あらすじ
「入道の変」の解決のために瑠璃姫と一緒に活躍した鷹男の東宮が、即位して新しい帝となった。だが、浮気グセは相変わらずのようで(?)、熱心に手紙や使者を送ってくる。それなのに許婚の高彬は煮え切らない態度で、まったく頼りにならない。とうとうキレた瑠璃姫は、出家するために縁の尼寺に駆け込むが、その夜、実家の三条邸が炎上した。瑠璃姫を恨む何者かが放火したらしいのだが…!?
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Posted by ブクログ
あなたは、自分の名前が記された『呪詛状(じゅそじょう)』が事件の現場に残されていたとしたらどうするでしょうか?
(*˙ᵕ˙*)え?
なんだかとんでもない質問をされているように思います。『呪詛状』というものは一般的ではないと思います。そもそも『呪詛状』とはなんのことでしょうか?最近よく助けていただいているChatGPTさんに訊いてみましょう!
ChatGPTさん: “「呪詛状」とは、特定の相手に悪影響を与えることを目的とした文書です。悪意を持って相手を攻撃する手段として用いられ、伝承や民間信仰で見られます”
なるほど。なんだかとっても怖いですね。そもそも『呪』という漢字が登場する時点で怪しさ満点です。特定の相手=自分だと考えると思わず周囲を見回してもしまいます。”どうするでしょうか?”なんて呑気に考えている場合ではないのかもしれません。
さてここに、自宅が火事にあったという中、現場に『瑠璃姫 怨』と自分の名前が書かれた『呪詛状』が残されていたことを知った一人の女性が主人公となる物語があります。平安の世を舞台にしたこの作品。本来、『焼き殺』されていたはずの主人公を描くこの作品。そしてそれは、シリーズ累計800万部を売り上げた人気シリーズ第2作な物語です。
『ねえ、小萩(こはぎ)』、『あたしが尼寺に行くとしたら、おまえもついてきてくれる?』と、『部屋の隅に控えているあたし付きの女房(侍女)、小萩に声をかけ』るのは主人公の瑠璃姫(るりひめ)。『もごもごと口ごもったかと思うと、ふーっとため息をついた』小萩は『姫さま。差し出がましいと知りながら、申し上げるのですが』と『思い切ったように』切り出すと『この際、意地をお張りにならず、一度でいいから、帝に御返事を参らせては…』と続けます。『おまえ、帝ってところを、やけに強調したわね』と『ぎっと睨みつけ』る瑠璃姫に、『首をすくめ』る小萩。しかし、『お相手は、畏れ多くも帝であらせられます。東宮であられたころはまだしも、帝であらせられる今、こうも冷たくあそばされては、父君さまの面目にもかかわるかと…』、『お相手が帝であらせられれば…』と、食い下がる小萩は『何がどうしたのか、わあっと泣き伏してしま』います。それを見て『どうもヒステリー気味らしい。あたしもそうだから、よくわかる』と思う瑠璃姫は『三日にあげず、新帝からの御使者が来』る今の状況を思います。『あーあ。どうして、こんな面倒なことになったんだろ』と、『ため息まじりに言う』瑠璃姫は、『もとをただせば、あたしが』『「入道の変」とでも呼べそうな、政治のからんだ大事件』に『関わったおかげで、今の、この悲惨な状態がある』と思います。『東宮を推す右大臣家と、右大臣家を快く思わない反右大臣家一派の政権争いみたいなもの』に関わった瑠璃姫は『鷹男(たかお)という正体不明の男と一緒に、その陰謀を暴くことにな』りました。『陰謀は未遂でチョン』となったものの『一緒に事件解決のために働いた鷹男が、東宮その人だったというのだから、世の中って信じられない』と思う瑠璃姫は、その後鷹男が『求愛めいた御文をよこすようになった』ことに困惑します。『いずれは帝に立たれる御身』という鷹男には『すでに、梨壺女御と呼ばれるお妃さま』がおり、『その他にも、何人も愛妃がいらっしゃる』、『けれど、あたしはそんなの、やだもんね』と、『幼いころからあたしを思っていてくれ』る高彬(たかあきら)のことを思います。しかし、そんな高彬にこんなことを言われたことを思い出す瑠璃姫。『ぼくの言うこと、よく聞いてね。東宮が、このまま瑠璃さんを諦めてくださるなら、いい。でも、もし正式にお申し入れがあれば、ぼくのとるべき道はふたつだ』、『ぼくが瑠璃さんを諦めて身を引くか』、『東宮と相争うか』。『もちろん、争ってくれるんでしょ?』と訊く瑠璃姫に『その場合、わが右大臣家にも累が及ぶ…』と複雑な事情を説明する高彬は『瑠璃さんを取る限り、ぼくに将来はない』と『きっぱり断言し』ます。それを聞いて『頭の後ろをぶん殴られたような気がして、唾をのみ込んだ』瑠璃姫。それ以降、高彬は『ふっつりと来なくな』り、『文もよこさな』くなります。そんな中、『帝が、とうとう御攘夷あそばされ』、『あの鷹男東宮が、皇位におつきあそばされ』ます。そして、『右近少将と呼ばれる』『若い公達の花形官職』についた高彬。そんな中色々あって、『乞巧奠(きこうでん・簡単にいうと七夕)に、女楽を催される計画』があり、『箏の琴を受けもつ』ことになった瑠璃姫。そんな前の日の夜、『今すぐ、あたしとおまえの身の回りの物を少し、まとめなさい。そして、誰にも気づかれないように、一番小さな網代車を用意させて』と小萩に指示する瑠璃姫は『桂川の辺りに、うちの縁の尼寺があ』る。『そこに駆け込んで、いっきに出家よっ』と話します。『泣いて止める小萩を叱りつけて』『宵も戌の刻(午後八時ごろ)を過ぎたころ』『三条邸を忍びやかに出た』瑠璃姫。そして、『この夜尼寺に駆け込んだことがあたしの運命の別れ道となって、あのドラマチックな復讐劇の幕開けになろうとは、よもや、この時は思ってもみなかったのである』という瑠璃姫が生死をかける運命の物語が始まりました。
“「入道の変」の解決のために瑠璃姫と一緒に活躍した鷹男の東宮が、即位して新しい帝となった。だが、浮気グセは相変わらずのようで(?)、熱心に手紙や使者を送ってくる。それなのに許婚の高彬は煮え切らない態度で、まったく頼りにならない。とうとうキレた瑠璃姫は、出家するために縁の尼寺に駆け込むが、その夜、実家の三条邸が炎上した。瑠璃姫を恨む何者かが放火したらしいのだが…!?”と内容紹介にうたわれるこの作品。今から40年以上も前、1981年にその第一巻が集英社の「小説ジュニア」に掲載され、その後、漫画、テレビドラマ、そしてラジオドラマ…ともなったこの作品は、一方で10冊までシリーズ化され、今までに累計800万冊を超える売り上げを記録しているそうです。2008年6月に亡くなられた氷室冴子さんの紛れもない代表作、それがこの作品であり、今回読んだのはその第2作になります。
およそ一年前に第1作を読んだ私はその作品世界にすっかり魅了されました。2024年のベスト本に選出しているのがその証拠とも言えますが、シリーズものというのは往々にして第1作こそ素晴らしくても、続編以降一気にその面白さがパワーダウンしていくのが世の常でもあります。10冊のコンプリートまでまだ先が長いこの作品ですが、そんな思いも抱きながら、そう、大きな期待は持たずに読み始めました。しかし、読み始めて早々に、私のそんな認識が大きく間違っていることに気づきました。累計800万部という売り上げは伊達ではないのです。第2作目以降パワーダウン…というのはこの作品には当てはまりません。そんな風に早々に実感した私は、氷室冴子さんの描かれる平安絵巻にどっぷり浸かりながらこの第2作を堪能することになりました。では、そんな第2作を三つの視点から見ていきましょう。
まず一つ目は、平安時代ならではの事ごとに光を当てる視点です。
『夏も盛りですが、富士のあたりより参らせた氷の花がございます。あまりに珍しいものなので、親しき方々に披露したいと思います』。
この作品はキョーレツな個性を発揮する主人公・瑠璃姫の魅力が一番の持ち味ですが、そんな瑠璃姫でさえ『この時ばかりは見たい』と思う『氷の花』とは、こんなもののようです。
『花を氷漬けにしたもので、どうやってか夏の花を保存して、冬の間に氷漬けにして氷室に入れておき、夏に切り出してきて、解けるまでの数時間鑑賞するという、これ以上はないくらい贅沢な鑑賞物』
『氷室』という言葉は聞いたことがありますが、『花を氷漬けにした』『氷の花』というものは初耳です。「源氏物語」にも夏の『氷』は登場しますが、『氷の花』は登場しないと思います。現代の世には”氷華”と呼ばれるものだと思いますが、瑠璃姫の時代にもあったのでしょうか?この点調べてみたのですが今一つよくわかりません。ご存知の方がいらっしゃいましたら是非コメントをいただけましたら幸いです。
一方で、「源氏物語」を読んでいると『壺』だの『殿』だのという不思議な名前が登場することが気になっていました。それについてこんな説明があります。
『梨壺だの承香殿だのというのは、後宮にある殿舎の名前である。皇后や中宮や女御や、帝のお相手はみんな後宮に住んでいらして、住まわれる殿舎の名前で呼ばれることになるのである』。
『後宮』とは、『皇后や女御がお住まいになられていて、それぞれに仕える女房や女官もいる女の城』という説明も入ります。なるほど、本人の名前ではなく、住んでいる建物が女性を表す際に使われるわけですね。当時の女性の位置付けというか、あり方を垣間見る思いがします。
次に二つ目は、「源氏物語」など平安絵巻に必ず登場する『和歌』です。この作品にも主に瑠璃姫が詠んだ『和歌』が、説明付きで登場します。一つ見てみましょう。
『瀬を早み 楫子のかじ絶え ゆく舟の
泊まりはなどか 我知りぬべき』
この『和歌』の説明が以下になります。
『川の流れが早いので櫂を失くしてしまった舟。その舟がどこに流れつくのか、わたしは見当もつきません』
物語では、平安の世には、この一見よくわからない『和歌』に『裏の意味』があることがさらに説明されていきます。それは、
『どこに流れつくのか、どうしてわたしにわかるでしょう。あなただけがご存じです』
という意味になり、それが転じて、
『何があっても、あたしが流れつくのはあんたんとこよ。わかってるわね!?』
そんな風に『拡大解釈』できるというのがこの『和歌』のようです。学校の古典の授業で散々、『和歌』についても習ってきましたが、こんな風に説明してもらえたらもっともっと興味が持てたのに…そう感じました。そんな物語には『貴族』の有り様がこんな風に語られてもいます。
『地位や権力に驕って、優雅に遊び暮らすだけが貴族じゃない』
1200年前の時代は私たちが思う以上に、大変だったのかもしれませんね。今の私たちの暮らしに近いところもあるのだと思います。それにしても今の時代にこのような平安絵巻を創造された氷室冴子さんの凄さに改めて驚かされます。
最後に三つ目は、季節の移ろいの描写です。改めて言うまでもなく、昨今の温暖化の進行によって、この国から四季が消滅してしまうのではないかと囁かれてもいます。特に『秋』は深刻だと思います。暑すぎる夏から『秋』を飛ばしていきなり真冬に突入してしまう、そんな気候が当たり前になってきつつあるのが今の時代です。
『黄の菊や女郎花、萩、紅い可憐な撫子の花、黄金色の尾花の秋の草々が咲き乱れていただろう。そして鮮やかな紅葉が、山々を真っ赤に染めあげて、燃えるようにも見えただろう』
そんな風に『秋』という季節が確かにあったことがここには描かれています。日本人はやはり『秋』あってこそなのではないか、そのようにも思います。そんな物語には、四季をこんな風に表現する場面が複数回登場します。
『春は吹雪き散る桜花。夏はしだれる藤花。秋は燃え映える紅葉の錦。冬は降り積もる白雪』
これこそ日本ですね。日本の四季です。物語でこの表現はとても大切な、とても印象的な場面で使われているのですが、四季をこのように描けることこそが日本の物語なのだと思いますし、この表現の意味がわからなないというような未来が来ないことを切に祈ります。
さて、そんなこの作品は、第1作にも記しましたが、現代の平安絵巻という言い方で説明するのが、一番わかりやすいと思います。今から1200年も前の平安の世が実際にどんな時代だったかは、「ドラえもん」がまだこの世に誕生していない現代には知る由がありません。私たちがそんな世のリアルを想像する起点となるのは、中学、高校の歴史の時間、もしくは古典の時間だと思います。私は、ここにこの時代を理解する上で大きな誤解を生む原因があると改めて感じます。学校の授業で学ぶこと、それは、どこまでいっても真面目なお勉強になってしまいます。残念ながらお勉強におふざけは禁物ですし、どこまでいっても堅苦しさの極みにあるものだと思います。そんな中で学んだ平安の世は高貴な雰囲気感に包まれたどこかよそよそしいものです。しかし、よくよく考えれば人の世がそんなガチガチの雰囲気感の中に回っていたはずがありません。人の心が常に緊張感に苛まれる中にあったはずがありません。人が人を思いやり慈しむ心、人が人を好きになり大切にしたいと思う心は、どんな時代にも同じものではないかと思うのです。この第2作では、第1作以上に、そんな人の心の機微を強く感じさせる物語が展開していきます。
物語は、第1作の結末を引き継ぎ、結果として『「入道の変」とでも呼べそうな、政治のからんだ大事件』に『関わった』ことから難しい立場に追い込まれた瑠璃姫の苦悩を描いていきます。物語の中心人物は第1作に続いて次の三人です。作品冒頭に用意された人物紹介から引用しておきましょう。
・瑠璃姫: 『京でも一、二を争う名門貴族の姫。気が強く、好奇心旺盛で、深窓の姫君にあるまじき大胆な行動力の持ち主。独身主義を返上して、高彬と婚約中だが、なかなか結婚できなくて…』
・高彬: 『大貴族である右大臣の末の息子。若い公達の中では出世頭で帝の信頼も厚い。恋愛に関しては不器用だが一途』
・鷹男: 『東宮時代は「鷹男」という世を忍ぶ姿で、瑠璃姫と一緒に陰謀事件の解決に暗躍したが、即位して帝となる』
瑠璃姫と高彬は、『筒井筒』=”行く末を固く契った”=”将来を誓った”関係性にあります。しかし、鷹男が帝となった世においては、高彬は、帝にお仕えする身でもあります。帝の命令は絶対です。一方で、物語はそんな帝が『どこがどう気に入ったのか』瑠璃姫に『求愛めいた御文をよこすようになった』ことに苦悩する瑠璃姫の姿を描いていきます。
『何もかも、これぞ男!って感じで、正直いって、気持ちが揺らいだこともありました』。
そんな風に鷹男へのいっときの思いを吐露する瑠璃姫。しかし、『いずれは帝に立たれる御身』という鷹男には『すでに、梨壺女御と呼ばれるお妃さま』がおり、『その他にも、何人も愛妃がいらっしゃる』状況があります。そこに、瑠璃姫ならではの気持ちが顔を出します。
『あたしはそんなの、やだもんね。あたし一人をまめに愛して、大切にしてくれる人でなきゃ、やだ』。
物語では、そんな瑠璃姫の気持ちを感じているものの、一方で自らの上司である帝が相手となることに躊躇する高彬の姿も描いていきます。そんな中、瑠璃姫は突然『出家する』と言い出し、突如『尼寺』に駆け込んでしまいます。物語は、そこにドラマを見せていきます。
“実家の三条邸が炎上した。瑠璃姫を恨む何者かが放火したらしい”
そんな風に急展開していく物語は、瑠璃姫が『焼け死んだ』という扱いになる一方で、ことの真相究明に自らのりだす姿が描かれていきます。『瑠璃姫 怨』と読める『呪詛状と覚しき札が打ちつけられていた』というそのきっかけ。面白いのはそんな場面でもあちこち動き回る瑠璃姫が使うのが『牛車』だということです。スピードが出るものとはとても思えませんが、氷室冴子さんの手にかかると、そんな『牛車』での移動さえ、緊迫感を帯びてくるのが凄いところだと思います。
そして、この第2作でも引き続き驚嘆させられるのが、この作品が今から40年も前に書かれたものであるという事実です。舞台が平安の世であるとは言え、その感覚は現代語訳された前提で物語は描かれています。しかし、そこには一切古臭さを感じることはありません。そうです。この作品最大の魅力はいつまで経っても古くなることのない、登場人物が活き活きと動き回る描写の数々なのです。第1作からパワーダウンなど全くすることのない物語は、第1作以上に登場人物たちの心の機微を色濃く描いていきます。その感覚は、平安時代の世も今の私たちと変わらない感情の中に人が生きていたことを感じさせもします。改めてこんな素晴らしい作品がこの世に存在したことに驚くと共に、まだまだこの作品世界に浸れる喜びをひしひしと感じながら、素晴らしい読書のひとときを満喫しました。
『あたしを怨んでいる者どもめ。この瑠璃姫を甘く見るんじゃないわ。やるといったら、あたしはやる!』
そんな思いの先に、実家に放火した犯人を追い求めていく瑠璃姫の活躍を描くこの作品。そこには、第1作以上に人の心の機微を色濃く描く物語の姿がありました。ドラマティックなまでに展開する物語に、氷室冴子さんの上手さを感じるこの作品。前作同様、歴史や古典の授業でモノクロに見えていた平安の世が、カラフルに色付けされて蘇るこの作品。
“著者校しながらもラストでは泣けてしまって、我ながら恥ずかしかった思い出があります”と当時を振り返られる氷室冴子さん。そんな氷室さんの描かれた熱い物語に酔いに酔わされる傑作だと思いました。
Posted by ブクログ
続きもので1巻より2巻の方が面白いと思える本にそうそう出会ったことがないので驚きました。
全体的に破天荒な主人公による全体のわちゃわちゃ感はありますが、1巻に比べどこか陰鬱で雅で美しい印象です。やはり最後の章は泣いてしまいました。
ーーーあそんでたもれー、瑠璃だよー
Posted by ブクログ
BOOKLIVE版にて。
この2巻が一冊の物語として、シリーズ中一番まとまりがあると聞いて。読み返し。
怒涛のロマンと活劇の連続で、胸を打たれました。
350枚程度だそう。いろいろ参考にしなくては。
Posted by ブクログ
東宮(とうぐう)廃立陰謀事件を解決した瑠璃姫(るり)。
東宮が帝に即位して政権交代と言わんばかりに騒がしい京の街。
新しい帝の浮気癖は相変わらずのようで、しつこく瑠璃姫に恋文が届く。
なのに、高彬(たかあきら)は煮え切らない態度で全く頼りにならない。
ついにキレた瑠璃姫は、出家するために尼寺に駆け込む。
だが、その夜、実家が炎上した。
瑠璃姫を憎む何者かが放火したらしいが…!
この巻は、瑠璃姫の初恋の君が登場するわけですが壮絶です!
とても残酷で救えない運命です。
初恋の君を救うために、自らも省みず奮闘する瑠璃姫がとっても健気。
どんなに想っても結ばれない運命ほど悲しいものはないですね。
高彬は序盤へたれ全快でホント頼りねぇ…と思わせるんだけど、最後は漢を見せてくれます。
高彬の株が上がる巻といっても過言ではありません!
やっぱ瑠璃姫には高彬が一番合ってるんだなーと思えるのも、この巻!
最後の高彬の台詞が最高です。
思わずほろりときます!
2巻は涙なくして読めない内容ですね。
ほんと切ない!
Posted by ブクログ
瑠璃姫の活躍にハラハラ。
平安時代の政治の世界のドロドロと、純愛がよいですなぁ。
読み終わっても、やっぱりわたしは鷹男派!
もちろん三巻に進みまする。
Posted by ブクログ
第1巻を読んだあとは、高彬報われるかな!?のハラハラだったけど、予想外の吉野君の登場で想像と全然違う展開になった!みんな、身分でがんじがらめになってるの辛い、、切ない、、(T . T)でも、そんなこんなも割り切った覚悟ある人たちからでる言動が染みる、、。吉野君も高彬もかっこよすぎるよ〜〜(T . T)とにかく男性陣みんな素敵でした。吉野君推し。
Posted by ブクログ
“「右近少将、高彬さまに申し上げます。三条の内大臣のお邸、すべて焼失いたしました。三条の内大臣さま、御子息の融さま、御子女の瑠璃姫さまの行方は、まだわかっておりません。ただお一人、北の方さまは御無事ですが、煙で目を痛められた由」
「他には」
「不信な点が二、三あります。どうも放火らしいと専らの噂。そして、唯一焼け残った門柱に、呪詛状と覚しき札が打ちつけられていたとか」
あたしは息をのんだ。
呪詛状って、なによ。なんで、うちが呪詛されるのよ!
「何と書いてあった」
「焼け残ったところだけで、よくはわからぬながら――」
使いの者の声が、一瞬、怯んだ。
「『瑠璃姫 怨』と読めると……」
その瞬間、ゆっくりとあたしの意識が遠のいていった。
「少将さま、ただちに右大臣邸に戻られて、参内の御用意を!宮中より、急ぎ参内するようにとの御内意がありました。一刻も早く」
薄れていく意識の向こうで、使いの者の声、高彬の鋭い声、真剣な顔、二の姫のすすり泣きがこちゃごちゃになって、やがて静かに、何もわからなくなった……。”
吉野君、意外と出番が早かった。
今回はちょっと涙目。
“あたしは不安に襲われて、叫んだ。
「吉野君、約束して。吉野まで、必ず生き延びるって!」
「来てくださってありがとう、瑠璃姫。あなたはいつも、思ったことは必ずやり通す人だった。逃げてみます、逃げられるところまで。あなたも無事に、ここを抜けてください」
吉野君はそう言うやいなや、渾身の力をこめて馬の脇腹をこぶしで突いた。
馬は狂ったようにいななき、走り出した。
「吉野君!吉野で会うのよ。生きていて。きっと生き延びて!」
叫びながら振り返ると、萩の袿は煙の中、あたしを見届けるように動かなかった。
「ばかーっ、見送ってる場合じゃないでしょ。逃げるのよーっ。早くっっ」
あとはもう、煙が喉にからみついて、叫ぶこともできなかった。”
Posted by ブクログ
ジャパネスク2巻。
表紙は鷹男&…ですが、物語のほうは初恋の君が出ようがなんだろうが
高彬のターンでしたよ!!!
この巻を読めば彼がヒーローというのも納得であります。
高彬はいい意味で瑠璃姫の影響受けてますね。
常に相手を思いやれて、冷静な判断もできる。いわゆるボンボン気質があまりない。
逆に鷹男は男前でも、育ちがよすぎるゆえのボンボン気質が今回露呈したかも;
でも東宮→帝となった境遇の違いは切ないほどに出てました。
どうして吉野君と結ばれる話でないのか、この巻読むと痛いほど解りますね…
ここまで凄絶と思わず正直衝撃でした。
「ちぇんじ!」は怪我人も死人も出てませんが、こちらは
この巻だけで怪我人も死人も出ました…ビックリ。
帝の気質もまるで違うしな(笑)。
ちぇんじ!の帝はいい意味でボンボンというかわがままでも
痛々しさのないキャラだった。
この巻は綺麗ながらも凄く切なく終わっています。
実は間の「ジャパネスク・アンコール!」を未所持でとんで
「続ジャパネスク・アンコール!」を持ってます。
文庫の入手はやや難しいので、割と古本屋にどこでもある山内先生の
コミック版で補完しようかな。