?

「なるほど」…セクハラについて。この時代の一部の男性は気持ち悪かったなぁ。今も一定数いるかな?ああ気持ち悪い。

「やっぱり評論も読みたい」…「ベルばら」とか「ポーの一族」とか。ベルばらからツヴァイク、一条ゆかりからサガンを読む読者たち。的外れなオジサン評論家たちから評されることに傷つきはしたけれど、評論がないと世界がどんづまりになってしまう、と思う、と。

15年ほど生まれ年が違うので少しジェネレーションギャップを感じた。でもそれは好いこと。15年でギャップがなかったら令和でも変わってなくて恐ろしいことになっていると思う。

「まえがきにかえて」や「なるほど」で女性に対して「処女かどうか」などという質問をするおっさん、私も遭遇したことあります、19歳のとき。学生なので激怒してガン無視できたけど、社会人なら受け流したんだろうなぁ~。ああいやだぁ。嫌な記憶。

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2021年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んだ理由: クララ白書が大好きだったので。

1992年発行だけれど、時代の感覚はそれほど変わっていないことに驚く。セクシャルハラスメントという言葉が出てきて、今までモヤっとしていた不愉快な出来事が、多くの女性が感じていた事なんだと気付くエピソードや、久しぶりに会った既婚の友達が夫の愚痴しか言わずがっかり、など ”あるある〜” と共感しながら読んだ。

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2021年07月29日

Posted by ブクログ

1992年刊行、1995年文庫化、これは2021年に新版として再版されたもの。もう30年も前なのかと。
タイトルがいっぱしの女ですから、女であるが故のあれこれについてですね。当時の社会が垣間見えつつも、女同士の友情の顛末、恋愛の話、バブル時代のクリスマスの話、そして当時ようやく言語化された概念「セクシャル・ハラスメント」。現在では到底考えられないレベルの編集者からのセクハラ、一方でおそらく現在も健在であろう、ファンレターを装った強烈なポルノ爆弾についても。。。
ふと思ったのは、ネット婚活、マッチングアプリについて、彼女が現在も存命であるなら何をどう書くだろうと。読んでみたかったですね。彼女の作品は大好きだけど、もう少し大人向けの作品を書いて欲しかったです。本当に早逝なのが残念な方です。
星少なめなのはやはり内容が少々古いので。

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2025年01月01日

Posted by ブクログ

 女だから、女性として、というような属性の押しつけは、男からだけではなく、女同士でも行われる。妻として。会社員として。部下として。上司として。人は、歳を重ねるにしたがって、他者からの押しつけだけでなく自らすすんで属性を増やし、会話の内容もその属性に沿ったもの中心になっていってしまう。それを大人になることだと思い、そのような会話を疎む人を、あなたは相変わらずね、と見下げようとする。著者の視線は、友人知人のまとう属性ではなく中身に向けられている。彼ら彼女らが、属性にまつわる話ばかり語ることに悲しみを感じている。思わず私自身のこれまでを省みてしまった。

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2023年09月17日

Posted by ブクログ

女性読者向けと思いますが、男でも面白く読ませてもらいました。特に「とても素晴らしかった旅行について」は最高でした。

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2023年06月09日

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ネタバレ

昔、憧れて好きだった女友達。
久しぶりに会ったら、夫や恋人の愚痴ばかり話してきて、聞いていてうんざりしてしまうと。。

旅先で一緒になった女性たち。
その人たちのこれまでに行って良かったところ等の話が聞きたいのに、同行者への愚痴に喜々としてしまう。。


どちらも分かるなあと思った。愚痴ばっかり聞いてるとゲンナリするけど、盛り上がってはしまうんですよね。もっと楽しい話がしたいと思いつつも。


そして30年前も人々は、「わかる〜」と言っていたんだなと。私もすぐ言ってしまう。わかる。

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2023年05月11日

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30年前に、30半ばで書かれたエッセイ集
友人関係に思うこと、自分の生き方に思うこと、親との関係に思うこと、核になる氷室さんの考え方は色褪せず共感するところも多い
女だから、もう30過ぎなんだから、と好き勝手言われてる様も赤裸々に描かれる
疑問に思い、反発し、書き記し、小説に昇華し、、、先人たちの生き方が反映されて、まだましな今があるのかな

昭和32年生まれとのことで、両親と同世代
両親の刷り込まれた価値観の片鱗に触れられたようにも思う

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2022年02月24日

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なんだか「女である」ということに疲れていた、そんな時に出会った一冊。

20代の頃は結婚しなきゃと焦りを感じていた。
そして結婚して5年経つ今、私は出産に対して焦りを感じている。
周りからの「子どもはまだ?」という言葉にひっそりと傷つき、プレッシャーを感じ、勝手に後ろめたさと劣等感を感じている。
どもはほしい。でもその私自身の気持ちの他に、他者からの重圧から逃れたい、という気持ちがあることがはっきり否定できない。それが悲しい。
周りも私自身も、「この年頃の女はかくあるべき」という過去の価値観の呪いから脱し切れていないのだ。

こんなこともあった。

職場でわたしはある役員の書いた原稿の校正作業をした。特に命じられたわけではないが、私がやらなければ誰もやらず、そのまま世間に出版されてしまう。原稿を書いた役員の意図を損なわないよう、連絡を取りながら、通常業務の合間を縫ってやった。役員の方はその仕事を評価してとても感謝してくれた。
でもその後、私の直属の上司と私とで2人で話していた時に言われたことが忘れられない。
「あの人は女性に優しいからな。女性は得だね」

あの言葉にどんな意味が込められていたのかはわからない。もしかしたら嫉妬があったのかもしれない(ちなみにその役員の方は性別の差で態度を変えるよな人ではなかった)。

あの上司の言葉は、私のした仕事や私個人の存在を否定し、この本の言葉を借りるなら、逃れようのない私の〝女(性別)〟の部分だけを切り取って、かつ女性というものを見下したニュアンスを含ませて放たれた言葉だった。

奇しくも、そんな33歳(このエッセイを書いていた氷室さんと同じ歳)の今、エッセイを読み、私は幾分か救われた想いがした。著者は私が普段違和感を感じる〝女〟を取り巻く状況を冷静に言語化し、不条理なものを断じてくれていたから。

この本がリアルタイムで出版されてから数十年が経ち、女性(に限らず性別に関する意識や固定概念)を取り巻く環境は少しずつ変わっていると思う。
(特に若い世代は。上の世代はまだまだ変わっていない部分がたくさんあると思う。)

女性(に限らずすべての人)が、押し付けられるジェンダー観に傷ついたり違和感を感じることなく、〝いっぱしの女〟と意気込まず〝いっぱしの大人〟と言えるような、そんな世の中になってほしいし、私自身も変えていきたいな。

 

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2021年08月24日

Posted by ブクログ

文庫化された時に、初めて本書の存在を知り懐かしさのあまり手に取った。

多感な学生時代に、氷室冴子さんの本を読み漁った記憶が蘇る。マンガと児童文学しか読んだことのなかった当時の私には、氷室さんの作品は衝撃的な面白さだった。

エッセイを読みながら、彼女の作品に出てきたきっぷの良い女性キャラクターが思い出される。氷室さんだなぁ…。30年も前に彼女のように生きるのは、今よりずっと覚悟と勇気が必要だったのではないだろうか。

知識不足により、いくつかわからない話題があり、知らないとついて行けない感があったので★3つに。

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2021年08月23日

Posted by ブクログ

時を経てなお生きる言葉のひとつひとつが、呼吸を楽にしてくれる――。大人気小説家・氷室冴子の名作エッセイ、待望の復刊! 解説 町田そのこ

そんなものかなと生きてきた。

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2021年08月10日

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