あらすじ
傷付き、傷付けながら自分を取り戻す少女の姿が話題をさらった「さようならアルルカン」、一人の少女失踪から明らかになる孤独と傷、そして再生を描いた衝撃の文庫デビュー作「白い少女たち」。そして、若い教師を愛する女子高生の心を繊細なタッチで描いた異色作「あなたへの挽歌」、あるフラストレーションを抱えた彼女の秘密「おしゃべり」、悲しみ、苦しみ……10代の悩みを情感豊かに描いた「悲しみ・つづれ織り」、女の子同士のへんてこな関係を軽快につづったユニークな快作「私と彼女」を収録。伝説の少女小説家、氷室冴子の原点がここにある。
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Posted by ブクログ
なんかもう文章力がすごかった。一行ごとに世界観を構築する力がすごい。
短編集なのでどれも面白かったのですが、やはり表題作の「白い少女たち」は圧巻でしたね。
一人の少女の失踪を巡る物語。そこから炙り出されるような人間模様の複雑さ。
言ってしまえば思春期の揺らぎのようなものですが、そこを透明感のある文体で掬い上げているのがすごい。
Posted by ブクログ
町田そのこさんの好きな作家さんということで手に取ってみました。女性たちの強くいきる心もように感動しました。思春期の子どもたちに読んでもらいたい本です。
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他者に迎合することなく成長していく人の姿は、客観的には輝いて見えるのだなぁと思いました。
普通じゃない、それが魅力。だから普通になってしまうと途端に輝きが失われる。でも、ふとした瞬間に以前持っていた輝きを取り戻す人もいるんだと知りました。
本人からしてみたら、他者と交わり合う生活は安心感があり、孤高よりも幸福感に溢れるんだろうけれど…。
自分に置き換えてみると、孤高も共生も、どっちも経験したいなぁ私は貪欲だわ(笑)と再確認させられました。
Posted by ブクログ
とても、優しくてどこか残酷な、けれど眩さのある物語(短編集なので、くすっとしたりにやりとしたりするお話もあったけれど。もちろんそれらもとても好きだ)
表題作の二話はほんとにヒリヒリした。でも、特に白い少女たちは、すべての少女たちへの愛を勝手に感じた。誰かにわかってほしいとか、わかりたいとか、わからないくせにとか、ときには興味も、それらすべての気持ちをまるっと優しく包み込んでくれていたな、と。
だれも責めない。ただ、自分がそこにいる。
多感で未熟なすべての少女を、氷室冴子さんは、愛していたのかな。
読んでてついつい責めたくなった自分に反省した。
そして、じわりと涙が浮かんだ。
Posted by ブクログ
まさか三十代半ばを過ぎて、また氷室冴子さんに心を奪われる日が来ようとは!!
あの頃夢中になったかつてのわたしが、懐かしいと叫ぶ。
このヒリヒリ感、湿度、仄暗さ、たまらない。
あの頃の少女小説にはこれらが詰まってたんだなぁ。こんな素晴らしい物語を成長過程で読めていたんだなぁどんだけ幸せ者だ自分は、と改めて僥倖に感謝する。
40年以上経っても色褪せることのないこの瑞々しさは、さすがコバルト四天王だな。
しかし白い少女たちがデビュー作って、ほんと才能の化け物!!
原点
氷室冴子さんは『シンデレラ迷宮』が好きで、今回初期作品集が出来たというので初めて読みました。内容はライトから重いものまで様々だったけど、アルルカンや白い少女などこれぞ少女小説といった何とも言えない切実な潔癖な切なくやり切れない感情
になりました。
Posted by ブクログ
学生時代にガッツリはまった、今は亡き氷室冴子の初期作品を集めた短編集。
ただただ懐かしく、10代の頃に読んだ作家さんを30年経って読んだら、どんな気持ちだろう?と手に取ったが、「初期作品集」だけに自分が読んでいた頃より、さらに前の作品で懐かしさの感慨もなく、何となく読み終えてしまった。
基本短編だが、タイトル作でもある「白い少女たち」のみ中編で、これがデビュー作だそう。知らなかった…
他の短編集は、その後に見られる少しユーモラスな感じもあり、さらっと読めるが、「白い少女たち」は今ではありがちな設定を1970年代に描いていたことを思うと、青春小説の原点のように感じる。
この前に読んでいた本の中に「海が聞こえる」が出て来たので、続けて読んでみたけど、もう少し後の作品がさらに読みたくなっただけだった…
でも、敢えて今の10代ではなく、青春時代を氷室冴子と過ごした大人たちに読んでもらいたい作品。