あらすじ
「好きな人のためなら死ぬわ――」
「おねがいだから、あたしたちをそっとしておいて!」
真秀の願いむなしく、運命の輪は残酷にも回りはじめて――
氷室冴子が全身全霊をこめて綴った、伝説の古代転生ファンタジー、怒濤の第2巻!
初潮を迎えた真秀は「月の忌屋」に籠められた。十日後、ようやく外界へ戻った真秀は、真若王や息長の男たちの邪な視線に晒されることになる。絶体絶命の真秀の危機を救おうとする真澄に、おそるべき霊力が目覚め――。必死に逃れようとする真秀の前に現れたのは、ずっと焦がれていた同族「佐保」の若き王子・佐保彦だった。しかし佐保彦は真秀が御影の子と知るや「滅びの子」と罵り鞭打って…。次々と襲う、苛酷すぎる運命に真秀はどう立ち向かうのか?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
佐保の一族を知った真秀が、情報を集めようとして、周りの好奇の目や大人になりかけで彼女の身そのものを邪な目で見始めた男たちによっていろいろピンチに襲われる巻。
古代の女子の生理(月のもの)ってどう扱われてたのかとか、そんなことをこの小説を読むまで考えたことなかったので、とても衝撃的でした。
そしてついに佐保彦登場。
真秀と真澄(兄)を佐保の滅びの子、禍つ子と呼ぶ、母との確執で傷つきすぎて自己認識が自身を尊く、なおかつ佐保にとって敵の血を引くことから激しい葛藤のある佐保の王子です。
真秀と佐保彦の出会いの瞬間、無窮の時に、見つめ合うシーンが本シリーズ屈指の名場面だと思っています。
真秀は彼に何も先入観なしで兄に似ているから慕わしいと思って微笑みかけるのに、佐保彦はそう思えないところがもう運命なんだなぁ…みんな読んでほしい…
Posted by ブクログ
第二巻は役者が揃い、さらに面白い!
読みやすいのに、世界観が、キャラクターが、とにかく濃い。
少女小説の枠にありながらも、古代日本らしい大和言葉の美しさ、力強さがある。
やっぱりいい。
冒頭は、忌屋なるものが出てくるのだが、これがなんと、女性が生理のときに篭る場所なのだ。
この辺りの話は、若い時に読んだ時にもビックリしたのだが、女性の月のものをどうしているかなんて、生々しい話を少女小説でぶっ込んでくる、それでいて、ちゃんと女の体の神秘性や、一人の女が大人になることの意味に、つなげてくる。
第二巻はわたしの中で、女性の身体について考えさせた巻だった。
運命に翻弄されるという言葉がピッタリな、真秀、真澄の兄妹に、さらに真秀たちの母の故郷である、佐保から、実は真秀たちと深い繋がりのある佐保彦が登場する。
今になって読むと、真秀と真澄の不自由さが、ものすごく可哀想になる。
また、当初思い入れのなかった佐保彦も可哀想だなと思うようになった。
血族の意味がとにかく強かった時代、自分の身もままならない人々の逞しい生き方に、なぜだか励まされる。
Posted by ブクログ
中毒性が高い。もう次巻が待ちきれない。そして美知主が好きになる。
氷室さんのあとがきと夢枕獏さんの解説がすごくいいので昔読んだ人もぜひまたこの復刊を読んでほしい。
Posted by ブクログ
大人になった真秀を見る男たちの視線が変わり危険に晒され、真澄と真秀の出世の詳細が明らかになり、佐保の王子・佐保彦の登場といった怒涛の展開の第2弾も凄く面白かった!
真秀たちはどうなっちゃうのか?
飯田晴子さんのイラストが素敵で物語をイメージしやすく、豊富に入っているのも嬉しい。