あらすじ
佐保の女首長・大闇見戸売が死んだ。佐保の人々は激しい嘆きにうち沈み、大闇見戸売の亡骸は、安置した殯屋と、その殯屋が起つ佐保山ごと焼き払われる。一方、大闇見戸売の姉であり、真秀と真澄の母である御影の死は、人に知られることのほとんどない、あまりに淋しいものだった。真秀と真澄は、御影が死の間際まで命がけで守ろうとした大闇見戸売とともに、彼女を弔おうとし・・・・・・。真秀は決心していた。母を見送った後、自分たちは佐保を立ち去り、兄妹ふたりだけで生きていくのだと。だがその時、真澄が「最後に会って、話しておきたい人がいる」と言って、突然闇に翔り去ってしまい・・・・・・!? 「滅びの子」の予言に翻弄され続ける真秀と佐保彦。その運命の行く末は? 真秀が最後に選び取った自らの行く道とは? 氷室冴子『銀の海 金の大地』<真秀の章>堂々完結! 本編のその後を綴った番外編『月がみていた』、『銀の海 金の大地 イラスト集』にのみ掲載された短編『羽衣の姫』も収録。
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Posted by ブクログ
「真秀の章」最終巻。
本当はこの後も章を変えて物語が続く予定だったそう(あとがき及び解説より)。もう物語紡がれることがないのが本当に惜しい。
「古代転生ファンタジー」のその先を読みたかった。
復刊に尽力して下さった皆様に感謝11ヶ月間楽しかった!
Posted by ブクログ
復刊につき約30年ぶりに再読。
古代日本が舞台。様々な一族が出てきて、姫や王子達の恋があり、男女の出会いが国の行く末を狂わせてゆく。
丹波の将軍美知主がかっこよすぎる。彼は佐保一族を手に入れて、自分の一族が大和という一つの国にまとめあげてみせるという熱い野望があり、目標達成の為には手段を選ばない。その知性と冷静な判断力。10代の頃にこの物語を読んでいた時は、主人公真秀の恋の行方に気を取られて美知主の魅力に全く気づいていなかった(笑)
6巻で波美の一族、波美王の言葉で「おまえは真秀という名の王国の、ただひとりの王だ。王なら、その領土をいのちがけで守れ。けっして、人にあけ渡すな。だれの支配も許すな。王にふさわしいことをしろ」という言葉が出てくる。この言葉は忘れられない。銀金シリーズが連載されていた90年代は10代の女の子達に向けられた言葉だったかなと思うけれど、解説で三宅香帆さんが「この国でーもはや性別は関係なくなったかもしれないがー男女ともに誰かの言うことに「従うことだけがすべてだと思い込ん」でいる人はやっぱり多い。」と書かれていた。令和になった今は男女問わず響く言葉ではないかと思う。
こんなに面白い話だったんだ、氷室冴子さんって素晴らしい作家さんだったんだと改めて感じました。未完ですが真秀の章としては「完」となっており、切りのよいところで終わっているので、これから初めて読む人にもおすすめしたいです。
1巻から11巻まで月に1冊ずつ書店で購入し、学生の頃に戻ったようにワクワクした楽しい1年でした。集英社さん復刊して下さってありがとうございました。