あらすじ
真秀がみた神夢――。
それは血塗られた過去であり、母・御影の優しく悲しい初夏の記憶・・・・・・
愛と憎しみ渦巻く古代ファンタジー、ますます加速する第3巻!
大王の使者として息長を訪れた佐保彦から「滅びの子」と詰られ昏倒した真秀は、若き日の日子坐がなした恐るべき陰謀、そして日子坐と母・御影の出会いを神夢に見る。目覚めた真秀の前に現れたのは、佐保彦の伴人・速穂児だった。速穂児によって佐保の人々が自分のことも御影のことも、兄・真澄のことも疎んじていると思い知らされた真秀は、衝動的に佐保彦のもとへ走るが、かえって激しい憎悪をぶつけられる。打ちひしがれ、我を失った真秀を抱き上げたのは、美知主の弟であり、息長の首長である真若王だった。だがそれは、真秀を救うためではなく・・・・・・!?
果てしない憎しみの連鎖に囚われ、互いを憎まざるを得ない真秀と佐保彦。
なのにどうして、あたしは彼を憎みきれない!?
真秀の心は千々に乱れて――?
第五章 銀の鈴
第六章 禍つ恋
あとがき 氷室冴子
解説 町田そのこ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ざっくり言うと真若王に襲われた真秀が、真澄の霊力で何とか助けられるも、それで真澄がHPをMPに変えてることがわかり(メタ的に言うな)霊力よくわかんないよ…と扱いに困り途方に暮れてしまう巻。
そして美知主と御影の過去の経緯や、日子坐がなぜ佐保に執着していったのかをふんわり理解させられる巻でもある…
耀目が昔とキャラデザ変わったので違和感はあるのですが、真秀がなぜそんなに佐保彦に惹かれるのかはもう運命なんだとしか言えない…。
悪意のない者の害意には気づかない、という台詞が後々効いてくるんだけど、神々の愛子には憎しみを覚えさせるな、という言葉に耀目の都合とともに佐保の経験というか、なんか背景を感じさせられます。
真若王は…やりすぎなんよ!!!!
Posted by ブクログ
この当時の男性、女性、それぞれの過酷な人生を描いた巻。
それでもやっぱり女の方がしんどいよね…。
御影の恋心。
命懸けで真秀を守ろうとする真澄。
佐保彦に鋭い憎しみを浴びせかけられる真秀。
弱くて純粋な人たちが伸び伸び生きていけないのは、本当に切ないし、あまりの過酷な人生に息が詰まる。
真秀は、ただ家族で平和に過ごしたいだけなのに、その生まれによって、振り回されることに…。
日頃は憎しみは憎しみの連鎖を生むだけ…という考えに同調しているけれど、この作品では理不尽な情況が多すぎる。
そんなときに、家族に危害を加えようとする相手に、攻撃的な言葉を浴びせかけるのは、当人が奮い立つために必要なことなんだなと、この作品を読んで理解できた気がする。
真秀は常に折れそうになっているけれど、大切な相手を守るため、また運命に飲み込まれないため、虚勢かもしれないが、強い言葉遣いをする。
みていて痛々しいのだけど、でも、どん底にあっても立ちあがろうとする、弱さの中の勇ましさに、惚れ惚れしてしまうのだ。
Posted by ブクログ
相変わらず中毒性が高い。もはや月一の楽しみとなっている。氷室さんのあとがきも町田そのこさんの解説もとてもよかった
で、ほかの氷室作品でもたまに感じる男女それぞれの目線での話の描かれ方が面白かった。2巻では美知主が好きになったけど3巻では燿目が好きになりすぎて困る。