氷室冴子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この小説が本当にいつ書かれたんだろうと思わず思ってしまうくらい、自分自身の大学生の頃と本当にシンクロする。初めてアパートに入った時の高揚感、何も縛られない自由と、無力さ、そして突然部屋で寝ている大学の先輩女性に思わず焦る主人公。友人との関係や距離感、そういう都会の何かに高揚しつつ、地元に帰った時の安堵感。この小説は全てを網羅している。立ち止まることを許されていた大学生、きっと川の流れをゆっくり見ていたような気がする。自分は、どういう人生を歩むんだろうと、自分に期待しつつ、不安にもなったものだ。今でこそ、堂々と、大丈夫だよ、立派にやってるから、とその当時の自分に伝えてあげたい、そんな暖かい眼差し
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Posted by ブクログ
あなたは、自分の名前が記された『呪詛状(じゅそじょう)』が事件の現場に残されていたとしたらどうするでしょうか?
(*˙ᵕ˙*)え?
なんだかとんでもない質問をされているように思います。『呪詛状』というものは一般的ではないと思います。そもそも『呪詛状』とはなんのことでしょうか?最近よく助けていただいているChatGPTさんに訊いてみましょう!
ChatGPTさん: “「呪詛状」とは、特定の相手に悪影響を与えることを目的とした文書です。悪意を持って相手を攻撃する手段として用いられ、伝承や民間信仰で見られます”
なるほど。なんだかとっても怖いですね。そもそも『呪』という漢字が登場する時点 -
Posted by ブクログ
故、氷室冴子さんのジブリの原作となった作品。懐かしくて、読みながら、Stay with meがずっと流れ続けていた。昭和の田舎の街、高知、そして東京。誰しも感じる懐かしさ、男女の関係を意識しながら、距離感を掴んで、少しずつ詰めていく。女、男、青春、高校の時の感覚、付き合っていた相手、別れた相手、親友、受験、そういう色々を、切ない思い、甘酸っぱい思い出とともに、ここまで生きてきたんだと思わせてくれる。海がきこえるという最終章まで、希望や可能性を感じられないまま、進んでいく。初めてのサークル、馴染めなかった飲み会、あるよね、きっと。大人がちょっとかっこいい飲み屋に大学生を誘い、それについていって大
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Posted by ブクログ
登場人物が増えるごとに面白さが上がる。
美知主も相当の手だれなのだけど、それを上回る波美の一族の強者のオーラがすごい。
佐保、息長の思惑も引き続き見逃せず、ストーリーは群像的な形になってきた。
真秀を救い出してしまった佐保彦は、自分の行動に戸惑い、仲間からも理解されず…。
八方塞がりのようになっているのも居た堪れなかった。
真澄に対しても感情が変わってきているし…。
古代の人々は、これだけ相手を思いやることができても、自分の立場からそれを抑制しなきゃいけない…。
真秀は真秀で、佐保彦を忘れられないし。
好きな気持ちすらまっすぐに認められない状況の二人が、かわいそうだった。
周囲は国のこと -
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Posted by ブクログ
波美王のイラストがイメージどおりでまずそれに上がるけど全体を通して政治的な駆け引きが描かれ、緊張しながら読んでいました。
助演好きとしては相変わらず美知主や速穂児に感情移入しながら読んでいるのですが、今まではそんなに好きではなかった真若王や佐保彦が好きになりつつあります。多分近代より前の十代の子どもは今なら思いもしない運命や政治的駆け引きに翻弄され続けてきたのだろうななどと考えてしまいます。
相変わらず氷室冴子さんの時代を感じさせるあとがき、飯田晴子さんのイラストあとがき、そして解説の青山美智子さんの『氷室作品に育てられた我々読者たちによる「氷室冴子を絶やしてはならない」という共通した想い